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ピエロのびっくりばこ
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昔買ってもらった、ピエロのびっくりばこ。
ボタンを押すと、ポンッとふたが開いて、ピエロが飛び出してくる。
一緒に遊ぼう!一緒に遊ぼう!
何回も、高い声で話してくる。
「遊ばないよ」
そっとピエロを戻して、蓋を閉める。
僕はこのびっくりばこが苦手。
ピエロの顔が、こわくて。
ニカッと開いた大きな口で笑った顔が、こわくて。
ボタンを押す時、いつもドキドキする。
一緒に遊ぼう!一緒に遊ぼう!
ボタンを押しては、こわくなって、いつも泣いていた。
だから、押し入れの奥にしまって、このおもちゃとは遊ばなくなった。
夜中、部屋から物音がして目が覚めた。
…に…ぼ……う……
声が聞こえる。
いっ……し…そぼ……
見渡しても、誰もいない。
いっ…に……あそ……う……
あっ。押し入れの中からだ。
一緒に……遊ぼう……
高い声が、まだ聞こえる。
押し入れを開けると、声が大きくなる。
一緒に遊ぼ……う…
押し入れを漁って、見つけた。
ピエロのびっくりばこ。
僕が手に持つと、高い声は止んだ。
なんだ…と思って、またしまった。
すると、また、
一緒に遊ぼう……一緒に遊ぼう……
と、かすれた高い声が聞こえてくる。
このままじゃ寝れないと、もう一度手に取って、
恐る恐るボタンを押した。
一緒に遊ぼう!
一緒に遊ぼう!
1番大きい声で叫び、ニッコリ嬉しそうな笑顔で飛び出し、長い腕で素早く僕を捕まえた。
一緒に遊ぼう!
一緒に遊ぼう!
ピエロはそっと蓋を閉めた。
箱の中から聞こえる叫び声と、壁を激しく叩く音、一緒に遊ぼう!という高い声が、静かな夜をかき消しました。
ボタンを押すと、ポンッとふたが開いて、ピエロが飛び出してくる。
一緒に遊ぼう!一緒に遊ぼう!
何回も、高い声で話してくる。
「遊ばないよ」
そっとピエロを戻して、蓋を閉める。
僕はこのびっくりばこが苦手。
ピエロの顔が、こわくて。
ニカッと開いた大きな口で笑った顔が、こわくて。
ボタンを押す時、いつもドキドキする。
一緒に遊ぼう!一緒に遊ぼう!
ボタンを押しては、こわくなって、いつも泣いていた。
だから、押し入れの奥にしまって、このおもちゃとは遊ばなくなった。
夜中、部屋から物音がして目が覚めた。
…に…ぼ……う……
声が聞こえる。
いっ……し…そぼ……
見渡しても、誰もいない。
いっ…に……あそ……う……
あっ。押し入れの中からだ。
一緒に……遊ぼう……
高い声が、まだ聞こえる。
押し入れを開けると、声が大きくなる。
一緒に遊ぼ……う…
押し入れを漁って、見つけた。
ピエロのびっくりばこ。
僕が手に持つと、高い声は止んだ。
なんだ…と思って、またしまった。
すると、また、
一緒に遊ぼう……一緒に遊ぼう……
と、かすれた高い声が聞こえてくる。
このままじゃ寝れないと、もう一度手に取って、
恐る恐るボタンを押した。
一緒に遊ぼう!
一緒に遊ぼう!
1番大きい声で叫び、ニッコリ嬉しそうな笑顔で飛び出し、長い腕で素早く僕を捕まえた。
一緒に遊ぼう!
一緒に遊ぼう!
ピエロはそっと蓋を閉めた。
箱の中から聞こえる叫び声と、壁を激しく叩く音、一緒に遊ぼう!という高い声が、静かな夜をかき消しました。
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