番なだけでは超えられない

ぽよよん

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再会の時

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 キラキラとした豪華なシャンデリアに照らされた室内には、煌びやかに着飾った人々が優雅に談笑しています。
 デビュタント以来の夜会についつい周りに視線を取られてしまって、隣に立つジャレッドに笑われてしまいました。

「そんなに笑わないで。」
「ごめんごめん。目も口も真ん丸に開けてるから。」
「口は開けてないわ!!」

 んもうっ!失礼ですわ!
 自分だってそんなに夜会に出たことない、と言っていたのに。
 建国を祝う王家主催のこの夜会は、最も多くの貴族が参加しています。私は今まで参加したことはなかったのですが、結婚したばかりなのでご挨拶を兼ねての初参加です。
 そう、私はつい先日ジャレッドと結婚しました。
 離婚から半年の期間を置いて、再婚の許可を得たジャレッドは、私がびっくりするような立派な結婚式を挙げてくれました。私は叔父様や叔母様、邸で働くみんなや領民の皆さんたち、たくさんの人たちに祝福されてジャレッドのお嫁さんになりました。
 結婚式は領地で行ったので、王都の方々にお披露目はしていなかったので、こういう夜会の時にしっかりとご挨拶しなければなりません。
 同じ年頃の方とこうして話すなんて、前の結婚ではできなかったのでとても楽しいですわ。
 色々な方にご挨拶をしていますと、ジャレッドのお友達が側に来て何か耳打ちしています。

「本当か?レクイド卿が?」
「ああ、シガールームだ。」

 お二人が興奮しているのはお仕事の話のようです。どなたかにお会いできるのか、ジャレッドがとてもうれしそうですわ。

「ジャレッド、私はここで待ってますわ。」
「あ、うん。」

 ジャレッドは周りを見渡しますが、見知った顔はありせん。私を一人残して行くのが不安でしょうか?たしかに、私の背丈では人に紛れてしまいそうですわね。

「では、彼方のバルコニーにいますわ。」
「すまない。すぐに戻ってくるから。」

 興奮を隠せない背中を見送るとそっと窓を抜けてバルコニーに出ました。
 思ったより室内なかは熱気があったようで、ひんやりした夜風が気持ちいいです。

「モニカ。」
「きゃっ!!」

 夜風にあたってぼんやり庭園を眺めていると、腕を強く引かれました。

「私だ。モニカ。」
「…!!キャンベル伯爵?」
「ああ、モニカ。会いたかった。」
「ええ⁈」

 おかしなセリフを吐く元旦那キャンベル伯に抱きしめられました。なんですの?会いたかったって?
 私は別れた妻ですのよ⁈

「は、離してっ!!」

 助けを求めようにも人気のないバルコニーです。こんなことなら人混みの中で我慢していれば良かった。

「モニカ。」
「キャ、キャンベル伯様!番の、ナタリーさんはどうしたのですかっ?」

 近づく顔を何とか両手で抑えて、ナタリーさんの姿を探しますが、やっぱりどこにもいません!番なのに、どこ行ったんですかっ!!

「ああ、やはりモニカは抱き心地がいい。小さくて可愛い。」
「いえ!抱き心地なら絶対ナタリーさんですって!柔らかそうだし、胸もおっきいし!」
「胸?」

 一瞬の隙をついて腕の中から逃げ出しましたが、室内に逃げるには、キャンベル伯をかわさなければなりません!ジリジリと後ろに下がると、背中に手すりがあたります。

「モニカ、胸なんてどうでもいいんだ。いや、私としては君のささやかな胸の方がいい。」

 さ、ささやか言うな!これでも最近サイズが上がったのよ!
 それにしても元旦那キャンベル伯ってこんな人だったかしら?結婚していた頃に可愛いなんて言われたことないわ!


「…キャンベル伯様。ナタリーさんはどうされたのですか?」
「ナタリーのことは気にしなくて大丈夫だ。」
「でもナタリーさんが番なんですよね?こんな所見られたら大変ですよ。」

 兎に角キャンベル伯の気を逸らさなければなりません。先程は隙をつけましたが、私の体格で捕まったら今度は逃げられないですわ。

「ああ。ナタリーは大切な番だ。」
「そうですわ。大切な番を悲しませてはいけませんわ。」

 番であるナタリーさんのお名前を出すと、キャンベル伯の目線が泳ぐのでそれを利用します!私はもう人妻なのです、何度も言いますが貴方とは別れたのです。
 それなのに威圧するかのように私の前を塞いでいたキャンベル伯は、今度は私の手を優しく取り、手の甲にそっと唇を落としました。

「私はモニカが忘れられないんだ。頼む、一度だけでもいいんだ。」

 色気を孕んだ目で、私を見つめてきます。
 もしかして、もしかして『発情』されてますの?
 私は番ではないのですよ。
 まさか……


「君のその口で咥えて欲しいんだ。」
「絶対に嫌ぁっ!!!」
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