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しおりを挟む「ふーー、スッキリした!」
僕は満面の笑みで、顔にはりついた汗を拭う。
「最近してなかったから、結構濃いのが出たなぁ・・・。うわ、くさっ!!」
僕は自分の右手を嗅いで、眉をしかめた。
そして汚いものを擦りつけるように、僕は会計の服で右手を拭いた。
ついでに会計の拘束も解いてあげる。
「あ、あぁ・・・・・・・・・・・・・・・。」
会計は絶望したような顔で、自分の顔を触った。
ネチョッ
震えた手にべっとりとついたのは、白濁の液体。
今にも卒倒しそうな会計を見て、僕は蕩けた笑みを浮かべた。
「はい、これでおあいこ。じゃあ僕、教室に戻るね。」
フフっ、愉快愉快。
やっぱりたまには仕返ししないと、ストレス溜まるね。
腰を抜かした会計の拘束を解き、僕はベルトを締める。
「っ、待て平凡!!」
僕が扉に手をかけようとした時、後ろから声を掛けられた。
「お前、こんなことして・・・周りが黙ってると思うなよ!!」
ピタリ
僕は足を止めて、後ろを振り向く。
情けなく座り込んでいる会計に、僕は挑発的な笑みを浮かべた。
「どうぞご勝手に。貴方のだ~い好きなパパやママに話せばいいよ。」
「っ、」
「まぁ、話せば貴方の性癖が親にばれ、貴方が世間から消されるだけだと思うけど。」
「なん、だと・・・・・・。」
ニヤリと、僕は猫のように目を細める。
「僕には強~い後ろ盾がいるからね。」
そう言いながら、僕は扉の向こうに踏み出した。
「嘘だと思うならやってみなよ。
・・・きっと貴方の力じゃ、あの人には勝てないと思うけど。」
情けなく歪んでいるだろう会計の顔を想像して、扉を閉める。
ガタンッッ!!
中から聞こえてきた激しい音は、会計が空き部屋にあった机を蹴ったからだろう。
「おーー・・・怖。」
駄目だなぁ、
このくらいで癇癪を起こしちゃ・・・。
僕は悪魔のような笑みでその場を後にする。
(上の会社で生きていくなら、ここは怒りを抑えないと。冷静な判断で貴方の勝ち負けが変わるんだから。)
階段を降りながら、僕はケタケタと笑った。
「じゃないとーー、」
ガチャッ
校舎に繋がる扉を開け、僕は後ろを振り向いた。
「貴方これから先、生きていけないよ。」
いるはずもない会計に向けて、僕は言葉を残した。
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