黄金の檻の高貴な囚人

せりもも

文字の大きさ
上 下
37 / 42
1848年ウィーン革命

亡命

しおりを挟む



 1830年。フランスに7月革命が起きた。
 ブルボン王朝のシャルル10世は、孫のアンリに譲位する為に退位すると宣した。だが、この旨記した書状を託した相手が悪かった。
 親戚のオルレアン公ルイ・フィリップに預けたのである。彼の兄、ルイ16世のギロチンに賛成票を投じたエガリテの、息子に。
 立法府議会でその手紙を読み上げたルイ・フィリップは、故意に、国王が、孫を王位継承者に指名した部分を省いた。









 3日間の混乱を制し、フランスに王制が戻った。王位に就いたのは、ルイ・フィリップオルレアン公だった。



(オルレアン公を称えるラ・ファイエット)




 ブルボン一家は、アメリカの定期船に乗せられ、行く先もわからぬまま、出港した。
 辿り着いたのは、イギリスだった。


 2年後。
 ブルボン家の亡命「王朝」は、王太子妃マリー・テレーズの母マリー・アントワネットの実家、オーストリアの保護を求めた。

 マリー・テレーズの従兄であるオーストリア皇帝は、フランスの亡命王朝を迎え入れた。
 一行は、プラハのフラドシン宮殿に居住を許された。


(オーストリア皇帝フランツ)


 1835年、オーストリア皇帝フランツが崩御した。新皇帝の戴冠式にフラドシン宮廷が用いられることになり、暫時、明け渡すことになった。

 これを機に、ブルボン家は、ゴリツィア(イタリア半島の東の付け根の町。この時代はオーストリア領)に居を移した。


 翌年、シャルル10世が亡くなった。
 ゴリツィアの、正統ブルボン家の家族は、マリー・テレーズとその夫、二人の姪ルイーズと甥アンリの4人だけになった。






しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

四代目 豊臣秀勝

克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。 読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。 史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。 秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。 小牧長久手で秀吉は勝てるのか? 朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか? 朝鮮征伐は行われるのか? 秀頼は生まれるのか。 秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?

ナポレオンの妊活・立会い出産・子育て

せりもも
歴史・時代
帝国の皇子に必要なのは、高貴なる青き血。40歳を過ぎた皇帝ナポレオンは、早急に子宮と結婚する必要があった。だがその前に、彼は、既婚者だった……。ローマ王(ナポレオン2世 ライヒシュタット公)の両親の結婚から、彼がウィーンへ幽閉されるまでを、史実に忠実に描きます。 カクヨムから、一部転載

旧式戦艦はつせ

古井論理
歴史・時代
真珠湾攻撃を行う前に機動艦隊が発見されてしまい、結果的に太平洋戦争を回避した日本であったが軍備は軍縮条約によって制限され、日本国に国名を変更し民主政治を取り入れたあとも締め付けが厳しい日々が続いている世界。東南アジアの元列強植民地が独立した大国・マカスネシア連邦と同盟を結んだ日本だが、果たして復権の日は来るのであろうか。ロマンと知略のIF戦記。

八重子糾・金昌寺悲話

四色美美
歴史・時代
第二次世界大戦時の夫婦の物語です。

大東亜戦争を有利に

ゆみすけ
歴史・時代
 日本は大東亜戦争に負けた、完敗であった。 そこから架空戦記なるものが増殖する。 しかしおもしろくない、つまらない。 であるから自分なりに無双日本軍を架空戦記に参戦させました。 主観満載のラノベ戦記ですから、ご感弁を

鷹の翼

那月
歴史・時代
時は江戸時代幕末。 新選組を目の敵にする、というほどでもないが日頃から敵対する1つの組織があった。 鷹の翼 これは、幕末を戦い抜いた新選組の史実とは全く関係ない鷹の翼との日々。 鷹の翼の日常。日課となっている嫌がらせ、思い出したかのようにやって来る不定期な新選組の奇襲、アホな理由で勃発する喧嘩騒動、町の騒ぎへの介入、それから恋愛事情。 そんな毎日を見届けた、とある少女のお話。 少女が鷹の翼の門扉を、めっちゃ叩いたその日から日常は一変。 新選組の屯所への侵入は失敗。鷹の翼に曲者疑惑。崩れる家族。鷹の翼崩壊の危機。そして―― 複雑な秘密を抱え隠す少女は、鷹の翼で何を見た? なお、本当に史実とは別次元の話なので容姿、性格、年齢、話の流れ等は完全オリジナルなのでそこはご了承ください。 よろしくお願いします。

猿の内政官 ~天下統一のお助けのお助け~

橋本洋一
歴史・時代
この世が乱れ、国同士が戦う、戦国乱世。 記憶を失くした優しいだけの少年、雲之介(くものすけ)と元今川家の陪々臣(ばいばいしん)で浪人の木下藤吉郎が出会い、二人は尾張の大うつけ、織田信長の元へと足を運ぶ。織田家に仕官した雲之介はやがて内政の才を発揮し、二人の主君にとって無くてはならぬ存在へとなる。 これは、優しさを武器に二人の主君を天下人へと導いた少年の物語 ※架空戦記です。史実で死ぬはずの人物が生存したり、歴史が早く進む可能性があります

織田信長IF… 天下統一再び!!

華瑠羅
歴史・時代
日本の歴史上最も有名な『本能寺の変』の当日から物語は足早に流れて行く展開です。 この作品は「もし」という概念で物語が進行していきます。 主人公【織田信長】が死んで、若返って蘇り再び活躍するという作品です。 ※この物語はフィクションです。

処理中です...