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第四話

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 お城の中を歩き回って、発見したことがある。

 
 まず、あたしはマリアベルという人の姿らしい。時々あたしのことを見える人がいるみたいで、その人たちは必ず「マリアベル様」って言うからたぶん間違いない。姿だけで記憶はあたしのままなんだよね。あの可愛らしい王妃様のとこに行くと「ごめんなさい!マリアベル様!」って泣いて謝るんだよ。
 つーか、王妃様、マリアベルになにしたんだ?
 泣いて謝られるのはどうかと思うけど、実はあの部屋の鏡が一番あたしの姿が映るの。ついつい何回もあの部屋に行っちゃうんだよね。だってマリアベル、ホント美人だし。

 あとは、あたしからみると、メイドさんとか兵士さんとか働いている人は、なんとなくぼんやりと見えるんだけど、何人かはっきり見える人もいる。
 王妃様もそうだし、王様とか、その周りの偉い人とかが多いかな。

 そして、その人達はみんなあたしのことが見えるみたいだ。はっきり見えているのかどうかはわからない。けど、あたしの方を見て、顔色が変わるんだよね。あんまりいい気はしないから、出来るだけ近寄らないようにしてる。だって嫌じゃない、人のこと見て顔を真っ青にする人に近寄るなんて。ムカつくわ~。


 ふふふっ。でもあたしには、今は癒しがいる!


 重厚なドアをすり抜けて、明るい部屋に入ると、元気な泣き声が聞こえてきた。
 うん、今日も元気、元気。

 青と白で可愛らしく整えられた部屋の真ん中のベビーベッドに泣き声の主が居る。

『ショーンくん。起きたのかーい。元気に泣いてるね~。』

 話しかけるとショーンは一瞬ビクリとしてあたしをみる。
 えへへ~!かあいい~!
 ちょぼちょぼ生えてる赤みがかった金髪に、金色の瞳がじ~っとあたしを見てる。この子、完璧にあたしのこと見えてるよね~。お世話してるメイドさん達はあたしのこと全然気づかなかったけどね。
 メイドさんがショーン様って呼んだからあたしもそう呼んでる。ショーンて呼ぶとこっち見てくれるしね。
 ぷくぷくのほっぺは触れないけど……

 あ、また泣き出しちゃった。
 抱っこはできないけど、あたしは子守唄を歌う。自慢できるほど上手いわけじゃないけど、ショーンはあたしが歌うと泣きやむんだよね。
 子守唄だけじゃなくて、知ってる童謡みーんな歌って。そのうちJ-POPとか懐メロとかアニソンが出ちゃうけど、ショーンは喜んで聴いてくれている………はず。
 ノリノリで歌っていると、ショーンが笑う。うん、君はロックもいけるのか。小さいお手手をわきゃわきゃさせながら、口をぱくぱくさせて、めちゃくちゃ可愛いよ~!

 でも、気になるのはあたしが来るときはショーンはたいてい一人だということ。
 メイドさんが入れ替わり立ち替わりお世話してるから、お世話はしっかりされてるんだと思う。でもメイドさんのお世話って事務的なんだよね。
 お母さんはたぶん王妃様なんだと思う。でも王妃様が抱っこしてるとこって、一回も見てないよ。高貴な人は子どもの面倒とかは乳母とかに任せるって、ドラマとかであったけど、もう少し親子の触れ合いとかあっても良くない?メイドさんが沢山いても、あやしてもらったりしないんじゃ一人で放置されてるのと変わらないんじゃないのかなぁ。
 
 もっと構ってあげたらいいのに。

 
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