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ハロウィンの夜
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ある町に、継ぎ接ぎだらけでボロボロの服を着た男の子がいました。
男の子の名前はロウル。ロウルは3人家族で、お父さんは仕事を無くし、お母さんは病気で寝込んでいました。そのため、家はとても貧しく、服を買うお金も学校へ行くお金もありません。
ロウルは冷たい空気の街を、毎日一人でとぼとぼ歩いていました。
「あ、飴玉が落ちてる。ラッキー」
ロウルは道に落ちている飴玉を拾い、包みを開いて口に放り込みました。
甘いぶどうの香りが口いっぱいに広がり、幸せな気持ちになりました。
ロウルはお菓子が大好きでした。
しかし、お菓子を買うお金がありません。ロウルはたまに落ちているキャンディや食べ残されたお菓子を探し、それで心を満たしていました。
ロウルには、1年で1番大好きな日がありました。
それは、ハロウィンです。
ハロウィンの日は、街の子供たちはお化けに仮装してお菓子を貰いに行きます。
街の人達は子供たちのためにお菓子を用意して、どんなに貧しい子でもお菓子を与えます。
そのため、ロウルにとっては誕生日よりも楽しみな日でした。
そして、今年もハロウィンがやって来ました。
「ただいま、お父さん、お母さん」
「ロウル、どこへ行ってたんだ?外は寒いだろう。ほら、中へお入り」
「ロウル、おかえり。今日はなにか見つけられたかしら?」
「ううん、何も。でもね、明日はハロウィンだよ。お菓子をいっぱい貰ってくるから、2人とも、楽しみにしててね」
ロウルのお父さんとお母さんは顔を見合わせ、ロウルに向かってにっこりと笑いました。
「楽しんでくるんだぞ」
お父さんはそう言って、ロウルの頭を撫でました。
「さあ、もう寝る時間よ。おやすみ、ロウル」
「おやすみなさい。お父さん、お母さん」
ロウルは2人のほっぺにキスをして、寝室へ向かいました。
翌朝、ロウルは早くから目を覚まし、夜のハロウィンに向けて準備をしました。
「う~ん…何か仮装に使える物は…」
ロウルは家中を探し回ったが、何もありませんでした。
「困った…仮装しなきゃお菓子が貰えないぞ…」
ロウルは長いこと考え、ついに思いつきました。
「よし!これだ!」
ロウルはベッドの真っ白なシーツを引き取り、それを頭から被りました。
目と口のところに穴を開け、覗かせました。
「これだこれだ!これでお菓子が貰えるぞ!」
ロウルはシーツを引きずりながらピョンピョンと跳ねました。
そして、ついにハロウィンの夜が来ました。
「いってきまーす!」
ロウルはシーツとお菓子を入れるカゴを持ち、元気よく家を飛び出しました。
まずは、隣に住むハロンスキンさんの家に向かいました。
コンコンコン。
「いらっしゃい、可愛いお化けが来たわね。これは誰かしら~?」
「ばぁ!」
ロウルはシーツを捲り、顔をのぞかせました。
「あら、ロウルだったのね!可愛い仮装ね!はい、これ持っていって」
ハロンスキンさんはお菓子の瓶からひとつまみ取り出し、ロウルのカゴに入れました。
「ありがとう!またねー!」
ロウルはまたシーツを被り、次の家へ向かいました。
次は、街で1番優しいチャイズさんの家に行きました。
コンコンコン。
「いらっしゃい、待ってたわよ~」
チャイズさんはにこにこしながらロウルを迎えてくれました。
「はい、これお菓子」
そしてロウルのカゴにお菓子をひとつまみ入れ、扉を閉めました。
ロウルはカゴをゴソゴソと漁り、いっぱいのお菓子を眺めました。
「よ~し、次に行くぞー!」
次は、太ったパン屋さんの家に行きました。
コンコンコン。
「おや、いらっしゃい。君は誰だね?」
パン屋のおじさんは、にこにこしながら、大きな手でお菓子をつかみ、ロウルのカゴに入れました。
「よしよし、カゴもいっぱいになったし、そろそろ帰ろう」
ロウルはお菓子いっぱいのカゴを持って、家に帰りました。
「やっぱり、ちょっとだけ食べちゃお」
ロウルは階段に座り込み、カゴを漁りました。
四角い1口チョコレート、大玉キャンディ、キャラメル。
あま~いお菓子がたくさん入っていました。
ロウルはチョコレートを1つ、カゴから取り出して食べました。
「うん、おいしい…」
ロウルは自然と笑顔になりました。
しかし、チョコレートはすぐに溶けてしまいました。
ロウルは、今度はキャラメルを取り出し、また食べました。
ロウルはまた笑顔になり、幸せな気持ちになりました。
「ちょっと眠いな…」
ロウルはハロウィンに夢中になってましたが、もう夜も遅く辺りは真っ暗です。
街の子供たちも既に帰ってしまいました。
「ちょっと横になろう…休憩してから帰ろう」
ロウルは階段で横になり、少しだけ寝てしまいました。
片手には1口チョコレートの包み紙を握りしめたまま。
「おや、こんな所で眠っちゃって。可哀想に。こんなに痩せ細って…」
そこにはお下がりと思われるボロボロの服を着て、空っぽのカゴを持った男の子が倒れていた。
おばあさんは、眠って冷たくなったロウルを抱き抱え、どこかへ運んでいきました。
男の子の名前はロウル。ロウルは3人家族で、お父さんは仕事を無くし、お母さんは病気で寝込んでいました。そのため、家はとても貧しく、服を買うお金も学校へ行くお金もありません。
ロウルは冷たい空気の街を、毎日一人でとぼとぼ歩いていました。
「あ、飴玉が落ちてる。ラッキー」
ロウルは道に落ちている飴玉を拾い、包みを開いて口に放り込みました。
甘いぶどうの香りが口いっぱいに広がり、幸せな気持ちになりました。
ロウルはお菓子が大好きでした。
しかし、お菓子を買うお金がありません。ロウルはたまに落ちているキャンディや食べ残されたお菓子を探し、それで心を満たしていました。
ロウルには、1年で1番大好きな日がありました。
それは、ハロウィンです。
ハロウィンの日は、街の子供たちはお化けに仮装してお菓子を貰いに行きます。
街の人達は子供たちのためにお菓子を用意して、どんなに貧しい子でもお菓子を与えます。
そのため、ロウルにとっては誕生日よりも楽しみな日でした。
そして、今年もハロウィンがやって来ました。
「ただいま、お父さん、お母さん」
「ロウル、どこへ行ってたんだ?外は寒いだろう。ほら、中へお入り」
「ロウル、おかえり。今日はなにか見つけられたかしら?」
「ううん、何も。でもね、明日はハロウィンだよ。お菓子をいっぱい貰ってくるから、2人とも、楽しみにしててね」
ロウルのお父さんとお母さんは顔を見合わせ、ロウルに向かってにっこりと笑いました。
「楽しんでくるんだぞ」
お父さんはそう言って、ロウルの頭を撫でました。
「さあ、もう寝る時間よ。おやすみ、ロウル」
「おやすみなさい。お父さん、お母さん」
ロウルは2人のほっぺにキスをして、寝室へ向かいました。
翌朝、ロウルは早くから目を覚まし、夜のハロウィンに向けて準備をしました。
「う~ん…何か仮装に使える物は…」
ロウルは家中を探し回ったが、何もありませんでした。
「困った…仮装しなきゃお菓子が貰えないぞ…」
ロウルは長いこと考え、ついに思いつきました。
「よし!これだ!」
ロウルはベッドの真っ白なシーツを引き取り、それを頭から被りました。
目と口のところに穴を開け、覗かせました。
「これだこれだ!これでお菓子が貰えるぞ!」
ロウルはシーツを引きずりながらピョンピョンと跳ねました。
そして、ついにハロウィンの夜が来ました。
「いってきまーす!」
ロウルはシーツとお菓子を入れるカゴを持ち、元気よく家を飛び出しました。
まずは、隣に住むハロンスキンさんの家に向かいました。
コンコンコン。
「いらっしゃい、可愛いお化けが来たわね。これは誰かしら~?」
「ばぁ!」
ロウルはシーツを捲り、顔をのぞかせました。
「あら、ロウルだったのね!可愛い仮装ね!はい、これ持っていって」
ハロンスキンさんはお菓子の瓶からひとつまみ取り出し、ロウルのカゴに入れました。
「ありがとう!またねー!」
ロウルはまたシーツを被り、次の家へ向かいました。
次は、街で1番優しいチャイズさんの家に行きました。
コンコンコン。
「いらっしゃい、待ってたわよ~」
チャイズさんはにこにこしながらロウルを迎えてくれました。
「はい、これお菓子」
そしてロウルのカゴにお菓子をひとつまみ入れ、扉を閉めました。
ロウルはカゴをゴソゴソと漁り、いっぱいのお菓子を眺めました。
「よ~し、次に行くぞー!」
次は、太ったパン屋さんの家に行きました。
コンコンコン。
「おや、いらっしゃい。君は誰だね?」
パン屋のおじさんは、にこにこしながら、大きな手でお菓子をつかみ、ロウルのカゴに入れました。
「よしよし、カゴもいっぱいになったし、そろそろ帰ろう」
ロウルはお菓子いっぱいのカゴを持って、家に帰りました。
「やっぱり、ちょっとだけ食べちゃお」
ロウルは階段に座り込み、カゴを漁りました。
四角い1口チョコレート、大玉キャンディ、キャラメル。
あま~いお菓子がたくさん入っていました。
ロウルはチョコレートを1つ、カゴから取り出して食べました。
「うん、おいしい…」
ロウルは自然と笑顔になりました。
しかし、チョコレートはすぐに溶けてしまいました。
ロウルは、今度はキャラメルを取り出し、また食べました。
ロウルはまた笑顔になり、幸せな気持ちになりました。
「ちょっと眠いな…」
ロウルはハロウィンに夢中になってましたが、もう夜も遅く辺りは真っ暗です。
街の子供たちも既に帰ってしまいました。
「ちょっと横になろう…休憩してから帰ろう」
ロウルは階段で横になり、少しだけ寝てしまいました。
片手には1口チョコレートの包み紙を握りしめたまま。
「おや、こんな所で眠っちゃって。可哀想に。こんなに痩せ細って…」
そこにはお下がりと思われるボロボロの服を着て、空っぽのカゴを持った男の子が倒れていた。
おばあさんは、眠って冷たくなったロウルを抱き抱え、どこかへ運んでいきました。
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クリスマスのお話は、たくさんありますが、ハロウィンのお話は、珍しいですね。
興味津々で読みました。ハロウィンらしいお話で良い作品でした。