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お人形さんも家族
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あるところに、ごくごく普通の家庭がありました。
お父さんは、立派なサラリーマン。
お母さんは、家事をなんでもこなす専業主婦。
お兄ちゃんは勉強もできて、運動神経もいい。
弟くんは、愛嬌がありみんなに可愛がられる。
この4人からなる家族は、普通の仲良しでした。
毎日一緒にご飯を食べ、一緒にゴロゴロして、一緒に寝て、幸せな毎日を暮らしていました。
しかしある日、この家族にある悲劇が訪れます。
弟くんが、事故で亡くなってしまったのです。
3人は悲しみに明け暮れました。
毎日、毎日泣きました。朝から夜まで泣きました
しかし、いつまで経っても気持ちは晴れませんでした。
そんなある日、お母さんがお散歩の帰りにあるものを持って帰ってきました。
玄関の前に立つお母さんはニコニコしていて、2人は、お母さんの笑った顔を久しぶりに見ました。
お母さんは腕に抱いているものを後ろに隠し、見せてくれません。なんだか、とっておきのようです。
お父さんとお兄ちゃんが不思議そうに見ていると、お母さんはじゃーん!と大きな人形を前に出しました。
「弟くんよ!弟くんがいたの!お散歩してたら、見つけたのよ!」
お母さんは2人にこう言いました。
2人とも、お母さんが何を言っているか分かりませんでした。
お母さんはこの人形を弟くんだと思いこみ、連れて帰ってきたのです。
その人形は、ボロボロの服を着ていて、所々泥が付いていました。しかし顔はにっこりと笑っていて、幸せそうでした。
その日の夜、お母さんは人形にベッタリとくっつき、一時も離しませんでした。
最初は、お母さんが元気になってくれてよかったと思っていた2人でしたが、お母さんの様子がだんだんとおかしくなって行くことに気がつきました。
お母さんはその人形に向かって、ずっと話しかけています。
「弟くん、何食べたい?」
「弟くん、今日は何をしようか」
「弟くん、お散歩いこっか」
その人形をすっかり弟くんだと思い込んでいるお母さんに、お父さんは遂にはっきりと、こういいました。
「お母さん、目を覚ましてくれ。弟くんはもう死んでいるんだ。それはただの人形なんだ。」
お父さんがそう言うと、お母さんはとても怒りました。
すごく、すごく恐ろしい顔をして怒りました。
「なんてことを言うの!?この子は弟くんなの!!この子は私の子なのよ!!」
お母さんはお父さんを突き飛ばして、部屋を出ていきました。
お父さんは涙を流し、何度も、ごめん、ごめんと言っていました。
お兄ちゃんは、それをずっと見ていました。
その日から、その人形は、家族の一員になりました。
「弟くん、おかわりいる?」
「お父さん、弟くんにもお茶入れてあげて」
「お兄ちゃん、弟くんの箸も取ってあげて」
お母さん、お父さん、お兄ちゃん、そして弟くんの人形。4人で食卓を囲んでいます。
3人は無表情だけど、お母さんだけがニコニコしています。
「弟くん、いっぱい食べて大きくなるのよ~」
お母さんは弟くんの頭を撫でて、幸せそうに笑いました。
これも、ひとつの家族の形。
お父さん、お母さん、お兄ちゃん、そして弟くん。
4人の平凡な家族は、きっと幸せに暮らしました。
お父さんは、立派なサラリーマン。
お母さんは、家事をなんでもこなす専業主婦。
お兄ちゃんは勉強もできて、運動神経もいい。
弟くんは、愛嬌がありみんなに可愛がられる。
この4人からなる家族は、普通の仲良しでした。
毎日一緒にご飯を食べ、一緒にゴロゴロして、一緒に寝て、幸せな毎日を暮らしていました。
しかしある日、この家族にある悲劇が訪れます。
弟くんが、事故で亡くなってしまったのです。
3人は悲しみに明け暮れました。
毎日、毎日泣きました。朝から夜まで泣きました
しかし、いつまで経っても気持ちは晴れませんでした。
そんなある日、お母さんがお散歩の帰りにあるものを持って帰ってきました。
玄関の前に立つお母さんはニコニコしていて、2人は、お母さんの笑った顔を久しぶりに見ました。
お母さんは腕に抱いているものを後ろに隠し、見せてくれません。なんだか、とっておきのようです。
お父さんとお兄ちゃんが不思議そうに見ていると、お母さんはじゃーん!と大きな人形を前に出しました。
「弟くんよ!弟くんがいたの!お散歩してたら、見つけたのよ!」
お母さんは2人にこう言いました。
2人とも、お母さんが何を言っているか分かりませんでした。
お母さんはこの人形を弟くんだと思いこみ、連れて帰ってきたのです。
その人形は、ボロボロの服を着ていて、所々泥が付いていました。しかし顔はにっこりと笑っていて、幸せそうでした。
その日の夜、お母さんは人形にベッタリとくっつき、一時も離しませんでした。
最初は、お母さんが元気になってくれてよかったと思っていた2人でしたが、お母さんの様子がだんだんとおかしくなって行くことに気がつきました。
お母さんはその人形に向かって、ずっと話しかけています。
「弟くん、何食べたい?」
「弟くん、今日は何をしようか」
「弟くん、お散歩いこっか」
その人形をすっかり弟くんだと思い込んでいるお母さんに、お父さんは遂にはっきりと、こういいました。
「お母さん、目を覚ましてくれ。弟くんはもう死んでいるんだ。それはただの人形なんだ。」
お父さんがそう言うと、お母さんはとても怒りました。
すごく、すごく恐ろしい顔をして怒りました。
「なんてことを言うの!?この子は弟くんなの!!この子は私の子なのよ!!」
お母さんはお父さんを突き飛ばして、部屋を出ていきました。
お父さんは涙を流し、何度も、ごめん、ごめんと言っていました。
お兄ちゃんは、それをずっと見ていました。
その日から、その人形は、家族の一員になりました。
「弟くん、おかわりいる?」
「お父さん、弟くんにもお茶入れてあげて」
「お兄ちゃん、弟くんの箸も取ってあげて」
お母さん、お父さん、お兄ちゃん、そして弟くんの人形。4人で食卓を囲んでいます。
3人は無表情だけど、お母さんだけがニコニコしています。
「弟くん、いっぱい食べて大きくなるのよ~」
お母さんは弟くんの頭を撫でて、幸せそうに笑いました。
これも、ひとつの家族の形。
お父さん、お母さん、お兄ちゃん、そして弟くん。
4人の平凡な家族は、きっと幸せに暮らしました。
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