1 / 1
わからない。
しおりを挟む
「先生~!ゆうたくんがまた悪口いった~!」
「こら!ゆうたくん!悪口はいっちゃだめって何回も言ってるでしょ!悪口を言われたあいなちゃんがどんな気持ちがわかる?!」
「わからない。」
ゆうたくんは、小学1年生の男の子。
一見みんなと変わらない普通の男の子。みんなと遊んで、みんなと勉強して、みんなと給食を食べる。普通の男の子。
でも、ゆうたくんには ’’気持ち’’ がわからない
「先生!ゆうたくんに叩かれた~!」
「こら!また叩いたの?人は叩いちゃダメって言ったでしょ!」
「うん。」
「叩かれたら痛い思いをするの、ゆうたくんも痛いことされたら嫌でしょ?」
「う~ん、わからない。」
他の日、ゆうたくんはお友達の教科書に落書きをしちゃった。
「先生~!ゆうたくんに落書きされた~!」
「ゆうたくん!勝手に落書きしちゃダメでしょ!こんなに汚しちゃって…どうするのこれ!」
「う~ん、」
「人の物に落書きしちゃダメなの。自分のものを汚されたらゆうたくんも嫌でしょ?」
「う~ん、わからない。」
また他の日、ゆうたくんはアリの大群を指で一つ一つ潰して、殺した。
「ゆうたくん、アリさんをいじめないで!」
「どうして?」
「アリさんも生きてるの、家族がいるのよ。ゆうたくんもお母さんとお父さんが死んじゃったら嫌でしょ?」
「う~ん、わからない。」
またまた他の日、ゆうたくんはお友達の手を鉛筆で刺しちゃった。
「先生~!痛いよ~!」
「ゆうたくん!何してるの!」
お友達の手から血がたくさん出ていた。
ゆうたくんはそれをじっと見つめていた。
「痛いよ~!」
お友達は大泣き、ゆうたくんはだんまり。
「ゆうたくん、どうしてこんなことをするの?こんなに痛がってるのよ。こんなことしちゃダメでしょ?」
「う~ん、そうかなぁ…」
先生は、ゆうたくんの頬をぶった。
「ゆうたくん、これが痛いってこと、わかる!?」
先生は泣きながらゆうたくんに訴えた。
「う~ん、わからない。」
ゆうたくんは家に帰って、お母さんとお話した。
「お母さん、痛いって何?嫌って何?」
お母さんはゆうたくんの方を向いてこう言いました。
「わからないわ。」
次の日、ゆうたくんは学校のみんなで飼っているニワトリを殺した。
「ゆうたくん…なんてことをするの…」
「え?」
先生はまた、ゆうたくんをぶった。でも、今度は語りかけることも無く、ゆうたくんをぶっただけだった。
死んじゃったニワトリを、クラスのみんなで埋めた。
みんなは泣いていた。男の子も、女の子も、先生も泣いていた。ただ1人、ゆうたくんを除いて。
ゆうたくんのお母さんは先生に呼び出された。
2人でなにか話しをするみたい。
「お母さん、ゆうたくんは人の気持ちが分からないようです。この前はお友達をえんぴつで刺しました。その前は学校のニワトリを殺しました。一体どうなっているんですか?」
「そんなこと、私にはわからないわよ。」
それから、ゆうたくんが学校に行くと、ゆうたくんの上履きが無くなっていた。ゆうたくんは気にしなかった。
「おはよう。」
ゆうたくんが教室に入ると、誰も返事をしなかった。
「ねえねえ、あのさ…」
ゆうたくんが話しかけても、お友達はみんな返事をしませんでした。
「遊ぼうよ」
ゆうたくんが誘っても、誰も来ませんでした。
ゆうたくんは家に帰って、一人で遊びました。
宿題をやろうと教科書を開くと、そこにはいっぱい落書きがされてました。
ゆうたくんは、考えました。
なんだか頭の中が、モヤモヤでいっぱいになりました。
今日一日のことを思い返し、上履きを隠すのも、無視をするのも、仲間外れにするのもやめて欲しいと思いました。
「これが、’’嫌’’ってこと?」
ゆうたくんは自分のした事を思い返してみました。
叩いちゃったお友達も、アリさんも、落書きしちゃったお友達も、みんな嫌だったのかな…?
ゆうたくんは先生に叩かれた時のことを思い出した。
頬がじーんと熱くなり、ヒリヒリしたことを思い出した。
ゆうたくんはお母さんが居なくなったことを考えた。
すると、なんだか胸が苦しくなり、ゆうたくんは泣けてきました。
落書きは、自分が実際にされたから、嫌だとわかりました。
ゆうたくんは決めました。
「明日、みんなに謝ろう」
ゆうたくんは次の日、学校へ行くと朝の会でみんなに謝りました。
みんなは笑顔で許してくれました。先生も、泣きながら許してくれました。
ゆうたくんはニワトリのお墓に行き、ごめんなさいといい、泣きました。
それからゆうたくんは、心を入れ替えました。
喧嘩をしているお友達がいれば、人は叩いちゃダメだと説得し、喧嘩を止めました。
虫をいじめてる子がいれば、命の大切さを語りかけ、やめさせました。
こうしてゆうたくんは、立派な大人になっていくのでした…。
「こら!ゆうたくん!悪口はいっちゃだめって何回も言ってるでしょ!悪口を言われたあいなちゃんがどんな気持ちがわかる?!」
「わからない。」
ゆうたくんは、小学1年生の男の子。
一見みんなと変わらない普通の男の子。みんなと遊んで、みんなと勉強して、みんなと給食を食べる。普通の男の子。
でも、ゆうたくんには ’’気持ち’’ がわからない
「先生!ゆうたくんに叩かれた~!」
「こら!また叩いたの?人は叩いちゃダメって言ったでしょ!」
「うん。」
「叩かれたら痛い思いをするの、ゆうたくんも痛いことされたら嫌でしょ?」
「う~ん、わからない。」
他の日、ゆうたくんはお友達の教科書に落書きをしちゃった。
「先生~!ゆうたくんに落書きされた~!」
「ゆうたくん!勝手に落書きしちゃダメでしょ!こんなに汚しちゃって…どうするのこれ!」
「う~ん、」
「人の物に落書きしちゃダメなの。自分のものを汚されたらゆうたくんも嫌でしょ?」
「う~ん、わからない。」
また他の日、ゆうたくんはアリの大群を指で一つ一つ潰して、殺した。
「ゆうたくん、アリさんをいじめないで!」
「どうして?」
「アリさんも生きてるの、家族がいるのよ。ゆうたくんもお母さんとお父さんが死んじゃったら嫌でしょ?」
「う~ん、わからない。」
またまた他の日、ゆうたくんはお友達の手を鉛筆で刺しちゃった。
「先生~!痛いよ~!」
「ゆうたくん!何してるの!」
お友達の手から血がたくさん出ていた。
ゆうたくんはそれをじっと見つめていた。
「痛いよ~!」
お友達は大泣き、ゆうたくんはだんまり。
「ゆうたくん、どうしてこんなことをするの?こんなに痛がってるのよ。こんなことしちゃダメでしょ?」
「う~ん、そうかなぁ…」
先生は、ゆうたくんの頬をぶった。
「ゆうたくん、これが痛いってこと、わかる!?」
先生は泣きながらゆうたくんに訴えた。
「う~ん、わからない。」
ゆうたくんは家に帰って、お母さんとお話した。
「お母さん、痛いって何?嫌って何?」
お母さんはゆうたくんの方を向いてこう言いました。
「わからないわ。」
次の日、ゆうたくんは学校のみんなで飼っているニワトリを殺した。
「ゆうたくん…なんてことをするの…」
「え?」
先生はまた、ゆうたくんをぶった。でも、今度は語りかけることも無く、ゆうたくんをぶっただけだった。
死んじゃったニワトリを、クラスのみんなで埋めた。
みんなは泣いていた。男の子も、女の子も、先生も泣いていた。ただ1人、ゆうたくんを除いて。
ゆうたくんのお母さんは先生に呼び出された。
2人でなにか話しをするみたい。
「お母さん、ゆうたくんは人の気持ちが分からないようです。この前はお友達をえんぴつで刺しました。その前は学校のニワトリを殺しました。一体どうなっているんですか?」
「そんなこと、私にはわからないわよ。」
それから、ゆうたくんが学校に行くと、ゆうたくんの上履きが無くなっていた。ゆうたくんは気にしなかった。
「おはよう。」
ゆうたくんが教室に入ると、誰も返事をしなかった。
「ねえねえ、あのさ…」
ゆうたくんが話しかけても、お友達はみんな返事をしませんでした。
「遊ぼうよ」
ゆうたくんが誘っても、誰も来ませんでした。
ゆうたくんは家に帰って、一人で遊びました。
宿題をやろうと教科書を開くと、そこにはいっぱい落書きがされてました。
ゆうたくんは、考えました。
なんだか頭の中が、モヤモヤでいっぱいになりました。
今日一日のことを思い返し、上履きを隠すのも、無視をするのも、仲間外れにするのもやめて欲しいと思いました。
「これが、’’嫌’’ってこと?」
ゆうたくんは自分のした事を思い返してみました。
叩いちゃったお友達も、アリさんも、落書きしちゃったお友達も、みんな嫌だったのかな…?
ゆうたくんは先生に叩かれた時のことを思い出した。
頬がじーんと熱くなり、ヒリヒリしたことを思い出した。
ゆうたくんはお母さんが居なくなったことを考えた。
すると、なんだか胸が苦しくなり、ゆうたくんは泣けてきました。
落書きは、自分が実際にされたから、嫌だとわかりました。
ゆうたくんは決めました。
「明日、みんなに謝ろう」
ゆうたくんは次の日、学校へ行くと朝の会でみんなに謝りました。
みんなは笑顔で許してくれました。先生も、泣きながら許してくれました。
ゆうたくんはニワトリのお墓に行き、ごめんなさいといい、泣きました。
それからゆうたくんは、心を入れ替えました。
喧嘩をしているお友達がいれば、人は叩いちゃダメだと説得し、喧嘩を止めました。
虫をいじめてる子がいれば、命の大切さを語りかけ、やめさせました。
こうしてゆうたくんは、立派な大人になっていくのでした…。
0
お気に入りに追加
3
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/picture_book.png?id=0d04fcf52a930fe4824b)
弟は、お人形さんになりました
るい
絵本
あるところに、お母さん、お父さん、お兄ちゃん、弟くんの4人で出来た、ごく普通の家庭がありました。
この家族は貧しくもなければ潤沢な訳でもなく、ごくごく普通の家庭でした。
お母さんは優しいし、お父さんはサラリーマン、お兄ちゃんはたくましい。
でも弟くんは、お人形さん。
【注】このお話は少しホラーテイストになっております。苦手な方は十分注意の上閲覧ください。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/picture_book.png?id=0d04fcf52a930fe4824b)
魔法動物ニャーキーと不思議な仲間たち
るい
絵本
魔法が使える動物、通称魔法動物。
この世界には、不思議な力を持つ動物が沢山いる。
魔法動物の1人であるニャーキーは、親友のチャイウイとヤガラと、今日も楽しく過ごしていた。
そんな3人の元に、これまた不思議な力を持つ動物たちが現れ…。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/picture_book.png?id=0d04fcf52a930fe4824b)
未来からの手紙
るい
絵本
天気のいい朝、わかばちゃんのお母さんが部屋の掃除をしていると、押し入れの奥から古い手紙が出てきました。
文字からして、どうやらわかばちゃんが書いたもののようです。
しかし、わかばちゃんは手紙どころか、文字もまだまだ書けません。
お母さんは不思議に思いながらも、その手紙をわかばちゃんにあげました。
わかばちゃんはその手紙を何度も読み、あることに気がつきました…。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/picture_book.png?id=0d04fcf52a930fe4824b)
【いじめ絵本】Aくん
るい
絵本
僕のクラスに、Aくんが居た。
Aくんは夏休みが終わった頃に転校してきた。
Aくんは大人しい子で、あまり喋らなかった。
クラスのみんなは、無口なAくんのことを気持ち悪がった。
そのうち、Aくんは男の子たちにいじめられるようになった。
Aくんは、それでも黙っていた。
冬休みが明けると、Aくんは転校した。
その頃から、僕のクラスでは変なことが起こるようになった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/picture_book.png?id=0d04fcf52a930fe4824b)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/picture_book.png?id=0d04fcf52a930fe4824b)
【怖い絵本】猫のお面
るい
絵本
みんな、猫が大好きな世界。
みんな、猫のお面を被っている。
猫のお面を被ると、みんな優しくしてくれる。
みんな、猫が大好きだから。
でも、僕は猫のお面が嫌い。
せっかくの顔を隠して、せっかくの個性を隠して、
僕が僕じゃ、無くなっちゃうから。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/picture_book.png?id=0d04fcf52a930fe4824b)
僕とケンが、入れ替わっちゃった
るい
絵本
5年生の男の子のしょうたくんは、夏休み明けの学校が嫌でした。
なぜなら、また勉強をしなくちゃいけないから。
せっかくの夏休みが、終わってしまうから。
毎日毎日遊べたのに、もう遊べなくなっちゃうから。
夏休み最終日、しょうたくんは星に願いました。
どうか、ペットのケンのように、勉強も宿題もせず、毎日のんびり暮らしたいです。
次の日の朝、目を覚ましたしょうたくんは、ペットのケンになっていました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/picture_book.png?id=0d04fcf52a930fe4824b)
影踏んだ
るい
絵本
学校で聞いた不思議な噂。
誰もいない教室で、ある儀式を行うと、もう一人の自分を作り出せる。
顔の形も体の作りもそっくりの、もう一人の自分。
もしもう一人の自分がいれば、学校を代わりに行ってもらって、毎日ゲームし放題。めんどくさい塾だってサボれちゃう。
「最高!最高!」
この噂を聞いた、小学四年生ののぞみちゃん。
面倒くさがりで、毎日好きなことだけしたいと思ったのぞみちゃんは、早速儀式の準備に取り掛かります。
しかし、その儀式の恐ろしさを全く知りませんでした…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる