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第1章「まず、キスから始めよう 」~佐江×清春 編
第20話「ここに、さわったことはある?」
しおりを挟む(UnsplashのRizky Sabriansyahが撮影)
ずくん、と清春の身体が激しく反応した。思わず、くそ、とつぶやく。
「きみ、自分の指でいったことはあるか?」
佐江はかぶりを振った。
「わかった」
清春は大きく息を吐いて、
「責任重大だが、やってみよう」
その言葉に、岡本佐江はきれいに書いた眉毛をわずかにひそめた。
「ごめんなさい、大変な事なのね。いいわ、キスだけで十分です」
「馬鹿いえ、なあ、さっきからおれがきみに襲いかからないように、自制心をフル稼働させているの、わかるか?」
「そうなの? じゃあ、やっぱり悪いわ。ここでもう終わりにしていい」
清春は、ぐいっと佐江を抱き寄せた。
「今さら引くなよ。おれももう、きみのなかにおれの指を入れたくてたまらなくなった」
そして、佐江に自分のシャツのボタンをはずすように命じた。
佐江があどけなく、聞く。
「シャツを脱ぐのは、自分でやるものなの? ほかの人もそう言うのかしら」
シャツのボタンがひとつずつはずれていくのを、清春は食い入るように見つめた。
全身が、沸騰しそうだ。
「他の男がどうするかなんて、もうどうだっていい。おれは今、きみ自身にシャツを脱いでほしいんだ」
「なぜです?」
「おれが、そそられるからさ」
しかし途中から清春は待ちきれなくなり、手を伸ばしてボタンをはずし始めた。佐江は驚いて声を上げる。
「あたしが、やるんじゃないんですか」
「待っていられないよ。きみの手が止まるのを待っていたら、夜が明けそうだ。そうなったら――」
清春は、どこか痛む人のように微笑んで、佐江を見た。
「夜が明けたら、きみはもうおれのそばになんかいなくなる。これは今だけの夢だからな」
異母妹の真乃《まの》が、いない時だけの夢。清春と佐江がお互いをだませる間だけの短い夢だ。
清春は深いキスをしながら、カウチに横たえた佐江の身体にのしかかっていった。
シャツをかき分け、喉元から鎖骨、胸元をながめる。
「きれいだな。くそ、この身体を自由にできる男がうらやましい」
「真乃《まの》は男じゃありませんよ」
「ああそうだった。真乃だ」
ああそうだ。このひとは、おれの異母妹に狂うような恋をしているんだ。
清春は佐江の背中に手を回し、ぱちんと下着のホックを外した。佐江の、小ぶりながら形のいい乳房があらわれた。
「ここに、さわったことはある?」
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