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 ……エスパー、なのだろうか。

「いやーーー! 夢、叶っちゃったなあ!」

 このナツメという男は、エスパー、なのだろうか。

「まさか、漫画の大定番! 俺と付き合ってよ、が使える日が来るとは~~!」

 恋愛漫画の定番、突然の告白。そこから始まる愛の物語。
ーーではない様だ。

 時に漫画世界における”鈍感キャラ“は、ぶっきらぼうに、用件だけを率直に言うのだった。
 
そう。

『付き合って』と。

 慌てふためく相手を見て、頭の上に疑問符を浮かべながらこう続けるのだ。

『どうしたの? 付き合って欲しい事があるんだけど』と。

 立場が逆な場合は、『付き合って欲しい!』という提案に対して、『何にですか? 何処へですか?』と悪意のない様子で聞き返す。

 ラブコメ漫画の大・大・大定番。

ーーしかし、漫画のキャラはその誤解には気付かないし、誤解した相手を揶揄ったりしない。
 出会って早々の相手を、本気で殴りたいとまで思った事が初めてだった六十里は、苛立ちを隠せないでいた。


「声でかい! ……用事、済んだでしょうし? 私もう帰りますね?」
「え!? まだまだ! これからだって!」
「………」
「何で怒ってんの!? ハナビさんだって嬉しかった癖に~~!」


ーーその通りです。図星。エスパーかよ、この男!

『嬉しかった癖に』

 今までフィクションの世界で何度も見て来たそれに遭遇し、腹を立てているこの感情も含めて。
 自分が当事者になった奇跡に、怒りや不快以外の感情がある事にーー困惑した。



******



【数分前】


「何してん…………ですか?」

 職場から出て直ぐにある駐輪場に、ナツメは居た。

『ハナビさん、付き合ってくんなーい?』
 他人の自転車に跨りながら、奴はこう言ったのだ。

 確かに昼間は許可取らずに使っていいとは言ったものの……などと冷静に分析している自分がおかしい事に六十里はやっと気が付いた。

ーー付き合う、とは何事だ!?

「良かった~~! さっき帰った社員さんに、『ハナビさん多分しばらく来ないよー』なんて言われちゃったから、何分待つかと思ったけど。数分でしたねー!!」
「何で、待ってたん……ですか?」
「嬉しくて急いでくれたんですか~!? 実は、ハナビさんの分のタイムカード打っといたの、僕なんですよー!?」
「あ、あれ禁止行為だからっ! 今後辞めて……って、工場長が、言ってました……」
「そうだったんですか~。コンビニバイトの時は良くやってたから、良かれと思って……すいません」
「いや、知らなかったなら、気を付けてくれれば、良いんで……」
「この後って急ぎですか!? 良ければ、近所のお昼買えそうな場所、教えて欲しいんですけど」
「あ、ああ。良いですけど」
「良いんですか!? 無理にとは言わないんで! 強制じゃ無いんで! 
 ……疲れてるなら帰って良いんですよ?」
「帰り道にありますから。ついでですし」
「助かりまーーーす! ささ、僕がお荷物持ちますんで! 荷物、それだけですか?」

 ナツメは六十里のちょっと後ろを指刺した。そこには寂しそうに六十里の携帯が落ちている。
 六十里が慌てて拾い上げるも虚しく、画面はひび割れていた。画面に貼られたカバーに支えられガラスはこぼれ落ちないものの、ブラック画面に浮かぶ白く細い線の傷。
 ボタンを押せば正常に起動し、画面が光ると傷は殆ど見え無い状態になり、安堵した。
 心配そうに安否を問うナツメに大丈夫だった事を伝え、自然と笑みがこぼれる。
 その笑顔につられてナツメも笑い、言葉の通り胸を撫で下ろして見せたのだった。



***



ーー付き合って……ね。馬鹿みたいなど定番。勘違いまでお見通し。

「お店に行くのに、一緒に、付き合ってって事、ねぇ……」
「ん? 何か問題ありました?」
「……100点満点ですよ。ホント」
「ええ~? 何が、ですか~~??」
「こちらこそっ、貴重な体験っ、ありがとうございますうーっ!!」
「ど、どういたし……まして??」

ーーエスパーかよ、この男。
 一瞬六十里の中で過った妄想をそのまま、1番理想的な形で実現化させて見せたのだから。
ーー私に至っては、恋愛物語は創造と見てるだけに限る。

 ナツメと六十里は、仕事場から歩いて10分位の所にあるスーパーに到着した。
 自転車はナツメが引いて来た……というより、自転車を人質にここまで連れて来させられたに近かった。

 この場へ案内したら即座に帰ろうと思っていた六十里を見透かしていた様に、自ら駐輪場へ自転車を持って行って、鍵をかけ始めた。
 数年使われていなかったであろう鍵は稼働を拒んでいたが、成人男性の力には抗えず、安っぽい音を立てて施錠された。

 自動車での来客がメインの時間帯。店から少し離れた駐輪場は無人で、ほぼ貸し切り状態だった。

 それぞれ私物の上着を羽織るも、色違いの同じ作業着を着た、ほぼ手ぶら状態の2人が入店する。
 この時間は仕事帰りのくたびれた顔をした客層が多く、2人も悪目立ちはしなかった。

「やっぱり昼休みに買いに来るにはちょっと遠いと感じる距離ですよねー。良くここ来るんですか?」
「うん、近所だし。野菜とか肉とか材料は安いよ。飲み物とか。
 お弁当とお惣菜は、私は美味しいと思うけど……高くも無く安くも無いって感じ。
 夕方になれば割引されてかなり安くなるけど」
「お昼、ここに買いに来たりはしないんですか?」
「ああ……何か的外れな事言っちゃってたね、ごめん。仕事帰りか、休みにしか来ないかな」
「近所って言ってましたけど、車持ってないんですか?」
「朝は特に低血圧で、通勤で運転したく無いの……だから、今の会社に転職した」

 そう言い終わってから六十里はハッとする。自分語りが過ぎた恥ずかしさと、ナツメの通勤手段だ。

「ごめん。今日って車で来た?」
「いいえ?」
「駅と反対方向来ちゃったんだけど……電車通勤だった?」
「いやいや、大丈夫ですから! 気にしないで下さいよ。頼んだの僕ですし……それより、コンビニも知りたいんですけど」
「ああ、ごめん……安い方がいいと思って、スーパー先に紹介しちゃって。
 普通、コンビニの方が良いよね。
 コンビニは、会社からまた別方向に……あ」
「どうしました?」
「…………本当にごめん、そっちの方が仕事場から近かったかも。駅からも、近いと思う」
「あーーーもう、待って待って! 僕、自宅から徒歩通勤なんで! なんならこのスーパー寄りで、会社と間くらいですから!」
「あ……そう、なんだ。良かった……」
「それに、今日はハナビさんの帰宅のついでって体で教えてもらったんじゃ無いですかー。そんな気にしないでくださいよ」
「そっか……ごめん」
「あ、また。気にしないでって!」
「ごめ……あ。あ……ありがとう」
「はーい……って、それも何か違う気がしますけどね~」
「そうだ! 今日、なんか買って帰る? 野菜とか水物買うなら自転車あった方が楽だし、付き合うよ」
「またまた~! そんな事言って~、僕の家までついて来て、場所、知りたいだけなんじゃ無いですか~?」
「ふふふ。もうそれで良いよ」
「も~! ハナビさんたら、だいた~ん!」
「結局、なんか買うの?」
「大変申し上げにくいのですが、特に欲しい物ございません……ので、冷やかしで出るの恥ずかしいので、お菓子でも買いまーす」
「それ良いね。私もそうしよう」
「100円までなら買ってあげますよ?」
「やった。選び放題じゃん」

 田舎にあるスーパー。コンビニとは違い、税込みで100円以下で買える物の選択肢は山ほどある。
 品定めに夢中になっていた六十里だったが、返事が来ると思ってこぼしていた言葉がただの独り言にまり、ナツメが黙っている違和感に気が付いた。
 
「そこは素直に聞き入れるんですね……遠慮するかと思った」

 図々しいかと思わせたか? と不安も虚しく、ナツメは嬉しそうに笑って見せた。
 憎まれ口を身構えていた反動から、無駄にこちらからけしかけてしまう。

「今日、私の好きな飴食べちゃったしね……あげるつもりじゃ、なかったのに」
「手に乗せたじゃん!」
「その前に手、出したじゃん」
「あ……出したわ」
「でしょ? だから好きじゃないレモネード味を食べる羽目になったし」
「僕、レモンの方が良かったかも~!」
「え゛。じゃあ、明日レモネード味を全部あげるよ……ん、これ買って下さい」

 昼間食べた飴玉は、六十里お気に入りのメロンソーダ味と、そうでもないコーラ、レモネードが入っている商品だった。
 それに加えて、期間限定のブルーハワイ味が追加されたものが並べられていて、それを手に取った。
 
「お客様~、こちら新商品なので税抜きでも予算オーバーですー。
 隣にあるこちらの旧製品でしたらお割引シールがついてますので、予算以内に収まりますが、いかがなさいますか?」
「……だよね。じゃあこっちの50円のチョコレート菓子にするよ」
「えーーーー!? そこはさーーー!? わがまま言っても良いのに!!」
「はは……慣れてないもんで」
「もう! 両方買ってあげますから! 僕、お金持ちなんで!」
「ははは、ありがとう。でも高いし飴だけで良いよ」
「もーーーーー! 高く無いから! チョコもちゃんと2つ買ってあげますよっ! お金持ちなんでね!」
「ははは! ……うん、ありがとう」

 レジに向かうと、お疲れ気味な年配の女性店員がこちらに気付く。
「お願いしまーす」というナツメの声に、店員の目の色が変わった。

 やはり、世間一般的にナツメは“イケメン”に属する人間の様だ。

「お会計246円でございます」
「……お姉さーん、現金大きいのしか無いわー。ごめんね?」
「大丈夫だけど、お兄ちゃん小銭全く無いの~?」
「無いのよ~、ごめんねー?」
「そこの連れのお姉ちゃんは、全く無いの?」
「え!? えーと……」
「いや、ここは僕の奢りなんですよ!」
「端数の6円か50円よー。小銭だらけになっちゃうから。無いの?」
「一万円でお願いしまーす!」
「はい。一万円からお預かりしまーす」

 レジ処理される一万円を横目に、六十里はがま口財布の3枚しか無かった10円玉を見つめていた。
 処理の終わった小銭はジャラッと音を立て受け皿へ。お札も複数枚になって勢い良く吐き出された。
 お釣りを受け取り、お札と小銭で両手の塞がったナツメが呼び寄せ、テープで印のついたお菓子を受け取った六十里と共に、レジを離れる。

「小金持ち~♪」

 お釣りの小銭を見せて戯けて見てると、「ちょっと持ってて」と小銭を六十里に持たせた。
 上着から出した財布に五千円札だけをしまっている。質素に見えた長財布からは、不揃いに重なった万札が覗いていたのが見えてしまった。

「なんか、ごめんね。今日は仕事場で自販機に使う財布しかなかったから、小銭10円からしか無くて……それも、30円しかなくて」
「ああー、自販機! なるほどね、迂闊だったわ。自販機って万札使えないよね? あっ、五千円札もだったっけ? あっぶねー」

 上着にしまいかけた財布を取り出し、千円札を一枚だけしまう。
 三千円は指の間に挟んで、六十里に預けた小銭も受け取り、足軽に歩き出す。
 出口に向かうのかと思われたが、その足はすぐに止まり、六十里を手招きした。

「ハナビさん、犬好き?」
「え?」
「盲導犬、だってー。猫も好きだけどね、犬も結構好きだよ……どっちも飼った事、無いけど」

 劣化しひび割れ、変色したラブラドールの貯金箱は役目を果たせず、飾りと化していた。
 隣に置かれた箱に、“盲導犬協会募金”と書かれた紙が貼られていた。

「募金するの?」
「まあね~」

 小銭を選別するかと思いきや、躊躇なく三千円と小銭の754円の全てを押し込んだ。
 大きく透明だった募金箱の中身は丸見えで、アルミや銅の軽い硬貨がほとんどの低い山に、重い硬貨が複数落ちる。その上に、ふわりとお札が舞い落ちた。
 お札と五百円玉が、低い山の上で悪目立ちしていた。

「汚いお金、綺麗にな~れっ!」

 一連の行動の後、硬直してしまった六十里。
 そんな六十里に気付きながらも、ナツメは目を合わせる事無く、足速に店を出て行った。
 そのまま見送る事も考えた六十里だったが、自転車の鍵を持っていない事に気付き、急いで後を追った。


***


 走るのが遅い六十里は見失う可能性に焦りを感じていたが、それも束の間。
 駐輪場の自転車の前でナツメは待っていた。六十里に気付くと、申し訳無さそうに歯を見せて笑った。
 駆け寄ると同時に自転車の鍵を要求するが、手元に鍵は無い、と手をヒラヒラして見せる。
 跨らずにサドルへ腰掛けたナツメは、鍵が刺さり解錠された状態を指さした。

「買ったお菓子、食べないの?」
「家で食べるよ、ありがとう……ございました」
「甘いもん、好きなんだね……」

 そう言うとナツメは六十里の手首を直接掴み上げる。
 オーバーサイズの緩い袖は、上に向けただけで重力に逆らう事無く垂れ下がり、六十里の白い腕を露わにした。

「こんなガリガリなのに……リスカもアムカも無いじゃん。拒食症?」
「そんな、大層なもんじゃ無いよ」
「本当に仕事場じゃなんも食べないの? いつもああやって仮眠時間にしちゃってるわけ?」
「飲み物は、飲んでる……家では、結構食べてるし」
「今日は? お昼のレモネードの飴玉以降、なんか食べた?」
「今日はたまたまで……何も飲んで無いけど……」
「何? 聞こえない。ちゃんと言って」

 口籠った六十里のマスクを顎の下までずり落とした。驚いて少し開いた状態で停止した唇は、言葉を発する気配さえ出さ無かった。
 手首を掴む力を更に強めて、六十里の体を引き寄せる。それと同時に立ち上がり、そのまま顔を近づけて、自分の唇を六十里の唇を重ねた。
 ナツメのモノが、六十里の乾いた口内を濡らした。今まで当たり前にしてきた呼吸の仕方が、思い出せなくなって、苦しくなる。
 自由に動かせるはずの反対の手には、買ったばかりのお菓子。それを、ただ単純に、強く握りしめる事しか出来なかった。
 息の限界が来るよりも早く、手首を掴む力が緩む。唇も離れて行った。

「流石にもう味はしない、か……でー、ハナビさん」
「………」
「返事ですよ。無いんですか?」
「……は?」
「だから、返事。付き合って下さいの、返事」
「か、買い物に……付き合ったじゃん!」
「何それ……付き合うって告白以外の意味で勘違いする事なんて……都市伝説だよ、そんなん」
「勘違い……?」
「返事、照れ隠ししてんのかと思ってた。浮かれちゃってた……ごめんね」
「…………彼氏いるって、言ったじゃん」
「なーんだ! しっかり聞き流さないでくれてたなんて、感激だなぁ。
 あ、いたら嫌なタイプですか?」
「彼氏! 彼氏いるって言ったじゃん! 私、女じゃん!」
「ああー、そっち気にするタイプでした?」
「何、考えてんの……? わかんないよ」



「そちらこそ、僕の事好きな癖に。何が不満で怒ってるんですか?」



ーー何故突き離さなかった? 拒まなかった? 
 手に持ったお菓子など捨てて、すぐそばにあった顔を叩いてやれば良かった?

 六十里の中に湧き上がる感情全てに疑問符が付き纏う。

 その原因は、尋ねたナツメの表情だった。小馬鹿にするでも無く、怒りの感情もなく。ただ不思議そうに、幼ささえ感じる声色で問う。

ーーまさか、あるわけ無い。
 今日会ったばかりの人間が、自分に興味を持ち、頼り、求めて来るなんて。

ーー宗教勧誘? お金目当て? あんな大金の現金を持ち歩いてる人間が?

 ガリガリの病人色の肌。傷一つない腕とは対照的に、穴だらけ耳。
ーー自分が一番よくわかってる。関わらない方が良いタイプの人間だって。

ーー何に惹かれた? この感情、間違えたく無い……もういっその事。

ーー時を止めてしまおうか?


「“時を止める能力”がある、って言ったら、信じてくれる?」


 ナツメの問いに対しての答えになるかわからないその言葉を発した声は、震えていた。

ーー始まってさえいない、崩壊の始まりを告げる言葉だから。
 無言。それがナツメの返答。

ーーそう、思っていた。

「僕で良ければ聞こうか、その話」

 予想が外れ続け、不安しかないであろうこの状況に、六十里は快楽を感じ始めていた。
ーー壊れるのも、悪く無いのかも知れない。

 予想が外れる快感もここまで。
 本当に壊れて、終わっても構わないとさえ思う六十里を他所に。
 ナツメは、始まろうとしていた。








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