タイムパラドックス

kinmokusei

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プルートの忘れた想い

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「遅い!!」


「本当だよ!!」


あたしが宇宙閻魔様とそんなやりとりをしている間に秋時とムーンは苛立ちをあらわにしていた。



「だいたい奈津も奈津なんだ。あんなやつに色目を使いやがって。」


とんだぬれぎぬだ。


あたしは色目なんか使っていない。


「そうだよね。アース様はちょっと無防備過ぎるよ。」


これまた誤解である。


いきなり連れて来られたんだから、防御の仕様もない。


あたしが秋時とムーンの会話を聞いていたら多分そう言うだろう。


しかし、あたしのいないところでの会話なので、弁解の仕様もない。



「プルート様?どうしたんですか?!」


秋時とムーンが苛立っていると、プルートに変化があった。


「え?」


プルートは気づいていない。


自分が泣いていることに。


「あら、、、?どうしたのかしら、わたくし。なんだか泣けてくる、、、」


そう言ってプルートはその場にしゃがみ込んだ。





「プルート様、、、?」


はじめにプルートの異変に気付いたウラヌスは、プルートを支え起こした。


シーズン銀河のサマーやウィンターやスプリングはもちろん、オータムである秋時は知らないであろうが、太陽系銀河のみんなはすごく驚いたようだった。


なぜならこんなプルートを見るの初めてだったからだ。


いつも冷静で感情を表に出さないプルート。


それが今、泣いている。


みんなは驚くばかりで、声をかけたウラヌスでさえ、プルートの様子を見てただただ慌てるばかりだった。


「ごめんなさいね。なんだか調子が悪いの。少し頭を冷やして来てもいいかしら?」


プルートは必死に涙をぬぐいながら言った。


「それは構わないですが、お一人で大丈夫ですか?」


ウラヌスの声が震えている。


太陽系銀河のみんなは不安そうにプルートを見ている。


プルートは太陽系銀河の柱。


いつも困った時に助言をくれるプルートはみんなの心の支えなのだ。


それを痛感する出来事だった。





「とにかく1人になりたいのです。しばらくこの場を離れますね?」


必死に涙をこらえ、プルートはその場を離れた。


どうしたのでしょう?


宇宙閻魔様を見た時のあの衝撃。


わたくしは何か大切なことを忘れている。


あの懐かしいような、いたずらっぽい笑顔。


あたしは知っている?


でも。


宇宙閻魔様に会うのは初めてのはずだ。


じゃあ、この涙はなんなのだろう?


大切な思い出。


そういえばあたしは宇宙閻魔様のことを前プルートに聞いたのだ。


でも前プルートがどんな顔だったのか、モヤがかかっていて思い出せない。


それに何故前プルートは宇宙閻魔様のことを知っていたのでしょうか?


わたくしはみんなの支えとならねばならないのに。


でも、そう教えてくれたのも、前プルート?


じゃあ何故顔が思い出せないのでしょう?


それにもっと大切なことを約束したような、、、?


涙が出て止まらない。


プルートは必死になって涙をぬぐうが、後から後から涙は流れるのだった。





プルートにそんなことが起きていることなど、あたしは知るよしもない。


「ちょ、近いわよ!」


宇宙閻魔にあたしは怒鳴った。


「だいたいね、女々しいのよ。好きなら好き、会えて嬉しいなら、プルートにそう言えばいいじゃない!」


そのあたしの言葉に、宇宙閻魔は顔を真っ赤にして言った。


「や、やっぱり聞いてなかったな?プルートが俺のことを好きなんだよ!会えて嬉しいのもプルートだからな!」


いい加減やめて欲しい。


この堂々巡り。


「男ならねー、女々しいこと言わずに素直になりなさいよ!やっと会えたんでしょ?」


宇宙閻魔は口をパクパクさせている。


言い返す言葉が見つからないのだろう。


「後悔しても知らないから!とにかくあたしをみんなのところに戻してよ!あたしたちは、あなたに教えてもらいたい事があるのよ!」



全く、サターンと美鈴さんのこと、本当にコイツに聞いて解決するのだろうか?


あたしは少し不安になった。


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