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ーー朝礼30分前だった。
この時間でさえ静けさ漂う仕事場だった。
ほとんどの社員が来るのは5分前。
持ち場に着くのはぴったりかチャイムの後が当たり前。
外国人、主婦、独身、高卒。誰でも出来る仕事故の良いとは言えない給料。
管理の甘い仕事内容。長く続かない社員。一応出る残業代。
確定休みは日曜日だけ。気まぐれな隔週土曜休み。
ブラック企業とは言い切れない中途半端な仕事場。
勤め続ける理由はただ一つ。
見た目や身につける小物に関して、『異物混入』が避けられるので有れば自由だった。
長さも型も色も。男性女性関係なく、規定の帽子を身につけ、長ければ髪を縛れば良い。
ネイルだって手袋をつけての作業に支障が出なければ良し。
ネックレスも、ピアスも、指輪も。製品に混入しなければ、問題無し。
つける自由もあれば、つけない自由もある。
女であっても男であっても。
化粧をしても、しなくても。
マスクをつけたままでも。
許される。指摘されない事が、楽で良かった。
***
左右12個づつ。合わせて24個の耳ピアスが、ロッカーに着くのと同時に音を立てるのをやめた。
私物の帽子を外すと、真っ黒な髪を隠すように、色の抜けた髪が流れた。
根本の黒が目立ち始めた派手髪。刈り上げられたツーブロックの黒が派手さに磨きをかけた。
制服の帽子を手に取り、長い前髪をオールバックで中へ。
細く白い首が見える程に後ろ髪も短く、刈り上げられている。
良く見なければわからない程度の、薄く色のついたデカレンズの丸ブチ眼鏡。
花粉も風邪も関係無しに、常につけているマスク。
それらは場違いの季節外れで、少し悪目立ちしている自覚はあった。
ーーそれでも、職場はそれを指摘しない。
眼鏡もマスクも帽子も。オーバーサイズなそれは、彼女の顔の殆どを隠してしまっていた。
眉毛を整えただけの、すっぴんだと悟らせない程度に。
細身の体も相まって、雰囲気美人な近寄り難いオーラを放っていた。
そんな彼女が入っていく職場は、アパレル業なんかじゃ無い。
ーー自動車の部品工場だった。
いつも通りタイムカードを押そうと手を伸ばした。
自ら名前、六十里花美の名前が印刷されたカードを手に取る。
出勤時間を印字する鈍い音が、奥の事務所まで響く。壁や扉などはなく、安いパネルで仕切られている。
少し覗き込むだけで、奥に誰かがいるのがわかった。同様に、向こうからも覗き込んだのが見えたらしい。
「おはよう、六十里さん」
「おはようございます」
声をかけて来たのは工場長だった。
いつもは苛立ちを隠せていない愛想笑いを浮かべている彼も、今日は優しそうに繕って笑っている。
隣にいるもう1人のせいだろう。見た事のない青年だった。随分若く見える。
ーー否。若いと言うより、綺麗だった。
自分よりある背丈の工場長と肩を並べて並ぶ。制服を着ていないTシャツ姿から分かる骨格。咄嗟に男性なのは見当が付いた。
それでも、少し長めの艶のある髪。髪の間から覗く顔は中性的で、一瞬女性である可能性を頭によぎらせた。
「初めまして。今日からお世話になります、ナツメです。よろしくお願いします」
愛想の良い笑顔。動く喉仏。想定範囲内の声。高過ぎず低過ぎず。女性らしさは微塵もない、男性の声だった。
「よろしくお願いします。六十里です」
「ナツメ君、基礎研修終わったら六十里さんの作業場近くに配置になると思うから。その時はよろしくね」
「はい。わかりました」
互いに頭を下げる。六十里が名乗ったその時、彼の顔が一瞬曇ったのを見逃さなかった。
聞き慣れない苗字に困惑したのだろうか。
ーー大丈夫だよ。名前なんか呼び合わなくたって成立する仕事場だから。
その証拠に、彼女は既に彼の名前を忘れようとしていた。
ーーそれとも、これを見て、あの顔だったのかな。
両耳。隙間を埋め尽くす程の数のピアス。
飾り気のないシルバーのリングとバーベルだけで、ピアス同士がぶつかる程に。
乱雑に。数の圧力を見せつけてくるその耳は、目立っていた。
帽子から覗く色の抜けた短い髪が、その派手さを一段と引き立てていたから。
そして。この外見をした人間が放つ敬語もまた、異様さを引き立てていたから。
******
チャイムと同時にコンベアが止まる。お昼休みを告げるチャイムだ。
社員全員がロッカーへと向かう。ーー六十里花美を除いて。
しばらく視線を曖昧に、その場に立ち尽くしていた。
リーダーが回りを見渡す姿を横目に、その場に座り込む。
バチンッと音を立てて照明が落とされた。窓から入込む光で、真っ暗にはならない。
気配を殺した。誰も居なくなった作業場。
膝を抱えて、頭を伏せて、目を瞑った。微かに聞こえていた声も、遠のいていく。
ーードク、ドク。スー、スー……
心臓の音。動脈の音。呼吸音。自分の体が発する音だけが聞こえる空間。
自分の腕に包まれた暖かさ。安心出来る心地よさが、眠りの世界へと誘う。
ーーこのまま。この時間がずっと続けば良いのに。
******
「体調、悪いんですか?」
六十里への問いかけだ。見て確認しなくても、明らかだった。
声主との物理的距離は近く、悪意が無いのはわかった。
それを理解は出来ていても咄嗟にそれを言葉に出来ず、表情も不快が漏れた状態で顔を上げてしまう。
「あっ……仮眠中でした?」
「いや、大丈夫」
声の主は、今朝会った青年だった。
ーー実の話、予想はついていた。
この仕事を続けて5年目になる六十里。昼休憩に食堂に向かう事なく、その場に座り込んで仮眠を取るのは日常だった。
午後の業務開始5分前の予鈴がなるまで、誰も話しかける者はいなかった。
しかしそれも、昨日までの話。
「お昼、いつも食べないんですか?」
空気が読めないのか、六十里の不機嫌な様子にためらう事なく話を続ける。
返事の答えをと思い、六十里は制服のポケットを弄る。
「あ! ありがとうございます。お隣に……よいしょ。失礼しまーす!」
右ポケットに視線を移し、体ごと捻った動作に勘違いしたのか、空いた左側の僅かなスペースに腰を下ろした。
ポケットから出す際、入り口に引っかかった”それ“が、パリっと音を立てる。
「あ、ありがとうございます! いただきます」
突き出された両掌に、思わず”飴玉“を置いてしまった。
受けとって即座にパッケージを開け、口に放り込む。
「そちらもどうぞ、食べて下さいよ」
その様子をずっと見ていた六十里に、飴を食べるよう促す。
予備にもう一つ飴玉持っていた事に安堵し、口に放り込んだ。
「いや、そうじゃなくてっ!」
ーー思わず心の声が口から溢れた。思った以上に大きな声が出る。
もう遅いとわかりつつ口元を手で押さえていた。飴玉までもが溢れる事は免れた。
「お昼、もしかしてこれだけなんですか?」
破けたパッケージを両手で広げて見せる。
咄嗟に渡した飴玉が、気に入った味のメロンソーダ味だった事に気付く。今口の中にある飴の味に今やっと気付いた。
ーー嫌いなレモネード味。
久々に食べたそれは、そう悪くなかった。
「お腹、仕事場だと空かないから……そっちは?」
問いかけてから、腕時計を確認した。
チャイムがなってから数分。食事を取り終えられる程の時間はたっていない。
「社食あるって聞いてたんで持ってこなかったんですけどー。
今日僕の分頼むの忘れたらしくて、気まずそうな顔するから近くで買ってきますわーって言ったら、そばにいた外国人の子が『自転車で通勤の子いるカラー、言ったら貸してくれるヨー』って」
「……ああ、そうなんだ。鍵かかって無いから勝手に使ってくれて良いよ。低かったらサドル自由に調整してくれて良いから。許可も今後取らなくて良いよ」
「ああー……自転車はいいです。僕もあんまり食べない人間なんで」
沈黙が流れた。
仮眠を再開しようと膝を抱えて頭を伏せて、寝る体制になった。
流石に気付くだろう。
ーー早く離れてくれ。
そう願うばかりだった。
「ハナビさんて、タバコ吸わないんですね。吸いそうな見た目してるのに」
思わず顔を上げて声の主を見る。視線が合うと、彼は悪戯に笑う。
「まあ、たまに、吸うけど」
「嘘だー。この距離で全然タバコの臭いしないじゃ無いですか」
「……昔、吸ったことあるって言った方が正しい……………ですね」
「寝ぼけてました? 突然敬語になりましたけど」
…………図星だった。
見慣れない整った顔立ちをした歳の近い異性と密接して話しているのを自覚してしまい、調子が狂い始める。
「すみません……」
「いえいえ、こちらこそすいません!
あ、タバコを、じゃなくて。す、みっ! ませんって事で!
……あ、タバコは吸いますー。彼氏の付き合い程度で!」
「…………そうですか」
「はい。タバコ嫌いなんで、臭いには気を付けてるつもりですけど」
「…はぁ」
相槌とも言えない間抜けな声が漏れる。
頭も流石に冴えてきたと思った矢先、聞き間違いだったかと錯覚させる事をさらっと言い流した。
男性である彼から『彼氏』のワードが出た事を六十里は聞き逃さなかった。
否、聞き逃せなかった。
ーー友達だの相方だの言い様は何でもあるだろうに。恋人と濁せば良かっただろうに……!
好奇心が湧く自分に嫌気が刺しながら冷静を装って正しい切り返しを考えた。
「作業場は禁煙で、喫煙所は外です……場所、わかります?」
ーー触れない。
仮に彼が話題に触れて欲しくてあえて言った言葉であろうとも、厄介でしか無い。
ーーこれ以上、私に関わろうとするアプローチがあるのなら……。
六十里は、”奥の手“も用意して身構える。
「さっき行ってきましたんで、場所はわかりますよー。
てっきり喫煙所かと思ったら、居ないから。『ピアスいっぱいつけた人、何処ですか?』って聞いたら、『ハナビさん作業場イルヨー、ロッカー戻ってこない思うヨー』って」
「……ツイヒジ、です。外国人の子は覚え辛いみたいで。名前で呼んで貰ってます」
「なるほどねー。その気持ち、良ーくわかります! 僕もそうしますねー」
「…………どうぞ、ご自由に」
彼は六十里の肩についた名札を指差し、吹き出すように笑う。
「肩に付ける決まりなんですか?」
「そうだよ。毎日出勤した時に。右と左の指定は無いから、肘から上の付けやすい位置で良いと思うよ」
「六十に里ねえ。読めないですよこんなん。今聞いたばっかなのに、僕もう読み方忘れましたもん。
それに引き換え、僕のは覚えやすいですよ~?」
彼はポケットから出した自らの名札を付ける素振りも見せず、差し出した。
「ナツメです。朝も名乗りましたけど……改めて。よろしくお願いします」
名札に書かれた『夏目懐目』の文字。
「凄い。……名前と苗字、同じなんだ」
「よく読めましたねー?!」
驚きと同時に嬉しそうな彼には申し訳なく思った。
名札にローマ字のルビがふってある事を指摘する。
「この会社は外国人スタッフが多いから……ほら、ここ」
「ああー…………なるほど。って言うか、『なんでコイツ苗字しか名乗らないんだ?』って思いませんでした?」
「確かに……言われてみれば。ナツメって言われて、苗字が思い浮かぶ方が一般的なの? 名前名乗る変わった子だなあって思ってたよ」
「そうだよ」
何気無しに言った言葉の返答は、食い気味にさえ感じる位に早かった。
肯定の言葉の後に続く言葉は無い。薄い笑みを浮かべた唇は強く閉ざされたまま。
細くなった瞳がずっと六十里を見ていた。
飴を砕く音だけが響く。
ほんの数秒だったであろう時間が、永遠にすら感じた。
ーー本当に、何となく言ったのだろうか。
ーー変わった子、そう思った。
そのビジュアルで、初対面相手に礼儀正しく下の名前を名乗られたら?
ーー防衛本能からの疑惑。好意からの願望。
彼を見た瞬間感じた美しさから、中性的な響きがある”ナツメ”というワードが、彼の名前であって欲しいという願望の押し付けだったのでは無いだろうか。
身勝手な妄想の後ろめたさに、息が詰まる。
ーーそんな事、彼は知りもしないのに。
地べたに伸ばして座っていた足をたたみ、膝を抱えるナツメ。膝に片頬をついて口を開いた。
「じゃあ。ハナビさんが僕を呼んでくれた時の『ナツメ』は、名前で呼んでくれてるって事なんだね?」
「そ、それはーーー」
ーーキンコーンカンコーン。
予鈴が鳴った。
どもり、誤魔化して出した声を遮るようにして。
いつもは欠伸とため息しか生まない予鈴の音が、救いのように感じた。
「出会ったその日からお互い名前で呼び合うなんて……これから仲良くなれそうですね!」
そう言い捨てて、返事を聞くでも無く小走りで去って行くナツメ。
その後本鈴が鳴り、コンベアは動き出した。
眠気は容赦無く六十里を襲い、いつもとは別格に集中出来ない午後の仕事だった。
******
いつもは他の社員が帰ったのを見計らって作業場を出る六十里も、その日は終業のチャイムと共にタイムカードを打つ行列に並んだ。
前後を見知った社員に挟まれ、安堵する。
見渡す限り。ナツメの姿は、無い。
「ハナビさん急いでどうしたノー? デート?」
その行動の異様さは他人にもわかったらしく、外国人スタッフに気さくに話しかけられたものの、乾いた返事と苦笑いが精一杯だった。
自分の番が回って来て、慌ててタイムカードを機械へ入れる……が。
『ピピーーーーーーーッ!!』
今まで聞いたことのない、機械音が鳴り響いた。
聴き馴染みの無い耳障りなその音に、皆が注目する。
それがエラー音である事は、直ぐに理解出来た。
ーーったく……何でこんな時に限って。
早く帰りたいこの日に限って、何故エラーが起きてしまうのか。
その音を聞いて、事務所から工場長が慌てて顔を出す。タイムカードを持つ六十里を見て、更に驚いた様子だった。
「あれ、今日六十里さん今日早いね!?
悪いねー、いつももう少し後に来るし、良いかと思ってたんだけど……この後、夏目君と用事でもあるの?」
「……はあ?」
また、声に出た。
今度は漏れたとかも無くはっきりと。話が読めなすぎて怒りすら感じる。
上司に何て口を聞いてしまったんだと我に帰るも、工場長はどこか機嫌が良さそうで、問題が無い現状に安堵……など出来ず、不安が募る。
「六十里さんが誰かにタイムカード代打ち頼むなんておかしいと思ったんだけどねー。
夏目君が帰る時に、なんの前触れもなく俺の前で六十里さんのタイムカード打ってから自分のタイムカード打つもんだから……」
「え?」
「『お疲れ様でした!』って言ったら注意も聞かずに走って帰っちゃうし。
本人に会ったら、『タイムカードは本人以外が打つのは禁止だぞ!』って、言っといてくれる?」
「はい……」
「あ、タイムカードは何もせずにそのまま戻しちゃって良いから。六十里さんも急いでたんでしょ?」
「はい……お先に失礼……します」
「ごめんねー、夏目君によろしくー」
ニヤニヤとした表情のまま、工場長は足軽に事務所へ戻って行く。
タイムカードには、数分前の時間が印字されていた。
並んでいた社員も居なくなり、残っているのは六十里1人だった。
ーーこんな短時間で全社員の退勤が完了していたのか……これなら自分の退勤時間も早めても良いな。
……などと呑気に考えていた。
ーーそんな事今はどうでも良い!!
綺麗に並んだタイムカード。ポカンと空いたそこにタイムカードをしまう。
列から外れて置かれたタイムカードには“夏目懐目”の文字があった。
思わず手に取ると、まっさらなタイムカードには今日の日付の覧にだけ印字がある。
六十里と同じ退勤時間の印字がされていた。
しばらく眺めてしまった自分に戸惑い、恥ずかしさから誰もいない周りを見渡してしまう。
荒い動作で元の位置へ戻し、逃げるようにして自分のロッカーへ向かう。
ロッカーを開けて、大袋に入った飴玉を一つ手に取り、一瞬手が止まる。
味を確認して、好きなメロンソーダ味を右ポケットに、レモネード味を左ポケットに入れた。
手付かずの甘い炭酸飲料と甘いコーヒーのペットボトルが2本並ぶ。
またここで一度手を止めて考えた。
ーーこれは明日の食事に回そう。
男性物のオーバーサイズなパーカーに腕を通し、ポケットにある小銭が少し入っただけのがま口財布が音を立てた。
滅多にならない携帯電話のマナーモードを解いて、そのまま片手に持って玄関へ向かった。
靴を外履きに履き替えて、空だった靴箱にある真新しく派手な赤い靴が目に入った。靴箱の名札は予想通り。
”夏目懐目“だった。
ーー今日1日だけで、何度この名前を見るんだ。
頭がどうかなりそうだった。
音が聞こえる程の、わざとらしいため息を漏らす。落ち着け、と。自分に言い聞かせる様に。
履きかけの外履きスリッパをずる様に歩き、履けてパタパタと音が変わった時。
自転車置き場からの音に気付いた。カラカラと車輪の回る音だ。
自分の目を、疑った。
「ハナビさーん! 付き合ってくんなーい?」
耳も、疑った。
こんな漫画みたいな事があってたまるか、と脳裏に過ったのも束の間。
人間は予想つかない事が起こると、漫画の様なリアクションを起こしてしまうのだと実感する事になる。
握られていた携帯は地面に滑り落ち、画面が割れている。
なかなかの大きな音が鳴ったにもかかわらず、六十里はそれに気付かない程に、困惑していた。
この時間でさえ静けさ漂う仕事場だった。
ほとんどの社員が来るのは5分前。
持ち場に着くのはぴったりかチャイムの後が当たり前。
外国人、主婦、独身、高卒。誰でも出来る仕事故の良いとは言えない給料。
管理の甘い仕事内容。長く続かない社員。一応出る残業代。
確定休みは日曜日だけ。気まぐれな隔週土曜休み。
ブラック企業とは言い切れない中途半端な仕事場。
勤め続ける理由はただ一つ。
見た目や身につける小物に関して、『異物混入』が避けられるので有れば自由だった。
長さも型も色も。男性女性関係なく、規定の帽子を身につけ、長ければ髪を縛れば良い。
ネイルだって手袋をつけての作業に支障が出なければ良し。
ネックレスも、ピアスも、指輪も。製品に混入しなければ、問題無し。
つける自由もあれば、つけない自由もある。
女であっても男であっても。
化粧をしても、しなくても。
マスクをつけたままでも。
許される。指摘されない事が、楽で良かった。
***
左右12個づつ。合わせて24個の耳ピアスが、ロッカーに着くのと同時に音を立てるのをやめた。
私物の帽子を外すと、真っ黒な髪を隠すように、色の抜けた髪が流れた。
根本の黒が目立ち始めた派手髪。刈り上げられたツーブロックの黒が派手さに磨きをかけた。
制服の帽子を手に取り、長い前髪をオールバックで中へ。
細く白い首が見える程に後ろ髪も短く、刈り上げられている。
良く見なければわからない程度の、薄く色のついたデカレンズの丸ブチ眼鏡。
花粉も風邪も関係無しに、常につけているマスク。
それらは場違いの季節外れで、少し悪目立ちしている自覚はあった。
ーーそれでも、職場はそれを指摘しない。
眼鏡もマスクも帽子も。オーバーサイズなそれは、彼女の顔の殆どを隠してしまっていた。
眉毛を整えただけの、すっぴんだと悟らせない程度に。
細身の体も相まって、雰囲気美人な近寄り難いオーラを放っていた。
そんな彼女が入っていく職場は、アパレル業なんかじゃ無い。
ーー自動車の部品工場だった。
いつも通りタイムカードを押そうと手を伸ばした。
自ら名前、六十里花美の名前が印刷されたカードを手に取る。
出勤時間を印字する鈍い音が、奥の事務所まで響く。壁や扉などはなく、安いパネルで仕切られている。
少し覗き込むだけで、奥に誰かがいるのがわかった。同様に、向こうからも覗き込んだのが見えたらしい。
「おはよう、六十里さん」
「おはようございます」
声をかけて来たのは工場長だった。
いつもは苛立ちを隠せていない愛想笑いを浮かべている彼も、今日は優しそうに繕って笑っている。
隣にいるもう1人のせいだろう。見た事のない青年だった。随分若く見える。
ーー否。若いと言うより、綺麗だった。
自分よりある背丈の工場長と肩を並べて並ぶ。制服を着ていないTシャツ姿から分かる骨格。咄嗟に男性なのは見当が付いた。
それでも、少し長めの艶のある髪。髪の間から覗く顔は中性的で、一瞬女性である可能性を頭によぎらせた。
「初めまして。今日からお世話になります、ナツメです。よろしくお願いします」
愛想の良い笑顔。動く喉仏。想定範囲内の声。高過ぎず低過ぎず。女性らしさは微塵もない、男性の声だった。
「よろしくお願いします。六十里です」
「ナツメ君、基礎研修終わったら六十里さんの作業場近くに配置になると思うから。その時はよろしくね」
「はい。わかりました」
互いに頭を下げる。六十里が名乗ったその時、彼の顔が一瞬曇ったのを見逃さなかった。
聞き慣れない苗字に困惑したのだろうか。
ーー大丈夫だよ。名前なんか呼び合わなくたって成立する仕事場だから。
その証拠に、彼女は既に彼の名前を忘れようとしていた。
ーーそれとも、これを見て、あの顔だったのかな。
両耳。隙間を埋め尽くす程の数のピアス。
飾り気のないシルバーのリングとバーベルだけで、ピアス同士がぶつかる程に。
乱雑に。数の圧力を見せつけてくるその耳は、目立っていた。
帽子から覗く色の抜けた短い髪が、その派手さを一段と引き立てていたから。
そして。この外見をした人間が放つ敬語もまた、異様さを引き立てていたから。
******
チャイムと同時にコンベアが止まる。お昼休みを告げるチャイムだ。
社員全員がロッカーへと向かう。ーー六十里花美を除いて。
しばらく視線を曖昧に、その場に立ち尽くしていた。
リーダーが回りを見渡す姿を横目に、その場に座り込む。
バチンッと音を立てて照明が落とされた。窓から入込む光で、真っ暗にはならない。
気配を殺した。誰も居なくなった作業場。
膝を抱えて、頭を伏せて、目を瞑った。微かに聞こえていた声も、遠のいていく。
ーードク、ドク。スー、スー……
心臓の音。動脈の音。呼吸音。自分の体が発する音だけが聞こえる空間。
自分の腕に包まれた暖かさ。安心出来る心地よさが、眠りの世界へと誘う。
ーーこのまま。この時間がずっと続けば良いのに。
******
「体調、悪いんですか?」
六十里への問いかけだ。見て確認しなくても、明らかだった。
声主との物理的距離は近く、悪意が無いのはわかった。
それを理解は出来ていても咄嗟にそれを言葉に出来ず、表情も不快が漏れた状態で顔を上げてしまう。
「あっ……仮眠中でした?」
「いや、大丈夫」
声の主は、今朝会った青年だった。
ーー実の話、予想はついていた。
この仕事を続けて5年目になる六十里。昼休憩に食堂に向かう事なく、その場に座り込んで仮眠を取るのは日常だった。
午後の業務開始5分前の予鈴がなるまで、誰も話しかける者はいなかった。
しかしそれも、昨日までの話。
「お昼、いつも食べないんですか?」
空気が読めないのか、六十里の不機嫌な様子にためらう事なく話を続ける。
返事の答えをと思い、六十里は制服のポケットを弄る。
「あ! ありがとうございます。お隣に……よいしょ。失礼しまーす!」
右ポケットに視線を移し、体ごと捻った動作に勘違いしたのか、空いた左側の僅かなスペースに腰を下ろした。
ポケットから出す際、入り口に引っかかった”それ“が、パリっと音を立てる。
「あ、ありがとうございます! いただきます」
突き出された両掌に、思わず”飴玉“を置いてしまった。
受けとって即座にパッケージを開け、口に放り込む。
「そちらもどうぞ、食べて下さいよ」
その様子をずっと見ていた六十里に、飴を食べるよう促す。
予備にもう一つ飴玉持っていた事に安堵し、口に放り込んだ。
「いや、そうじゃなくてっ!」
ーー思わず心の声が口から溢れた。思った以上に大きな声が出る。
もう遅いとわかりつつ口元を手で押さえていた。飴玉までもが溢れる事は免れた。
「お昼、もしかしてこれだけなんですか?」
破けたパッケージを両手で広げて見せる。
咄嗟に渡した飴玉が、気に入った味のメロンソーダ味だった事に気付く。今口の中にある飴の味に今やっと気付いた。
ーー嫌いなレモネード味。
久々に食べたそれは、そう悪くなかった。
「お腹、仕事場だと空かないから……そっちは?」
問いかけてから、腕時計を確認した。
チャイムがなってから数分。食事を取り終えられる程の時間はたっていない。
「社食あるって聞いてたんで持ってこなかったんですけどー。
今日僕の分頼むの忘れたらしくて、気まずそうな顔するから近くで買ってきますわーって言ったら、そばにいた外国人の子が『自転車で通勤の子いるカラー、言ったら貸してくれるヨー』って」
「……ああ、そうなんだ。鍵かかって無いから勝手に使ってくれて良いよ。低かったらサドル自由に調整してくれて良いから。許可も今後取らなくて良いよ」
「ああー……自転車はいいです。僕もあんまり食べない人間なんで」
沈黙が流れた。
仮眠を再開しようと膝を抱えて頭を伏せて、寝る体制になった。
流石に気付くだろう。
ーー早く離れてくれ。
そう願うばかりだった。
「ハナビさんて、タバコ吸わないんですね。吸いそうな見た目してるのに」
思わず顔を上げて声の主を見る。視線が合うと、彼は悪戯に笑う。
「まあ、たまに、吸うけど」
「嘘だー。この距離で全然タバコの臭いしないじゃ無いですか」
「……昔、吸ったことあるって言った方が正しい……………ですね」
「寝ぼけてました? 突然敬語になりましたけど」
…………図星だった。
見慣れない整った顔立ちをした歳の近い異性と密接して話しているのを自覚してしまい、調子が狂い始める。
「すみません……」
「いえいえ、こちらこそすいません!
あ、タバコを、じゃなくて。す、みっ! ませんって事で!
……あ、タバコは吸いますー。彼氏の付き合い程度で!」
「…………そうですか」
「はい。タバコ嫌いなんで、臭いには気を付けてるつもりですけど」
「…はぁ」
相槌とも言えない間抜けな声が漏れる。
頭も流石に冴えてきたと思った矢先、聞き間違いだったかと錯覚させる事をさらっと言い流した。
男性である彼から『彼氏』のワードが出た事を六十里は聞き逃さなかった。
否、聞き逃せなかった。
ーー友達だの相方だの言い様は何でもあるだろうに。恋人と濁せば良かっただろうに……!
好奇心が湧く自分に嫌気が刺しながら冷静を装って正しい切り返しを考えた。
「作業場は禁煙で、喫煙所は外です……場所、わかります?」
ーー触れない。
仮に彼が話題に触れて欲しくてあえて言った言葉であろうとも、厄介でしか無い。
ーーこれ以上、私に関わろうとするアプローチがあるのなら……。
六十里は、”奥の手“も用意して身構える。
「さっき行ってきましたんで、場所はわかりますよー。
てっきり喫煙所かと思ったら、居ないから。『ピアスいっぱいつけた人、何処ですか?』って聞いたら、『ハナビさん作業場イルヨー、ロッカー戻ってこない思うヨー』って」
「……ツイヒジ、です。外国人の子は覚え辛いみたいで。名前で呼んで貰ってます」
「なるほどねー。その気持ち、良ーくわかります! 僕もそうしますねー」
「…………どうぞ、ご自由に」
彼は六十里の肩についた名札を指差し、吹き出すように笑う。
「肩に付ける決まりなんですか?」
「そうだよ。毎日出勤した時に。右と左の指定は無いから、肘から上の付けやすい位置で良いと思うよ」
「六十に里ねえ。読めないですよこんなん。今聞いたばっかなのに、僕もう読み方忘れましたもん。
それに引き換え、僕のは覚えやすいですよ~?」
彼はポケットから出した自らの名札を付ける素振りも見せず、差し出した。
「ナツメです。朝も名乗りましたけど……改めて。よろしくお願いします」
名札に書かれた『夏目懐目』の文字。
「凄い。……名前と苗字、同じなんだ」
「よく読めましたねー?!」
驚きと同時に嬉しそうな彼には申し訳なく思った。
名札にローマ字のルビがふってある事を指摘する。
「この会社は外国人スタッフが多いから……ほら、ここ」
「ああー…………なるほど。って言うか、『なんでコイツ苗字しか名乗らないんだ?』って思いませんでした?」
「確かに……言われてみれば。ナツメって言われて、苗字が思い浮かぶ方が一般的なの? 名前名乗る変わった子だなあって思ってたよ」
「そうだよ」
何気無しに言った言葉の返答は、食い気味にさえ感じる位に早かった。
肯定の言葉の後に続く言葉は無い。薄い笑みを浮かべた唇は強く閉ざされたまま。
細くなった瞳がずっと六十里を見ていた。
飴を砕く音だけが響く。
ほんの数秒だったであろう時間が、永遠にすら感じた。
ーー本当に、何となく言ったのだろうか。
ーー変わった子、そう思った。
そのビジュアルで、初対面相手に礼儀正しく下の名前を名乗られたら?
ーー防衛本能からの疑惑。好意からの願望。
彼を見た瞬間感じた美しさから、中性的な響きがある”ナツメ”というワードが、彼の名前であって欲しいという願望の押し付けだったのでは無いだろうか。
身勝手な妄想の後ろめたさに、息が詰まる。
ーーそんな事、彼は知りもしないのに。
地べたに伸ばして座っていた足をたたみ、膝を抱えるナツメ。膝に片頬をついて口を開いた。
「じゃあ。ハナビさんが僕を呼んでくれた時の『ナツメ』は、名前で呼んでくれてるって事なんだね?」
「そ、それはーーー」
ーーキンコーンカンコーン。
予鈴が鳴った。
どもり、誤魔化して出した声を遮るようにして。
いつもは欠伸とため息しか生まない予鈴の音が、救いのように感じた。
「出会ったその日からお互い名前で呼び合うなんて……これから仲良くなれそうですね!」
そう言い捨てて、返事を聞くでも無く小走りで去って行くナツメ。
その後本鈴が鳴り、コンベアは動き出した。
眠気は容赦無く六十里を襲い、いつもとは別格に集中出来ない午後の仕事だった。
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いつもは他の社員が帰ったのを見計らって作業場を出る六十里も、その日は終業のチャイムと共にタイムカードを打つ行列に並んだ。
前後を見知った社員に挟まれ、安堵する。
見渡す限り。ナツメの姿は、無い。
「ハナビさん急いでどうしたノー? デート?」
その行動の異様さは他人にもわかったらしく、外国人スタッフに気さくに話しかけられたものの、乾いた返事と苦笑いが精一杯だった。
自分の番が回って来て、慌ててタイムカードを機械へ入れる……が。
『ピピーーーーーーーッ!!』
今まで聞いたことのない、機械音が鳴り響いた。
聴き馴染みの無い耳障りなその音に、皆が注目する。
それがエラー音である事は、直ぐに理解出来た。
ーーったく……何でこんな時に限って。
早く帰りたいこの日に限って、何故エラーが起きてしまうのか。
その音を聞いて、事務所から工場長が慌てて顔を出す。タイムカードを持つ六十里を見て、更に驚いた様子だった。
「あれ、今日六十里さん今日早いね!?
悪いねー、いつももう少し後に来るし、良いかと思ってたんだけど……この後、夏目君と用事でもあるの?」
「……はあ?」
また、声に出た。
今度は漏れたとかも無くはっきりと。話が読めなすぎて怒りすら感じる。
上司に何て口を聞いてしまったんだと我に帰るも、工場長はどこか機嫌が良さそうで、問題が無い現状に安堵……など出来ず、不安が募る。
「六十里さんが誰かにタイムカード代打ち頼むなんておかしいと思ったんだけどねー。
夏目君が帰る時に、なんの前触れもなく俺の前で六十里さんのタイムカード打ってから自分のタイムカード打つもんだから……」
「え?」
「『お疲れ様でした!』って言ったら注意も聞かずに走って帰っちゃうし。
本人に会ったら、『タイムカードは本人以外が打つのは禁止だぞ!』って、言っといてくれる?」
「はい……」
「あ、タイムカードは何もせずにそのまま戻しちゃって良いから。六十里さんも急いでたんでしょ?」
「はい……お先に失礼……します」
「ごめんねー、夏目君によろしくー」
ニヤニヤとした表情のまま、工場長は足軽に事務所へ戻って行く。
タイムカードには、数分前の時間が印字されていた。
並んでいた社員も居なくなり、残っているのは六十里1人だった。
ーーこんな短時間で全社員の退勤が完了していたのか……これなら自分の退勤時間も早めても良いな。
……などと呑気に考えていた。
ーーそんな事今はどうでも良い!!
綺麗に並んだタイムカード。ポカンと空いたそこにタイムカードをしまう。
列から外れて置かれたタイムカードには“夏目懐目”の文字があった。
思わず手に取ると、まっさらなタイムカードには今日の日付の覧にだけ印字がある。
六十里と同じ退勤時間の印字がされていた。
しばらく眺めてしまった自分に戸惑い、恥ずかしさから誰もいない周りを見渡してしまう。
荒い動作で元の位置へ戻し、逃げるようにして自分のロッカーへ向かう。
ロッカーを開けて、大袋に入った飴玉を一つ手に取り、一瞬手が止まる。
味を確認して、好きなメロンソーダ味を右ポケットに、レモネード味を左ポケットに入れた。
手付かずの甘い炭酸飲料と甘いコーヒーのペットボトルが2本並ぶ。
またここで一度手を止めて考えた。
ーーこれは明日の食事に回そう。
男性物のオーバーサイズなパーカーに腕を通し、ポケットにある小銭が少し入っただけのがま口財布が音を立てた。
滅多にならない携帯電話のマナーモードを解いて、そのまま片手に持って玄関へ向かった。
靴を外履きに履き替えて、空だった靴箱にある真新しく派手な赤い靴が目に入った。靴箱の名札は予想通り。
”夏目懐目“だった。
ーー今日1日だけで、何度この名前を見るんだ。
頭がどうかなりそうだった。
音が聞こえる程の、わざとらしいため息を漏らす。落ち着け、と。自分に言い聞かせる様に。
履きかけの外履きスリッパをずる様に歩き、履けてパタパタと音が変わった時。
自転車置き場からの音に気付いた。カラカラと車輪の回る音だ。
自分の目を、疑った。
「ハナビさーん! 付き合ってくんなーい?」
耳も、疑った。
こんな漫画みたいな事があってたまるか、と脳裏に過ったのも束の間。
人間は予想つかない事が起こると、漫画の様なリアクションを起こしてしまうのだと実感する事になる。
握られていた携帯は地面に滑り落ち、画面が割れている。
なかなかの大きな音が鳴ったにもかかわらず、六十里はそれに気付かない程に、困惑していた。
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