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気づいたよ
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気づけばもう夜になっていた。
朝から夜までペコを探し歩いたが、見つからなかった。タルはヘトヘトになっていた。
「もうペコとは会えないか…」
タルが静かに呟いた時、遠くから聞き覚えのある声が聞こえた。
「タルーーーーーーーーー!!!」
(ペコだ!!)
タルは辺りを見渡した。暗くてよく見えないが、なにか小さいものがこちらに向かって走ってきていた。
「タルーーーーーー!!」
さっきよりも大きく、そして嬉しそうなペコの声が聞こえた。
「ペコ!!!」
タルもペコの元へ走っていった。
そして2人は体当たり気味に抱き合った。
「タル!探したよ!」
「それはこっちのセリフだばかやろう!」
「あれ?タル泣いてるの?」
「泣いてなんかいるものか!」
タルは無意識に涙を流していた。涙の理由はタルにも分からなかったが。
「タル、僕ね、タルに会いたくて探してたんだよ!」
「そ、そうなのか?こんな夜にか?」
「うん!お父さんとタルの話してたの!そしたらね!タルに会いたくなっちゃって」
「お父さんと?」
タルは背筋がヒヤッとした。
「お父さんに話したのか…」
「うん!」
きっと認めてもらえなかっただろう。俺みたいな狼とつるんでいるなんて知られたら、怒られるだけじゃ済まない。ペコは今どんな気持ちなのだろう。タルの頭に色な思いが駆け巡った。
「お父さんがね、タルを大事にしなさいって言ってたの!」
「え?認めてくれたのか?怒られなかったのか?」
「うん!僕も最初は不安だったけど、お父さんは嬉しそうにしてた!」
「そ、そうか…」
タルは拍子抜けしてしまった。いや、安心したのかもしれない。その場に座り、深く息を吐いた。
「僕ね、昨日いっぱいいっぱい考えたの。狼は苦手だけど、タルは友達だって。すっごく複雑な気持ちになったの」
タルは体が固まった。ペコから何も言われてもいい覚悟は出来ていたが、やはり緊張してしまうのだ。
「でもね、僕やっぱりタルのことが好きだし、ずっと友達でいたい!タルは狼でも優しい狼だもん!」
「ペコ…」
「タルが狼って気づかなかったのは匂いのせいだよ。タルはすっごく優しい匂いがする。近くにいるととても落ち着くんだ。僕、タルと一緒にいたい。」
「ペコ、俺なんかと友達でいてくれるのか?」
「もちろん!タルは僕の大事な友達だ!…あれ?タル?」
タルは泣いていた。今度は無意識なんかじゃない。ペコの言葉を聞いて泣いてしまった。
「タル!?どうして泣いてるの!?僕なんか嫌なこと言っちゃった!?」
ペコはタルのただならぬ様子に慌てふためいていた。
「ペコ…ごめんな…」
「え?なにが?」
「いや…なんでもない。ありがとうな、ペコ。」
タルはペコを強く、強く抱きしめた。
「タル、苦しいよ~」
ペコはタルに埋もれながら、じっとしていた。
そうして2人は無事和解し、お互いを大事にすると心に誓った。
そして帰り道。
「ペコ、明日も会えるか?」
「うん!もちろんだよ!タルから聞いてくるなんて珍しいね~」
「ふふ、まあな。」
「いつもの場所で待ってるね!」
「ああ、必ず行く、約束だ」
「やったー!」
ペコは無邪気にピョンピョンはねて喜んだ。
タルはそれを微笑ましく見ていた。
「じゃあ、また明日な」
「またね!タル!」
そうして2人は別れた。
その日、ペコの家から賑やかな声が外まで聞こえていた。
朝から夜までペコを探し歩いたが、見つからなかった。タルはヘトヘトになっていた。
「もうペコとは会えないか…」
タルが静かに呟いた時、遠くから聞き覚えのある声が聞こえた。
「タルーーーーーーーーー!!!」
(ペコだ!!)
タルは辺りを見渡した。暗くてよく見えないが、なにか小さいものがこちらに向かって走ってきていた。
「タルーーーーーー!!」
さっきよりも大きく、そして嬉しそうなペコの声が聞こえた。
「ペコ!!!」
タルもペコの元へ走っていった。
そして2人は体当たり気味に抱き合った。
「タル!探したよ!」
「それはこっちのセリフだばかやろう!」
「あれ?タル泣いてるの?」
「泣いてなんかいるものか!」
タルは無意識に涙を流していた。涙の理由はタルにも分からなかったが。
「タル、僕ね、タルに会いたくて探してたんだよ!」
「そ、そうなのか?こんな夜にか?」
「うん!お父さんとタルの話してたの!そしたらね!タルに会いたくなっちゃって」
「お父さんと?」
タルは背筋がヒヤッとした。
「お父さんに話したのか…」
「うん!」
きっと認めてもらえなかっただろう。俺みたいな狼とつるんでいるなんて知られたら、怒られるだけじゃ済まない。ペコは今どんな気持ちなのだろう。タルの頭に色な思いが駆け巡った。
「お父さんがね、タルを大事にしなさいって言ってたの!」
「え?認めてくれたのか?怒られなかったのか?」
「うん!僕も最初は不安だったけど、お父さんは嬉しそうにしてた!」
「そ、そうか…」
タルは拍子抜けしてしまった。いや、安心したのかもしれない。その場に座り、深く息を吐いた。
「僕ね、昨日いっぱいいっぱい考えたの。狼は苦手だけど、タルは友達だって。すっごく複雑な気持ちになったの」
タルは体が固まった。ペコから何も言われてもいい覚悟は出来ていたが、やはり緊張してしまうのだ。
「でもね、僕やっぱりタルのことが好きだし、ずっと友達でいたい!タルは狼でも優しい狼だもん!」
「ペコ…」
「タルが狼って気づかなかったのは匂いのせいだよ。タルはすっごく優しい匂いがする。近くにいるととても落ち着くんだ。僕、タルと一緒にいたい。」
「ペコ、俺なんかと友達でいてくれるのか?」
「もちろん!タルは僕の大事な友達だ!…あれ?タル?」
タルは泣いていた。今度は無意識なんかじゃない。ペコの言葉を聞いて泣いてしまった。
「タル!?どうして泣いてるの!?僕なんか嫌なこと言っちゃった!?」
ペコはタルのただならぬ様子に慌てふためいていた。
「ペコ…ごめんな…」
「え?なにが?」
「いや…なんでもない。ありがとうな、ペコ。」
タルはペコを強く、強く抱きしめた。
「タル、苦しいよ~」
ペコはタルに埋もれながら、じっとしていた。
そうして2人は無事和解し、お互いを大事にすると心に誓った。
そして帰り道。
「ペコ、明日も会えるか?」
「うん!もちろんだよ!タルから聞いてくるなんて珍しいね~」
「ふふ、まあな。」
「いつもの場所で待ってるね!」
「ああ、必ず行く、約束だ」
「やったー!」
ペコは無邪気にピョンピョンはねて喜んだ。
タルはそれを微笑ましく見ていた。
「じゃあ、また明日な」
「またね!タル!」
そうして2人は別れた。
その日、ペコの家から賑やかな声が外まで聞こえていた。
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