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最終章
「また会えたなら」
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ピッ…ピッ…ピッ…。
目を開けると知らない天井。あ…、ここは病院か…。
規則正しく病院のベッドサイトモニターが音を鳴らしている。
………ん?病院…?
僕は思わず身を起こした。するとその途端、体中に激痛が走る。
「うっ………!!」
え……、僕なんで生きてるの……?
そんな事を考えていると、ガラガラとドアが開く音がした。
「あ…、梨仁君!目が覚めたんだね」
「え、えぇっと………」
「あぁ、ごめんごめん。俺は城羽結生、医者だよ」
「しろ…ばねさん……?医者……」
「目が覚めたばかりで混乱してるよね。じゃあ、少しずつ今の状況を説明していくから聞いていてね」
僕はあの日……学校から飛び降りた日から、一ヶ月間生死を彷徨っていたそうだ。
救急車で運ばれるときにはもう僕の心臓は止まっていて、もう助からないと思ったら僅かに心臓が動いたらしい。
確かに…、眠っている間夢を見た。それは彼女が出てくる夢。森に一人で泣いていた。
夢の中で、どんなに声をかけても君は気づかなかった。しょうがないよね…、夢…なんだから。
でも、それよりも気になる事がある。
「あのっ…!」
「どうしたんだい?梨仁君」
「僕が運ばれた時って…、僕以外の血がついてませんでしたか?」
僕はあの日、大量の血を流す彼女に近寄ったから、彼女の血がたくさんついていたはずだ。
「いや…?君以外の血なんてついてなかったよ…?」
「え……、なら大丈夫です。気にしないで下さい」
「そう?じゃあ少し呼ばれているからまたね」
「はい…」
……なんで…?あれは夢だったのか?君は死んでいなかった?
でも……君のあの生温かい血の温もりを今でも鮮明に覚えてる。あれが夢のはずがない。
じゃあなんで、僕に君の血がついていなかったんだ…?
でも、もし…彼女が死んでいないなら、またいつものように話したい。笑い合いたい。
また会えたなら………君に好きだと伝えたい。
目を開けると知らない天井。あ…、ここは病院か…。
規則正しく病院のベッドサイトモニターが音を鳴らしている。
………ん?病院…?
僕は思わず身を起こした。するとその途端、体中に激痛が走る。
「うっ………!!」
え……、僕なんで生きてるの……?
そんな事を考えていると、ガラガラとドアが開く音がした。
「あ…、梨仁君!目が覚めたんだね」
「え、えぇっと………」
「あぁ、ごめんごめん。俺は城羽結生、医者だよ」
「しろ…ばねさん……?医者……」
「目が覚めたばかりで混乱してるよね。じゃあ、少しずつ今の状況を説明していくから聞いていてね」
僕はあの日……学校から飛び降りた日から、一ヶ月間生死を彷徨っていたそうだ。
救急車で運ばれるときにはもう僕の心臓は止まっていて、もう助からないと思ったら僅かに心臓が動いたらしい。
確かに…、眠っている間夢を見た。それは彼女が出てくる夢。森に一人で泣いていた。
夢の中で、どんなに声をかけても君は気づかなかった。しょうがないよね…、夢…なんだから。
でも、それよりも気になる事がある。
「あのっ…!」
「どうしたんだい?梨仁君」
「僕が運ばれた時って…、僕以外の血がついてませんでしたか?」
僕はあの日、大量の血を流す彼女に近寄ったから、彼女の血がたくさんついていたはずだ。
「いや…?君以外の血なんてついてなかったよ…?」
「え……、なら大丈夫です。気にしないで下さい」
「そう?じゃあ少し呼ばれているからまたね」
「はい…」
……なんで…?あれは夢だったのか?君は死んでいなかった?
でも……君のあの生温かい血の温もりを今でも鮮明に覚えてる。あれが夢のはずがない。
じゃあなんで、僕に君の血がついていなかったんだ…?
でも、もし…彼女が死んでいないなら、またいつものように話したい。笑い合いたい。
また会えたなら………君に好きだと伝えたい。
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