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本編
3、綺麗な人と奴隷
しおりを挟むいつも飢えていた。
とにかくいつも食べることを考えていて、痛くならない方法を考えていて、いつもいつも同じことの繰り返しをしていた。
そんな毎日が突然、終わりを告げる。
知らない男の人が、自分に首輪を付けて鎖で引っ張っていく。
そして今日から奴隷だと言われた。
奴隷って何だろう。
男の人が教えてくれた。
ご主人様の言うことを何でも聞くのが奴隷だと。
絶対に反抗してはいけない。
言うことを聞いてれば、食べ物をくれるって。
ご飯をくれると聞いて、今までの生活よりずっと良いと思った。
連れて行かれた家は、見たことのないくらい大きくて、びっくりした。
痛いことはあったけど、その分食べられた。
でも痛みに我慢していると、段々飽きてきて、つまらないと言われて捨てられた。
それが何回か続いて、今度は子ども好きな貴族様の所に売られることになった。
何をされても従えと何度も言われた。
もうそれしか価値がないって。
鎖で繋がれて、最近あまり食べさせてもらってないせいか、歩くのも辛かった。
もたもたしていたら転んで、蹴られて、そうしたらふと、綺麗な人と目が合った。
金色の髪が太陽でキラキラ輝いていた。貴族様を何人か見たことあるけど、こんなに綺麗な人は見たことない。
緑色の瞳は、貴族様が身につけていた石みたいに綺麗で。
全てが綺麗な人。
思わず見惚れていたら、その人が何かを叫んでこっちに向かってきた。
「お嬢様!」
おジョー…さま?
貴族様の女の子が、そう呼ばれているのは聞いたことあるけど、その人は僕を見て言ってる。
僕は女の子じゃないのに。
「あぁ!お痛わしい…っ」
叫びながら僕を優しく抱き上げてくれた。
こんなの誰にもされたことない。
みんな、汚くて触りたくないって言っていたのに。
「おい、貴様。お嬢様をこのように扱って、この場で殺してやる」
綺麗な人は、凄く凄く怒っていた。
「ま、待ってくだせぇ貴族様!そいつはちゃんと売買契約をしている奴隷です!」
「ちっ…」
僕を抱き上げながら、懐からお金の入った袋を取り出して、綺麗な人は男に渡した。
男が中身を確認すると、綺麗な人と同じ金色の硬貨が10枚ほど出てきた。
男は満足して、何かの紙を渡し、僕の首輪に繋がっている鎖も渡した。
「何だこれは?」
「え、奴隷の売買契約が済んだので引き渡しですが…」
「私はお嬢様を解放したのだ。早く首輪を外せ!」
「は、はい!」
男が鍵を取り出して、僕の首輪を外す。
ずっと付いていたから首回りがスースーする。
「さぁお嬢様。私の家に行きましょう」
綺麗な人は、やっぱり手も綺麗で、長くて白い指先で僕の髪を掻き上げた。
綺麗な人の顔がさっきより良く見える。
綺麗な人は、眩しそうな顔で僕を見る。
凄く顔が近い。
臭くないのかな、汚くないのかな。
みんな僕のことそう言って、近づかないし触ろうとしなかった。
「き……た…なく……ない…?」
あまり水を飲んでいなかったので、声が掠れて上手く言えない。
「貴方に汚い所など、ございません。そうですね…我が家に着いたらお風呂に入りましょう」
今度は両手でしっかりと僕を抱えて、綺麗な人は歩き出した。
僕は飽きもせず、ずーっと綺麗な人の顔を見てた。
今までに感じたことのない、心地よいドキドキをさせながら。
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