ミツバチの子

るいのいろ

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ミツバチの子

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あるところに、大きな大きな巣を持つミツバチたちがいました。
ミツバチたちは、毎日せっせと働き、仲間や子供のためにたくさんのハチミツを作りました。

「えっさ!ほいさ!もっともっとおいしいハチミツを作るぞ!」

働きバチは声を合わせ、せっせかせっせか働きました。

この巣の中に、一際大きな体を持ったハチがいました。

「みんな頑張るんだよ!おいしいハチミツをたくさん作るんだよ!」

大きな体を持ったハチは、この巣の女王蜂。
女王蜂は働きバチに大きな声援を送り、大きな部屋からみんなを見守ります。

「みんなが頑張ってくれているおかげで、たくさんのハチミツができそうだ。」

女王蜂は、ハチミツの完成を心待ちにしていました。


産卵の時期になると、女王蜂は巣の中で1番大きな部屋に、卵を1つ落としました。

「この子は次の女王蜂になる子だ。私が大事に育てよう」

女王蜂はその卵に、「ミッチ」と名前をつけて、とても可愛がりました。
ミッチは卵の中ですくすく育ち、やがて大きな体を持って産まれました。




「おじいちゃん、このハチミツおいしいね!」

みつるくんは、ハチミツが大好きな男の子。
みつるくんのおじいちゃんの家は養蜂場で、たくさんのミツバチを育てています。ミッチたちの巣も、この中にあります。

「みつるくんも、そのハチミツを取ってみるかい?」

「え!?いいの!?やるやる!」

みつるくんはおじいちゃんに誘われて、ミツバチたちが作ったハチミツを取る事になりました。




「お母さん、美味しそうなハチミツがいっぱいだね!」

ミッチは女王蜂の近くで、次々にできていくハチミツを眺めていました。

「あのハチミツは、みんなや子供たちのご飯になったり、この巣をもっと大きくするために必要なんだよ。お前が大きくなったら、今度はお前がこの巣を守るんだよ。」

「ぼくがこのお家を守るの?できるかなぁ?」

女王蜂は、ミッチの頭をそっと撫で、こういいました。

「大丈夫だよ。お前ならきっとできるさ。私の自慢の子供だからね」

ミッチは照れくさそうにほっぺたをかき、女王蜂に抱きつきました。

すると、外で蜜を集めていた1匹の働きバチが、慌てた様子で戻ってきました。

「女王さま!大変です!スズメバチがこちらへ向かってきています!」




「おじいちゃん、このハチミツはどうやって作っているの?」

「これはね、ここにいるミツバチさんたちが一生懸命作ったものだよ。花の蜜を求めて遠く遠く飛んでいって、みんなのために巣に持ち帰ってくるんだ。
おじいちゃんは、ミツバチたちが作ったハチミツを、少しずつおすそ分けしてもらっているんだ。」

「僕が大好きなハチミツは、ミツバチさん達のおかげでできているんだね!知らなかった!」

「だから、みつるくんもここにいるミツバチたちに感謝して、ハチミツを食べようね。」

「うん!…あれ?おじいちゃん!あれなんだろう!」




「なんだって!スズメバチがここに!?」

外を見ると、大きな大きなスズメバチが1匹、巣に向かって飛んできていました。

「みんな、巣の中に避難するんだ!」

女王蜂の一声で、働きバチたちは巣の中に隠れました。


「へへっ!隠れたって無駄だぜ!」

スズメバチは、大きな体を使って、巣に向かって突進しました。

「わぁ!」「おうちが揺れてる!」 「助けてー!」

働きバチや、子供たちの怖がる声が巣に響きました。
すると、みんなの声を聞いたミッチは勢いよく飛び立ち、大きなスズメバチに向かって行きました。

「ミッチ!待ちなさい!」

女王蜂が止めても、ミッチは止まりませんでした。

「やめろー!」

ミッチは思いっきり突進しました。
が、大きなスズメバチはびくともせず、ミッチをはじき飛ばしてしまいました。



「おじいちゃん!あれみて!」

「こりゃ大変だ!ミツバチの天敵、スズメバチだ!」

「ミツバチたちが大変だよ!助けに行かなきゃ!」

みつるくんはミツバチたちの巣に向かって走りました。
しかし、おじいちゃんはみつるくんを止めました。

「みつるくん、よく見ていてごらん。」



「わ~~!!」

ミッチはよろけながら、クルクルと空を舞いました。

「ミッチ!よくもやりおったな!」

今度は女王蜂が、スズメバチに向かって勢いよく飛び立ちました。

「これでもくらえ!」

女王蜂はおしりから長く鋭い針を出し、スズメバチに向かってブスっと刺しました。

「い、いってぇ~!!」

スズメバチはあまりの痛さに泣きながら、ミツバチの巣を去っていきました。




「すごい!あの大きなミツバチが、スズメバチを追い返したよ!」

「あの巣の女王蜂はとても勇敢で、とても仲間思いなんだ。あの子なら、スズメバチなんてきっと追い返せると思っていたよ。」

「おじいちゃんはミツバチ達のことよく分かってるんだね!すごいや!」

「さあ、ミツバチたちにハチミツを分けてもらいに行こうか。」

「うん!ミツバチたちが守ってくれたハチミツ、大事に食べるよ!」

みつるくんは、改めてミツバチとハチミツの事がだいすきになりました。



「お母さん!大丈夫!?」

女王蜂はよろけながら、ミッチのそばに寄りました。

「ミッチ、お前はとても勇敢だったね。それでこそ私の子供だ。」

女王蜂はミッチを抱きしめて、たくさん褒めました。
ミッチは少し照れくさかったけれど、誇らしい気持ちになりました。

「お前ならもう1人で大丈夫だ。次はお前がこの巣を守る番だよ。私が大切にしてきたみんなを、この巣を、お前に託すよ。」

女王蜂はそう言うと、少しの働きバチを連れて、
大きな巣を飛び立ちました。

「お母さん…。僕、やってみせるよ。お母さんが大切にしてきたこの家を、僕が守ってみせるよ!」

ミッチはお母さんとそう約束をし、何年も何年も守り続けました。
ミッチの巣は、たくさんのミツバチに囲まれて、さらに大きく大きくなりました。
ミッチと働きバチたちは今日も、みんなのためにたくさんのハチミツを作っています。
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みんなの感想(2件)

大林和正
2023.12.25 大林和正

ミツバチはスズメバチが天敵で
大きなハチが戦う
初めて知りました
ミッチくんは勇敢ですね
ほっこりしました
ありがとうございます😊

解除
ふくろう
2023.09.12 ふくろう

ほのぼのして、とても良かったです!( v^-゜)♪

私も、蜜蜂が大好きで、日本蜜蜂を飼ってたことがあり、目を皿のようにして読みました。

こちらも、日本蜜蜂とお見受けしますが?

他の作品も、読ませていただきますね。

解除

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