上 下
20 / 73
第1章「まず、キスから始めよう 」~佐江×清春 編

第20話「ここに、さわったことはある?」

しおりを挟む

(UnsplashのRizky Sabriansyahが撮影)

 ずくん、と清春の身体が激しく反応した。思わず、くそ、とつぶやく。

「きみ、自分の指でいったことはあるか?」

 佐江はかぶりを振った。

「わかった」

 清春は大きく息を吐いて、

「責任重大だが、やってみよう」

 その言葉に、岡本佐江はきれいに書いた眉毛をわずかにひそめた。

「ごめんなさい、大変な事なのね。いいわ、キスだけで十分です」
「馬鹿いえ、なあ、さっきからおれがきみに襲いかからないように、自制心をフル稼働させているの、わかるか?」
「そうなの? じゃあ、やっぱり悪いわ。ここでもう終わりにしていい」

 清春は、ぐいっと佐江を抱き寄せた。

「今さら引くなよ。おれももう、きみのなかにおれの指を入れたくてたまらなくなった」

 そして、佐江に自分のシャツのボタンをはずすように命じた。
 佐江があどけなく、聞く。

「シャツを脱ぐのは、自分でやるものなの? ほかの人もそう言うのかしら」

 シャツのボタンがひとつずつはずれていくのを、清春は食い入るように見つめた。
 全身が、沸騰しそうだ。

「他の男がどうするかなんて、もうどうだっていい。おれは今、きみ自身にシャツを脱いでほしいんだ」
「なぜです?」
「おれが、そそられるからさ」

 しかし途中から清春は待ちきれなくなり、手を伸ばしてボタンをはずし始めた。佐江は驚いて声を上げる。

「あたしが、やるんじゃないんですか」
「待っていられないよ。きみの手が止まるのを待っていたら、夜が明けそうだ。そうなったら――」

 清春は、どこか痛む人のように微笑んで、佐江を見た。

「夜が明けたら、きみはもうおれのそばになんかいなくなる。これは今だけの夢だからな」

 異母妹の真乃《まの》が、いない時だけの夢。清春と佐江がお互いをだませる間だけの短い夢だ。
 清春は深いキスをしながら、カウチに横たえた佐江の身体にのしかかっていった。
 シャツをかき分け、喉元から鎖骨、胸元をながめる。

「きれいだな。くそ、この身体を自由にできる男がうらやましい」
「真乃《まの》は男じゃありませんよ」
「ああそうだった。真乃だ」

ああそうだ。このひとは、おれの異母妹に狂うような恋をしているんだ。

清春は佐江の背中に手を回し、ぱちんと下着のホックを外した。佐江の、小ぶりながら形のいい乳房があらわれた。

「ここに、さわったことはある?」
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

イケメンイクメン溺愛旦那様❤︎

鳴宮鶉子
恋愛
イケメンイクメン溺愛旦那様。毎日、家事に育児を率先してやってくれて、夜はわたしをいっぱい愛してくれる最高な旦那様❤︎

不埒な一級建築士と一夜を過ごしたら、溺愛が待っていました

入海月子
恋愛
有本瑞希 仕事に燃える設計士 27歳 × 黒瀬諒 飄々として軽い一級建築士 35歳 女たらしと嫌厭していた黒瀬と一緒に働くことになった瑞希。 彼の言動は軽いけど、腕は確かで、真摯な仕事ぶりに惹かれていく。 ある日、同僚のミスが発覚して――。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

お見合いから始まる冷徹社長からの甘い執愛 〜政略結婚なのに毎日熱烈に追いかけられてます〜

Adria
恋愛
仕事ばかりをしている娘の将来を案じた両親に泣かれて、うっかり頷いてしまった瑞希はお見合いに行かなければならなくなった。 渋々お見合いの席に行くと、そこにいたのは瑞希の勤め先の社長だった!? 合理的で無駄が嫌いという噂がある冷徹社長を前にして、瑞希は「冗談じゃない!」と、その場から逃亡―― だが、ひょんなことから彼に瑞希が自社の社員であることがバレてしまうと、彼は結婚前提の同棲を迫ってくる。 「君の未来をくれないか?」と求愛してくる彼の強引さに翻弄されながらも、瑞希は次第に溺れていき…… 《エブリスタ、ムーン、ベリカフェにも投稿しています》

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

処理中です...