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第三章
第三章22 〈ダンジョンスキル〉
しおりを挟む『魔族を倒したはいいが、この後はどうする?』
戦闘の末、ネリフィラとアンデッドの群れは何とか倒したけど、当初の目的であるダンジョン最深部への道は閉ざされたままであった。
「それな……道がなくなってる現象については、見当がついてるんだけど、それの無効化の方法はちょっとな……」
俺の言葉にタロが、驚いたような顔をしてからデフォルメサイズになっていく。
「で、何で道は無くなったんだ?」
「それはな……多分ダンジョンスキルだと思う」
「ダンジョンスキル?」
「覚えてないか? マスコに言われてエンドレスサマー作ってた時、三つのダンジョンスキルの中から一つ選んでくれって言われたの」
「……! ああ、ユウタが即決したやつか!」
ダンジョンスキルとは、ダンジョンマスターがダンジョンに対して、一つだけ選んで使用する事が出来るスキルの事だ。
一つ目は、【不可視】で、外敵の侵入を防ぐためダンジョンを不可視化できる。
二つ目は、【転移】で、ダンジョンが転移可能になる。
三つ目が、【支配者】で、ユウタがエンドレスサマーに使っているスキルで、ダンジョンマスターが持っているスキルの一つをダンジョン全体に適用可能になる。
「多分だけど、【不可視】を最深部への入り口にだけ使ってるんだと思う」
俺なりの考えをタロに説明する。
「なんでそんな……あ、魔族には既にダンジョン内に入り込まれてたからか!?」
「多分な。だから道があった場所に道を認識出来ないんだと思う。もしかしたら、それに合わせて道そのものを移動させてるのかもしれないし」
「じゃあどうすればいいんだ?」
「さあ?」
俺はお手上げと言ったジェスチャーをする。
「マスターであるドラゴンが、アンデッド化してしまいそうな時に使った最後のスキルかもしれない。もちろん魔族にダンジョンを乗っ取られないようになんだろうけど、理性を失くした自分の所に誰も来られないようにする目的もあったんだと思う」
「でも早く行ければ、間に合うかもしれないんだろ?」
「可能性の話だけどな。だからこそダンジョンに詳しいマスコに聞いてみないとな」
そう言い俺は、エンドレスサマーで待つマスコに【思念通信】を繋ぐ。
(マスコ! マスコ!)
(はい、ユウタ様)
(ダンジョンスキルについて聞きたい。【不可視を使用され把握出来なくなった道を見つける方法はあるか!?)
(その場合、ダンジョンマスター自身が【不可視】を解除しない限り、発見は難しいと思われます)
(じゃあどうすればいい?)
(ダンジョンマスターが解除するのを待つか、死亡するのを待つしかないと思います。マスターが寿命が長い種族の場合はオススメ出来ませんが……)
(そうか、分かった。ありがとう)
マスコとの【思念通信】を終え、俺はその場にドッと腰を下ろした。
「どうだったんだ?」
「こっちからやれる事は無いっぽい」
「そうか」
こんな時こそスキル【黒幕】が何か提案してくれれば助かるのに。
そう頭の中でボヤいた瞬間だった。
頭の中に例の声が聞こえる。
〈真贋・解析の使用を強くお勧めします〉
「真贋・解析?」
「どうしたユウタ?」
「いや、スキルを使えって……」
俺は言われるがままにスキル【真贋・解析】を使い当たりを見回した。
すると、本来最下層への道がある場所の壁にスキルが反応した。
「やっぱりこの壁はフェイクなんだ。最下層への道は……ここにある」
だが、触ってみても叩いてみても、魔法をぶつけてみたって壁を通り抜けるどころか壊す事も出来なかった。
「くそ! ……どうすれば……」
「お、おいユウタ! 剣! 剣! 光ってるぞ!!」
「あん? ……おわ!?」
タロに言われ、エクスカリバルを見てみると、何故か輝いている。
慌てて、鞘から抜いてみるとラテン語で書かれていた文字が変わっている事に気付いた。
なになに?
『 Si credis, aperi te in via』
……信じれば道は開かれる……?
俺はその言葉に僅かな可能性を感じ、エクスカリバルを握りしめた。
なぜ刻まれていた文字が変わったのかは分からない。
だが、現状を打破するために変わったのだとしたら、今のエクスカリバルには【不可視】を破る力があるのだと信じたい。
俺はエクスカリバルを構える。
「お、おいユウタ?」
俺は光り輝くエクスカリバルを、道を塞ぐ壁に迷いなく振り下ろした。
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新作連載開始しています!
私、竹山竹善の新作、
『魔王討伐後にジョブチェンジした英雄の日常』~魔王がいなくなっても、世界は続いているのだから~
をよろしくお願いします!!
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笑えるコメディを目指して書いておりますので、是非読んで見てください。
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