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第三章

第三章19 〈予感〉

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 俺達は迫り来るアンデッド達を蹴散らしながら第三階層を急いでいた。

 どうにも嫌な予感がする。

 閉ざされた最下層への道、ダンジョンマスターのドラゴン、アンデッドのみで構成された敵、そして魔族の関与の気配。
 良くない方に考えるなと言う方が無理がある。
 今はとにかく行けるところまでは急ぐ必要がある。

「タロ!」

「オーケー! 変身!」

 空中でオリジナルサイズに戻ったタロに全員で乗る。

『振り落とされるなよ』

 そう言いタロは魔法でアンデッドを倒しながらもダンジョン内を駆け抜けて行く。




「地図ではここが最下層の一つ上の階層だな……」

 俺たちはタロに乗って、最下層の一つ上の階層にまで来ていた。

「ユウタ、道わかる?」

 リリルに尋ねられる前から【完全なパーフェクトる座標ロケーション】を使っているが、確かに最下層へと通じる道が無い。

「マジでないわ」

「どうする?」

「とりあえず大臣から貰った地図で、最下層への道があった場所まで進んでみよう」

『ナビは任せるぞ』

 そう言いタロが進み出した。

 ここまでの道のりで、出てきた魔物はやはりアンデッドばかりで、俺の悪い予感は確信へと変わりつつあった。


『来たぞ』

 タロの索敵に引っかかった魔物が、臨戦態勢の俺達の射程県内に飛び込んでくる。
 だが今までの階層とは魔物の雰囲気が変わり始めていた。

「全部アンデッドだけど……!」

 出てきた敵は例外なくアンデッドだったのだが、その種類が変わりつつあった。
 今までならガイコツ系かミイラ男系だったのが、リザードマンやミニドラゴンのアンデッドが混じりつつあったのだ。

「おいおいおい!」

 槍を持ったリザードマン・ゾンビ達が一斉に槍を投げて来た。

『全部は捌けぬぞ!』

「つったってやるしかないだろ!」

 俺とタロの風魔法で投げられた槍を弾いていくが、そのうちの数本が風魔法を潜り抜け、弾丸のように飛んできた。

「ちっ!」

「任せて!」

 カナがそう言って、槍目掛けてナイフを投げる。

 ───キィィン!!

 俺とタロが捌ききれなかった槍は、カナの投げナイフで何とか撃ち落とし事なきをえた。

「サンキュー、カナ!」

「撃ち漏らしは私が落とす。気にせず進め」

「助かるわ」

 槍をなくしたリザードマン・ゾンビが次に魔法を放とうと魔力を練っているが、そんな隙は与えない。

 俺とタロの魔法であっという間に燃やし尽くす。

「ひゃあ、酸欠になっちゃいそう」

「リリルは危ないから、ちゃんと隠れてろ!」

 今度はミニドラゴン・ゾンビ達の群れだ。
 なんと朽ちた翼で飛び始める。

「どういう構造してんだよ、あの翼は! 何でアレで飛べるんだよ!」

『魔力で力場を作っておるのだろう。存外ユウタもやれば出来るやもしれんぞ?

「んな事言ってる場合か!」

 でも今度試してみようと思う。


『だが飛んだだけでは、ただの動く的だぞ!』

 タロの魔法の火矢が次々とミニドラゴン・ゾンビを突き刺し撃ち落としている。

「じゃあ俺は下の残りを片付けますかね」


 数分後には動くアンデッドは居なくなっていた。

「どうにかなったな……でも、ついにドラゴン系の魔物が出てきたとおもったのにアンデッドか……」

「マスターのドラゴン負けちゃったのかな?」

『そうとは言い切れぬが、状況は良くはないだろうな』

「ユウタ、ミニドラゴンなんかの死体を利用されてると見ていいのか?」

「そう……だろうな。敵の種類や数も増えてきたしな」

『ミニドラゴンなんかの死体があると言うことは、何者かとの戦闘があったという事だろう』

 それも纏まった数の死体が出るような規模の戦闘がね。

「とにかく先を急ごう。この後も強いアンデッドが出てくるかもしれないから十分注意して行こう。それにカナ」

「なんだ?」

「さっきは助かった。この後も力を貸してくれ」

「無論だ」

「よし行こう!」

 そうして俺達は大臣の地図で、最下層への道があったはずの場所まで数度の戦闘を繰り広げながら、ようやくたどり着いた。

「地図だとこの場所なんだけど……」

 確かに道はない。

「土魔法とかで壁作ってるんじゃなくて?」

『そんな感じではないな……見てみろ、一切の継ぎ目がない』

 どこを見ても急に色が変わっている場所なども見当たらなかった。

『これでは、もとから何も無かったかのようだな』

「確かにそうだ。でもダンジョンの構造を変えられるのはマスターだけのはず……」

 となると、ダンジョンマスターであるドラゴン自らが道を塞いだ事になる。

 そう俺達が検証している時だった。


「おやおや……我々以外にも、このダンジョン攻略を目論んでいる輩がいようとは……面倒事は御免なんですけどねぇ」

 そう言って一人の男が、突如として現れたのだった。
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