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第1章「まず、キスから始めよう 」~佐江×清春 編
第23話「いくときは、おれの名前を呼んでくれ」
しおりを挟む(UnsplashのChristina Victoria Craftが撮影)
「頼み?」
佐江は半裸で、ふしぎそうに首をかしげた。
「あたしに頼みごとですか? ええ、もちろん聞きます。こんな、とんでもないことをお願いしているのは、あたしの方なんですから」
「とんでもないことね……そうだな。わかっている。
それでも、いくときは、おれの名前を呼んでくれ」
「……なんと、呼べばいいんです?」
清春は目を開いた。目の前に、まっすぐな目を持つ岡本佐江の怜悧な美貌があった。
清春は、この美しい顔を悦楽でゆがませたいと思う。
「キヨでいい。真乃はそう呼ぶだろ」
「じゃあ、キヨさん」
佐江は清春の耳に、甘い声でささやいた。
「キヨさん。して?」
かちっと、清春は彼の身体をがんじがらめにしている無数の枷《かせ》が、ひとつだけ、はずれたような気がした。
佐江の、突拍子もない願いが、清春を固くいましめている枷を難なく外してしまったのだ。
清春自身が、二十年近く、ありとあらゆる方法を試しても、外すことが出来なかった縛りが、いま佐江の一言でほろほろと崩れてゆく。
清春は、目を閉じた。かすれた声でささやく。
「さえ。もう一回言ってくれ」
「……して。キヨさん。おねがい」
「痛かったらすぐに言え」
そういうと、清春は自分が持てるテクニックのすべてを駆使して、岡本佐江の身体の中にゆっくりと指を進めていった。
くっ、と痛みと衝撃に佐江が身体を固くする。清春は指を引き、佐江の身体の一番敏感な部分に指を乗せて、ささやいた。
「無理に指を入れなくてもいい。ヴァージンなら、たぶんこっちのほうが佳《い》いんだ」
ひくっと佐江の身体が反応した。
清春は、きつく目を閉じた佐江の整った顔をながめつつ、ゆるやかに指を動かした。
「これじゃ、おれの指が入っていることにならないけど」
清春は身体を傾けて、佐江の耳たぶを噛んだ。
「慣れないうちは、ここのほうがするどく感じる」
佐江は身体をこわばらせて、息を吐いた。その様子を見ながら、清春はゆっくりと指で愛撫を続ける。
ふいに、 この少女が、この世の何よりも大切だと思った。
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