催眠教室

紫音

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第三章

恐怖の面談

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 まさかの人選に、俺は思わず他の三人に目をやった。
 水無瀬は俺と同じく驚いた顔をして、不安げにこちらを見つめている。
 そして隣の色紙もまた、珍しく動揺した表情で俺を見返していた。
 最後に猫屋敷を見ると、彼だけはいつもと変わらずマイペースな様子で、教壇に立つ天上先生に熱い視線を送っている。
 なぜ、俺たち四人がピンポイントで選ばれたのだろう。
 今、教室内で一体何が起こっている?

「……いや、あの。すみませんが俺、ちょっと体調が悪くて……」

 なんとかこの場を逃げ切ろうと、俺は仮病を使ったが、

「なら保健室でお話ししましょう。私も一緒に行きますので」

 ニコニコしたまま話す先生の顔が余計に怖い。
 結局言い逃れはできないまま、俺たちは保健室へと向かうことになった。


          ◯


「あら、天上先生。今日は大所帯なんですね」

 保健室の扉を開けると、以前もここで顔を合わせた優しそうな女性が出迎える。

「ええ。すみませんがベッドをお借りしますね。ここで面談をさせていただきたいので」

「どうぞ、どうぞ。好きに使ってください」

 天上先生と保険医の女性との間で軽いやり取りが交わされた後、俺はベッド、他の四人はそれぞれベッドの周りに丸椅子を置いて腰掛ける。俺から見て右側に先生と猫屋敷、左側に水無瀬と色紙だ。
 一応は形だけベッドに仰向けで寝転ぶことになった俺は、図らずも四人からの視線を一身に受けることとなった。

「あの、先生。話っていうのは……」

 恐る恐る俺が聞くと、先生は相変わらずの笑顔を浮かべたまま、

「単刀直入に言いますね。あなたたちはまだ、私の暗示にかかっていませんね? それだけじゃなく、私のやり方に疑問を持っている」

 彼女の口から発せられたそれは、こちらの秘密を完全に把握していた。俺と水無瀬はたまらず絶句し、色紙は何かを諦めたように溜息を吐く。

「もちろん責めているわけではありません。暗示をかけられなかったのは私の落ち度です。それにこの実験は、もともと百パーセントの成果が約束されているわけでもありません。ただ、こうなってしまった以上、こうしてお話しをする機会を一度設けなければと考えたのです」

「なんで気づいたんだ? オレたちのこと」

 色紙が言った。彼は怪訝けげんな目を先生に向けて、

「あんた、オレたちの顔と名前も一致してないんだろ。モルモットへの興味なんて一ミリもないくせに、どうやってオレたちの事情を探ったんだ?」

「それは簡単なことです。ぜーんぶ猫屋敷くんが教えてくれたんですよ」

 語尾にハートマークが付いていそうな声色で先生は言った。直後、俺を含めた三人による「お前か……!」という怒りの視線が猫屋敷に集中する。
 
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