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2.愚者からの攻撃
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「…全く身に覚えはございませんわ。具体的にどういった内容でわたくしは糾弾されているのかご教示願います。」
動揺した様子もなく、エリザベートは落ち着き払っているけれど、それはいつまで持つかしら…?
「自分の罪を認めないとは、何と烏滸がましい…。ゾフィー、あまり辛いことを思い出させるのは酷だが、こいつを断罪するためだ。された事を全部話してくれるか?」
…ルイ様は優しく、いい意味でも悪い意味でも正義感が強い人。
だから弱者を演じていればすぐに絆されてくれて、どこまでも自分の正義を信じて突っ張ってしまうのよね。
お陰ですぐに騙せた。単純なお人だわ。
今日ほど頼もしくて彼と婚約していて良かったと思った日はないわね。
「まあ、お気遣い頂きありがとうございます、殿下。もちろんですわ。」
あたくしは涙目を装いつつ、弱々しく出来事を伝えた。
「まず、ルイ様から頂いたあたくしのブローチを盗まれました。学校で無くしたと思っていたらお義姉様のお部屋から見つかったのです。証拠はこちらですわ。」
そう言って、エリザベートの部屋の絨毯の上に置かれているブローチが映されている画像を提示した。
私室に招かれた事がある方なら、この画像の絨毯がエリザベートの部屋にあるものだとわかるでしょうね。
エリザベートの部屋の絨毯は、それは見事な刺繍が施されており、この世に二つとないオーダーメイド品なのだから。
社交界でも度々話題に上がりますもの。
…忌々しいったらありゃしないわ。
きちんとした証拠が出たので、信ぴょう性が出たのでしょうね。
フロアがさらにざわつきましたわ。
「あとは?」
その証拠を見ても、顔色を変えないままエリザベートは先を促してきた。
…澄ましちゃって。
そうやって余裕こいていられるのも、今のうちですわ。
「ルイ様から頂いた髪飾りを壊されました。こちらは証拠映像もありますわ。」
あたくしは、その証拠映像が記録されている魔道具を取り出し、その場で再生した。
バッチリ、エリザベートが何かを踏みつけているような様子が再生されましたわ。
「なんと…あのエリザベス様が…」
「いつもの気品の高いお姿は、偽りだったということか…!」
ふふふ、やっぱり映像を用意してよかったわ。
これで更にあたくしの味方が増えたんですもの。
…でも、エリザベートの余裕な態度は崩れなかった。
「なるほど。他は?」
淡々と、先を促すエリザベートは証拠が出ても全く動じていない。
どうしてですの?
はやくあたくしに掴みかかってきてちょうだいな!
そうではないと、実行犯で投獄できないじゃないの!
…まあ、いいわ。
次のはかなり強力な証言ですもの。
「あたくし、休日に買い物をしていた際にならず者に襲われかけていたところをたまたまルシアン様が見つけてくださって。そのままならず者を逮捕して調査した結果、あたくしが狙われた理由はお義姉様に依頼をされたからだと言っていたそうですわ。」
「王太子殿下、こちらがその時の調書でございます。」
「ふむ。」
傍に控えていたルシアンが、王太子に取り調べ調書を手渡した。
ルシアンの実家は、騎士団を統括しているチェイルリー侯爵家。
彼のお父様は我が国の騎士団の元帥のため、ルイナスから手渡されても王太子はなにも疑問に思わないわ。
「そうでしたか。他には?」
これだけの証拠が出てきても、エリザベートの表情は崩れない。
相変わらず、何を考えているか分からないわ…腹立たしいほど不気味ね。
あまりにもエリザベートの様子が変わらないため。
「おい、お前!その態度は何だよ!!ゾフィーに謝れよ!」
たまらず、ルシアンがエリザベートに掴みかかった。
もう、ルシアンったら相変わらず王太子と一緒で無駄に正義感がお強いこと。
「ルシアン、落ち着け。どうせ謝ったところで罪が軽くなるわけじゃないんだし。」
ルイ様がルシアンを抑え、エリザベートを嘲笑うように鼻で笑った。
でも、エリザベートはそんなことは意にも介さず、ルシアンに乱されたところを直して。
「それで、他には?」
あくまでも淡々と、エリザベートは先を促した。
動揺した様子もなく、エリザベートは落ち着き払っているけれど、それはいつまで持つかしら…?
「自分の罪を認めないとは、何と烏滸がましい…。ゾフィー、あまり辛いことを思い出させるのは酷だが、こいつを断罪するためだ。された事を全部話してくれるか?」
…ルイ様は優しく、いい意味でも悪い意味でも正義感が強い人。
だから弱者を演じていればすぐに絆されてくれて、どこまでも自分の正義を信じて突っ張ってしまうのよね。
お陰ですぐに騙せた。単純なお人だわ。
今日ほど頼もしくて彼と婚約していて良かったと思った日はないわね。
「まあ、お気遣い頂きありがとうございます、殿下。もちろんですわ。」
あたくしは涙目を装いつつ、弱々しく出来事を伝えた。
「まず、ルイ様から頂いたあたくしのブローチを盗まれました。学校で無くしたと思っていたらお義姉様のお部屋から見つかったのです。証拠はこちらですわ。」
そう言って、エリザベートの部屋の絨毯の上に置かれているブローチが映されている画像を提示した。
私室に招かれた事がある方なら、この画像の絨毯がエリザベートの部屋にあるものだとわかるでしょうね。
エリザベートの部屋の絨毯は、それは見事な刺繍が施されており、この世に二つとないオーダーメイド品なのだから。
社交界でも度々話題に上がりますもの。
…忌々しいったらありゃしないわ。
きちんとした証拠が出たので、信ぴょう性が出たのでしょうね。
フロアがさらにざわつきましたわ。
「あとは?」
その証拠を見ても、顔色を変えないままエリザベートは先を促してきた。
…澄ましちゃって。
そうやって余裕こいていられるのも、今のうちですわ。
「ルイ様から頂いた髪飾りを壊されました。こちらは証拠映像もありますわ。」
あたくしは、その証拠映像が記録されている魔道具を取り出し、その場で再生した。
バッチリ、エリザベートが何かを踏みつけているような様子が再生されましたわ。
「なんと…あのエリザベス様が…」
「いつもの気品の高いお姿は、偽りだったということか…!」
ふふふ、やっぱり映像を用意してよかったわ。
これで更にあたくしの味方が増えたんですもの。
…でも、エリザベートの余裕な態度は崩れなかった。
「なるほど。他は?」
淡々と、先を促すエリザベートは証拠が出ても全く動じていない。
どうしてですの?
はやくあたくしに掴みかかってきてちょうだいな!
そうではないと、実行犯で投獄できないじゃないの!
…まあ、いいわ。
次のはかなり強力な証言ですもの。
「あたくし、休日に買い物をしていた際にならず者に襲われかけていたところをたまたまルシアン様が見つけてくださって。そのままならず者を逮捕して調査した結果、あたくしが狙われた理由はお義姉様に依頼をされたからだと言っていたそうですわ。」
「王太子殿下、こちらがその時の調書でございます。」
「ふむ。」
傍に控えていたルシアンが、王太子に取り調べ調書を手渡した。
ルシアンの実家は、騎士団を統括しているチェイルリー侯爵家。
彼のお父様は我が国の騎士団の元帥のため、ルイナスから手渡されても王太子はなにも疑問に思わないわ。
「そうでしたか。他には?」
これだけの証拠が出てきても、エリザベートの表情は崩れない。
相変わらず、何を考えているか分からないわ…腹立たしいほど不気味ね。
あまりにもエリザベートの様子が変わらないため。
「おい、お前!その態度は何だよ!!ゾフィーに謝れよ!」
たまらず、ルシアンがエリザベートに掴みかかった。
もう、ルシアンったら相変わらず王太子と一緒で無駄に正義感がお強いこと。
「ルシアン、落ち着け。どうせ謝ったところで罪が軽くなるわけじゃないんだし。」
ルイ様がルシアンを抑え、エリザベートを嘲笑うように鼻で笑った。
でも、エリザベートはそんなことは意にも介さず、ルシアンに乱されたところを直して。
「それで、他には?」
あくまでも淡々と、エリザベートは先を促した。
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