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旦那様、帰宅はお早めに。

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「旦那様、今日も帰りが遅いなぁ。
こないだまでは早くお仕事を終わらせて帰宅していたのに。」

最近、ウミの帰宅が遅い事にソラは不満を募らせていた。

ガチャガチャ!
キィィ

蝶番ちょうつかいが劣化して軋むドアが開くと、ソラは玄関へ向かった。

「ただいま!」

「お帰りー!待っていたよ!」

「夕飯はカレーだな。」

「そうでーす。お夕食はカレーだよ。
ただし"肉なしカレー"です。
でも美味しいんだから、おかわりしてちょうだいね。」

玄関で靴を脱ぐウミは若干、疲れた顔はしているものの充実感がある。

「お疲れ様です。
なんかいい事あった?」

ドンと音を立ててウミは畳に座り込むと、ソラが出してくれたコップをひと口飲んでから答えた。

「あぁ、よくわかったな。
最近、バンドの方が上手くいっててよ。
ライブで客の入りがかなり増えたんだ。
俺が作曲した新曲は評価が高いし、ノリにノッてっからニューアルバムの制作に関してもメンバーみんなが意欲的なんだよ。」

ウミはバンドの方向性が自分の理想に着実に近づいている事を素直に喜んでいる。

「すごいじゃない。ウミィ!
だから近頃は帰りが遅かったのね。」

「そうだ。つまんねぇ仕事は定時に上がってんだけど、バンドの練習やライブで遅くなっちまう。
早く好きな音楽活動に専念したいぜ。」

肉のないカレーをウミは飲み込むように食べている。

腹が減って貪り食べるウミに、おかわりあるからね。と言った後、ソラは帰宅の遅いウミに対してどうしても伝えたい事を話した。

「ねぇ、ウミィ。
お仕事とバンド活動の二足の草鞋わらじっていうのかな?
両立してやっているから、とっても大変なのはわかるけど、遅くなる日は連絡してほしいなぁ。」

「めんどっちいなぁ。
テンション上がっている時や集中している時はそれどころじゃねぇし。」

眉間に皺を寄せて嫌そうにウミは言った。
おかわりをした肉のないカレーは、まだ半分ほど残っていたが、嫌気がさしたウミは食べ残して脱衣所へ向かった。
シャワーを浴びる為だ。

「なによぉ?今の態度。信じられないわ。」

ソラは腹が立って反撃に出た。

「ちょっとぉ?今の暴言はなにぃ?
妻の言う事に少しくらい耳をかしなさいよ!
帰りが遅いと心配だから言ってるのにさ!」

脱衣所まで行き、パンツ一丁の姿になっているウミに噛みついた。

「へへへ。この俺が事件に巻き込まれるわきゃねぇよ。
どいつこいつも、気合いのないヘタレばかりさ。
俺に喧嘩を売るタマはどこにもいねぇ。」

備え付けられている洗面台の鏡を見ながら、クールな表情を浮かべて自慢の青髪を手櫛でセットしている。

「フンだ。大した自身ね。
でも他の男の人達はそうかもしれないけど、私はウミよりずっっと強いんだからね!」

ソラはウミに飛びかかって行き、ウミの脇や腹や乳首をくすぐり始めた。

「コチョコチョコチョ~。」

「うげぇ、やめろ、おいやめろって、ギャハハ、くすぐってぇぇぇ!」

先ほどまで音楽雑誌の表紙を飾るような気取った顔をしていたウミは、くすぐり攻撃を受けてマヌケな顔になっている。

「ほらほら謝って。
"愛しい妻のソラに忠誠を誓います"と言いなさーい!」

ソラは手を休めず、くすぐり攻撃をしている。

「ギャハハ!汚ねぇぞ。ソラ!俺は謝らねえからなぁ。ギャハハハハ!」

笑い死ぬくらいくすぐられて目に涙を滲ませながらも負けじと抵抗している。

「カワイイお兄さん。果たしてどこまで我慢できるかしらねぇ?」

猫のように目を細め、獲物を弄ぶかのように細く繊細な指がウミの身体をくねらせる。

「なかなか強情ね。謝るまで私は手を止めないよぉ。
もうギブアップして楽になったほうがいいんじゃないかしら?
お、に、い、さ、ん?」

美しい若妻は肩にかかる黒髪を背中側に払い挑発的に言った。

「やめろぉ、ソラ!いい加減にしろって!」

次第にソラの手はウミのパンツへと手が伸びた。

「私の指づかいに耐えられるかしら?」
私、すっごく得意なんだから。」

濡れた唇はそう言った。

「お、おまえ、俺に何をするつもりだ!?
や、やめろよ…。」

「だって降参しないのでしょ?なら、止めるわけにはいかないよ?」

ニヤリとソラは笑い、両方の手の人差し指を合わせてウミの尻にカンチョーをした!

「バカヤロォォォォォ!」

「パンツを脱がしてやらなかっただけ良かったと思いなさい!」



こうしてアホな新婚夫婦の夜は過ぎていった。






























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