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10人の犯罪者
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1人目は、綺麗な格好をした女。罪は、誘拐。
ある日、夜も賑やかな都会で、1人の子供がさらわれた。
たった5歳だったその男の子は、一夜にして家族と離され、女によって殺された。
しかしこの女には、子供に恵まれなかった過去があった。
女は男の子を授かり、幸せに暮らしていた。だがある時、飲酒運転による事故で子供を亡くしてしまう。
女は子供を失うと酷く悲しみ、暗い日々を送った。
そんなある日、自分の子供そっくりの男の子を見つけ、誘拐した。
女は幸せを取り戻した。だが、男の子は女に懐かなかった。
すると女は、帰りたいと毎日泣く男の子に嫌気がさし、ついには殺してしまった。
「こんな子、私の子じゃないわ。」
女は最後にそう言って、また暗い日々を送った。
2人目は、中年の男。罪は、危険運転による過失致死。
男は静かな町で勢いよく車を走らせていると、5歳ほどの子供を連れた家族を轢き、殺してしまった。
男は急いでいたので、周りが見えていなかった。
事故が起こった時、子供の母親は泣き叫ぶ声が聞こえ、男は我に返って車を止めた。
事故が起こる前、この男の元に突然連絡が入った。
男の妻が、何者かに刺されたというのだ。
男は我を忘れ、慌てて車を走らせた。
頭の中には妻の無事を祈ることしかなく、周りが見えていなかった。
だが男は、妻の最後を見ることが出来なかった。
「ああ。あの時止まらなければ。」
男は最後にそう言って、酷く後悔した。
3人目は、優しい男。罪は、強盗。
優しい男は、古い時計屋に押し入り、店の女に向かってナイフを突き立て金銭を要求した。
しかし男は、店の女に警察を呼ばれてしまい、囲まれてしまった。男は警察や集まった人々の前で店の女を刺し、そして捕まった。
この男には、大事にしていた母親がいた。
母親は数年前に病気にかかり、植物状態になった。
母親の通う病院で手術が決まったが、男にはそのお金がなかった。
お金がなければ母親を救うことが出来ない。
男は自分の人生を捨て、母親を助けようとしていたのだ。
「ごめんよ…母さん」
男は最後にそう言って、また人生を捨てた。
4人目は、病院の先生。罪は、詐欺。
病院の先生は、町では有名な先生だった。特に老人からの支持が厚く、信頼できると人気もあった。
しかしある時、先生は考えた。老人相手ならば嘘をついてもバレないと。
そうして、治る見込みの無い病気でも適当に診察をし、手術を望む患者からは多くのお金を巻き取り、私腹を肥やしていった。
しかしこの病院の先生もまた、詐欺にあっていたのだ。
歳の離れた若い女を恋人にと望んだ先生は、女を振り向かせるためにお金を積んだ。
お金があれば女は振り向き、無くなれば女は去る。
先生は何としても女を手に入れるため、多くのお金が必要だったのだ。
「これだけではダメだ。こんなものじゃ…」
病院の先生は最後にそう言って、真っ白な紙切れを数えていた。
5人目は、美しい顔の若い女。罪は、結婚詐欺。
美しい顔の女は、ありとあらゆる男に声をかけた。
整った顔のせいもあって、何人もの男を易々と手にしていった。
女は男たちを手玉に取ると、同時にたくさんのお金を手に入れた。
女はたくさんのお金を手に入れると、それを全て父親へと渡していた。
美しい顔の若い女は、父親から虐待を受けていた。
小さな頃からずっと、今も尚。
しかし女は、唯一助かる方法を知っていた。それはお金だ。
お金を渡すことによって父親の機嫌を取り、父親からの虐待を逃れられることを知った。
「ごめんなさい。ごめんなさい。」
美しい顔の若い女は最後にそう言って、震える方を抑えていた。
ある日、夜も賑やかな都会で、1人の子供がさらわれた。
たった5歳だったその男の子は、一夜にして家族と離され、女によって殺された。
しかしこの女には、子供に恵まれなかった過去があった。
女は男の子を授かり、幸せに暮らしていた。だがある時、飲酒運転による事故で子供を亡くしてしまう。
女は子供を失うと酷く悲しみ、暗い日々を送った。
そんなある日、自分の子供そっくりの男の子を見つけ、誘拐した。
女は幸せを取り戻した。だが、男の子は女に懐かなかった。
すると女は、帰りたいと毎日泣く男の子に嫌気がさし、ついには殺してしまった。
「こんな子、私の子じゃないわ。」
女は最後にそう言って、また暗い日々を送った。
2人目は、中年の男。罪は、危険運転による過失致死。
男は静かな町で勢いよく車を走らせていると、5歳ほどの子供を連れた家族を轢き、殺してしまった。
男は急いでいたので、周りが見えていなかった。
事故が起こった時、子供の母親は泣き叫ぶ声が聞こえ、男は我に返って車を止めた。
事故が起こる前、この男の元に突然連絡が入った。
男の妻が、何者かに刺されたというのだ。
男は我を忘れ、慌てて車を走らせた。
頭の中には妻の無事を祈ることしかなく、周りが見えていなかった。
だが男は、妻の最後を見ることが出来なかった。
「ああ。あの時止まらなければ。」
男は最後にそう言って、酷く後悔した。
3人目は、優しい男。罪は、強盗。
優しい男は、古い時計屋に押し入り、店の女に向かってナイフを突き立て金銭を要求した。
しかし男は、店の女に警察を呼ばれてしまい、囲まれてしまった。男は警察や集まった人々の前で店の女を刺し、そして捕まった。
この男には、大事にしていた母親がいた。
母親は数年前に病気にかかり、植物状態になった。
母親の通う病院で手術が決まったが、男にはそのお金がなかった。
お金がなければ母親を救うことが出来ない。
男は自分の人生を捨て、母親を助けようとしていたのだ。
「ごめんよ…母さん」
男は最後にそう言って、また人生を捨てた。
4人目は、病院の先生。罪は、詐欺。
病院の先生は、町では有名な先生だった。特に老人からの支持が厚く、信頼できると人気もあった。
しかしある時、先生は考えた。老人相手ならば嘘をついてもバレないと。
そうして、治る見込みの無い病気でも適当に診察をし、手術を望む患者からは多くのお金を巻き取り、私腹を肥やしていった。
しかしこの病院の先生もまた、詐欺にあっていたのだ。
歳の離れた若い女を恋人にと望んだ先生は、女を振り向かせるためにお金を積んだ。
お金があれば女は振り向き、無くなれば女は去る。
先生は何としても女を手に入れるため、多くのお金が必要だったのだ。
「これだけではダメだ。こんなものじゃ…」
病院の先生は最後にそう言って、真っ白な紙切れを数えていた。
5人目は、美しい顔の若い女。罪は、結婚詐欺。
美しい顔の女は、ありとあらゆる男に声をかけた。
整った顔のせいもあって、何人もの男を易々と手にしていった。
女は男たちを手玉に取ると、同時にたくさんのお金を手に入れた。
女はたくさんのお金を手に入れると、それを全て父親へと渡していた。
美しい顔の若い女は、父親から虐待を受けていた。
小さな頃からずっと、今も尚。
しかし女は、唯一助かる方法を知っていた。それはお金だ。
お金を渡すことによって父親の機嫌を取り、父親からの虐待を逃れられることを知った。
「ごめんなさい。ごめんなさい。」
美しい顔の若い女は最後にそう言って、震える方を抑えていた。
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