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夢に出てくる女の子
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最近、変な夢を見る。
夢の中で私は立っていて、体が動かせない。
その空間は真っ暗で、私以外何も無い。
しばらくじっと立っていると、白い服を着た小さな女の子が出てくる。
真っ暗な空間でも、女の子ははっきり見える。
女の子は、いつも私にこう言う。
「見て。見て。」
はっきりとは聞こえないけれど、多分こう言ってる。
「何を見ればいいの?」
私が聞いても、女の子は
「見て。見て。」
としか言わない。
朝が近づく気配がすると、女の子は静かに消える。
暗闇に残された私は、そのまま目を覚ます。
今日もまた、女の子は現れた。
「見て。見て。」
「だから、何を見ればいいの?」
「見て。見て。」
毎回、こんな感じ。
女の子が、何を見てほしいのかわからない。
真っ白で綺麗な服?
それとも、サラサラで整った髪の毛?
私が何回聞いても、
「見て。見て。」
次の日、女の子はまた現れた。
今までは、暗い空間で表情は見えなかった。
でも、この日ははっきり見えた。
笑っている。
大人しそうな女の子が、歯をむき出しにしてニコニコ笑っている。
「何か、いいことでもあったの?」
私がそう聞くと、
「見て!見て!早く!」
女の子は大きな声で、元気に言った。
毎日こんな夢を見るから、あまり寝た気がしなくて、寝不足になった。
学校へ向かう道も、あくびをしながら歩く。
眠い目を擦りながら歩いていると、ふと、しょう学校1年生くらいの小さな女の子が目に入った。
「あの子に似てる。」
その女の子も白いワンピースがよく似合っていて、
つい、夢に出てくる女の子を重ねてしまった。
よく見てみると、背の高さも、サラサラ髪も、似てる気がする。
でも、その女の子は元気いっぱいで、夢に出てくる女の子は、元気がない。
そこだけが、違うところ。
「でも、昨日はなんだか嬉しそうだったな。どうして笑っていたんだろう。」
夢の中の出来事を思い出しながら、
ボーッと女の子を見つめていると、
その女の子が振り返って、私と目が合った。
女の子は、私を見ると、ニコッと笑った。
全く同じだ。
女の子の笑った顔と、夢に出てくる女の子顔が、全く同じだった。
「見て。見て。」
その時、耳元でこう聞こえた。
驚いて振り返ると、たくさんの荷物を乗せた、大きなトラックが私に向かってきていた。
「危ない!」
私はとっさに手を引かれ、ギリギリのところで轢かれずに済んだ。
顔を上げると、さっきまで笑っていた女の子は、どこか悔しそうな顔をしていた。
その日の夜、また女の子は現れた。
でも、今までとは様子が違う。
怒った顔をしている。
「どうしたの?なんで怒っているの?」
私が聞くと、
「もう少しだった。もう少し。」
昨日までのか細い声と違って、まるで大人の男の人のような、野太い声でそう言った。
「何がもう少しなの?」
女の子は私の問いには答えず、いつも通り消えていった。
最後は、悔しそうな顔をして。
私は、勘違いしていた。
女の子はずっと、何かを見て欲しかったんじゃない。
「見て。見て。」
じゃなくて、本当は、
「来て。来て。」
夢の中で私は立っていて、体が動かせない。
その空間は真っ暗で、私以外何も無い。
しばらくじっと立っていると、白い服を着た小さな女の子が出てくる。
真っ暗な空間でも、女の子ははっきり見える。
女の子は、いつも私にこう言う。
「見て。見て。」
はっきりとは聞こえないけれど、多分こう言ってる。
「何を見ればいいの?」
私が聞いても、女の子は
「見て。見て。」
としか言わない。
朝が近づく気配がすると、女の子は静かに消える。
暗闇に残された私は、そのまま目を覚ます。
今日もまた、女の子は現れた。
「見て。見て。」
「だから、何を見ればいいの?」
「見て。見て。」
毎回、こんな感じ。
女の子が、何を見てほしいのかわからない。
真っ白で綺麗な服?
それとも、サラサラで整った髪の毛?
私が何回聞いても、
「見て。見て。」
次の日、女の子はまた現れた。
今までは、暗い空間で表情は見えなかった。
でも、この日ははっきり見えた。
笑っている。
大人しそうな女の子が、歯をむき出しにしてニコニコ笑っている。
「何か、いいことでもあったの?」
私がそう聞くと、
「見て!見て!早く!」
女の子は大きな声で、元気に言った。
毎日こんな夢を見るから、あまり寝た気がしなくて、寝不足になった。
学校へ向かう道も、あくびをしながら歩く。
眠い目を擦りながら歩いていると、ふと、しょう学校1年生くらいの小さな女の子が目に入った。
「あの子に似てる。」
その女の子も白いワンピースがよく似合っていて、
つい、夢に出てくる女の子を重ねてしまった。
よく見てみると、背の高さも、サラサラ髪も、似てる気がする。
でも、その女の子は元気いっぱいで、夢に出てくる女の子は、元気がない。
そこだけが、違うところ。
「でも、昨日はなんだか嬉しそうだったな。どうして笑っていたんだろう。」
夢の中の出来事を思い出しながら、
ボーッと女の子を見つめていると、
その女の子が振り返って、私と目が合った。
女の子は、私を見ると、ニコッと笑った。
全く同じだ。
女の子の笑った顔と、夢に出てくる女の子顔が、全く同じだった。
「見て。見て。」
その時、耳元でこう聞こえた。
驚いて振り返ると、たくさんの荷物を乗せた、大きなトラックが私に向かってきていた。
「危ない!」
私はとっさに手を引かれ、ギリギリのところで轢かれずに済んだ。
顔を上げると、さっきまで笑っていた女の子は、どこか悔しそうな顔をしていた。
その日の夜、また女の子は現れた。
でも、今までとは様子が違う。
怒った顔をしている。
「どうしたの?なんで怒っているの?」
私が聞くと、
「もう少しだった。もう少し。」
昨日までのか細い声と違って、まるで大人の男の人のような、野太い声でそう言った。
「何がもう少しなの?」
女の子は私の問いには答えず、いつも通り消えていった。
最後は、悔しそうな顔をして。
私は、勘違いしていた。
女の子はずっと、何かを見て欲しかったんじゃない。
「見て。見て。」
じゃなくて、本当は、
「来て。来て。」
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