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幼少 ―初めての王都―
第69話 特別の境界線
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「「クルルルル~~!」」
無数の葉が陽光を遮り、暗がりをつくる大樹の下。
仲良く体をすり寄せて寝っ転がっていた2体の竜が何かに気づき首をもたげ、鳴く。どこか嬉しそうだ。
「っと……」
俺はそんな2体の騎竜――ロタリオとナディアの愛竜が寝転がる大樹の下から少し離れた場所でロタリオによって降ろされた。隣にはロタリオ――ではなくナディアによって降ろされたリア姉がいて、後ろにはいつの間にか走竜から降りていたミラとハッツェンが。
「「少々お待ちください」」
そう言ってロタリオとナディアが自らの愛竜に近寄って行った。多分、今からあの二人に触られるだろうけど我慢してね~的なことを言っているのだろう。
人間の言葉を理解できるほどの知能を持つ騎竜にしかできないお願いだな。
「綺麗ね…」
「…うん」
待っている間、リア姉と俺の会話はそれだけだった。
会話に割く労力さえ惜しいと思えるほど目の前に横たわる2体の竜は美しかったからだ。
紺色よりももっと薄い、どちらかといえば水色に近い色の大きな体躯は艶のある鱗に覆われ、大空をどこまでも自由にかつ大胆に駆けていけそうな翼と胴体と同じくらいに長い尻尾は先端にかけて色が薄くなっている。
個体差のためか走竜の上で見た水場の騎竜と全体的な色の違いはあるものの、身体の部位一つ一つの質感やグラデーションなど、すべてがよりくっきりと鮮やかに見える。
(近くで見るとこんなにも違って見えるのか…)
ロタリオとナディアには感謝しかない。
―――騎竜に近くこと、触れることを許されるのは一握りの特別な人間だけ。これはこの世界における常識の一つであり、変わることのない常識の一つである。
俺《特別でない者》がここまで騎竜に近づけるわけないのだ。触れるなんて逆立ちしても無理だろう。
あぁロタリオ様ナディア様、と心の中で手をすり合わせていると自分たちの愛竜と話が終わったのか二人がこちらへ、と目線で招いてきた。
―――本来であれば超えられない一線。騎竜に選ばれることのない俺一人では超えることのできない境界線———
「アル、行くわよ」
「……うん」
それを乗り越え2体の騎竜に近づく。段々と近づいていく。
そして騎竜のもとにたどり着き見上げる。
(うわぁぁぁ、すげぇぇぇ……すげぇぇぇ)
憧れを目の前にした少年のようにただただすげぇ、すげぇと心の中で繰り返す。
そんな俺とは違い、通常運転のリア姉は残り少ない時間を有意義なものにすべく行動する。
「触ってみてもいいかしら?」
「「もちろんです」」
「アルテュール、あなたも触らせてもらいなさい」
「……はい、姉上。…ロタリオ、ナディア、いいか?」
「「もちろんです」」
(マジ一生ついていきます姉上)
俺が踏み出せないような一歩を次々と踏み出し、手を引いてくれるリア姉とそれを許してくれる二人《ロタリオとナディア》に感謝しながら恐る恐る、場違いなお前誰だ?と不機嫌そうな視線を向ける騎竜たちに近づく。
もちろんその視線をくらっているのは俺だけだ。リア姉には一切向けられていない。まったくの逆であるウェルカムといった視線を向けられていた。
そして二人は最大限近づいたところで手を同時に突き出す。
―――ピトッ
―――ピトッ
(おぉ~…)
硬く武骨な、まるで機械を触っているかのような感触。
しかし、わずかに感じられる温かみが今触っているのは機械じゃない、生き物だと教えてくれる。
「グルルルルㇽ……」
威嚇のこもった音が上から降り注いでいるのに気が付き見上げるとリア姉に触られた騎竜《ナディアの愛竜》は嬉しそうに、俺に触れられた騎竜《ロタリオの愛竜》は嫌悪混じりの不機嫌な顔をしているのが見えた。
(そこまで嫌がらなくてもいいじゃないか…)
それでも攻撃してこないのは、攻撃すれば確実に自分の相棒が不幸な目に合うとわかっているからだろう。賢いなこの野郎。
ただこのくらいの視線で俺の中にある竜への憧れは消えたりしない。
上から降り注ぐ嫌悪の視線にさらされながらも今しか味わえない喜びを堪能するため、手を引っ込めずに撫で始める。
さわさわさわさわ―――「グルルルルㇽ……!」
時間が経てば経つほど強まる嫌悪の視線。
ロタリオとナディアが騎竜の不機嫌に気づき何とかしようと努力するそぶりを見せる。
まさかあのヴァンティエール家の長男が騎竜に認められないなんて思いもしなかったのだろう。
(ごめんて…。)
心の中でロタリオとナディア、そして騎竜に一言謝り、もう十分だと触れている手を放そうとした―――その時。俺の隣で同じように騎竜を撫でていたリア姉が手を止め、ぽつりとつぶやいた。
「―――……あなた何様のつもり?」
(―――!)
小さな声、しかし圧の籠った声だった。
びりびりと肌に緊張が伝わってくる。
リア姉は怒っていた。
矛先は俺ではなく騎竜だ。俺に対する騎竜の視線に我慢できなくなったのだろう。
「グルッ―――――!クゥゥゥゥン…」
直後、騎竜の様子がおかしくなり、俺はさんざん騎竜から向けられていた嫌悪の視線がなくなっていることに気づく。
―――完全におびえていた。
「…」
「…」
「…」
「…」
「クゥゥゥゥン…」
「……クルル」
雰囲気最悪の大樹の真下。
誰も悪くない。
が、それでも犯人探しをするのなら犯人は俺になるだろう。
(俺が騎竜の視線に耐えて手を引っ込める素振りを見せなければリア姉も…いや、やはり特別じゃない人間が境界線を跨いだのがいけなかったのか……っていうかこの後どうやってこの雰囲気回復させよう…)
誰もがこの雰囲気どうしようと打開策を模索する中、そこに何も知らないハッツェンが後ろからやってきて「アルテュール様、お時間でございます」と最高の助け舟を出してくれた。
「ハッツェン…」
「いかがなされましたか?」
「…あとでお菓子あげる」
「へっ?」
突然の主《俺》の奇行。戸惑いが隠せない侍女《ハッツェン》。
後で何が起きたのかを説明してあげよう。
ハッツェンから目を切り、未だどうやってこの見学会を切り上げようかと考えているロタリオの方を向く。
「―――ロタリオ」
「…はい。何でしょうかアルテュール様」
申し訳なさいっぱいの顔で俺を見るロタリオ。そんな目で見ないでほしい、惨めになるじゃないか。
「どうやら時間が来てしまったようだ。すまないが至急、走竜で騎士団本部の方へ送ってくれないか?」
「!―――畏まりました」
「……本当にすまない」
次にナディアのほうを見る。
「―――ナディア」
「…はい」
「姉上を本部まで送ってくれ。彼女もこの後の昼食会に呼ばれているんだ」
「畏まりました」
騎竜に対してぽつりとつぶやいて以降、顔をうつ向かせたままのリア姉。彼女もロドヴィコおじ様とお偉いさんの昼食に御呼ばれしているのでこのまま放っとくわけにはいかない。
ナディアに連れられて走竜に乗る直前、リア姉はこちらを見て何か言いたそうな顔をしていたが俺はあえて無視して走竜に乗せてもらう。
「…出発いたします」
「頼んだ」
トンッとロタリオが走竜の横っ腹をたたく音が聞こえる。
行きとは違い、帰りの走竜の旅はそれはもう静かなものだった。
無数の葉が陽光を遮り、暗がりをつくる大樹の下。
仲良く体をすり寄せて寝っ転がっていた2体の竜が何かに気づき首をもたげ、鳴く。どこか嬉しそうだ。
「っと……」
俺はそんな2体の騎竜――ロタリオとナディアの愛竜が寝転がる大樹の下から少し離れた場所でロタリオによって降ろされた。隣にはロタリオ――ではなくナディアによって降ろされたリア姉がいて、後ろにはいつの間にか走竜から降りていたミラとハッツェンが。
「「少々お待ちください」」
そう言ってロタリオとナディアが自らの愛竜に近寄って行った。多分、今からあの二人に触られるだろうけど我慢してね~的なことを言っているのだろう。
人間の言葉を理解できるほどの知能を持つ騎竜にしかできないお願いだな。
「綺麗ね…」
「…うん」
待っている間、リア姉と俺の会話はそれだけだった。
会話に割く労力さえ惜しいと思えるほど目の前に横たわる2体の竜は美しかったからだ。
紺色よりももっと薄い、どちらかといえば水色に近い色の大きな体躯は艶のある鱗に覆われ、大空をどこまでも自由にかつ大胆に駆けていけそうな翼と胴体と同じくらいに長い尻尾は先端にかけて色が薄くなっている。
個体差のためか走竜の上で見た水場の騎竜と全体的な色の違いはあるものの、身体の部位一つ一つの質感やグラデーションなど、すべてがよりくっきりと鮮やかに見える。
(近くで見るとこんなにも違って見えるのか…)
ロタリオとナディアには感謝しかない。
―――騎竜に近くこと、触れることを許されるのは一握りの特別な人間だけ。これはこの世界における常識の一つであり、変わることのない常識の一つである。
俺《特別でない者》がここまで騎竜に近づけるわけないのだ。触れるなんて逆立ちしても無理だろう。
あぁロタリオ様ナディア様、と心の中で手をすり合わせていると自分たちの愛竜と話が終わったのか二人がこちらへ、と目線で招いてきた。
―――本来であれば超えられない一線。騎竜に選ばれることのない俺一人では超えることのできない境界線———
「アル、行くわよ」
「……うん」
それを乗り越え2体の騎竜に近づく。段々と近づいていく。
そして騎竜のもとにたどり着き見上げる。
(うわぁぁぁ、すげぇぇぇ……すげぇぇぇ)
憧れを目の前にした少年のようにただただすげぇ、すげぇと心の中で繰り返す。
そんな俺とは違い、通常運転のリア姉は残り少ない時間を有意義なものにすべく行動する。
「触ってみてもいいかしら?」
「「もちろんです」」
「アルテュール、あなたも触らせてもらいなさい」
「……はい、姉上。…ロタリオ、ナディア、いいか?」
「「もちろんです」」
(マジ一生ついていきます姉上)
俺が踏み出せないような一歩を次々と踏み出し、手を引いてくれるリア姉とそれを許してくれる二人《ロタリオとナディア》に感謝しながら恐る恐る、場違いなお前誰だ?と不機嫌そうな視線を向ける騎竜たちに近づく。
もちろんその視線をくらっているのは俺だけだ。リア姉には一切向けられていない。まったくの逆であるウェルカムといった視線を向けられていた。
そして二人は最大限近づいたところで手を同時に突き出す。
―――ピトッ
―――ピトッ
(おぉ~…)
硬く武骨な、まるで機械を触っているかのような感触。
しかし、わずかに感じられる温かみが今触っているのは機械じゃない、生き物だと教えてくれる。
「グルルルルㇽ……」
威嚇のこもった音が上から降り注いでいるのに気が付き見上げるとリア姉に触られた騎竜《ナディアの愛竜》は嬉しそうに、俺に触れられた騎竜《ロタリオの愛竜》は嫌悪混じりの不機嫌な顔をしているのが見えた。
(そこまで嫌がらなくてもいいじゃないか…)
それでも攻撃してこないのは、攻撃すれば確実に自分の相棒が不幸な目に合うとわかっているからだろう。賢いなこの野郎。
ただこのくらいの視線で俺の中にある竜への憧れは消えたりしない。
上から降り注ぐ嫌悪の視線にさらされながらも今しか味わえない喜びを堪能するため、手を引っ込めずに撫で始める。
さわさわさわさわ―――「グルルルルㇽ……!」
時間が経てば経つほど強まる嫌悪の視線。
ロタリオとナディアが騎竜の不機嫌に気づき何とかしようと努力するそぶりを見せる。
まさかあのヴァンティエール家の長男が騎竜に認められないなんて思いもしなかったのだろう。
(ごめんて…。)
心の中でロタリオとナディア、そして騎竜に一言謝り、もう十分だと触れている手を放そうとした―――その時。俺の隣で同じように騎竜を撫でていたリア姉が手を止め、ぽつりとつぶやいた。
「―――……あなた何様のつもり?」
(―――!)
小さな声、しかし圧の籠った声だった。
びりびりと肌に緊張が伝わってくる。
リア姉は怒っていた。
矛先は俺ではなく騎竜だ。俺に対する騎竜の視線に我慢できなくなったのだろう。
「グルッ―――――!クゥゥゥゥン…」
直後、騎竜の様子がおかしくなり、俺はさんざん騎竜から向けられていた嫌悪の視線がなくなっていることに気づく。
―――完全におびえていた。
「…」
「…」
「…」
「…」
「クゥゥゥゥン…」
「……クルル」
雰囲気最悪の大樹の真下。
誰も悪くない。
が、それでも犯人探しをするのなら犯人は俺になるだろう。
(俺が騎竜の視線に耐えて手を引っ込める素振りを見せなければリア姉も…いや、やはり特別じゃない人間が境界線を跨いだのがいけなかったのか……っていうかこの後どうやってこの雰囲気回復させよう…)
誰もがこの雰囲気どうしようと打開策を模索する中、そこに何も知らないハッツェンが後ろからやってきて「アルテュール様、お時間でございます」と最高の助け舟を出してくれた。
「ハッツェン…」
「いかがなされましたか?」
「…あとでお菓子あげる」
「へっ?」
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後で何が起きたのかを説明してあげよう。
ハッツェンから目を切り、未だどうやってこの見学会を切り上げようかと考えているロタリオの方を向く。
「―――ロタリオ」
「…はい。何でしょうかアルテュール様」
申し訳なさいっぱいの顔で俺を見るロタリオ。そんな目で見ないでほしい、惨めになるじゃないか。
「どうやら時間が来てしまったようだ。すまないが至急、走竜で騎士団本部の方へ送ってくれないか?」
「!―――畏まりました」
「……本当にすまない」
次にナディアのほうを見る。
「―――ナディア」
「…はい」
「姉上を本部まで送ってくれ。彼女もこの後の昼食会に呼ばれているんだ」
「畏まりました」
騎竜に対してぽつりとつぶやいて以降、顔をうつ向かせたままのリア姉。彼女もロドヴィコおじ様とお偉いさんの昼食に御呼ばれしているのでこのまま放っとくわけにはいかない。
ナディアに連れられて走竜に乗る直前、リア姉はこちらを見て何か言いたそうな顔をしていたが俺はあえて無視して走竜に乗せてもらう。
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