工事会社OLの奮闘記

wan

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10.女の子に変身(1)

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いつものように母の綺麗な服装に見とれてはいるが、あの日からどうも母の目を合わせられないまま次の日曜日となった。

母はメイク中でどこかへ行く様子だった。今日履くハイヒールを出そうと靴箱へ行くと運動靴がないことに気づいた。洗ってどこかへ干してるのだろうか。

美咲:「お母さーん!私の運動靴がないんだけど、どこにあるか知ってるー?」
玄関からリビングにいる母へ大きい声を出した。

母:「あら、美咲ちゃん。実は、美咲ちゃんの靴は、隠しちゃいましたw」

美咲:「なんでー??」

母:「ちょっと待っててね。」
メイクを終えた母が二階へ行き、新品の靴用化粧箱を持ってきた。

母:「今日は特別な日だから、運動靴じゃなくてこれを履いて一緒にお出かけしてみない?」

美咲:「えっ、これを履くの?」
ベージュ色でエナメルのピンヒールだった。ストラップ付でつま先には可愛いリボンもあった。

母:「美咲ちゃんが、女の子に憧れてるのはわかってたわ。この前もこっそり私のハイヒールを履いて夜お散歩してたでしょ。窓からそっと見てたわよ。」

美咲はドッキリした。履いてお散歩したと知られると興味がない言い訳は思いつくはずもない。

母:「美咲ちゃんももう中学生だし、きっと似合うと思うわよ。お誕生日はまだ早いけど、今日は天気もいいし、一緒におしゃれして出かけましょう。」


美咲:「けど、いつもの靴でいいよ。昼に出かけるのは流石に恥ずかしいし。」
優しい言葉をかけられたが、まだ心が揺れていた。

母:「美咲ちゃん、何を言ってるの!?あなたはとっても可愛いんだから、自信を持ちなさい!恥ずかしがってばかりじゃ何も始まらないわ!」
いつも優しい母なのに、真剣な表情で叱られショックだった。静かになってしまった私は「座って。足上げて。」と片足ずつハイヒールを通される。

母:「可愛いわw。ちょっと歩いてみて。」
母のサポートで立ち上がり、リビングを歩き周ってみた。最初は足元がグラついたが、少しずつ慣れていった。

母:「どう?歩けそう?」

美咲:「うん、ちょっと不安定だけど、慣れそう。」

母:「美咲ちゃん、あなたはもっと自分に自信を持つべきよ。今日は特別な日なんだから、思い切っておしゃれを楽しみましょう。」

美咲:「、、、。うん、わかった。履いてみる。」
美咲は母の後押しにハッとし、少しずつ気持ちを切り替えた。

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