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然后鳳凰抱鳳雛(そして鳳凰は鳳雛を抱く)
165:多生曠劫(六)
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もはや熱さは限界を超え、熱いのかどうかすら分からなくなりつつある。手足の感覚は既になく、体の感覚もおぼろげだ。
――熱い、熱くて仕方がない。
煬鳳は己の体がほろほろと崩れていくのを感じていた。
それでも達成感に微笑む。
仙界へ行く方法は、特別な佩玉をもって仙界へ続く崑崙の頂上へと登ること。
当然ながら特別な佩玉など持っていない煬鳳には、仙界へ行くための手段は持ち合わせていなかった。
それでも、煬鳳は凰黎の元に行きたかった。
凰黎に会いたかった。
凰黎を助けたくて、守りたくて、なんとかして仙界へ行く手段を考えたのだ。
清瑞山の小屋にいたと思ったのだが、どうやらそれは凰黎の見せた幻であったらしい。小屋を出て暫くして、そこが黒炎山の一角であることに煬鳳はすぐ気づいた。
考えた末に煬鳳が選んだ方法――。それは、黒炎山に眠る翳炎と睡龍の力をありったけ吸収して、仙界への入り口をこじ開けるというものだった。
そのようなことができるのか?
やってみなければ分からない。
そして――煬鳳は賭けに勝った。
凰黎の姿を瞳の中に収めたとき、煬鳳は心から安堵した。
――良かった、まだ凰黎を助けられる!
蓬莱に腕を掴まれた凰黎を見て、無我夢中で煬鳳は蓬莱に飛び掛かった。自分の体がどう動いているのかもよく分かっていないので、正確にどう動けたのかは分からない。
ただ、気づけば目の前から蓬莱は消え、傍にいる凰黎が己の名を呼んでくれたこと、それだけは認識することができた。
――凰黎。
――酷いよ、俺のこと置いていくなんて。
そう伝えたかったが、言葉は声にならず、体を動かしてもぼんやりとしている。伝えたいことがあるのだが、伝える方法がこれっぽっちも見つからない。
それでも守りたい者は守れた。
凰黎と再会でき、満ち足りた気分だった。
けれど凰黎の表情は再会の喜びより悲哀に満ち、叫びながら燃え盛る煬鳳の体に必死で近づこうとしている。
「煬鳳……! いやだ……行かないで!」
そのとき、ようやく気づいた。
自分が取り返しのつかないことをしてしまったことに。
わが身を省みず、後先考えないことは悪癖だ。
あれほど分かっていたにもかかわらず、一番大事なときにやらかしてしまった。
凰黎を助けたい一心で、身の丈に合わぬ力を使ってしまったのだ。無我夢中だったし、火龍の力をなんとか御すことができたときは、半ば得意げでもあった。
しかし、どうだろうか。
こうしている間にも体温は上がってゆき、限界を超えた体は雪のようにほろほろと崩れ落ちていく。間違いなく、煬鳳の体はじきに燃え尽きることになる。
そうなったら、どうなるのか?
簡単なこと。
煬鳳は――この世から消えて無くなる。
煬鳳の体は火の粉となって花弁のように散ってゆく。
止めることは叶わない。
ならばせめて、散りゆくひとひらが炎ではなく花であったのなら。
愛しい人の元に降り注ぎたかった、と煬鳳は最後に思った。
* * *
煬鳳は不思議な空間に揺蕩っていた。
夜空に星が瞬くような宙。
昏冥たる海の如く揺らめく深淵。
眩い朝焼けのような豊穣の光。
荘周夢蝶のような感覚の中、これまでに何があったのか――。
一体何が起きたのか。暫し記憶を辿ったあとで、自分が黒炎山から火龍の力を吸収して無理やり仙界に乗り込んだのだと思い出した。
最後の記憶は炎の粒となって散っていったこと。
(俺、死んだのかな……)
仙界に到達することはできた。蓬莱を倒し、凰黎を助けることもできた。
そして煬鳳はといえば、火龍の熱に耐え切れず体が崩壊してしまったのだ。
会えたと喜んだのもつかの間、今度は二度と会えなくなる別れがすぐにやってくる。
あのときは夢中で、凰黎を助けたい一心だった。
ただ、全てを終えてこうなった今となっては、なんとまあ馬鹿なことをしたものだとも思う。
『煬鳳……! いやだ……行かないで!』
普段はあれほど穏やかな凰黎。彼があんなにも取り乱して己の名を呼び引き留めたのだ。凰黎の叫びを聞いたときに、何故あれほど鸞快子が煬鳳のことを止めたのか嫌というほど理解した。
凰黎に会えたとて、助けられたとて、煬鳳自身が消えてしまっては何も意味はなかったのだ。
凰黎と過ごした恒凰宮での夜。
彼を慰め、元気づけるためにあれこれと思考を巡らせたものだったが、結局のところ凰黎を悲しませる原因を作ってしまったのは、他でもない自分自身だった。
(黒曜にも悪いことしたな……)
黒曜を巻き込むのは忍びなく、予め考えを告げる程度の配慮は残っていたのだが、けれど黒曜は煬鳳と共に行くと言い切った。本当は黒曜だけでも鸞快子の元に送り返したかったが、やはり煬鳳と黒曜は一心同体であり、離れることなどはできなかったのだろう。
『ここまでついてきたんだ。最後まで一緒だ』
煬鳳の心情を理解して、黒曜は迷わずそう言ってくれた。けれど彼も心の底では煬鳳のしようとすることを止めたかったに違いない。
(本当に、馬鹿だ)
涙を零したかったが、零す涙も今はもう残ってはいない。
大切なものを守るために意気揚々と飛び出したはずなのに、終わってみれば助けたかった相手が最も大切にしていた、守りたかったものを失わせてしまった。
(本当に……俺は、どうしようもない馬鹿だ)
いま自分の置かれている状況が、一体どのようなものなのかは分からない。しかし分かっているのは体はないが意思はある。そして、混沌とした場所に漂っているということだけ。
どこまでも続く不思議な空間。どこか温かく、どこか寒々しく、何も聞こえず何も見えない。
もしかしたらこのまま混沌の海に溶けて消えてしまうのかもしれない。
消えると思った途端、急激な不安に苛まれる。
(凰黎……)
自分の愚かさにこれほど泣きたくなったことは言うまでもない。
――あれほど凰黎が、俺の命を心配して、仙界へ行くのを止めたのに……。
結局凰黎を助けたいと願った結果、同じ悲しみを凰黎に負わせることになってしまったのだ。
けれど他に方法があったのか?と問えば異なる答えは出てこない。ならば、どれほど後悔したとしても、結論は変わらなかったのではないだろうか。
もしも凰黎が蓬莱に殺されそうになっていたのなら。
きっと何度死んでも、何度生まれても同じことを繰り返すだろう。
(だって、凰黎は……俺の見る世界全てを変えてくれた、かけがえのないたった一人なんだ……)
見捨てるなんて絶対にあり得ない。
たとえ本人が止めようとしてもだ。
だから、これは初めから決まっていたことなんだ、そう思えばこの結末も受け入れられる。
――ごめんな。
煬鳳にできることはもう何一つ残ってはいない。
――本当に馬鹿な俺のことを、どうか許して欲しい。
消えゆく意識の中で、ただ謝り続けること以外には。
凰黎は煬鳳が玄烏門にやってきてすぐ会ったと言っていたが、煬鳳が一番よく覚えている凰黎との出会いは、彼が子供の頃ではなく蓬静嶺で行われた門派対抗の比武のとき。当時の玄烏門はごろつきの山賊集団と評判で近隣の村からも他の門派からも良くは思われていなかったのだが、何故か毎年玄烏門は蓬静嶺に招待を受けていたのだ。
当時の玄烏門掌門は煬鳳の育ての父であり、彼の命に従って煬鳳は蓬静嶺に代表の一人として赴いた。
あれは多分……煬鳳が十三くらいの頃だったかもしれない。
馬鹿にされないようにと精一杯の良い服装を掌門がさせてくれたので、逆に蓬静嶺では注目を浴びてしまったほどだった。それでも名も知らぬ田舎門派の一つであり、彼らへの世間の評価は辛らつなものだった。
しかし、玄烏門を馬鹿にしていた他の門派は誰一人玄烏門の門弟たちに勝つことはなく、そして煬鳳は並みいる他門派の代表たちを圧倒して決勝戦まで勝ち残ったのだ。
そのとき煬鳳が目に焼き付けたのは決勝戦で煬鳳の向こう側に立つ、淡青の袍を纏う麗しい少年だった。穏やかな表情で口元には微かに笑みを湛える。男性とも女性ともとれる整った外見のうえ礼儀正しく、煬鳳のようなごろつき相手でも丁寧な応対を決して崩さない。見下すような素振りも一切無い。
それどころか煬鳳に向ける眼差しはどこか感極まった表情にも見え、こちらの方が戸惑ってしまうほどだった。
(面白くないな……!)
大概の人間は煬鳳のような存在を忌み嫌い、馬鹿にしたり馬事雑言を投げかける。なのに、目の前の少年は何故そのような表情をするのだろうか。
煬鳳は彼にどう接していいか、分からなかった。
練武場に集う女子たちが彼を見ては頬を染め、ときには歓声をあげているのも気に食わない。
(こんな弱そうなやつが最後まで残るなんて、本当にこの辺りには弱い奴らしかいないんだな)
煬鳳は他の門派たちの戦いぶりを見ていなかったため、目の前の少年が自分と同じくらい強いとは全く思ってもいなかったのだ。
ところが、蓋を開けてみたところ、麗しい少年は煬鳳でも驚くほどの強さを見せ、結果的に勝負は相打ち、どちらが勝つわけでも負けるわけでもなかった。
次こそ勝つ。
そうやって次の比武でも決勝は彼との一騎打ち、次のときもまた同じ。
月日は巡り、何度も何度も煬鳳は凰黎と戦い、いつしか彼と相対する日を心待ちにするようになっていた。
(あのときは気づかなかったけど……思えばあの頃から、俺は凰黎のことがずっと気になっていたんだな……)
己のうちにある良く分からなかった感情の正体がようやく今、分かったのだ。こんなときになって分かるなんて……と煬鳳は自嘲気味に微笑む。
……いや、既に微笑むことすら、今の煬鳳にはできないのだ。
夜真の計画のお陰で凰黎と共に暮らしてみて、初めてこの人が好きなのだと気づかされたし、彼は煬鳳のことを心から恋い焦がれていたのだと知ることができた。
二人が過ごした清瑞山の小屋。
何気ない日々を笑い合い、二人で過ごした毎日。
力も掌門の座も要らない。
ずっと平和に穏やかに過ごしていけるなら、他に何も必要はない。
『ずっと平和に穏やかに過ごしていけるなら』
この言葉がどれほど難しく困難であるか、考えたこともなかった。
穏やかに暮らすために多大な努力を今までしてきたつもりだったのだが、結局のところその願いは叶わなかったのだ。
(穏やかな暮らしに憧れたのも、掌門の座も要らないと思えたのも、ぜんぶ凰黎がいたからだ。俺は……凰黎と一緒に……)
こみ上げる感情を、今の自分でどうやって表現したらよいのだろうか。
もっと凰黎と共に同じ時間を過ごしたかった。
凰黎の傍にいたかった。
凰黎の麗しい微笑みを、沢山目に焼き付けたかった。
ひとめ見ただけじゃ全然足りない。
凰黎に会いたい――。
しかし、それもまた叶わぬことになってしまったのだ。
全ては自分が浅はかだっただけのこと。
(ごめんな、凰黎……)
届かない謝罪の言葉を、煬鳳は零す。
二度と会えないのなら、せめて生まれ変わってもう一度出会いたい。
今度こそ、絶対に離れない。
(だから許してくれよ、凰黎……)
薄れ消えゆく自我の中で、最後に煬鳳は凰黎に言葉を告げる。
「許しません」
「は!?」
とつぜん凰黎の声が割り込んできたものだから、煬鳳は心底驚いた。
「私を置いて消えるなんて、そんなの絶対認めません」
はじめは自分の気の迷いだろうと思ったのだ。
しかし二度目の言葉は先ほどより更にはっきりと煬鳳に届き、流石に煬鳳も動揺した。
「たとえ来世があったとしても、私は今世の貴方を離しません」
思考だけではない。いま、煬鳳の視界には微笑む凰黎がいる。
「ほ、ほ、凰黎!?」
逢いたいあまり、幻が見えるのだろうか?
いや。そもそも、意識の海に揺蕩っている状態で、このような問答は可能なのだろうか?
幻にしても、いきなり割り込んでくるのはいかがなものだろうか。あれこれと混乱したまま思考を巡らせていると、不思議なことに気づいた。
抱きしめられる感覚と、抱きしめている逢いたかった人。失ったと思っていた己の体。先程まで消えるばかりだと思っていた己の存在が、急速に現実味を帯び始めている。
一体何が起こったのか?
何も分からない。
けれど一つ言えることは――確かにいま、煬鳳は凰黎に抱きしめられているということ。
「ずるいです、煬鳳。また私を置いていく気ですか?」
涙声で凰黎は言う。
「ご、ごめん。俺、後先全然考えてなくて……でも、凰黎のこと助けたかった。逢いたかったんだ」
「分かっています。ですが……」
そこで凰黎は言葉を止めた。止めた、というよりは言葉が詰まってしまったのだろうか。彼らしくないと思ったが、涙を堪えていたのだと気づき、煬鳳は何も言えなくなってしまった。
「貴方がいなければ駄目なんです。貴方がいない世界は、私にとって何の意味があるでしょう? 貴方を失うくらいなら、たとえこの世の理を曲げてでも、冥府の奥底からでも、貴方のことを連れ戻してみせます」
「そんな、大げさな」
「大げさなものですか」
煬鳳は先程までの己の行いを思い出し――凰黎の顔が見られなくなって俯く。
「駄目。目をそらさないで」
凰黎の掌が煬鳳の頬に触れる。温かくて心地良くて、生身であると錯覚してしまいそうだ。
「ごめん、凰黎。俺も凰黎を守りたかった」
「解っています。貴方はいつだって私のことを守ろうとしてくれます。ですが、私は……」
言葉を詰まらせ、今度は凰黎が俯いた。聞こえたのは微かな声。
「……もういちど貴方を失うのは、絶対に嫌です……」
「泣かないで、凰黎」
こんなに弱弱しい凰黎を残して、去ってゆく己が歯がゆい。
納得したり後悔したり、人が生き、人が死ぬということは、簡単に割り切ることが出来ることではないのだ。
「俺、もう何もできないけど……でも」
せめて次に生まれ変わったら、ともう一度言おうとして煬鳳は目を見開いた。
先ほどまで泣いていたはずの凰黎が、打って変わって穏やかな眼差しを向けていたからだ。
「煬鳳。あれを見て」
凰黎はいつものように柔らかく微笑み、虚空を指差す。それが何を意図しているのかは分からなかったが、煬鳳は凰黎の指し示す方向をじっと見つめた。
広がっているのはどこまでも続く混沌の空間。
煌めく夜空のようであり、深い海のようであった。
やがて混沌は白と黒に分かたれ、天地が生ずる。
その虚空から一筋の赤が滴り落ち、線となって滑り出し枝葉のように広がってゆく。やがて枝葉や根は絡み合い結び合い、その中で花開いた紅蓮が静かに力強く鼓動を刻み始める。
「なんだ? あれ」
「なんだと思いますか?」
凰黎は煬鳳を抱え上げ目の前の光景が良く見えるように態勢を変えてくれた。木の根は動きを止めずどんどんと根を伸ばし、その中に次々と新たなものが生まれてゆく。
「肝臓、腎臓、肺、脾臓……あっ、さっきのはつまり、心臓ってことか?」
「そう。……覚えていますか? 以前私が話したこと」
煬鳳は再び視線を戻す。
『季節や色にも五行はあるし、人の体……五臓と五腑というように、人の体も五行の要素で構成されているのですよ』
そうか、と煬鳳は思い至る。
――これは五行の力なんだ。
ようやく分かった、絡み合う根と葉は血なのだ。そしてその周りを包み始めているのは肉。
やはり先ほど感じた奇妙な現実感は、気のせいではなかったのだ。
黒く長い髪が滑り落ち、横たわる人物の顔が露わになる。
その顔を見て――煬鳳は理解した。
「思い出しましたか?」
「うん……でも、俺……俺……」
なんと言って良いか分からない。戸惑う煬鳳を凰黎は優しく掻き抱く。
「貴方は無鉄砲で後先考えずに行動するところのある、とても危なっかしい人間です」
「うん」
「そして私を案じて自らの命も省みず、仙界への道を無理やりこじ開けて逢いに来てくれました」
「うん」
改めて口に出されると、いかに自分が無鉄砲だったか思い知らされて恥ずかしい。それでも凰黎は、抱きしめた煬鳳の頬から唇に、指を滑らせ悪戯っぽく微笑んだ。
いつもの、少し意地悪な、愛しい凰黎の笑顔。
煬鳳が焦がれ求めた、大好きな凰黎だ。
「ですが――。貴方のそんな性格を、私が最悪の事態として考慮に入れなかったと、思いますか?」
「……」
最後の言葉で、煬鳳は唖然とする。
「本当は絶対に止めるつもりだったとしても。万が一の事態を想定しない私だと、思いますか?」
微笑む凰黎につられて、煬鳳も綻んだ。
「そうだよ、な。……本当に、その通りだ」
目の前で起きているこの光景は、予定調和の出来事だったのだ。
「やっぱり凰黎には、敵わないよ」
「それでも本当のところ。私は、貴方に危険な目に遭って欲しくはなかったのです。万が一でも貴方を失ったらと思うと、気が気ではありませんでした……」
凰黎の言葉にもう一度「ごめん」と謝って、そして煬鳳は凰黎の体を抱きしめた。
――熱い、熱くて仕方がない。
煬鳳は己の体がほろほろと崩れていくのを感じていた。
それでも達成感に微笑む。
仙界へ行く方法は、特別な佩玉をもって仙界へ続く崑崙の頂上へと登ること。
当然ながら特別な佩玉など持っていない煬鳳には、仙界へ行くための手段は持ち合わせていなかった。
それでも、煬鳳は凰黎の元に行きたかった。
凰黎に会いたかった。
凰黎を助けたくて、守りたくて、なんとかして仙界へ行く手段を考えたのだ。
清瑞山の小屋にいたと思ったのだが、どうやらそれは凰黎の見せた幻であったらしい。小屋を出て暫くして、そこが黒炎山の一角であることに煬鳳はすぐ気づいた。
考えた末に煬鳳が選んだ方法――。それは、黒炎山に眠る翳炎と睡龍の力をありったけ吸収して、仙界への入り口をこじ開けるというものだった。
そのようなことができるのか?
やってみなければ分からない。
そして――煬鳳は賭けに勝った。
凰黎の姿を瞳の中に収めたとき、煬鳳は心から安堵した。
――良かった、まだ凰黎を助けられる!
蓬莱に腕を掴まれた凰黎を見て、無我夢中で煬鳳は蓬莱に飛び掛かった。自分の体がどう動いているのかもよく分かっていないので、正確にどう動けたのかは分からない。
ただ、気づけば目の前から蓬莱は消え、傍にいる凰黎が己の名を呼んでくれたこと、それだけは認識することができた。
――凰黎。
――酷いよ、俺のこと置いていくなんて。
そう伝えたかったが、言葉は声にならず、体を動かしてもぼんやりとしている。伝えたいことがあるのだが、伝える方法がこれっぽっちも見つからない。
それでも守りたい者は守れた。
凰黎と再会でき、満ち足りた気分だった。
けれど凰黎の表情は再会の喜びより悲哀に満ち、叫びながら燃え盛る煬鳳の体に必死で近づこうとしている。
「煬鳳……! いやだ……行かないで!」
そのとき、ようやく気づいた。
自分が取り返しのつかないことをしてしまったことに。
わが身を省みず、後先考えないことは悪癖だ。
あれほど分かっていたにもかかわらず、一番大事なときにやらかしてしまった。
凰黎を助けたい一心で、身の丈に合わぬ力を使ってしまったのだ。無我夢中だったし、火龍の力をなんとか御すことができたときは、半ば得意げでもあった。
しかし、どうだろうか。
こうしている間にも体温は上がってゆき、限界を超えた体は雪のようにほろほろと崩れ落ちていく。間違いなく、煬鳳の体はじきに燃え尽きることになる。
そうなったら、どうなるのか?
簡単なこと。
煬鳳は――この世から消えて無くなる。
煬鳳の体は火の粉となって花弁のように散ってゆく。
止めることは叶わない。
ならばせめて、散りゆくひとひらが炎ではなく花であったのなら。
愛しい人の元に降り注ぎたかった、と煬鳳は最後に思った。
* * *
煬鳳は不思議な空間に揺蕩っていた。
夜空に星が瞬くような宙。
昏冥たる海の如く揺らめく深淵。
眩い朝焼けのような豊穣の光。
荘周夢蝶のような感覚の中、これまでに何があったのか――。
一体何が起きたのか。暫し記憶を辿ったあとで、自分が黒炎山から火龍の力を吸収して無理やり仙界に乗り込んだのだと思い出した。
最後の記憶は炎の粒となって散っていったこと。
(俺、死んだのかな……)
仙界に到達することはできた。蓬莱を倒し、凰黎を助けることもできた。
そして煬鳳はといえば、火龍の熱に耐え切れず体が崩壊してしまったのだ。
会えたと喜んだのもつかの間、今度は二度と会えなくなる別れがすぐにやってくる。
あのときは夢中で、凰黎を助けたい一心だった。
ただ、全てを終えてこうなった今となっては、なんとまあ馬鹿なことをしたものだとも思う。
『煬鳳……! いやだ……行かないで!』
普段はあれほど穏やかな凰黎。彼があんなにも取り乱して己の名を呼び引き留めたのだ。凰黎の叫びを聞いたときに、何故あれほど鸞快子が煬鳳のことを止めたのか嫌というほど理解した。
凰黎に会えたとて、助けられたとて、煬鳳自身が消えてしまっては何も意味はなかったのだ。
凰黎と過ごした恒凰宮での夜。
彼を慰め、元気づけるためにあれこれと思考を巡らせたものだったが、結局のところ凰黎を悲しませる原因を作ってしまったのは、他でもない自分自身だった。
(黒曜にも悪いことしたな……)
黒曜を巻き込むのは忍びなく、予め考えを告げる程度の配慮は残っていたのだが、けれど黒曜は煬鳳と共に行くと言い切った。本当は黒曜だけでも鸞快子の元に送り返したかったが、やはり煬鳳と黒曜は一心同体であり、離れることなどはできなかったのだろう。
『ここまでついてきたんだ。最後まで一緒だ』
煬鳳の心情を理解して、黒曜は迷わずそう言ってくれた。けれど彼も心の底では煬鳳のしようとすることを止めたかったに違いない。
(本当に、馬鹿だ)
涙を零したかったが、零す涙も今はもう残ってはいない。
大切なものを守るために意気揚々と飛び出したはずなのに、終わってみれば助けたかった相手が最も大切にしていた、守りたかったものを失わせてしまった。
(本当に……俺は、どうしようもない馬鹿だ)
いま自分の置かれている状況が、一体どのようなものなのかは分からない。しかし分かっているのは体はないが意思はある。そして、混沌とした場所に漂っているということだけ。
どこまでも続く不思議な空間。どこか温かく、どこか寒々しく、何も聞こえず何も見えない。
もしかしたらこのまま混沌の海に溶けて消えてしまうのかもしれない。
消えると思った途端、急激な不安に苛まれる。
(凰黎……)
自分の愚かさにこれほど泣きたくなったことは言うまでもない。
――あれほど凰黎が、俺の命を心配して、仙界へ行くのを止めたのに……。
結局凰黎を助けたいと願った結果、同じ悲しみを凰黎に負わせることになってしまったのだ。
けれど他に方法があったのか?と問えば異なる答えは出てこない。ならば、どれほど後悔したとしても、結論は変わらなかったのではないだろうか。
もしも凰黎が蓬莱に殺されそうになっていたのなら。
きっと何度死んでも、何度生まれても同じことを繰り返すだろう。
(だって、凰黎は……俺の見る世界全てを変えてくれた、かけがえのないたった一人なんだ……)
見捨てるなんて絶対にあり得ない。
たとえ本人が止めようとしてもだ。
だから、これは初めから決まっていたことなんだ、そう思えばこの結末も受け入れられる。
――ごめんな。
煬鳳にできることはもう何一つ残ってはいない。
――本当に馬鹿な俺のことを、どうか許して欲しい。
消えゆく意識の中で、ただ謝り続けること以外には。
凰黎は煬鳳が玄烏門にやってきてすぐ会ったと言っていたが、煬鳳が一番よく覚えている凰黎との出会いは、彼が子供の頃ではなく蓬静嶺で行われた門派対抗の比武のとき。当時の玄烏門はごろつきの山賊集団と評判で近隣の村からも他の門派からも良くは思われていなかったのだが、何故か毎年玄烏門は蓬静嶺に招待を受けていたのだ。
当時の玄烏門掌門は煬鳳の育ての父であり、彼の命に従って煬鳳は蓬静嶺に代表の一人として赴いた。
あれは多分……煬鳳が十三くらいの頃だったかもしれない。
馬鹿にされないようにと精一杯の良い服装を掌門がさせてくれたので、逆に蓬静嶺では注目を浴びてしまったほどだった。それでも名も知らぬ田舎門派の一つであり、彼らへの世間の評価は辛らつなものだった。
しかし、玄烏門を馬鹿にしていた他の門派は誰一人玄烏門の門弟たちに勝つことはなく、そして煬鳳は並みいる他門派の代表たちを圧倒して決勝戦まで勝ち残ったのだ。
そのとき煬鳳が目に焼き付けたのは決勝戦で煬鳳の向こう側に立つ、淡青の袍を纏う麗しい少年だった。穏やかな表情で口元には微かに笑みを湛える。男性とも女性ともとれる整った外見のうえ礼儀正しく、煬鳳のようなごろつき相手でも丁寧な応対を決して崩さない。見下すような素振りも一切無い。
それどころか煬鳳に向ける眼差しはどこか感極まった表情にも見え、こちらの方が戸惑ってしまうほどだった。
(面白くないな……!)
大概の人間は煬鳳のような存在を忌み嫌い、馬鹿にしたり馬事雑言を投げかける。なのに、目の前の少年は何故そのような表情をするのだろうか。
煬鳳は彼にどう接していいか、分からなかった。
練武場に集う女子たちが彼を見ては頬を染め、ときには歓声をあげているのも気に食わない。
(こんな弱そうなやつが最後まで残るなんて、本当にこの辺りには弱い奴らしかいないんだな)
煬鳳は他の門派たちの戦いぶりを見ていなかったため、目の前の少年が自分と同じくらい強いとは全く思ってもいなかったのだ。
ところが、蓋を開けてみたところ、麗しい少年は煬鳳でも驚くほどの強さを見せ、結果的に勝負は相打ち、どちらが勝つわけでも負けるわけでもなかった。
次こそ勝つ。
そうやって次の比武でも決勝は彼との一騎打ち、次のときもまた同じ。
月日は巡り、何度も何度も煬鳳は凰黎と戦い、いつしか彼と相対する日を心待ちにするようになっていた。
(あのときは気づかなかったけど……思えばあの頃から、俺は凰黎のことがずっと気になっていたんだな……)
己のうちにある良く分からなかった感情の正体がようやく今、分かったのだ。こんなときになって分かるなんて……と煬鳳は自嘲気味に微笑む。
……いや、既に微笑むことすら、今の煬鳳にはできないのだ。
夜真の計画のお陰で凰黎と共に暮らしてみて、初めてこの人が好きなのだと気づかされたし、彼は煬鳳のことを心から恋い焦がれていたのだと知ることができた。
二人が過ごした清瑞山の小屋。
何気ない日々を笑い合い、二人で過ごした毎日。
力も掌門の座も要らない。
ずっと平和に穏やかに過ごしていけるなら、他に何も必要はない。
『ずっと平和に穏やかに過ごしていけるなら』
この言葉がどれほど難しく困難であるか、考えたこともなかった。
穏やかに暮らすために多大な努力を今までしてきたつもりだったのだが、結局のところその願いは叶わなかったのだ。
(穏やかな暮らしに憧れたのも、掌門の座も要らないと思えたのも、ぜんぶ凰黎がいたからだ。俺は……凰黎と一緒に……)
こみ上げる感情を、今の自分でどうやって表現したらよいのだろうか。
もっと凰黎と共に同じ時間を過ごしたかった。
凰黎の傍にいたかった。
凰黎の麗しい微笑みを、沢山目に焼き付けたかった。
ひとめ見ただけじゃ全然足りない。
凰黎に会いたい――。
しかし、それもまた叶わぬことになってしまったのだ。
全ては自分が浅はかだっただけのこと。
(ごめんな、凰黎……)
届かない謝罪の言葉を、煬鳳は零す。
二度と会えないのなら、せめて生まれ変わってもう一度出会いたい。
今度こそ、絶対に離れない。
(だから許してくれよ、凰黎……)
薄れ消えゆく自我の中で、最後に煬鳳は凰黎に言葉を告げる。
「許しません」
「は!?」
とつぜん凰黎の声が割り込んできたものだから、煬鳳は心底驚いた。
「私を置いて消えるなんて、そんなの絶対認めません」
はじめは自分の気の迷いだろうと思ったのだ。
しかし二度目の言葉は先ほどより更にはっきりと煬鳳に届き、流石に煬鳳も動揺した。
「たとえ来世があったとしても、私は今世の貴方を離しません」
思考だけではない。いま、煬鳳の視界には微笑む凰黎がいる。
「ほ、ほ、凰黎!?」
逢いたいあまり、幻が見えるのだろうか?
いや。そもそも、意識の海に揺蕩っている状態で、このような問答は可能なのだろうか?
幻にしても、いきなり割り込んでくるのはいかがなものだろうか。あれこれと混乱したまま思考を巡らせていると、不思議なことに気づいた。
抱きしめられる感覚と、抱きしめている逢いたかった人。失ったと思っていた己の体。先程まで消えるばかりだと思っていた己の存在が、急速に現実味を帯び始めている。
一体何が起こったのか?
何も分からない。
けれど一つ言えることは――確かにいま、煬鳳は凰黎に抱きしめられているということ。
「ずるいです、煬鳳。また私を置いていく気ですか?」
涙声で凰黎は言う。
「ご、ごめん。俺、後先全然考えてなくて……でも、凰黎のこと助けたかった。逢いたかったんだ」
「分かっています。ですが……」
そこで凰黎は言葉を止めた。止めた、というよりは言葉が詰まってしまったのだろうか。彼らしくないと思ったが、涙を堪えていたのだと気づき、煬鳳は何も言えなくなってしまった。
「貴方がいなければ駄目なんです。貴方がいない世界は、私にとって何の意味があるでしょう? 貴方を失うくらいなら、たとえこの世の理を曲げてでも、冥府の奥底からでも、貴方のことを連れ戻してみせます」
「そんな、大げさな」
「大げさなものですか」
煬鳳は先程までの己の行いを思い出し――凰黎の顔が見られなくなって俯く。
「駄目。目をそらさないで」
凰黎の掌が煬鳳の頬に触れる。温かくて心地良くて、生身であると錯覚してしまいそうだ。
「ごめん、凰黎。俺も凰黎を守りたかった」
「解っています。貴方はいつだって私のことを守ろうとしてくれます。ですが、私は……」
言葉を詰まらせ、今度は凰黎が俯いた。聞こえたのは微かな声。
「……もういちど貴方を失うのは、絶対に嫌です……」
「泣かないで、凰黎」
こんなに弱弱しい凰黎を残して、去ってゆく己が歯がゆい。
納得したり後悔したり、人が生き、人が死ぬということは、簡単に割り切ることが出来ることではないのだ。
「俺、もう何もできないけど……でも」
せめて次に生まれ変わったら、ともう一度言おうとして煬鳳は目を見開いた。
先ほどまで泣いていたはずの凰黎が、打って変わって穏やかな眼差しを向けていたからだ。
「煬鳳。あれを見て」
凰黎はいつものように柔らかく微笑み、虚空を指差す。それが何を意図しているのかは分からなかったが、煬鳳は凰黎の指し示す方向をじっと見つめた。
広がっているのはどこまでも続く混沌の空間。
煌めく夜空のようであり、深い海のようであった。
やがて混沌は白と黒に分かたれ、天地が生ずる。
その虚空から一筋の赤が滴り落ち、線となって滑り出し枝葉のように広がってゆく。やがて枝葉や根は絡み合い結び合い、その中で花開いた紅蓮が静かに力強く鼓動を刻み始める。
「なんだ? あれ」
「なんだと思いますか?」
凰黎は煬鳳を抱え上げ目の前の光景が良く見えるように態勢を変えてくれた。木の根は動きを止めずどんどんと根を伸ばし、その中に次々と新たなものが生まれてゆく。
「肝臓、腎臓、肺、脾臓……あっ、さっきのはつまり、心臓ってことか?」
「そう。……覚えていますか? 以前私が話したこと」
煬鳳は再び視線を戻す。
『季節や色にも五行はあるし、人の体……五臓と五腑というように、人の体も五行の要素で構成されているのですよ』
そうか、と煬鳳は思い至る。
――これは五行の力なんだ。
ようやく分かった、絡み合う根と葉は血なのだ。そしてその周りを包み始めているのは肉。
やはり先ほど感じた奇妙な現実感は、気のせいではなかったのだ。
黒く長い髪が滑り落ち、横たわる人物の顔が露わになる。
その顔を見て――煬鳳は理解した。
「思い出しましたか?」
「うん……でも、俺……俺……」
なんと言って良いか分からない。戸惑う煬鳳を凰黎は優しく掻き抱く。
「貴方は無鉄砲で後先考えずに行動するところのある、とても危なっかしい人間です」
「うん」
「そして私を案じて自らの命も省みず、仙界への道を無理やりこじ開けて逢いに来てくれました」
「うん」
改めて口に出されると、いかに自分が無鉄砲だったか思い知らされて恥ずかしい。それでも凰黎は、抱きしめた煬鳳の頬から唇に、指を滑らせ悪戯っぽく微笑んだ。
いつもの、少し意地悪な、愛しい凰黎の笑顔。
煬鳳が焦がれ求めた、大好きな凰黎だ。
「ですが――。貴方のそんな性格を、私が最悪の事態として考慮に入れなかったと、思いますか?」
「……」
最後の言葉で、煬鳳は唖然とする。
「本当は絶対に止めるつもりだったとしても。万が一の事態を想定しない私だと、思いますか?」
微笑む凰黎につられて、煬鳳も綻んだ。
「そうだよ、な。……本当に、その通りだ」
目の前で起きているこの光景は、予定調和の出来事だったのだ。
「やっぱり凰黎には、敵わないよ」
「それでも本当のところ。私は、貴方に危険な目に遭って欲しくはなかったのです。万が一でも貴方を失ったらと思うと、気が気ではありませんでした……」
凰黎の言葉にもう一度「ごめん」と謝って、そして煬鳳は凰黎の体を抱きしめた。
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