マフィとカエルくん

るいのいろ

文字の大きさ
上 下
1 / 1

カエルくんと約束

しおりを挟む
私はうさぎのマフィ。元気な5歳の女の子。

今日はお友達のカエルくんと、公園で遊ぶ約束をしてるの。
カエルくん、もう居るかな?


「おーい!マフィー!」

あっ!カエルくんの声だ!

「こっちこっち!」

カエルくんは滑り台の上でマフィを待っていました。

「カエルくん、おまたせ!」

「遅いよマフィ。さあ、何して遊ぶ?」

「うーん、鬼ごっこかな!」

「よーし、じゃあまずはマフィが鬼だ!逃げろー!」

「あっ!まてまてー!」


マフィとカエルくんは公園の中をぐるぐると走り回ります。
そこへ、カゴいっぱいのいちごを持ったおばあさんが通りました。


「おやおや、元気な子達だねぇ。ほれ、いちご食べるかい?」


おばあさんは、カゴの中のイチゴを2人にくれました。


「ありがとう、おばあさん!とっても美味しいわ!」

「ありがとう。こんなにたくさんのイチゴ、どこで手に入れたの?」

「すぐそこの森に生ってるのを取ってきたのさ。まだ沢山あって取り切れなかったから、2人もいっておいでよ」

「いいね!マフィ、さっそく明日行こうよ!」

「うん!じゃあ、明日の朝に公園に集まりましょう!」


マフィはカエルくんと いちご狩りの約束をして帰りました。


その帰り道。

「やあ、マフィ。今帰りかい?」

「あ、もぐらくん。そうよ。今帰ってるところなの」

「ちょうどよかった。このマンガを君に貸してあげたくてね。とっても面白いからぜひ読んでみてよ!」

「あら、いいの?早速帰って読まなくちゃ!」

「読んだら感想を聞かせておくれよ。」

「ええ、もちろん!ありがとう、もぐらさん」


マフィはもぐらくんに手を振って、帰りました。



家に着くと、マフィはさっそくもぐらくんに貸してもらったマンガを読みました。


「マフィ、そろそろ寝る時間よ。マンガはしまってね。」

「えー。もう少しだけ読みたいなぁ…そうだ!」

「おやすみなさい、マフィ」

「おやすみ、ママ」


マフィは寝たフリをして、布団の中に潜ってマンガを読み続けました。
明日は朝から約束があるのに、夜更かししちゃって大丈夫かな?


「うふふ、このマンガ、とっても面白い!」

マフィは時間を忘れてマンガを読みました。



翌朝。


「あれ?マフィはまだ来てないのか。ちょっと早くつきすぎちゃったかな」


先に公園に着いたのは、カエルくんでした。
カエルくんは滑り台をしてマフィを待つことにしました。


その頃マフィは、お布団の中でぐっすり。
マンガを読みながら寝ちゃったみたいです…。



「う~ん…マフィ遅いなぁ」


30分待っても、マフィは来ません。
カエルくんは、ブランコをして待つことにしました。



「マフィー!起きる時間よー!」

「う~ん…もう少しだけ…むにゃむにゃ…」


マフィはお母さんに起こされても、全く起きません。



「マフィ遅いなぁ…」


カエルくんは滑り台もブランコも飽きてしまったので、砂場でお絵描きをして待つことにしました。



それでも、マフィはやって来ません。


「1回家に帰って、お昼ご飯を食べよう」

お昼になってもマフィは来ないので、カエルくんは1度家に帰りました。



「マフィー!そろそろ起きなさーい!」

「むにゃむにゃ…はっ!」

マフィはようやく起きました。

「大変!カエルくんとの約束の時間だ!!」

マフィは大慌てで公園に向かいました。


マフィが公園に着くと、誰もいませんでした。

「あれ?カエルくんもいない。もしかして、カエルくんも遅刻?」


マフィは滑り台をして、カエルくんを待つことにしました。

しかし、カエルくんはなかなかやって来ません。


「んもう!カエルくんったら、約束を忘れちゃったんだ!許せない!」


マフィはカエルくんに約束を破られたと思い、帰ってしまいました。



「ふぅ~。おなかいっぱい!そろそろマフィも来ているだろう…」


カエルくんがお昼ご飯を食べ終え公園に戻ると、やはり誰もいませんでした。


「あれ?マフィったら、まさか約束を忘れちゃったんじゃ…」


それでもカエルくんは、公園で待つことにしました。


しかしその日、夕方になってもマフィはもう公園に来ませんでした。


「はぁ…帰ろう。」

カエルくんは、とぼとぼと歩きながら家に帰りました。


その帰り道。


「あ!カエルくん!」

「マフィ!」

「カエルくん!どうしてこなかったの!?マフィ待ってたのよ!」

「え!?僕だってずっと待ってたよ!マフィが来なかったんじゃないか!」

「嘘よ!私カエルくんのことずっと待ってたんだもん!カエルくんの嘘つき!」

「なんだよう!嘘つきはマフィの方だろ!」

「私、嘘なんかついてないもん!」

「僕だってマフィのことずっと待ってたのに!もう知らない!」

「こっちだって!もうカエルくんの事なんて知らない!」


2人はお互いの言い分も聞かず、喧嘩をしてしまいました。

家に帰っても、2人の怒りは鎮まりません。


「もう、カエルくんったら本当に自分勝手なんだから!」

「マフィめ、もう遊んであげないぞ…」

「…でも、ちょっと言いすぎたかな…」

「…マフィは本当に約束を忘れちゃってたのかな…」


2人は一晩中、お互いのことで頭がいっぱいでした。



翌朝。

マフィは森へお花摘みに行きました。

その道中、前からとぼとぼ歩くカエルくんを見つけました。

「カエルくんだ…」

カエルくんもマフィに気づくと、顔を下に向けてしまいました。
マフィも真似して、俯きながら歩きました。

お互いの距離がだんだん近づき、すれ違いました。

「カエルくん、どこに行くんだろう…もう私の事嫌いかな…」

「マフィ、もう僕とは話してくれないかな…」


2人はそう思うと、なんだか寂しくなったので、同時に振り返りました。


「カエルくん、昨日はごめんなさい!」

「マフィ、昨日はごめんなさい!」


2人の声が重なりました。

「え?」

「え?」

またまた2人の声が重なりました。

「ふふっ。」

マフィは思わず笑ってしまいました。
カエルくんも、笑いました。

そうして2人は近づき、お話しました。


「カエルくん、昨日はごめんね。私寝坊しちゃって…。急いで行ったんだけど、カエルくんが居なかったからカエルくんも約束を忘れちゃったと思ったの…」

「そうだったんだ…。きっと僕がお昼ご飯を食べに帰った時だね。ごめんねマフィ。もっとちゃんと話を聞けばよかったよ。」


2人はきちんもお話をして、仲直りしました。


「これからはちゃんと約束を守ろう。」

「うん!遅れそうな時は、連絡するね!」

「それは助かるよ!」


2人は約束を守る約束をしました。

そうして、今日こそはと、2人で仲良くいちご狩りへ行きました。


「うーん!おいしー!」

「2人で食べるとおいしいね!」

「うん!」


2人は森になったたくさんのいちごを、仲良く食べました。

しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

雨が降る日、君は見えない

るいのいろ
絵本
体が弱く、体調を崩しやすい私を心配してくれて、いつもお見舞いに来てくれる、隣の席のリョウくん。 リョウくんは私の家には入らず、電柱の脇に立って私の部屋を覗く。 私は部屋からリョウくんを見つめ、手を振る。 私は、リョウくんが好きだった。

魔法動物ニャーキーと赤い帽子の3人組

るいのいろ
絵本
ここは、魔法を使える動物たちが暮らす世界。 魔法動物のニャーキー、チャイウイ、ヤガラの3人は今日ものんびり過ごしていました。 そんな3人の暮らす街に、突然3人の魔法動物がやってきました。 赤い帽子をかぶったこの3人組は、なんだか悪そうなやつらで、ニャーキーたちは目をつけられてしまい…。

ぽぽみんとふしぎなめがね

珊瑚やよい(にん)
絵本
 ぽぽみんが「いいなぁ〜」っと思ったおめめに変身するお話です。ほら子供ってすぐ人のモノほしがるでしょ?  0才から3才の子供向けの絵本です。親子で読んでいただけたら幸いです。  わーい!! おかげさまでアルファポリスの絵本コンテストで奨励賞を頂きました!! 読んでくださった皆さんありがとうございます。  いつか津田健次郎さんが読み聞かせして下さらないかな♡♡♡   《誕生秘話》  漫画『呪術廻戦』が大好きで、その中に『ナナミン』というニックネームのキャラクターがいらっしゃいます(本名 七海建人)。  ナナミンって口に出すとリズミカルで言いやすいし、覚えやすいし、響きもいいのでお得満載だと思ったの。そこから『みん』をとりました。というか私が個人的にナナミンが大好き。  『ぽぽ』はなんとなく子供が言いやすそうだから。  ちなみにぽぽみんのシッポの柄とメガネのデザインもナナミンからきています。さあくんの名前とデザインは……ほら……あれですね。ナナミンの先輩のあの方ですね。この絵本はオタクママの産物。  カタツムリは以前娘が飼っていたカタツムリの『やゆよ』。  消防車は息子が好きな乗り物。  魚は以前飼っていた金魚の『もんちゃん』のギョロ目を参考にしています。  ぽぽみんの頭の形は、おやつに娘が食べていた大福です。大福を2回かじるとぽぽみんの頭の形になりますよ。今度やってみて。アイディアってひょんな事から思いつくんですよ。  体のデザインは私が難しいイラストが描けないので単純なモノになりました。ミッフィちゃんみたいに横向かない設定なんです。なぜなら私が描けないから。  そんなこんなで生まれたのが『ぽぽみん』です。  

くるみの木のパン屋さん

雪村みおり
絵本
とある森の中に、「くるみの木のパン屋」がありました。 そこでパンを売る「くるみおばさん」は、明るく元気で、ちょっとおっちょこちょいな人気者。 彼女と森の動物たちがくり広げる、ドタバタありのハートフルストーリー。 ―――――――― 一話完結型のシリーズものです。 また、小さいお子様でも読めるように、簡単な漢字のみにし、フリガナをふっています。 読み聞かせにもどうぞ。 ※表紙は、ぱくたそ様のフリー画像をお借りして切り抜いて、文字入れをしています。

うごく ちびりゅうたちの だましえ まとめ だい2だん

関谷俊博
絵本
まとめの だい2だん です。

ヒラヒラばあさん (怖い絵本)

るいのいろ
絵本
とある町に、みんなに気味悪がられているおばあさんがいた。 そのおばあさんは、町の小学校の通学路にある家に住んでいた。 おばあさんは白に染った長い髪をしゃぶり、いつも通学路を歩く小学生を家の窓から見ている。 声をかける訳でもなく、家の中でただじっと見ている。 小学生たちは、そのおばあさんを馬鹿にして、からかっていた。 ある時、おばあさんは家の外に出てきた。 「私の子…私の子…」 おばあさんはそう呟き、小学生たちを見つめていた。

がんそ ちびりゅうの だましえ

関谷俊博
絵本
タイトルに窮してきました…。

【怖い絵本】猫のお面

るいのいろ
絵本
みんな、猫が大好きな世界。 みんな、猫のお面を被っている。 猫のお面を被ると、みんな優しくしてくれる。 みんな、猫が大好きだから。 でも、僕は猫のお面が嫌い。 せっかくの顔を隠して、せっかくの個性を隠して、 僕が僕じゃ、無くなっちゃうから。

処理中です...