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それにしても、なぜ急に呼ばれたのかしら。
理由は検討もつかないわ。
なんせ、気を失って目が覚めてから1週間以上経過してるが、皇后側からのコンタクトは全く皆無だったのだから。
しかも、招待状を見ると「1人で来るように」と書かれていた。
通常、上流階級の貴族は何処へ行くにも必ず侍女または従者を伴うのが通例となっている。
連れて歩く人数は階級が上がるほど多くので、階級トップの皇族となると、大体30-40人ほどで列をなして歩く事が普通だった。
まあ、私はあまり集団で歩くことが好きではなかったので、多くても3人しか連れて歩かないけど。
そのため、1人で来いと言ってる皇后の真意を計りかねていた。
ここまで回りくどく言ってたけど、まあ要するに。
…とっても不気味。
この一言に尽きるわ。
この胸に渦巻いているモヤモヤは、きっと皇后側の不気味さが原因ね。
そうして自分の気持ちに折り合いを無理やりつけながらも時間は刻々とすぎていく。
そんなこんなで私もお茶会用のドレスに着替えて髪も軽くセットし直してるとあっという間に約束の時間になった。
一時間後。
私は、皇后の部屋に赴いていた。
リノが用意してくれたお茶請けとともに。
「皇后陛下、ご機嫌麗しゅう。本日は急ながらもこのような素晴らしいティータイムにお誘いいただきまして誠にありがとうございます。」
全然敬意なんかないけれども皇后の前まで行きカーテシーをとり、最敬礼のお辞儀をする。
「何もそこまでしなくとも、面をお上げ。妾とお主は親子であろう?」
「…寛大なお心に感謝いたします、陛下」
皇后の部屋は、やはりといいますか。
とにかく税をこらした調度品であふれかえっていた。
あちらこちらにダイヤモンドが埋め込まれていたり、金銀、獣の皮まで。
部屋全体がギラギラしていて、目が痛くなりそうだった。
その部屋の中心にいる皇后も過剰なくらいに着飾っていた。
線が細い少しクセがかった燃えるような赤い髪を高く結いあげて、そこに孔雀の派手な羽をぶっ刺している。
(マリーアントワネットみたいな感じ)
そこにダイヤモンドがふんだんにあしらわれたビロード生地の重そうな碧色のドレスに、ダイヤモンドがこれまた沢山埋め込まれた豪奢なネックレスを着用していた。
顔の造形は上流階級の人間らしく鼻梁もすっと通って整った顔立ちなのに、ファッションセンスで全て台無しになってる感が否めない。
…正直、帰りたい。
顔が引き攣りそうになりながらも、なんとか耐えて顔を上げる。
「陛下、こちら宜しければお召し上がりください。」
わたしは手に持っていたお茶請けを皇后の侍女に渡した。
「ほう、気が効く娘を持って妾は幸せであるな。」
私が差し出したお茶請けを一瞥し、皇后はうっそり微笑んだ。
…やばい。
微笑んだ皇后を見て、直感的にゾワッと寒気がした。
デジャヴだった。
私は、この後自分の直感が正しかった事を身をもって体感し、後悔することになる。
理由は検討もつかないわ。
なんせ、気を失って目が覚めてから1週間以上経過してるが、皇后側からのコンタクトは全く皆無だったのだから。
しかも、招待状を見ると「1人で来るように」と書かれていた。
通常、上流階級の貴族は何処へ行くにも必ず侍女または従者を伴うのが通例となっている。
連れて歩く人数は階級が上がるほど多くので、階級トップの皇族となると、大体30-40人ほどで列をなして歩く事が普通だった。
まあ、私はあまり集団で歩くことが好きではなかったので、多くても3人しか連れて歩かないけど。
そのため、1人で来いと言ってる皇后の真意を計りかねていた。
ここまで回りくどく言ってたけど、まあ要するに。
…とっても不気味。
この一言に尽きるわ。
この胸に渦巻いているモヤモヤは、きっと皇后側の不気味さが原因ね。
そうして自分の気持ちに折り合いを無理やりつけながらも時間は刻々とすぎていく。
そんなこんなで私もお茶会用のドレスに着替えて髪も軽くセットし直してるとあっという間に約束の時間になった。
一時間後。
私は、皇后の部屋に赴いていた。
リノが用意してくれたお茶請けとともに。
「皇后陛下、ご機嫌麗しゅう。本日は急ながらもこのような素晴らしいティータイムにお誘いいただきまして誠にありがとうございます。」
全然敬意なんかないけれども皇后の前まで行きカーテシーをとり、最敬礼のお辞儀をする。
「何もそこまでしなくとも、面をお上げ。妾とお主は親子であろう?」
「…寛大なお心に感謝いたします、陛下」
皇后の部屋は、やはりといいますか。
とにかく税をこらした調度品であふれかえっていた。
あちらこちらにダイヤモンドが埋め込まれていたり、金銀、獣の皮まで。
部屋全体がギラギラしていて、目が痛くなりそうだった。
その部屋の中心にいる皇后も過剰なくらいに着飾っていた。
線が細い少しクセがかった燃えるような赤い髪を高く結いあげて、そこに孔雀の派手な羽をぶっ刺している。
(マリーアントワネットみたいな感じ)
そこにダイヤモンドがふんだんにあしらわれたビロード生地の重そうな碧色のドレスに、ダイヤモンドがこれまた沢山埋め込まれた豪奢なネックレスを着用していた。
顔の造形は上流階級の人間らしく鼻梁もすっと通って整った顔立ちなのに、ファッションセンスで全て台無しになってる感が否めない。
…正直、帰りたい。
顔が引き攣りそうになりながらも、なんとか耐えて顔を上げる。
「陛下、こちら宜しければお召し上がりください。」
わたしは手に持っていたお茶請けを皇后の侍女に渡した。
「ほう、気が効く娘を持って妾は幸せであるな。」
私が差し出したお茶請けを一瞥し、皇后はうっそり微笑んだ。
…やばい。
微笑んだ皇后を見て、直感的にゾワッと寒気がした。
デジャヴだった。
私は、この後自分の直感が正しかった事を身をもって体感し、後悔することになる。
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