【怖い絵本】かえろう

るいのいろ

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かえらなきゃ

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学校が終わったら、よーい、どん。

「また、明日ね」

「うん、またね」

友達と別れたら、僕は走る。

もう夕方。影ができた。


校門の前、僕は、せーので走り出す。



影がついてくる。

僕の後ろを、ついてくる。

はぁ。はぁ。

息が上がる。

影はだんだん近くなる。



駄菓子屋の前。

「お、がんばれよ」

おじさんは僕に手を振る。

はぁ。はぁ。

僕は手を振り返す。

影も手を振り返す。



郵便局の前。

「あらあら、がんばって」

隣のおばちゃんが、僕を手拍子する。

僕は手を振り返す。

影も手を振り返す。



近所のスーパーの前。

「がんばれー!」

「負けるなよ!」

みんながみんな、僕を応援する。

僕は手を振り返す。

影も手を振り返す。


家まで、もう少し。

はぁ。はぁ。

僕が勝つか、影が勝つか。



あ、見えた。我が家だ。


やった。やった。

僕の勝ちだ。


家のドアノブに手をかける。

僕の勝ちだ。

……あっ。



トントン。



ガチャ。



「あら、おかえりなさい。」



「ただいま」



今回は、影の勝ちだ。
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