【怖い絵本】ママじゃない

るい

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ママじゃない。

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僕のママは、とっても優しい。

僕はまだ喋れないけれど、ママは優しく話しかけてくれる。
僕が一人で遊んでいる時は、そばに来て一緒に遊んでくれるし、夜眠る時は、ずっとそばに居てくれる。

ママはかくれんぼが得意。
ママじゃない人が来ると、すぐに隠れる。
ベッドの下とか、クローゼットの中とか、窓の外とか。
絶対に見つからないんだ。

ママがいなくなると、僕は必死に探す。

どこかな?
ここかな?


僕がママを見つけると、ママは指を口に当てて、しーっという。

だから僕も真似して、しーっという。


パパは、ママに気づいていない。
ずっとずーっと、見つけられない。
ママは、隠れんぼが上手だもん。


パパは良く、ママじゃない女の人といる。
その人も僕に笑ってくれて、優しい。
けど、僕はママの方が好き。


朝はママじゃない人が居て、夜はママが来てくれる。
僕はママと一緒に寝るのが大好き。


でも、ある時、ついにママが見つかった。

パパと女の人は、大騒ぎ。
ママも、部屋の中をあちこち走り回って、捕まらないようにしてる。
おかげで、部屋はぐちゃぐちゃ。


ママ!逃げて!

僕は手を叩いてママを応援する。


しばらくすると、パパと女の人は、ママを捕まえた。
ママは床にころがって、その上にパパと女の人が乗っかっている。


またしばらくすると、青い服の知らないおじさん達がやってきた。
おじさん達は、ママを連れてどっかに行っちゃった。

ママ!どこへ行くの!

僕は大きな声で泣いた。たくさん泣いた。
もう、ママに会えないかと思った。


パパと女の人は、僕を抱きしめてくれたけれど、僕はママに抱っこされたかった。

ママを連れていかないで。ママに会いたいよ。




でも、ママはすぐにむかえにきてくれた。


コンコン。


僕は、窓の外を見た。


あ!ママだ!
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