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この絵本、何も起こりません
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あるところに、5人で暮らすごく普通の家族がいました。
この家族は、おじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さん、そして一人娘のめいちゃんの5人で暮らしています。
なにやら今日は、みんなですき焼きパーティーをするみたい。5人はテーブルを囲むように、ぎゅうぎゅうと座っています。
この家族の様子を、ちょっと覗いてみましょう。
「お母さん、まだ?」
「まだよ。そんなに慌てないの」
「母さんや、ビールはあるかね?」
「ビールなら冷蔵庫にありますよ。」
「そうかい、じゃあ取ってこよう」
お父さんは席をたち、ビールを取りに行きました。
「すき焼きなんて久しぶりだねぇ、おじいさん」
「そうだねぇ。楽しみだねぇ。」
おじいちゃんとおばあちゃんはすき焼きが好きなので、ニコニコして座っています。
「さあ、具材を入れていきましょう」
お母さんはそう言うと、まずはお肉、そして野菜、ほかの具材も鍋に入れました。
それからしばらく待つと、鍋はグツグツと音を立てはじめ、そろそろ食べ頃です。
「よーし!すき焼きパーティーするぞー!」
ビールをもって戻ってきたお父さんの掛け声により、すき焼きパーティーが開催されました。
「美味しそうだなぁ~!」
お父さんはそう思いました。
「早く食べたいわね~!」
お母さんもそう思いました。
「私、お肉いっぱい食べたーい!」
めいちゃんはお肉が好きなので、そう思いました。
「すき焼きなんて本当に久しぶりだねぇ~」
おばあちゃんはしみじみとそう思いました。
「わしはすき焼きが好きなんじゃ~」
おじいちゃんはそう思いながらニコニコしていました。
「さあ!いただきまーす!」
お父さんはそう言う前に、ビールを1口飲みました。
「お野菜はもう火が通ったわね、もう食べられるわ」
お母さんはそう思いつつ、野菜をじっと見つめていました。
「お肉まだかなぁ~もう食べられるかなぁ~?」
めいちゃんは待ちきれない様子でお肉を見つめていました。
「お鍋は暖かいねぇ。身も心も温まるよ」
おばあちゃんは鍋の火で暖をとっていました。
「今日はお腹が空いているからいっぱい食べるぞ~!」
おじいちゃんはいっぱい食べるつもりで、張り切って箸を持ったり下ろしたりしています。
「そろそろいいかな?すき焼きはビールがすすむんだよなぁ!」
お父さんはすきやきを想像してまた1口、ビールを口に運びました。
「いい匂いねぇ。早く食べたいわね」
お母さんは食べることばかり考えています。
「お肉っ!お肉っ!」
めいちゃんはぷかぷか浮かぶお肉を舐めまわすように見つめていました。
「めいちゃん、おばあちゃんがよそってあげようか」
おばあちゃんは声をかけるタイミングを見計らっています。
「わしがこのすき焼きを全部食べてやるぞ~!」
おじいちゃんは持っている箸を開いたり閉じたりしました。
ここまで、誰一人しゃべっていません。
しかしすき焼きパーティーは始まったばかり。
まだまだ続きます。
「ちょっと火が強いかな?具が温まりすぎちゃうぞ」
お父さんはそう思いながら火を見ました。
「お肉は1人これくらいで…お父さんとめいちゃんはお野菜を食べないから、お野菜は少しあまりそうね。」
お母さんは静かに黙って、頭の中でみんなに取り分けていきます。
「お肉いっぱい食べたいなぁ。誰かめいちゃんにくれないかなぁ。」
めいちゃんは箸も持たず、お肉のことばかり考えています。
「おじいさん、もっとゆっくりとお食べなさいな」
おばあちゃんは急いで食べるおじいちゃんを想像して、注意までしました。
「わしの入れ歯で噛めないものはないわー!」
おじいちゃんは一口も食べていないのに、まだ張り切っています。
すき焼きパーティーが開催してから数分が経ちましたが、誰も食べていません。
みんな、なぜ食べないのでしょう?
「そろそろ誰か取らないか?」
お父さんは疑問に思いました。
「誰もよそわないわね…みんなお腹すいていないのかしら」
お母さんも疑問に思いました。
「誰がめいの分取ってよ~!」
めいちゃんも疑問に思いました。
「おかしいわねぇ。どうして誰も手をつけないのかねぇ」
おばあちゃんも疑問に思いました。
「誰も食べないのう。本当にわしが食べちゃっていいのかのう?」
おじいちゃんも独り占めしようとしました。
この家族、熱々のすき焼きを目の前にしてただ座っています。
「今すぐ食べたい。今が食べ頃なのに!」
みんなそう思っていますが、何もしません。
すき焼きパーティー開催から数十分。
5人の家族はぐつぐついう鍋を囲み、ただただ座っているだけです。
まだまだ誰も、何もしません。
この家族は、おじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さん、そして一人娘のめいちゃんの5人で暮らしています。
なにやら今日は、みんなですき焼きパーティーをするみたい。5人はテーブルを囲むように、ぎゅうぎゅうと座っています。
この家族の様子を、ちょっと覗いてみましょう。
「お母さん、まだ?」
「まだよ。そんなに慌てないの」
「母さんや、ビールはあるかね?」
「ビールなら冷蔵庫にありますよ。」
「そうかい、じゃあ取ってこよう」
お父さんは席をたち、ビールを取りに行きました。
「すき焼きなんて久しぶりだねぇ、おじいさん」
「そうだねぇ。楽しみだねぇ。」
おじいちゃんとおばあちゃんはすき焼きが好きなので、ニコニコして座っています。
「さあ、具材を入れていきましょう」
お母さんはそう言うと、まずはお肉、そして野菜、ほかの具材も鍋に入れました。
それからしばらく待つと、鍋はグツグツと音を立てはじめ、そろそろ食べ頃です。
「よーし!すき焼きパーティーするぞー!」
ビールをもって戻ってきたお父さんの掛け声により、すき焼きパーティーが開催されました。
「美味しそうだなぁ~!」
お父さんはそう思いました。
「早く食べたいわね~!」
お母さんもそう思いました。
「私、お肉いっぱい食べたーい!」
めいちゃんはお肉が好きなので、そう思いました。
「すき焼きなんて本当に久しぶりだねぇ~」
おばあちゃんはしみじみとそう思いました。
「わしはすき焼きが好きなんじゃ~」
おじいちゃんはそう思いながらニコニコしていました。
「さあ!いただきまーす!」
お父さんはそう言う前に、ビールを1口飲みました。
「お野菜はもう火が通ったわね、もう食べられるわ」
お母さんはそう思いつつ、野菜をじっと見つめていました。
「お肉まだかなぁ~もう食べられるかなぁ~?」
めいちゃんは待ちきれない様子でお肉を見つめていました。
「お鍋は暖かいねぇ。身も心も温まるよ」
おばあちゃんは鍋の火で暖をとっていました。
「今日はお腹が空いているからいっぱい食べるぞ~!」
おじいちゃんはいっぱい食べるつもりで、張り切って箸を持ったり下ろしたりしています。
「そろそろいいかな?すき焼きはビールがすすむんだよなぁ!」
お父さんはすきやきを想像してまた1口、ビールを口に運びました。
「いい匂いねぇ。早く食べたいわね」
お母さんは食べることばかり考えています。
「お肉っ!お肉っ!」
めいちゃんはぷかぷか浮かぶお肉を舐めまわすように見つめていました。
「めいちゃん、おばあちゃんがよそってあげようか」
おばあちゃんは声をかけるタイミングを見計らっています。
「わしがこのすき焼きを全部食べてやるぞ~!」
おじいちゃんは持っている箸を開いたり閉じたりしました。
ここまで、誰一人しゃべっていません。
しかしすき焼きパーティーは始まったばかり。
まだまだ続きます。
「ちょっと火が強いかな?具が温まりすぎちゃうぞ」
お父さんはそう思いながら火を見ました。
「お肉は1人これくらいで…お父さんとめいちゃんはお野菜を食べないから、お野菜は少しあまりそうね。」
お母さんは静かに黙って、頭の中でみんなに取り分けていきます。
「お肉いっぱい食べたいなぁ。誰かめいちゃんにくれないかなぁ。」
めいちゃんは箸も持たず、お肉のことばかり考えています。
「おじいさん、もっとゆっくりとお食べなさいな」
おばあちゃんは急いで食べるおじいちゃんを想像して、注意までしました。
「わしの入れ歯で噛めないものはないわー!」
おじいちゃんは一口も食べていないのに、まだ張り切っています。
すき焼きパーティーが開催してから数分が経ちましたが、誰も食べていません。
みんな、なぜ食べないのでしょう?
「そろそろ誰か取らないか?」
お父さんは疑問に思いました。
「誰もよそわないわね…みんなお腹すいていないのかしら」
お母さんも疑問に思いました。
「誰がめいの分取ってよ~!」
めいちゃんも疑問に思いました。
「おかしいわねぇ。どうして誰も手をつけないのかねぇ」
おばあちゃんも疑問に思いました。
「誰も食べないのう。本当にわしが食べちゃっていいのかのう?」
おじいちゃんも独り占めしようとしました。
この家族、熱々のすき焼きを目の前にしてただ座っています。
「今すぐ食べたい。今が食べ頃なのに!」
みんなそう思っていますが、何もしません。
すき焼きパーティー開催から数十分。
5人の家族はぐつぐついう鍋を囲み、ただただ座っているだけです。
まだまだ誰も、何もしません。
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