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裕福な商家に嫁いだエリザは、もともとは子爵家の令嬢だった。
だが貴族とはいえ、兄がふたり、姉がひとりの四人兄姉の末娘だったエリザは、比較的自由に育てられた。
兄が同じ子爵家の令嬢と結婚し、姉が伯爵家に嫁いだあとは、それほど勉強や礼儀を強要されることもなく、町を探索したり、友人と遊んだりと気ままに過ごしていた。
自由気ままに暮らしていたエリザと同じく、そのときは未婚だったもうひとりの兄が、警告してくれた。
兄や姉には自由がなかったかもしれないが、親が示した道をそのまま生きればいい。でも自分たちは、これからの人生を自分の力で生きていかなくてはならない。
そう言われて、エリザは学校に通うことにした。
その学校は貴族だけではなく、裕福な平民も通っているところだ。
通っているのは上位の貴族ではなく、エリザと同じように子爵家や男爵家の子どもが多い。そして平民は大きな商会の子どもばかりだったようだ。
その学校で経理や経営などを学んだエリザは、将来は自分で商会を立ち上げたいと思っていた。だから勉強も必死に頑張っていて、成績も常に上位だった。そんなエリザの頑張りを父親も褒めてくれて、商会を立ち上げるときはサポートをすると言ってくれたのだ。
でも結果的に自分で商会を立ち上げるのではなく、比較的大きな商会の跡取り息子のロトムと結婚することになった。彼とはクラスメイトで、入学当時から仲は良かったが、卒業を間近に控えた時期にプロポーズされた。
彼のことは好きだったが、自立したかったエリザは悩んだ。それでも姉や母が結婚を強く勧めてくれたし、勉強したことは嫁いだ商会のために生かせばいいと思い直した。
娘が商会を立ち上げることを楽しみにしていたらしい父親は残念がったが、母は安堵していた。
やはり女性がひとりで商会を立ち上げるとなると、いくら子爵の父の後ろ盾があるといえど苦労するのではないかと、心配していたらしい。
だが幸せな結婚生活は、二年ほどしか続かなかった。
だが貴族とはいえ、兄がふたり、姉がひとりの四人兄姉の末娘だったエリザは、比較的自由に育てられた。
兄が同じ子爵家の令嬢と結婚し、姉が伯爵家に嫁いだあとは、それほど勉強や礼儀を強要されることもなく、町を探索したり、友人と遊んだりと気ままに過ごしていた。
自由気ままに暮らしていたエリザと同じく、そのときは未婚だったもうひとりの兄が、警告してくれた。
兄や姉には自由がなかったかもしれないが、親が示した道をそのまま生きればいい。でも自分たちは、これからの人生を自分の力で生きていかなくてはならない。
そう言われて、エリザは学校に通うことにした。
その学校は貴族だけではなく、裕福な平民も通っているところだ。
通っているのは上位の貴族ではなく、エリザと同じように子爵家や男爵家の子どもが多い。そして平民は大きな商会の子どもばかりだったようだ。
その学校で経理や経営などを学んだエリザは、将来は自分で商会を立ち上げたいと思っていた。だから勉強も必死に頑張っていて、成績も常に上位だった。そんなエリザの頑張りを父親も褒めてくれて、商会を立ち上げるときはサポートをすると言ってくれたのだ。
でも結果的に自分で商会を立ち上げるのではなく、比較的大きな商会の跡取り息子のロトムと結婚することになった。彼とはクラスメイトで、入学当時から仲は良かったが、卒業を間近に控えた時期にプロポーズされた。
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娘が商会を立ち上げることを楽しみにしていたらしい父親は残念がったが、母は安堵していた。
やはり女性がひとりで商会を立ち上げるとなると、いくら子爵の父の後ろ盾があるといえど苦労するのではないかと、心配していたらしい。
だが幸せな結婚生活は、二年ほどしか続かなかった。
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