42 / 46
1章
幕間1
しおりを挟む
数日の間忙しく過ごしていた使用人達は一仕事を終え、ここ、シグレイス伯爵のカントリーハウスにはゆったりとした空気が流れている。もちろん仕事内容は普段通りではあるが、使用人同士のお喋りはどこか期待と希望に浮いている。
「お体に気を付けて……しっかり勉学に励んでくださいね」
「寂しくなりますが。輝かしい未来をきっとお掴みになるでしょう」
「行ってらっしゃいませ、ガシェル様」
ガシェル様、と呼ばれたエインダール家の次男坊は、屋敷中の使用人とその両親に祝福されてにこやかに旅立った。彼は王都の学院の編入試験に申し分ない成績で合格し今年度から学ぶこととなったのだ。
屋敷中が喜びに沸く中、別棟勤めの使用人達は一連の出来事を温かいまなざしで見守りつつも、黒いインクが一滴、胸の奥に滲み広がるのを止められなかった。
しんと静まり返った別棟で普段と変わらぬ業務をこなしたメリダは、いくら火を入れても温まることのない 主のいない冷たい部屋をぼんやりと眺めた。
(もうお帰りにはならないのでしょうね)
冬期休暇はあと一週間ほどだ。いつでも迎えられるように整えた部屋の、主のための調度品に一つ一つ視線をやった。窓から差し込む橙色の明かりが頼りないものになったころ、冷たい部屋の空気が揺らいだ。
「まあ」
メリダは急いで暖炉に火を入れティートロリーにカップを出して出迎えの準備をする。ゆっくりと描き出された魔術式は転移機のものだ。少しでも整えておきたいメリダには少々もたつく展開速度が有難い。
「お帰りなさいませ、アスレイヤ様」
「……ああ」
いつからか、酷く冷たい目で他人を見るようになった主は冷えた声でそう答えた。腰を少し折ってお辞儀したまま 伏せた視線の先にはメリダの主、アスレイヤがいる。久しぶりに見たアスレイヤは以前より背が伸びていた。上着を受け取ろうとして制止され 困惑したメリダを横目に、アスレイヤは自分でさっさとくつろぐ準備を済ませている。
「夕食をご用意します」
「軽くでいい。一晩だけだ。長居はしない」
「旦那様には……」
「誰にも言うな」
「承知しました」
礼をして部屋の窓のカーテンを閉め切り、明かりで悟られるのを防ぐ。
(奥様も旦那様も、気にもしないでしょうけど)
心の中でほんの少し非難してメリダは部屋の扉に手をかけた。
「メリダ」
「はい、アスレイヤ様」
随分と久しぶりに名を呼んだアスレイヤに吃驚して目を瞠る。内心の動揺を抑えて振り返ると、真っ直ぐに目が合った。
「メリダは……皆は、変わりないか」
「……? はい。皆、良く働いております」
灯した火の柔らかい明かりがそう見せたのかもしれない。メリダはアスレイヤの両眼の奥にかつての――よく笑い、よく泣いていた主の心を見た気がした。
様子の違う主をよく見ようと一歩踏み出すと同時に、アスレイヤは視線を逸らして顔を少し背けてしまった。
「俺の使用人達は……不自由ないか」
「はい。良い環境を頂いております」
先ほどよりも固い声で尋ねられ メリダは普段通りのお辞儀の姿勢で答えた。
「それで、みんな…… 元気、なのか」
ちらと視線だけを上げてアスレイヤの様子を見ても、完全に顔を背けてしまって表情はわからない。けれど絞り出された主の声はメリダ達を気遣うものだ。
(きっとこれを尋ねるために帰って来られたのだわ)
じんわりと胸の奥が震え、さざ波になって指先まで伝った。全身に次々と広がる微弱な振動はメリダの胸の内に留めていた心を押し出し、目に見える形を持たせ、終にはあふれさせてしまった。
「ええ……ええ、皆変わりなく。元気ですわ」
「ふん、それならいい。べつにたいした用があって来たわけじゃない。俺はお茶のために立ち寄っただけだからな」
「お茶ですか」
そっと目元を拭って聞き返す。
「レモンと蜂蜜がたくさん入った、メリダがいつも入れていたお茶を……ちょっと飲みたくなっただけだ」
腕を組んでそっぽを向いて、そんなことを言った主をメリダはまじまじと見てしまった。
「ええ、すぐに。お持ちします」
深々とお辞儀をして部屋を出たメリダは今までにない速さで廊下を歩いた。
(何かが、アスレイヤ様を……)
主に起きた変化はとても良い何かだとメリダは思った。歓喜に沸く彼女の心は、まるで輝く星を見つけた旅人のように希望で満ちていった。
**********
迷宮の転移術式で脱出したアスレイヤは外の惨状に顔を顰めて素早く白狸亭に戻った。宿に戻ると叩き起こされたにも関わらず店主がほっとした表情をして、すぐにフェルレインに部屋を用意した。一緒に帰るはずのシルガがいないことを店主は深く尋ねなかった。
「友達かね?」
「……べつに。知らんやつだ」
「そう」
店主は一向に目覚める気配のないフェルレインのために医者を呼ぶ手配をし、アスレイヤの前にシルガから預かっていた荷物を並べた。
「ジスは今日で宿を出たさね。彼も忙しい身分でしょう」
「……」
「ギルドに報告はしたかね」
「明日行く。宿も明日出る。それと……」
アスレイヤはフェルレインに自分のことを言わないよう 店主に何度も約束させた。学院で色々と聞かれたらとても面倒なことになるし、答えに困ることが多いからだ。ギルドにもどこまで報告すればいいのか計りかねている。
「わかったわかった。屈強な冒険者が助けたことにするさね」
あまりにしつこく迫ったのでうんざりしたのか少々大袈裟に両手を上げてそう言った。フェルレインの家人が探しているだろうからと店主がギルドに知らせに行くことにして、それが決まるとアスレイヤはもう起きていられずに気絶するように眠った。
次の日、店主から受け取ったシルガ手製のマジックバッグを抱え、宿を引き払ってギルドエークハルク支部へ向かう。店主はあっさりしたもので、また来なさいどうせ空いてるから、と言っただけだ。けれどアスレイヤはそれになんとなく安堵して、シグレイスの屋敷にいる自分付きの使用人達を思い出したのだった。
目的地に着いたアスレイヤは 冒険者ギルドエークハルク支部をじっと見つめた。一人でこの扉を開けるのは初めてのことだ。シルガの存在が当たり前になる以前は取り巻きを連れていたが 今後その取り巻きもいないだろうことはわかっている。あの三人も一応は一緒にいて安心していたのだと、たったひとりの心細さを認めるしかない。アスレイヤは深く息を吸って扉を開けた。
あれだけの冒険者が迷宮に飲み込まれたのだから職員達は忙しいだろうという予想通りギルドは騒然としている。依頼受付のカウンターに目をやるとジェネットと目が合った。
「あっ」
アスレイヤが駆け寄ると、ジェネットは眉をハの字にして心底安心したように言った。
「無事だったんですね!良かったですよぉ~!みんなで心配していたんです」
「……生徒はみんな無事なのか?」
「それなんですけどね、ケヘランからまだ詳しい情報を得ていませんが生徒さんの死亡は真っ先に伝達されます」
「ええ、そういう報せは受けてないわ。だから無事だと思うのよね」
次々に答える職員達の様子に アスレイヤはふと、違和感を覚えた。まるで何もかも終わったような口ぶりだからだ。
「迷宮に入った全員の安否が確認出来たということか?」
「あっ そうです、まず状況をお知らせしますね。実は迷宮は、深夜に……消滅しました!」
「なんだと……」
迷宮が消滅した。それは即ち。
「はい、いえあのはい、誰かが踏破したということにはい、なりますねいえ……はい」
「踏破時に迷宮内部にいた他の冒険者はどうなったんだ」
「過去の記録によりますとはい、普通はですねあの……いえはい生存者は強制的に外へ放り出されるという仕組みに、はい、なっていますがはいそれが……」
「そうなのよね。でも今回は違ったわ」
「迷宮と一緒に消えたようです」
「……」
真夜中に白狸亭に戻って店主を叩き起こしたのだから、迷宮はあの後しばらくしてから消えたということだ。踏破した誰かには心当たりがありすぎる。アスレイヤは黄金の9階層で財宝を漁っていた者達を思い浮かべた。彼らのうちの何人が黄金と共に消えたのだろう。
「あの……アスレイヤ様。今日はお一人ですか? 鬼教官さんは……」
「迷宮を出た昨晩に別れた。契約期限だ」
「そうなんですね!よ、よかった……それにしても随分あっさりして……でもよかったですよぉ!」
涙ぐんで無事を喜ぶジェネット達に隠し事をするのは良心が痛むが、アスレイヤはシルガと共におそらく最下層まで進んだことを言わないでおくことにした。9階層で同級生に会ったこと、その先に進んでオルノワ卿と協力して賊を討ち、リムダとフェルレインを見たこと、謎の男が8階層の守護者らしき双頭の蛇を倒したことは報告した。オルノワ卿と戦闘になったことやその更に先の階層に進んだことは伏せ、その後シルガと合流出来たので脱出したということにした。
ギルドでは職員や冒険者達が慌ただしく仕事に追われ、落ち着いて詳細を聞き出す時間がないようだ。後日改めて報告書をまとめるよう要請があるかもしれないとのことだった。
アスレイヤは快適に整えられた部屋を見回し そっと息を吐いた。暖炉の傍の椅子に腰かけてシルガ手製のマジックバッグに触れる。ふわふわの毛皮を撫でてふと、気付いた。
「キラビットだ」
裏地は緑の……何か変な模様の布だ。どことなく愛嬌のある柄だが普通の布でしかない。
「こんな素材でよくマジックバッグが作れたな」
この素材でも 性能がかなり劣るというだけで作れないことはない。
(おやつが入ってるらしい)
興味を引かれてそっと魔力を指先に込めた。すると、マジックバッグの留め具から魔術式が展開し、その魔力を取り込んだ。アスレイヤを持ち主として登録するための魔術式のようだ。急に発動した魔法に驚いて危うく椅子から落ちるところだった。
「いきなり何だ、説明くらい……」
言いかけて軽く舌打ちする。気を取り直して中を探ると簡単な説明書らしき紙が一枚と目録が一枚入っている。ざっと目を通しただけでもキラビット素材のマジックバッグとは思えない大容量だ。
ということで、まずケープを取り出してみた。少し大きめに作ってあるそれはもこもこで暖かそうだがフードにうさぎの耳がついている。
「これを俺に着ろと? ふざけるな」
アスレイヤは何となく思いついて薬草に魔力付与をしたときのようにケープの魔力を探った。シルガが合格を出した魔力付与をイメージしてそっと探ってみると、キラビットの魔力とシルガの魔力をぼんやりと感じたような気がした。
「ふん、べつに。着てやってもいい」
明日は朝早く出て馬で王都を目指すつもりだ。道中危険も多いので、かなり過保護な付与がされているこのケープは心強い。何をどうしたらキラビットにここまでの付与ができるのか不明ではあるのだが。
目録によると緊急時セットなるものが入っているようだ。あとは魔法薬がいくつか、お菓子と料理は出来立ての状態で入っているらしい。中でもアスレイヤの目を引いたのは転移札が3枚。問題は、限度距離が記載されてないことだ。本人があまりに気軽に転移魔法を使うので失念していたのだろうとアスレイヤは思った。本当ならかなり高値で取引されるものだ。
中を確認し終わり 焼き菓子をいくつか取り出して自前のマジックバッグに入れようとしたところで異変が起きた。
「……?」
マジックバッグに入らない。こんなことは初めてだ。
不審に思いながら尚、入れようとバッグに放り込んでようやく原因に思い至る。
「くそっ、デスブリンガーランス改・バイデント零式のせいか!」
デスブリンガーを倒した後 シルガが勝手に入れていた二叉槍。
「残容量を全て食い潰すとはなんて図々しい奴だ!」
――カランカラン、ゴトッ、ドサ
「…………」
アスレイヤのマジックバッグが中身を吐き出しているのだ。マジックバッグの反乱である。もうどうすることもできないので、アスレイヤは溢れ出す持ち物をぼうっと眺めるだけだ。
「何事ですか」
「……」
軽食を持って戻ったメリダはノックもそこそこに主の部屋へ滑り込む。暖炉の周りに散らかされた山のような物の中に、獣の頭部の皮らしきものを見出して息を呑んだ。
「まあ何でしょう! ウォーハウンドではないですか、この雑な仕留め方。一体誰が……あら、まあ何てこと!あの禍々しい槍は」
「…………」
何とも説明し難くてアスレイヤは無言を貫いた。
「こんな風にお部屋を散らかしてはいけません。すぐに片付けます」
「自分でする」
「……?」
主の口から聞きなれない言葉を聞いたメリダは瞼を瞬かせた。
「自分で片付ける。それより、明日は朝早くに出る予定だ。馬の手配を頼む」
「……王都まで馬で行くおつもりですか」
「6日もあれば着くだろう」
「護衛を付けます」
「……メリダに任せる」
とりあえず食事を摂ることにして軽食を摘まむと懐かしい味がする。シルガの料理は美味しかったし 店主が腕を振るった料理も好ましかったが、アスレイヤはメリダの料理も好きだと思った。
「アスレイヤ様、こちらのお召し物は明日までに整えておきます」
「ああ…… メリダ」
咄嗟に呼び止めたのは洗濯籠を抱えたメリダの指先が荒れていることに気付いたからだ。アスレイヤは荷物の山を崩してようやく小さな瓶を見つけ出した。
「これを使うといい」
アスレイヤが差し出したのはシルガが精製した基本の治癒薬だ。肌荒れなんかにもいいよ と言っていたのを急に思い出したのだ。
「使用人にこのようなものを気軽に与えてはいけません」
差し出された小瓶は明らかに何かの薬だ。そんな高価なものを受け取るなどメリダの気質では出来ないことだった。
「べつに、たいしたものじゃない。俺が作ったんだからな」
「アスレイヤ様が?」
「……手伝った」
メリダが驚いて尋ねると 主はそっぽを向いて訂正した。久しぶりに帰った主には驚かされてばかりだ。
「作ったのは俺の下ぼ…… …… 先生、だが。俺も手伝った」
ぎりぎりと奥歯を噛み締める悔しそうな表情を疑問に思いながらメリダは平たい瓶の蓋を開けた。
「まあ……。美しいですね」
「切り傷や肌荒れに効く基本の治癒薬だ」
「アスレイヤ様、有難く頂きます。大切に使いますわ」
「メリダも身体を……大切に……十分に労わるといい」
「ありがとうございます」
「……待て」
下がろうとしたメリダの前にアスレイヤが歩み寄り、上着のようなものを渡した。追加の洗濯物かと思って広げたそれはアスレイヤよりも大きいサイズの大人用のローブだ。
「このローブは?」
「これは俺の、先生……のものだ。借りっぱなしになっているが必ず返す」
傍にある主の顔をじっと見て、大人びた表情をするようになったものだとメリダは心の中で感嘆した。渡されたローブをしげしげと眺め、よく観察してみるとそれは非常に複雑な魔術式が付与された稀にみる一級品の魔道具だ。
「預かっていてほしい」
アスレイヤは真っ直ぐにメリダを見て、まるで心を預けるかのように そう言った。
「メリダが責任持ってお預かりいたします」
朝まで時間は少ないがメリダはアスレイヤのための仕事を一つ一つ片付けていった。護衛は改めて選定し王都に送る予定だ。そのための根回しをしなければならないが、とりあえずの護衛と馬を確保し 主がこっそり旅立つ準備を進めた。主の服を丁寧に洗濯し、風魔法で乾かして、ポケットに入っていた銅製の指輪にチェーンを通しておくことも忘れない。
(このローブは誰にも見せてはいけないものだわ)
メリダはローブを洗いながらそう思った。
肌荒れに使うようにと渡された治癒薬にしろ、メリダだけが預かった秘密として収めねばならないと強く決意した。それは、3頭のウォーハウンドや メリダには不死者の槍にしか見えなかったあの禍々しい槍といった、主の持ち物として相応とは言えない物からもたらされた確信だ。
そんな物騒なものを手にするような冬期休暇の過ごし方なんて見当もつかないが、どう過ごしていたとしても、メリダの主は無事に戻って、随分と成長している。
「……ふふ」
ローブの裾が所どころほつれ 袖口が少し汚れている。
メリダは 主が悔しそうに先生と呼んだ人物のことを思った。
翌朝早く、アスレイヤはきれいに洗濯された服に着替え、忘れ去っていた銅の指輪を通したチェーンをなんとなく身に着けて、メリダに見送られながらひっそりと旅立った。羽織ったケープのうさぎの耳がぴょこぴょこ揺れる後姿を、メリダは主が見えなくなるまでずっと見守っていた。
「お体に気を付けて……しっかり勉学に励んでくださいね」
「寂しくなりますが。輝かしい未来をきっとお掴みになるでしょう」
「行ってらっしゃいませ、ガシェル様」
ガシェル様、と呼ばれたエインダール家の次男坊は、屋敷中の使用人とその両親に祝福されてにこやかに旅立った。彼は王都の学院の編入試験に申し分ない成績で合格し今年度から学ぶこととなったのだ。
屋敷中が喜びに沸く中、別棟勤めの使用人達は一連の出来事を温かいまなざしで見守りつつも、黒いインクが一滴、胸の奥に滲み広がるのを止められなかった。
しんと静まり返った別棟で普段と変わらぬ業務をこなしたメリダは、いくら火を入れても温まることのない 主のいない冷たい部屋をぼんやりと眺めた。
(もうお帰りにはならないのでしょうね)
冬期休暇はあと一週間ほどだ。いつでも迎えられるように整えた部屋の、主のための調度品に一つ一つ視線をやった。窓から差し込む橙色の明かりが頼りないものになったころ、冷たい部屋の空気が揺らいだ。
「まあ」
メリダは急いで暖炉に火を入れティートロリーにカップを出して出迎えの準備をする。ゆっくりと描き出された魔術式は転移機のものだ。少しでも整えておきたいメリダには少々もたつく展開速度が有難い。
「お帰りなさいませ、アスレイヤ様」
「……ああ」
いつからか、酷く冷たい目で他人を見るようになった主は冷えた声でそう答えた。腰を少し折ってお辞儀したまま 伏せた視線の先にはメリダの主、アスレイヤがいる。久しぶりに見たアスレイヤは以前より背が伸びていた。上着を受け取ろうとして制止され 困惑したメリダを横目に、アスレイヤは自分でさっさとくつろぐ準備を済ませている。
「夕食をご用意します」
「軽くでいい。一晩だけだ。長居はしない」
「旦那様には……」
「誰にも言うな」
「承知しました」
礼をして部屋の窓のカーテンを閉め切り、明かりで悟られるのを防ぐ。
(奥様も旦那様も、気にもしないでしょうけど)
心の中でほんの少し非難してメリダは部屋の扉に手をかけた。
「メリダ」
「はい、アスレイヤ様」
随分と久しぶりに名を呼んだアスレイヤに吃驚して目を瞠る。内心の動揺を抑えて振り返ると、真っ直ぐに目が合った。
「メリダは……皆は、変わりないか」
「……? はい。皆、良く働いております」
灯した火の柔らかい明かりがそう見せたのかもしれない。メリダはアスレイヤの両眼の奥にかつての――よく笑い、よく泣いていた主の心を見た気がした。
様子の違う主をよく見ようと一歩踏み出すと同時に、アスレイヤは視線を逸らして顔を少し背けてしまった。
「俺の使用人達は……不自由ないか」
「はい。良い環境を頂いております」
先ほどよりも固い声で尋ねられ メリダは普段通りのお辞儀の姿勢で答えた。
「それで、みんな…… 元気、なのか」
ちらと視線だけを上げてアスレイヤの様子を見ても、完全に顔を背けてしまって表情はわからない。けれど絞り出された主の声はメリダ達を気遣うものだ。
(きっとこれを尋ねるために帰って来られたのだわ)
じんわりと胸の奥が震え、さざ波になって指先まで伝った。全身に次々と広がる微弱な振動はメリダの胸の内に留めていた心を押し出し、目に見える形を持たせ、終にはあふれさせてしまった。
「ええ……ええ、皆変わりなく。元気ですわ」
「ふん、それならいい。べつにたいした用があって来たわけじゃない。俺はお茶のために立ち寄っただけだからな」
「お茶ですか」
そっと目元を拭って聞き返す。
「レモンと蜂蜜がたくさん入った、メリダがいつも入れていたお茶を……ちょっと飲みたくなっただけだ」
腕を組んでそっぽを向いて、そんなことを言った主をメリダはまじまじと見てしまった。
「ええ、すぐに。お持ちします」
深々とお辞儀をして部屋を出たメリダは今までにない速さで廊下を歩いた。
(何かが、アスレイヤ様を……)
主に起きた変化はとても良い何かだとメリダは思った。歓喜に沸く彼女の心は、まるで輝く星を見つけた旅人のように希望で満ちていった。
**********
迷宮の転移術式で脱出したアスレイヤは外の惨状に顔を顰めて素早く白狸亭に戻った。宿に戻ると叩き起こされたにも関わらず店主がほっとした表情をして、すぐにフェルレインに部屋を用意した。一緒に帰るはずのシルガがいないことを店主は深く尋ねなかった。
「友達かね?」
「……べつに。知らんやつだ」
「そう」
店主は一向に目覚める気配のないフェルレインのために医者を呼ぶ手配をし、アスレイヤの前にシルガから預かっていた荷物を並べた。
「ジスは今日で宿を出たさね。彼も忙しい身分でしょう」
「……」
「ギルドに報告はしたかね」
「明日行く。宿も明日出る。それと……」
アスレイヤはフェルレインに自分のことを言わないよう 店主に何度も約束させた。学院で色々と聞かれたらとても面倒なことになるし、答えに困ることが多いからだ。ギルドにもどこまで報告すればいいのか計りかねている。
「わかったわかった。屈強な冒険者が助けたことにするさね」
あまりにしつこく迫ったのでうんざりしたのか少々大袈裟に両手を上げてそう言った。フェルレインの家人が探しているだろうからと店主がギルドに知らせに行くことにして、それが決まるとアスレイヤはもう起きていられずに気絶するように眠った。
次の日、店主から受け取ったシルガ手製のマジックバッグを抱え、宿を引き払ってギルドエークハルク支部へ向かう。店主はあっさりしたもので、また来なさいどうせ空いてるから、と言っただけだ。けれどアスレイヤはそれになんとなく安堵して、シグレイスの屋敷にいる自分付きの使用人達を思い出したのだった。
目的地に着いたアスレイヤは 冒険者ギルドエークハルク支部をじっと見つめた。一人でこの扉を開けるのは初めてのことだ。シルガの存在が当たり前になる以前は取り巻きを連れていたが 今後その取り巻きもいないだろうことはわかっている。あの三人も一応は一緒にいて安心していたのだと、たったひとりの心細さを認めるしかない。アスレイヤは深く息を吸って扉を開けた。
あれだけの冒険者が迷宮に飲み込まれたのだから職員達は忙しいだろうという予想通りギルドは騒然としている。依頼受付のカウンターに目をやるとジェネットと目が合った。
「あっ」
アスレイヤが駆け寄ると、ジェネットは眉をハの字にして心底安心したように言った。
「無事だったんですね!良かったですよぉ~!みんなで心配していたんです」
「……生徒はみんな無事なのか?」
「それなんですけどね、ケヘランからまだ詳しい情報を得ていませんが生徒さんの死亡は真っ先に伝達されます」
「ええ、そういう報せは受けてないわ。だから無事だと思うのよね」
次々に答える職員達の様子に アスレイヤはふと、違和感を覚えた。まるで何もかも終わったような口ぶりだからだ。
「迷宮に入った全員の安否が確認出来たということか?」
「あっ そうです、まず状況をお知らせしますね。実は迷宮は、深夜に……消滅しました!」
「なんだと……」
迷宮が消滅した。それは即ち。
「はい、いえあのはい、誰かが踏破したということにはい、なりますねいえ……はい」
「踏破時に迷宮内部にいた他の冒険者はどうなったんだ」
「過去の記録によりますとはい、普通はですねあの……いえはい生存者は強制的に外へ放り出されるという仕組みに、はい、なっていますがはいそれが……」
「そうなのよね。でも今回は違ったわ」
「迷宮と一緒に消えたようです」
「……」
真夜中に白狸亭に戻って店主を叩き起こしたのだから、迷宮はあの後しばらくしてから消えたということだ。踏破した誰かには心当たりがありすぎる。アスレイヤは黄金の9階層で財宝を漁っていた者達を思い浮かべた。彼らのうちの何人が黄金と共に消えたのだろう。
「あの……アスレイヤ様。今日はお一人ですか? 鬼教官さんは……」
「迷宮を出た昨晩に別れた。契約期限だ」
「そうなんですね!よ、よかった……それにしても随分あっさりして……でもよかったですよぉ!」
涙ぐんで無事を喜ぶジェネット達に隠し事をするのは良心が痛むが、アスレイヤはシルガと共におそらく最下層まで進んだことを言わないでおくことにした。9階層で同級生に会ったこと、その先に進んでオルノワ卿と協力して賊を討ち、リムダとフェルレインを見たこと、謎の男が8階層の守護者らしき双頭の蛇を倒したことは報告した。オルノワ卿と戦闘になったことやその更に先の階層に進んだことは伏せ、その後シルガと合流出来たので脱出したということにした。
ギルドでは職員や冒険者達が慌ただしく仕事に追われ、落ち着いて詳細を聞き出す時間がないようだ。後日改めて報告書をまとめるよう要請があるかもしれないとのことだった。
アスレイヤは快適に整えられた部屋を見回し そっと息を吐いた。暖炉の傍の椅子に腰かけてシルガ手製のマジックバッグに触れる。ふわふわの毛皮を撫でてふと、気付いた。
「キラビットだ」
裏地は緑の……何か変な模様の布だ。どことなく愛嬌のある柄だが普通の布でしかない。
「こんな素材でよくマジックバッグが作れたな」
この素材でも 性能がかなり劣るというだけで作れないことはない。
(おやつが入ってるらしい)
興味を引かれてそっと魔力を指先に込めた。すると、マジックバッグの留め具から魔術式が展開し、その魔力を取り込んだ。アスレイヤを持ち主として登録するための魔術式のようだ。急に発動した魔法に驚いて危うく椅子から落ちるところだった。
「いきなり何だ、説明くらい……」
言いかけて軽く舌打ちする。気を取り直して中を探ると簡単な説明書らしき紙が一枚と目録が一枚入っている。ざっと目を通しただけでもキラビット素材のマジックバッグとは思えない大容量だ。
ということで、まずケープを取り出してみた。少し大きめに作ってあるそれはもこもこで暖かそうだがフードにうさぎの耳がついている。
「これを俺に着ろと? ふざけるな」
アスレイヤは何となく思いついて薬草に魔力付与をしたときのようにケープの魔力を探った。シルガが合格を出した魔力付与をイメージしてそっと探ってみると、キラビットの魔力とシルガの魔力をぼんやりと感じたような気がした。
「ふん、べつに。着てやってもいい」
明日は朝早く出て馬で王都を目指すつもりだ。道中危険も多いので、かなり過保護な付与がされているこのケープは心強い。何をどうしたらキラビットにここまでの付与ができるのか不明ではあるのだが。
目録によると緊急時セットなるものが入っているようだ。あとは魔法薬がいくつか、お菓子と料理は出来立ての状態で入っているらしい。中でもアスレイヤの目を引いたのは転移札が3枚。問題は、限度距離が記載されてないことだ。本人があまりに気軽に転移魔法を使うので失念していたのだろうとアスレイヤは思った。本当ならかなり高値で取引されるものだ。
中を確認し終わり 焼き菓子をいくつか取り出して自前のマジックバッグに入れようとしたところで異変が起きた。
「……?」
マジックバッグに入らない。こんなことは初めてだ。
不審に思いながら尚、入れようとバッグに放り込んでようやく原因に思い至る。
「くそっ、デスブリンガーランス改・バイデント零式のせいか!」
デスブリンガーを倒した後 シルガが勝手に入れていた二叉槍。
「残容量を全て食い潰すとはなんて図々しい奴だ!」
――カランカラン、ゴトッ、ドサ
「…………」
アスレイヤのマジックバッグが中身を吐き出しているのだ。マジックバッグの反乱である。もうどうすることもできないので、アスレイヤは溢れ出す持ち物をぼうっと眺めるだけだ。
「何事ですか」
「……」
軽食を持って戻ったメリダはノックもそこそこに主の部屋へ滑り込む。暖炉の周りに散らかされた山のような物の中に、獣の頭部の皮らしきものを見出して息を呑んだ。
「まあ何でしょう! ウォーハウンドではないですか、この雑な仕留め方。一体誰が……あら、まあ何てこと!あの禍々しい槍は」
「…………」
何とも説明し難くてアスレイヤは無言を貫いた。
「こんな風にお部屋を散らかしてはいけません。すぐに片付けます」
「自分でする」
「……?」
主の口から聞きなれない言葉を聞いたメリダは瞼を瞬かせた。
「自分で片付ける。それより、明日は朝早くに出る予定だ。馬の手配を頼む」
「……王都まで馬で行くおつもりですか」
「6日もあれば着くだろう」
「護衛を付けます」
「……メリダに任せる」
とりあえず食事を摂ることにして軽食を摘まむと懐かしい味がする。シルガの料理は美味しかったし 店主が腕を振るった料理も好ましかったが、アスレイヤはメリダの料理も好きだと思った。
「アスレイヤ様、こちらのお召し物は明日までに整えておきます」
「ああ…… メリダ」
咄嗟に呼び止めたのは洗濯籠を抱えたメリダの指先が荒れていることに気付いたからだ。アスレイヤは荷物の山を崩してようやく小さな瓶を見つけ出した。
「これを使うといい」
アスレイヤが差し出したのはシルガが精製した基本の治癒薬だ。肌荒れなんかにもいいよ と言っていたのを急に思い出したのだ。
「使用人にこのようなものを気軽に与えてはいけません」
差し出された小瓶は明らかに何かの薬だ。そんな高価なものを受け取るなどメリダの気質では出来ないことだった。
「べつに、たいしたものじゃない。俺が作ったんだからな」
「アスレイヤ様が?」
「……手伝った」
メリダが驚いて尋ねると 主はそっぽを向いて訂正した。久しぶりに帰った主には驚かされてばかりだ。
「作ったのは俺の下ぼ…… …… 先生、だが。俺も手伝った」
ぎりぎりと奥歯を噛み締める悔しそうな表情を疑問に思いながらメリダは平たい瓶の蓋を開けた。
「まあ……。美しいですね」
「切り傷や肌荒れに効く基本の治癒薬だ」
「アスレイヤ様、有難く頂きます。大切に使いますわ」
「メリダも身体を……大切に……十分に労わるといい」
「ありがとうございます」
「……待て」
下がろうとしたメリダの前にアスレイヤが歩み寄り、上着のようなものを渡した。追加の洗濯物かと思って広げたそれはアスレイヤよりも大きいサイズの大人用のローブだ。
「このローブは?」
「これは俺の、先生……のものだ。借りっぱなしになっているが必ず返す」
傍にある主の顔をじっと見て、大人びた表情をするようになったものだとメリダは心の中で感嘆した。渡されたローブをしげしげと眺め、よく観察してみるとそれは非常に複雑な魔術式が付与された稀にみる一級品の魔道具だ。
「預かっていてほしい」
アスレイヤは真っ直ぐにメリダを見て、まるで心を預けるかのように そう言った。
「メリダが責任持ってお預かりいたします」
朝まで時間は少ないがメリダはアスレイヤのための仕事を一つ一つ片付けていった。護衛は改めて選定し王都に送る予定だ。そのための根回しをしなければならないが、とりあえずの護衛と馬を確保し 主がこっそり旅立つ準備を進めた。主の服を丁寧に洗濯し、風魔法で乾かして、ポケットに入っていた銅製の指輪にチェーンを通しておくことも忘れない。
(このローブは誰にも見せてはいけないものだわ)
メリダはローブを洗いながらそう思った。
肌荒れに使うようにと渡された治癒薬にしろ、メリダだけが預かった秘密として収めねばならないと強く決意した。それは、3頭のウォーハウンドや メリダには不死者の槍にしか見えなかったあの禍々しい槍といった、主の持ち物として相応とは言えない物からもたらされた確信だ。
そんな物騒なものを手にするような冬期休暇の過ごし方なんて見当もつかないが、どう過ごしていたとしても、メリダの主は無事に戻って、随分と成長している。
「……ふふ」
ローブの裾が所どころほつれ 袖口が少し汚れている。
メリダは 主が悔しそうに先生と呼んだ人物のことを思った。
翌朝早く、アスレイヤはきれいに洗濯された服に着替え、忘れ去っていた銅の指輪を通したチェーンをなんとなく身に着けて、メリダに見送られながらひっそりと旅立った。羽織ったケープのうさぎの耳がぴょこぴょこ揺れる後姿を、メリダは主が見えなくなるまでずっと見守っていた。
0
お気に入りに追加
103
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
真面目系委員長の同室は王道転校生⁉~王道受けの横で適度に巻き込まれて行きます~
シキ
BL
全寮制学園モノBL。
倉科誠は真面目で平凡な目立たない学級委員長だった。そう、だった。季節外れの王道転入生が来るまでは……。
倉科の通う私立藤咲学園は山奥に位置する全寮制男子高校だ。外界と隔絶されたそこでは美形生徒が信奉され、親衛隊が作られ、生徒会には俺様会長やクール系副会長が在籍する王道学園と呼ぶに相応しいであろう場所。そんな学園に一人の転入生がやってくる。破天荒な美少年の彼を中心に巻き起こる騒動に同室・同クラスな委員長も巻き込まれていき……?
真面目で平凡()な学級委員長が王道転入生くんに巻き込まれ何だかんだ総受けする青春系ラブストーリー。
一部固定CP(副会長×王道転入生)もいつつ、基本は主人公総受けです。
こちらは個人サイトで数年前に連載していて、途中だったお話です。
今度こそ完走させてあげたいと思いたってこちらで加筆修正して再連載させていただいています。
当時の企画で書いた番外編なども掲載させていただきますが、生暖かく見守ってください。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
傷だらけの僕は空をみる
猫谷 一禾
BL
傷を負った少年は日々をただ淡々と暮らしていく。
生を終えるまで、時を過ぎるのを暗い瞳で過ごす。
諦めた雰囲気の少年に声をかける男は軽い雰囲気の騎士団副団長。
身体と心に傷を負った少年が愛を知り、愛に満たされた幸せを掴むまでの物語。
ハッピーエンドです。
若干の胸くそが出てきます。
ちょっと痛い表現出てくるかもです。
天涯孤独になった少年は、元兵士の優しいオジサンと幸せに生きる
ir(いる)
BL
ファンタジー。最愛の父を亡くした後、恋人(不倫相手)と再婚したい母に騙されて捨てられた12歳の少年。30歳の元兵士の男性との出会いで傷付いた心を癒してもらい、恋(主人公からの片思い)をする物語。
※序盤は主人公が悲しむシーンが多いです。
※主人公と相手が出会うまで、少しかかります(28話)
※BL的展開になるまでに、結構かかる予定です。主人公が恋心を自覚するようでしないのは51話くらい?
※女性は普通に登場しますが、他に明確な相手がいたり、恋愛目線で主人公たちを見ていない人ばかりです。
※同性愛者もいますが、異性愛が主流の世界です。なので主人公は、男なのに男を好きになる自分はおかしいのでは?と悩みます。
※主人公のお相手は、保護者として主人公を温かく見守り、支えたいと思っています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
どうやら生まれる世界を間違えた~異世界で人生やり直し?~
黒飴細工
BL
京 凛太郎は突然異世界に飛ばされたと思ったら、そこで出会った超絶イケメンに「この世界は本来、君が生まれるべき世界だ」と言われ……?どうやら生まれる世界を間違えたらしい。幼い頃よりあまりいい人生を歩んでこれなかった凛太郎は心機一転。人生やり直し、自分探しの旅に出てみることに。しかし、次から次に出会う人々は一癖も二癖もある人物ばかり、それが見た目が良いほど変わった人物が多いのだから困りもの。「でたよ!ファンタジー!」が口癖になってしまう凛太郎がこれまでと違った濃ゆい人生を送っていくことに。
※こちらの作品第10回BL小説大賞にエントリーしてます。応援していただけましたら幸いです。
※こちらの作品は小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+にも投稿しております。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。
みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。
生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。
何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる