5 / 42
カール大公の恋
最愛のジョイア
しおりを挟む
引きこもって暮らしているカールの耳に、マリー・テレーズの夫、アングレーム公についての、様々な陰口が飛び込んできた。
妻を顧みないとか、もっと露骨に、身体的に満足させられないのだ、とか。
いくぶんかは、彼女にふられた形になっているカール大公への身びいきもあったろう。
マリー・テレーズがまだ、ウィーンにいた頃、フランス人のこの従兄弟は、彼女に殆ど、手紙をよこさなかった。たまに寄越しても、天気の話が大半だったと、例の秘密情報員が言いふらしていた。
マリー・テレーズと結婚してすぐ、アングレーム公は、ロシアの軍隊に参加した。彼は、新婦をほったらかし、亡命してきた祖国フランスとの戦いに明け暮れていた。
その後も、アングレーム公は、妻の傍らにいることは少なく、各地を転戦しているという。二人の間に、まだ、子はない。
……彼女は、幸せなのだろうか。
カールは訝しんだ。
自分なら、幸せにしてやれたのに、と身悶えする思いだった。少なくとも、アングレーム公よりは多く、彼女の傍らにいただろう。
だが、仕方のないことだった。
その資格がないから。
自分は、フランスに敗北したのだ。
かつてマリー・テレーズの両親と弟を殺し、彼女から青春時代を奪ったフランス、その人民の「王」を名乗る男を、自分は誅することができなかった……。
**
風向きが変わった。
ナポレオンはロシア遠征に失敗し、1813年、イギリス、オーストリア、ロシア、プロシアを初めとする大同盟軍に敗北した。
ナポレオンは、エルバ島に封じられた。
カールの姪、マリー・ルイーゼは、ナポレオンとの間に生まれた子どもを連れてウィーンに帰ってきた。
ウィーンの人々は、ミノタウロスの腕から生還した乙女を迎えるように、歓呼して、彼女を出迎えた。
フランス王には、ブルボン朝のルイ18世が、即位した。マリー・テレーズの叔父、彼女の夫の伯父だ。彼女の夫、アングレーム公は正式に王太子としてパリへ入城し、彼女は、王太子妃となった。
カールは、知っていた。マリー・テレーズは、両親の雪辱の為に、ブルボン家に嫁いだのだ。
ブルボン王朝の再興。
それこそが、彼女の悲願だった。ギロチンの犠牲となった、両親の尊厳を取り戻すのだ。
ルイ18世とマリー・テレーズのパリ入城は、怒涛のような、国民の歓呼に迎えられた。
馬車は、ブルボン家を象徴する百合の花で満たされていた。その中に、マリー・テレーズは、銀の葉模様を刺繍した白いガウンを着用して、座っていた。
国王はにこやかに手を振っていたが、マリー・テレーズは、終始、緊張して、しゃちこばっていた。着ていたガウンに、ひだ襟がついていたせいで、その青白くこわばった表情は、いかめしくさえ、集まった人々の目に映った。
「王太子妃は、堅苦しく、なんだかとても、苦しそうでした」
そんな報告が、ウィーンに齎された。
……貴女は今、幸せですか?
心の中で、カールは呼びかけた。
……私を置いて、フランスを選んだ貴女は、幸せになれたでしょうか。
**
それから1年もしないうちに、ナポレオンがエルバ島から脱出した。次第に兵を増やし、ついにパリに返り咲いた。
ルイ18世は、即座に、ブリュッセルへ逃亡した。
マリー・テレーズの夫アングレーム公は、ニームで反ナポレオン軍を組織した。
妻のマリー・テレーズは、親王派の多いボルドーに残り、強烈な反ナポレオンのキャンペーンを張った。
しかし、軍の将校初め、兵たちは、彼女に従わなかった。彼らは、同じフランス人と戦いたくなかった。
「いいえ。フランス人は、名誉を忠実に守ります。国王を裏切ったあなた方は、もはやフランス人ではありません。回れ右! 退がりなさい!」
彼女は命じた。
一方で、ボルドーの地元守備隊の国民衛兵らは、マリー・テレーズの味方だった。ガロンヌ川岸辺に集結した彼らは、ブルボン家の白い旗をはためかせ、彼女のため、王のために戦う決意を見せた。
正規軍の兵士たちは、背中を向けたというのに。
ナポレオン軍を川の向こうに挟み、マリー・テレーズは、無蓋の馬車に立った。敵の標的になる危険を犯しながら、言った。
「あなた方は素晴らしい名誉を示しました。貴重なその忠誠心は、とっておいて下さい。今、私はあなた方に、戦闘中止を命じます」
そしてマリー・テレーズは、フランスを離れ、イギリスへ渡った。
「彼女は、家族でただ一人の勇者だ!」
報告を受けたナポレオンは、そう言ったという。
(マリー・テレーズのボルドーへの到着)
……相変わらずやってるな。
カールは思った。
兄の差し出す書類にサインを拒んだ、彼女。
秘密警察の目を欺くために、レモンの汁で手紙を書いていた、彼女。
……少しも、変わっていない。
だが状況は、マリー・テレーズにとって、悪くなるばかりだった。
夫のアングレーム公が、ナポレオン軍の捕虜となったのだ。
幸い彼は無事で、妻に手紙を書いた。
その手紙で、アングレーム公は、妻のことを、「最愛のジョイア(イタリア語で喜び)」と呼んでいたという。
捕虜の手紙を監視するのは、どこの国でもやっていることだ。
アングレーム公の妻への呼び名をすっぱ抜いたのは、他ならぬナポレオンだった。
『若きウェルテルの悩み』が愛読書だというナポレオンは、ラシュタット会議で、スウェーデンのフェルゼン伯に、マリー・アントワネットとの関係を尋ねたこともあった。
他人の色恋沙汰に、ことさらに敏感な男だった。
……なんだ。幸せじゃないか。
アングレーム公が、愛情いっぱいの言葉で妻を呼んでいることは、カールには、衝撃だった。
だがそれは、いやなものではなかった。
……彼女は、とても幸せなんだ。
心の重荷がとれたような気が、カールはした。静かな開放感が、心を満たしていく。
マリー・テレーズは、夫に愛されている……。
**
どん!
何かがカールの脇腹にぶつかって止まった。
勢いで転びそうになった体を、危ういところで、カールは支えた。
フランツ。ナポレオンと、カールの姪、マリー・ルイーゼとの間に生まれた男の子だ。父の没落に伴い、母の実家であるウィーンの宮廷に連れてこられていた。
体温が高く柔らかい物体を、大公は、しげしげと眺めた。
……薄い金色の髪、青い目。身長は2フィート(約60センチ)もあるだろうか。子どもにしたら、しっかりした体つきをしている。少し、前歯の間が空いているな。でもこれは、すぐ生え変わるだろう。全体的にどことなく、ナポレオンと似ている。
掴まれた腕を、子どもは振り払おうとした。
子どもは、普段は、決して、カールに近づかなかった。
……カール大公は、ナポレオンに最初に黒星をつけた軍人である。
身の回りのフランス人従者の誰かから、その話を聞いたのだろう。
……頑固な性格は、父親とそっくりだな。
苦笑しながら、カールは、手を離した。
フランツは、父親が、大好きなのだ。
戦争に明け暮れ、戦地でしか生きられない男だというのに。
……子どもというものは、そういうものなのかな。
そこまで慕われる「父親」というものが、カールには、ちょっと、羨ましい気がした。
開け放たれたドアから、子どもは、弾丸のように、外へ飛び出していった。
生き生きと、太陽の下を走っていく。
とても嬉しそうに。楽しそうに。
……かわいいじゃないか。
反抗的な小さな子どもは、まるで命の塊のように、カールの目に映った。
「あっ、カール大公!」
玄関ホールへ走ってきた侍従が、息を切らせて立ち止まった。
「プ、プリンスをお見掛けになりませんでしたか?」
「外へ出ていったよ」
カールが答えると、侍従は、ぎりぎりと歯を噛み締めた。
「出し抜かれたっ! ぼ、帽子も被らず、上着も着ずに……。放っておくと、そのままのお姿で、街なかまで行ってしまわれるんです!」
「そういうことなら、早く追いかけたらどうだ?」
侍従は飛び上がって、再び走り出した。
小さなフランツは、生け垣の根本にいた。窓からカールが見ていると、子どもは、何の前触れもなく、ふっとしゃがみこんだ。
すぐそばを、侍従が慌てふためいて走り過ぎていく。
……うん。子どもを持つのも悪くない。
カールは思った。
**
1815年4月。
ナポレオンはワーテルローで大敗し、セントヘレナへ流された。
この年の9月。
カールは、ナッサウ=ヴァイルブルク侯の娘、ヘンリエッテと結婚した。彼女は、イギリスのジョージ2世の玄孫に当たる。
ナポレオンがフランツの父となったのは、42歳の時だ。
今なら、カールも間に合うだろう。
カール大公一家
※中央でカール大公に寄り添っているのは彼の娘、マリア・テレジア。妻は背後の彫像。この後の「幼い恋心」参照
fin
妻を顧みないとか、もっと露骨に、身体的に満足させられないのだ、とか。
いくぶんかは、彼女にふられた形になっているカール大公への身びいきもあったろう。
マリー・テレーズがまだ、ウィーンにいた頃、フランス人のこの従兄弟は、彼女に殆ど、手紙をよこさなかった。たまに寄越しても、天気の話が大半だったと、例の秘密情報員が言いふらしていた。
マリー・テレーズと結婚してすぐ、アングレーム公は、ロシアの軍隊に参加した。彼は、新婦をほったらかし、亡命してきた祖国フランスとの戦いに明け暮れていた。
その後も、アングレーム公は、妻の傍らにいることは少なく、各地を転戦しているという。二人の間に、まだ、子はない。
……彼女は、幸せなのだろうか。
カールは訝しんだ。
自分なら、幸せにしてやれたのに、と身悶えする思いだった。少なくとも、アングレーム公よりは多く、彼女の傍らにいただろう。
だが、仕方のないことだった。
その資格がないから。
自分は、フランスに敗北したのだ。
かつてマリー・テレーズの両親と弟を殺し、彼女から青春時代を奪ったフランス、その人民の「王」を名乗る男を、自分は誅することができなかった……。
**
風向きが変わった。
ナポレオンはロシア遠征に失敗し、1813年、イギリス、オーストリア、ロシア、プロシアを初めとする大同盟軍に敗北した。
ナポレオンは、エルバ島に封じられた。
カールの姪、マリー・ルイーゼは、ナポレオンとの間に生まれた子どもを連れてウィーンに帰ってきた。
ウィーンの人々は、ミノタウロスの腕から生還した乙女を迎えるように、歓呼して、彼女を出迎えた。
フランス王には、ブルボン朝のルイ18世が、即位した。マリー・テレーズの叔父、彼女の夫の伯父だ。彼女の夫、アングレーム公は正式に王太子としてパリへ入城し、彼女は、王太子妃となった。
カールは、知っていた。マリー・テレーズは、両親の雪辱の為に、ブルボン家に嫁いだのだ。
ブルボン王朝の再興。
それこそが、彼女の悲願だった。ギロチンの犠牲となった、両親の尊厳を取り戻すのだ。
ルイ18世とマリー・テレーズのパリ入城は、怒涛のような、国民の歓呼に迎えられた。
馬車は、ブルボン家を象徴する百合の花で満たされていた。その中に、マリー・テレーズは、銀の葉模様を刺繍した白いガウンを着用して、座っていた。
国王はにこやかに手を振っていたが、マリー・テレーズは、終始、緊張して、しゃちこばっていた。着ていたガウンに、ひだ襟がついていたせいで、その青白くこわばった表情は、いかめしくさえ、集まった人々の目に映った。
「王太子妃は、堅苦しく、なんだかとても、苦しそうでした」
そんな報告が、ウィーンに齎された。
……貴女は今、幸せですか?
心の中で、カールは呼びかけた。
……私を置いて、フランスを選んだ貴女は、幸せになれたでしょうか。
**
それから1年もしないうちに、ナポレオンがエルバ島から脱出した。次第に兵を増やし、ついにパリに返り咲いた。
ルイ18世は、即座に、ブリュッセルへ逃亡した。
マリー・テレーズの夫アングレーム公は、ニームで反ナポレオン軍を組織した。
妻のマリー・テレーズは、親王派の多いボルドーに残り、強烈な反ナポレオンのキャンペーンを張った。
しかし、軍の将校初め、兵たちは、彼女に従わなかった。彼らは、同じフランス人と戦いたくなかった。
「いいえ。フランス人は、名誉を忠実に守ります。国王を裏切ったあなた方は、もはやフランス人ではありません。回れ右! 退がりなさい!」
彼女は命じた。
一方で、ボルドーの地元守備隊の国民衛兵らは、マリー・テレーズの味方だった。ガロンヌ川岸辺に集結した彼らは、ブルボン家の白い旗をはためかせ、彼女のため、王のために戦う決意を見せた。
正規軍の兵士たちは、背中を向けたというのに。
ナポレオン軍を川の向こうに挟み、マリー・テレーズは、無蓋の馬車に立った。敵の標的になる危険を犯しながら、言った。
「あなた方は素晴らしい名誉を示しました。貴重なその忠誠心は、とっておいて下さい。今、私はあなた方に、戦闘中止を命じます」
そしてマリー・テレーズは、フランスを離れ、イギリスへ渡った。
「彼女は、家族でただ一人の勇者だ!」
報告を受けたナポレオンは、そう言ったという。
(マリー・テレーズのボルドーへの到着)
……相変わらずやってるな。
カールは思った。
兄の差し出す書類にサインを拒んだ、彼女。
秘密警察の目を欺くために、レモンの汁で手紙を書いていた、彼女。
……少しも、変わっていない。
だが状況は、マリー・テレーズにとって、悪くなるばかりだった。
夫のアングレーム公が、ナポレオン軍の捕虜となったのだ。
幸い彼は無事で、妻に手紙を書いた。
その手紙で、アングレーム公は、妻のことを、「最愛のジョイア(イタリア語で喜び)」と呼んでいたという。
捕虜の手紙を監視するのは、どこの国でもやっていることだ。
アングレーム公の妻への呼び名をすっぱ抜いたのは、他ならぬナポレオンだった。
『若きウェルテルの悩み』が愛読書だというナポレオンは、ラシュタット会議で、スウェーデンのフェルゼン伯に、マリー・アントワネットとの関係を尋ねたこともあった。
他人の色恋沙汰に、ことさらに敏感な男だった。
……なんだ。幸せじゃないか。
アングレーム公が、愛情いっぱいの言葉で妻を呼んでいることは、カールには、衝撃だった。
だがそれは、いやなものではなかった。
……彼女は、とても幸せなんだ。
心の重荷がとれたような気が、カールはした。静かな開放感が、心を満たしていく。
マリー・テレーズは、夫に愛されている……。
**
どん!
何かがカールの脇腹にぶつかって止まった。
勢いで転びそうになった体を、危ういところで、カールは支えた。
フランツ。ナポレオンと、カールの姪、マリー・ルイーゼとの間に生まれた男の子だ。父の没落に伴い、母の実家であるウィーンの宮廷に連れてこられていた。
体温が高く柔らかい物体を、大公は、しげしげと眺めた。
……薄い金色の髪、青い目。身長は2フィート(約60センチ)もあるだろうか。子どもにしたら、しっかりした体つきをしている。少し、前歯の間が空いているな。でもこれは、すぐ生え変わるだろう。全体的にどことなく、ナポレオンと似ている。
掴まれた腕を、子どもは振り払おうとした。
子どもは、普段は、決して、カールに近づかなかった。
……カール大公は、ナポレオンに最初に黒星をつけた軍人である。
身の回りのフランス人従者の誰かから、その話を聞いたのだろう。
……頑固な性格は、父親とそっくりだな。
苦笑しながら、カールは、手を離した。
フランツは、父親が、大好きなのだ。
戦争に明け暮れ、戦地でしか生きられない男だというのに。
……子どもというものは、そういうものなのかな。
そこまで慕われる「父親」というものが、カールには、ちょっと、羨ましい気がした。
開け放たれたドアから、子どもは、弾丸のように、外へ飛び出していった。
生き生きと、太陽の下を走っていく。
とても嬉しそうに。楽しそうに。
……かわいいじゃないか。
反抗的な小さな子どもは、まるで命の塊のように、カールの目に映った。
「あっ、カール大公!」
玄関ホールへ走ってきた侍従が、息を切らせて立ち止まった。
「プ、プリンスをお見掛けになりませんでしたか?」
「外へ出ていったよ」
カールが答えると、侍従は、ぎりぎりと歯を噛み締めた。
「出し抜かれたっ! ぼ、帽子も被らず、上着も着ずに……。放っておくと、そのままのお姿で、街なかまで行ってしまわれるんです!」
「そういうことなら、早く追いかけたらどうだ?」
侍従は飛び上がって、再び走り出した。
小さなフランツは、生け垣の根本にいた。窓からカールが見ていると、子どもは、何の前触れもなく、ふっとしゃがみこんだ。
すぐそばを、侍従が慌てふためいて走り過ぎていく。
……うん。子どもを持つのも悪くない。
カールは思った。
**
1815年4月。
ナポレオンはワーテルローで大敗し、セントヘレナへ流された。
この年の9月。
カールは、ナッサウ=ヴァイルブルク侯の娘、ヘンリエッテと結婚した。彼女は、イギリスのジョージ2世の玄孫に当たる。
ナポレオンがフランツの父となったのは、42歳の時だ。
今なら、カールも間に合うだろう。
カール大公一家
※中央でカール大公に寄り添っているのは彼の娘、マリア・テレジア。妻は背後の彫像。この後の「幼い恋心」参照
fin
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
ナポレオンの妊活・立会い出産・子育て
せりもも
歴史・時代
帝国の皇子に必要なのは、高貴なる青き血。40歳を過ぎた皇帝ナポレオンは、早急に子宮と結婚する必要があった。だがその前に、彼は、既婚者だった……。ローマ王(ナポレオン2世 ライヒシュタット公)の両親の結婚から、彼がウィーンへ幽閉されるまでを、史実に忠実に描きます。
カクヨムから、一部転載
陣代『諏訪勝頼』――御旗盾無、御照覧あれ!――
黒鯛の刺身♪
歴史・時代
戦国の巨獣と恐れられた『武田信玄』の実質的後継者である『諏訪勝頼』。
一般には武田勝頼と記されることが多い。
……が、しかし、彼は正統な後継者ではなかった。
信玄の遺言に寄れば、正式な後継者は信玄の孫とあった。
つまり勝頼の子である信勝が後継者であり、勝頼は陣代。
一介の後見人の立場でしかない。
織田信長や徳川家康ら稀代の英雄たちと戦うのに、正式な当主と成れず、一介の後見人として戦わねばならなかった諏訪勝頼。
……これは、そんな悲運の名将のお話である。
【画像引用】……諏訪勝頼・高野山持明院蔵
【注意】……武田贔屓のお話です。
所説あります。
あくまでも一つのお話としてお楽しみください。
勝利か死か Vaincre ou mourir
せりもも
歴史・時代
マレンゴでナポレオン軍を救い、戦死したドゥゼ。彼は、高潔に生き、革命軍として戦った。一方で彼の親族は、ほぼすべて王党派であり、彼の敵に回った。
ドゥゼの迷いと献身を、副官のジャン・ラップの目線で描く。「1798年エジプト・セディマンの戦い」、「エジプトへの出航準備」、さらに3年前の「1795年上アルザスでの戦闘」と、遡って語っていく。
NOVEL DAYS掲載の2000字小説を改稿した、短編小説です
独裁者・武田信玄
いずもカリーシ
歴史・時代
歴史の本とは別の視点で武田信玄という人間を描きます!
平和な時代に、戦争の素人が娯楽[エンターテイメント]の一貫で歴史の本を書いたことで、歴史はただ暗記するだけの詰まらないものと化してしまいました。
『事実は小説よりも奇なり』
この言葉の通り、事実の方が好奇心をそそるものであるのに……
歴史の本が単純で薄い内容であるせいで、フィクションの方が面白く、深い内容になっていることが残念でなりません。
過去の出来事ではありますが、独裁国家が民主国家を数で上回り、戦争が相次いで起こる『現代』だからこそ、この歴史物語はどこかに通じるものがあるかもしれません。
【第壱章 独裁者への階段】 国を一つにできない弱く愚かな支配者は、必ず滅ぶのが戦国乱世の習い
【第弐章 川中島合戦】 戦争の勝利に必要な条件は第一に補給、第二に地形
【第参章 戦いの黒幕】 人の持つ欲を煽って争いの種を撒き、愚かな者を操って戦争へと発展させる武器商人
【第肆章 織田信長の愛娘】 人間の生きる価値は、誰かの役に立つ生き方のみにこそある
【最終章 西上作戦】 人々を一つにするには、敵が絶対に必要である
この小説は『大罪人の娘』を補完するものでもあります。
(前編が執筆終了していますが、後編の執筆に向けて修正中です)
大日本帝国領ハワイから始まる太平洋戦争〜真珠湾攻撃?そんなの知りません!〜
雨宮 徹
歴史・時代
1898年アメリカはスペインと戦争に敗れる。本来、アメリカが支配下に置くはずだったハワイを、大日本帝国は手中に収めることに成功する。
そして、時は1941年。太平洋戦争が始まると、大日本帝国はハワイを起点に太平洋全域への攻撃を開始する。
これは、史実とは異なる太平洋戦争の物語。
主要登場人物……山本五十六、南雲忠一、井上成美
※歴史考証は皆無です。中には現実性のない作戦もあります。ぶっ飛んだ物語をお楽しみください。
※根本から史実と異なるため、艦隊の動き、編成などは史実と大きく異なります。
※歴史初心者にも分かりやすいように、言葉などを現代風にしています。
旧式戦艦はつせ
古井論理
歴史・時代
真珠湾攻撃を行う前に機動艦隊が発見されてしまい、結果的に太平洋戦争を回避した日本であったが軍備は軍縮条約によって制限され、日本国に国名を変更し民主政治を取り入れたあとも締め付けが厳しい日々が続いている世界。東南アジアの元列強植民地が独立した大国・マカスネシア連邦と同盟を結んだ日本だが、果たして復権の日は来るのであろうか。ロマンと知略のIF戦記。
幕府海軍戦艦大和
みらいつりびと
歴史・時代
IF歴史SF短編です。全3話。
ときに西暦1853年、江戸湾にぽんぽんぽんと蒸気機関を響かせて黒船が来航したが、徳川幕府はそんなものへっちゃらだった。征夷大将軍徳川家定は余裕綽々としていた。
「大和に迎撃させよ!」と命令した。
戦艦大和が横須賀基地から出撃し、46センチ三連装砲を黒船に向けた……。
猿の内政官 ~天下統一のお助けのお助け~
橋本洋一
歴史・時代
この世が乱れ、国同士が戦う、戦国乱世。
記憶を失くした優しいだけの少年、雲之介(くものすけ)と元今川家の陪々臣(ばいばいしん)で浪人の木下藤吉郎が出会い、二人は尾張の大うつけ、織田信長の元へと足を運ぶ。織田家に仕官した雲之介はやがて内政の才を発揮し、二人の主君にとって無くてはならぬ存在へとなる。
これは、優しさを武器に二人の主君を天下人へと導いた少年の物語
※架空戦記です。史実で死ぬはずの人物が生存したり、歴史が早く進む可能性があります
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる