白雪姫症候群~スノーホワイト・シンドローム~

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第2章

タンポポ探し

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 白いタンポポ探しは思っていたよりも難航した。

 山頂にそびえる天守閣。
 その足元を支える石垣の周りにはタンポポがちらほらと顔を出しているが、どれもこれも黄色の花びらをつけたものばかりだった。

 時折遠くに白っぽいものを見つけて駆け寄ってみるも、決まって綿毛が満開になっているだけだった。

「うー、なかなか見つからないねえ。……こんなときこそ、しきがみ君の出番だよねっ」

 そう威勢の良い声で言った星蘭さんは、またしてもその豊満な胸の谷間にズボッ! と片手を突っ込んだ。

 いちいち目のやり場に困る。

 そうして取り出された手の指先には、例の白い紙が抓まれていた。

「さあっ。頼むよ、しきがみ君!」

 その掛け声とともに、彼女は勢いよく紙を頭上高くへと放り投げた。
 そのしなやかな動きは長い手足と整った顔にマッチして、至極美しい絵を創り出していた。

 とはいえ、実際にやっていることはトンチンカンだった。
 しきがみ君などというよくわからない名前の紙切れを、意味もなく空へ放り投げているのである。
 一体何がしたいのか。

「……あれ?」

 と、そこへ訪れた異変に、先に気付いたのは月花の方だった。

「あの、旭さん。あの紙……なんだか動きが変じゃないですか?」
「え?」

 言われて、俺も違和感を覚える。

 人の形のようにも見えるその白い紙は、空中でひらひらと風に揺られながらも、一向に落ちてくる気配がない。

 それどころか、段々と横へ横へと移動していく。

「にゃははっ! あっちだって!」

 星蘭さんはその紙に誘われるようにして、城とは反対側の植え込みへと近づいていく。
 その様はまるで幼い子どもが蝶々を追いかけているようでもある。

 そんな光景に呆気に取られながらも、俺と月花は仕方なく彼女の後に続いた。

 紙は、花壇の脇に生えたタンポポの群れの中に落ちた。

 星蘭さんは軽くジャンプするようにしてその群れの中に飛び込む。
 そして、

「あった――――っ!」

 と、清々しいほど高揚した声で言った。

「えっ!?」

 まさか、と思った。
 まさかとは思うが、白いタンポポを見つけたとでも言うのか。

 血相を変えて俺と月花がそこへ駆けつけると、

「ほら、見て見て。変な虫っ!」

 満面の笑みを浮かべながら、星蘭さんは手にした黒い物体をこちらに見せつけた。
 彼女の細長い指の間で、石ころぐらいの丸い虫が、六本の足をばたつかせている。

 瞬間、月花は「ひっ……」と短く息を吸って、

「きゃああああ――――ッ!!」

 と、山の麓まで響きそうな叫び声を上げた。





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 その後も白いタンポポはなかなか見つからなかった。

 時折、星蘭さんが「あっち!」とか「やっぱりこっち!」とか言って、しきがみ君を追って様々な方角へと走り出すが、その度にちょっと変わった虫が見つかるだけで、月花は悲鳴を上げ、星蘭さんは面白がった。
 もしかしてわざとやってるんじゃないだろうか。

「あの、星蘭さん。その紙ってどういう仕組みになってるんですか?」
「えへへー。企業秘密っ」

 俺が尋ねると、星蘭さんは笑って誤魔化した。

 何か種があるに違いない。





       ◯





 正午を過ぎる頃になると、さすがに腹が減ってきたので、近くにあった軽食屋で簡単に食事を済ませた。

 腹が膨れたところで捜索を再開したが、目的の白いタンポポはやはり見つからなかった。
 代わりに旬のツツジやアジサイばかりがこちらの目を惹き、二人の少女を魅了する。

 そうして太陽が西の方へと落ちてくる頃には、俺はもうほとんど希望を見出せなくなっていた。

 これだけ探しても見つからないのなら、ここにはもう咲いていないのかもしれない。

「はあ……」

 ほとんど無意識のうちに、溜息が漏れた。

 と、そのとき。

「スキありいっ!」
「うわぁッ!?」

 気持ちが下がっていたところへ、星蘭さんが唐突に抱きついてきた。
 そうして今朝の月花同様、俺の後ろから腕を回してがっちりと押さえ込み、脇腹をくすぐってきた。

「! だっはっはっは! や、やめっ……あっはっはっは!」
「にゃははははっ!」

 身動きが取れないまま、滅茶苦茶にくすぐられた。
 あまりにも素早いその指の動きに、俺の意識は飛びそうになる。

「やっ、ほんとにやめっ……――」

 思わず涙目になっていると、

(あれ……?)

 不意に、不思議な感覚が俺の全身を包んだ。

 何かを唐突に思い出したときのような、フラッシュバックに近いものだった。
 けれど、具体的には何も思い出せない。

(この感じ、前にもどこかで……)

 あと少しで何かを思い出せそうな、そんな感覚だった。
 けれど、どうしても思い出せない。

 具体的には何もわからないのに、それでも確かに、前にもこんなことがあった――と思わせるような感覚だった。
 いわゆるデジャヴというものだろう。

 星蘭さんはひとしきり俺を笑わせた後、やっと満足したのか、すっと手を放した。

 途端、俺は全身の力が抜けて、その場に尻餅をついた。

「っはあ、はあ……。っ……い、いきなり何するんですか!」

 荒い呼吸を整えながら、俺は吠えた。

 すると、悪戯っぽい猫目を細めながら、星蘭さんは笑って答える。

「だあって旭ちゃん、何だか難しい顔してるんだもん。笑顔がいいよ、笑顔が」

 そう指摘されて、俺はハッとした。

 少しだけ冷静になった頭で、直前までの自分自身を振り返る。
 脳裏に映るのは、白いタンポポを探すのに疲れて溜息を漏らしてしまった俺の姿。

 そのとき俺は、一体どんな顔をしていただろう。
 星蘭さんの目に、どんな風に映っていたのだろう。

 タンポポ探しを内心諦めていたのが、知らず知らずのうちに顔に出てしまっていたかもしれない。
 やる気のない、退屈そうな顔をしてしまっていたのだろうか。

 そんな態度を二人に見せつけてしまっていたのかと考えると、途端に申し訳なくなった。

 そうしてちらりと月花の方を窺ってみると、彼女は一瞬だけ俺と目を合わせたものの、すぐにふいと視線を逸らしてしまった。

「……月花?」

 やはり、彼女も星蘭さんと同じことを思っていたのかもしれない。
 気を悪くさせてしまっただろうか。

「ごめんな、感じ悪いことして。……怒ってるか?」

 俺が頭を掻きながら言うと、月花は急にこちらを見上げ、少しだけ声を荒げて言った。

「そ、そんなっ……お二人がくっついていたからといって、それだけで私は怒ったりなんかしません!」
「へっ?」

 その返答に、俺は首を傾げた。

 いつもと違う彼女の剣幕に圧倒されたものの、しかしそれ以上に、彼女の発した内容が不可解だった。

「くっついて……?」

 俺が聞くと、途端に彼女は何かに気づいたように、垂れ目がちなその瞳を大きく開いた。

「! あっ、いえっ……ちがっ……!」

 そうして、見る見るうちに顔が赤くなっていく。

「おい、月花? 顔が赤いぞ。もしかして……」

 まさか熱が出たのか。

 考えてみれば、今日は朝からキスをしていない。
 もうじき夕方だ。
 時間帯からしても、そろそろ症状が出てくる頃だ。

 このまま放置すれば、彼女は高熱で倒れてしまうかもしれない。

「月花、熱があるんだろ。ちょっとこっちへ――」
「熱なんかありません!」

 そう突き放すように言って、彼女は俺に背を向けて駆け出した。

「あっ、おい月花!」

 転ぶぞ、と忠告しようとした瞬間。

 彼女は期待を裏切らず、地面に剥き出しとなった木の根っこに足を引っ掛けて、ずしゃっ! と盛大に転んだ。

「月花!」

 慌てて駆け寄ってみると、よろよろと上半身を起こした彼女は力なく項垂れたままだった。

「大丈夫か、月花。痛かっただろ」
「痛くなんか……ありません」

 そう強がりながらも、やはりどこか痛むのか、彼女は赤くなった目尻にじわりと涙を浮かべた。

「ほら、やっぱり痛かったんだろ。泣いてるじゃないか」
「泣いてなんか、いませんっ……」

 目尻に溜まった涙は、ぽろりと彼女の白い頬を伝う。
 その表情はどこか悔しげだった。

「どうしたんだよ月花。なんか変だぞ」
「……なんで……」

 まるで自分自身に戸惑っているかのように、彼女はどこか地面の一点だけを見つめていた。

「なんで、どうして……。ごめんなさい、私……変ですよね」

 そう言って、小さな涙の粒をぽろぽろと零す。

「月花……」

 彼女の涙を前に、俺の罪悪感は募るばかりだった。

「ごめんな。俺の言動が気に障ったのなら謝るよ。だから、今はとにかくキスをしないと」
「でも、星蘭さんが見ている前ですから……」
「見られるのが恥ずかしいのか? でも、今はそんなこと言ってる場合じゃないだろ?」

 月花には悪いが、今は仕方がない。
 ここでキスをしなければ、きっと彼女はまともに歩くことすらままならないだろう。

 それがわかっているのか、彼女は迷いに迷っているような険しい表情を浮かべていた。

 しかし、そうして逡巡する様子を見せた後も、やはり妥協することはできなかったようで、

「いけません! 今朝、私たちは恋人ではないと公言したばかりではないですか! そんな私たちが、公の場でそんなことをするなんてっ……」

 不純です! と叫ぶなり、またもやその場から離れようと彼女は立ち上がった。

「おい、月花!」

 どこまで真面目なのか。
 というより、頭が固いのか。

 しかし立ち上がった彼女はやはり足元が覚束ないようで、完全に千鳥足となっていた。

「ねー、どったの月花ちゃん。体調不良?」

 遅れてやってきた星蘭さんが後ろから聞いた。

「いや、特にどうってわけではないんですけど……」

 俺は返事に詰まり、適当に誤魔化そうと言葉を探した。
 しかしそのとき、苦し紛れに泳がせた視線の先で、あるものを発見した。

 公衆用トイレだった。
 それもちょうど木の陰になっていて人目に付きにくい。

「あっ、俺ちょっとトイレに行ってきます!」

 そう言って、俺は月花の方へと目配せをした。

 トイレに行くフリをして、その先で隠れてさっさとキスを済ませてしまえばいい。

 俺の必死な視線を受け止めた月花は、しばらくポカンとしていたものの、何とか俺の考えを汲み取ってくれたようで、

「わ、私も行きます!」

 と、不自然な声色で言った。

 珍しく察しの良い月花に内心ホッとしたのも束の間、

「あ。じゃあ、あたしもー」

 と星蘭さんが言った。

 まずい。
 彼女について来られては、せっかくの作戦が台無しになってしまう。

 月花の体力はもう限界に近い。
 これを逃せばもう、二人きりでキスをするチャンスはない。

(ああもう、くそっ!)

 もう、どうにでもなれ。

 俺は月花の腕を乱暴に掴むと、トイレに向かって猛ダッシュした。

「あ、旭さんっ!?」
「ああっ、漏れるっ……! もう漏れちゃうよ月花ああぁ――ッ!!」

 膀胱の限界を演出し、変態じみた奇声を上げながら、俺はトイレ脇の植え込みに全身をダイブさせた。

 俺の腕に引っ張られて、月花も植え込みの中に引きずり込まれる。
 そこにはツツジの低木が乱立しており、身体を隠すのには十分だった。

 俺たちは低木の隙間へ、お互いの身体を重ねるようにして倒れ込んだ。

 ちょうど月花を押し倒す形になってしまったが、今はそんなことに構っていられない。

「よし、今なら誰にも見えないはずだ、月花。一瞬で終わらせるぞ……!」

 俺の下で仰向けになった彼女は、急な展開に口をぱくぱくとさせている。

 二つに結われた黒い髪は乱れ、せっかくの白いワンピースも土にまみれてしまっている。

 そんな姿を前にして、俺はまるで強姦でもしているような、妙な背徳感を覚えた。

 だが、これも彼女のためだ。

「あ、旭さっ……――」

 何かを言おうとした彼女の声を遮り、俺は強引にキスをした。

 早々に唇を放すと、間一髪のところで星蘭さんが到着した。

「ここか――っ!」

 ガサっと低木の枝を掻き分け、彼女は顔を覗かせた。

「……はにゃ? 何してんの、お二人さん?」

 妙な体勢で固まった俺たちを見て、彼女は小首を傾げる。

「あ、いや。た、タンポポだよタンポポ! タンポポがあったんですよ! 白いタンポポが!」

 動揺のあまり、まるで壊れた玩具みたいにタンポポを連呼する俺。

 もちろん、白いタンポポなんてどこにもない。
 ただ咄嗟に思いついた嘘だったのだけれど、

「あ、ほんとだー」

 と、気の抜けるような声で星蘭さんが言った。

「でしょ!? ほら、ここにタンポポが……って、え?」

 恐る恐る、彼女の見つめる視線の先を追う。

 するとそこには、白い花びらを付けたタンポポが、ぽつんと一輪だけ咲いていた。
 
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