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若夫婦に亀裂!?
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セクシーなジャズやボサノバが店内BGMとして流れており、ソラが好みそうな雰囲気の店だ。
「いらっしゃいませ。」
店員の品のある挨拶を聞きながら広いインテリア売り場を歩く。
北欧モダンスタイルの洗練されたソファ、テーブル、照明がレイアウトされていた。
ソラは歩き疲れてソファに座って休んでいるかもしれない。
確信はなかったが、過去の経験則から好んで訪れそうな場所を考えるともうこれ以上探す所はなかった。
初めて入った店舗だった為、ソファがどこにあるかわからなかったが労せず簡単に売り場を見つけ出した。
「シュゴー、こちらのグレーのソファ。とても気に入りました。」
「ありがとうございます。こちら大変人気のソファでありまして、在庫が残り僅かとなっております。」
「やはり人気なのですね。このソファ。本当に素敵…。シュゴー、あっ、すいません。
ちょっと夫との待ち合わせ時間になりましたので、これで失礼します。シュゴー。」
「やっと見つけた!」
セラはすぐに声をかけようと思ったが、売り場の店員とのやり取りのなかで、夫との待ち合わせ時間になったと話していたのが
気になった。
探し回っている間に、夫婦喧嘩が収束したその反動で再び愛が点火して燃え盛っているのかとセラは考えた。
ソラは俯きながら、6階のインテリア売り場からエスカレーターを利用して最上階まで上がって行く。
話しかけたい気持ちを抑えて、バレないよう間隔を空けてソラの後ろをつけた。
最上階に上がると和洋中、カフェを含めたレストランが立ち並ぶ。
土曜日という事もあり飲食店はファミリーやカップルでごった返していた。
ソラは歩みを止める事なく、レストランを見て回っている。
寿司屋の前で足を止めると、飾られた本物そっくりなレプリカを黙って見ていた。
しばらくすると、また歩き出して回転寿司屋の隣のイタリアンレストランで立ち止まった。
周囲にいる多くの客がソラの風貌を見て、二度見をするほど驚いたり、白い目で見ながらヒソヒソ話をしているが当の本人は気になっていないようだ。
ソラはイタリアンレストランから隣のラーメン屋にも立ち寄ると、やはりただ黙って食品サンプルを見るだけだ。
セラは途中から薄々気づき始めた。
本当はウミと待ち合わせなんてしてないのでは、と。
ソラはラーメン屋から立ち去ると、他の飲食店には向かわずレストランフロアに設置されているベンチに腰をおろした。
武装している為、表情はわからないが悲しみに打ちひしがれているようにセラには思えた。
そんな姉の元へ妹は人並みを縫うようにソラの座るベンチの隣に座った。
「姉貴!」
「ウソ!なんでここに?」
ソラは突然現れたセラに驚きを隠せずにいる。
「ずっと探してたんだんだよ。」
「…ごめんね。でもどうして私がここにいるってわかったの?」
フェイスカバーの上から手を口元に当てながら言った。
「妹だからわかるんだよ。姉貴の好みっていうか行動がね。
それにこの暑さじゃん?ただでさえ暑いのに武装したままの姿で屋外には長くいられないだろうって思ってさ。」
「なるほど、さすがね。アンタも私を探して暑かったでしょ。迷惑かけちゃったわ。」
ソラは申し訳なそうに言った。
「あたし?あたしはぜーんぜん!だってレスリング部でガンガンきっつい練習をこなしていたし、タイでムエタイ修行もしていたんだから。
体育会系のあたしには余裕だよ!」
セラは腕の筋肉をソラに見せつけた。
「ねぇ?姉貴はお腹空いてない?もし良かったらさ、あたしが奢るからあの店で食べようよ。」
「えっ?でも…。」
遠慮するソラを半ば強引に引っ張って回転寿司屋へ連れて行った。
「いらっしゃいませ。」
店員の品のある挨拶を聞きながら広いインテリア売り場を歩く。
北欧モダンスタイルの洗練されたソファ、テーブル、照明がレイアウトされていた。
ソラは歩き疲れてソファに座って休んでいるかもしれない。
確信はなかったが、過去の経験則から好んで訪れそうな場所を考えるともうこれ以上探す所はなかった。
初めて入った店舗だった為、ソファがどこにあるかわからなかったが労せず簡単に売り場を見つけ出した。
「シュゴー、こちらのグレーのソファ。とても気に入りました。」
「ありがとうございます。こちら大変人気のソファでありまして、在庫が残り僅かとなっております。」
「やはり人気なのですね。このソファ。本当に素敵…。シュゴー、あっ、すいません。
ちょっと夫との待ち合わせ時間になりましたので、これで失礼します。シュゴー。」
「やっと見つけた!」
セラはすぐに声をかけようと思ったが、売り場の店員とのやり取りのなかで、夫との待ち合わせ時間になったと話していたのが
気になった。
探し回っている間に、夫婦喧嘩が収束したその反動で再び愛が点火して燃え盛っているのかとセラは考えた。
ソラは俯きながら、6階のインテリア売り場からエスカレーターを利用して最上階まで上がって行く。
話しかけたい気持ちを抑えて、バレないよう間隔を空けてソラの後ろをつけた。
最上階に上がると和洋中、カフェを含めたレストランが立ち並ぶ。
土曜日という事もあり飲食店はファミリーやカップルでごった返していた。
ソラは歩みを止める事なく、レストランを見て回っている。
寿司屋の前で足を止めると、飾られた本物そっくりなレプリカを黙って見ていた。
しばらくすると、また歩き出して回転寿司屋の隣のイタリアンレストランで立ち止まった。
周囲にいる多くの客がソラの風貌を見て、二度見をするほど驚いたり、白い目で見ながらヒソヒソ話をしているが当の本人は気になっていないようだ。
ソラはイタリアンレストランから隣のラーメン屋にも立ち寄ると、やはりただ黙って食品サンプルを見るだけだ。
セラは途中から薄々気づき始めた。
本当はウミと待ち合わせなんてしてないのでは、と。
ソラはラーメン屋から立ち去ると、他の飲食店には向かわずレストランフロアに設置されているベンチに腰をおろした。
武装している為、表情はわからないが悲しみに打ちひしがれているようにセラには思えた。
そんな姉の元へ妹は人並みを縫うようにソラの座るベンチの隣に座った。
「姉貴!」
「ウソ!なんでここに?」
ソラは突然現れたセラに驚きを隠せずにいる。
「ずっと探してたんだんだよ。」
「…ごめんね。でもどうして私がここにいるってわかったの?」
フェイスカバーの上から手を口元に当てながら言った。
「妹だからわかるんだよ。姉貴の好みっていうか行動がね。
それにこの暑さじゃん?ただでさえ暑いのに武装したままの姿で屋外には長くいられないだろうって思ってさ。」
「なるほど、さすがね。アンタも私を探して暑かったでしょ。迷惑かけちゃったわ。」
ソラは申し訳なそうに言った。
「あたし?あたしはぜーんぜん!だってレスリング部でガンガンきっつい練習をこなしていたし、タイでムエタイ修行もしていたんだから。
体育会系のあたしには余裕だよ!」
セラは腕の筋肉をソラに見せつけた。
「ねぇ?姉貴はお腹空いてない?もし良かったらさ、あたしが奢るからあの店で食べようよ。」
「えっ?でも…。」
遠慮するソラを半ば強引に引っ張って回転寿司屋へ連れて行った。
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