タイムパラドックス

kinmokusei

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ウィンターとスプリング

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あれはいつだっただろうか?


オータムの妹ビューティベルが元気だった頃だ。


俺、ウィンターはスプリングが好きだった。


サマーは熱い性格で、スプリングに情熱的な愛を囁き、てっきりサマーとスプリングがくっつくものだと思っていた。


俺は想いをうまく伝えられる性格ではなかった。


どこか冷めていて、スプリングのかよわさ、暖かさに惹かれるのはその冷めた性格のせいだと思っていた。


スプリングは守ってあげたくなるような女だから。


そんな時だった。


オータムの妹ベルから、スプリングの気持ちを聞いたのは。


「ウィンター?スプリングがウィンターのこと好きだって!ウィンターもそうでしょ?」


明るく笑うベルが俺たちの恋のキューピッドだった。


「ただこのことは3人だけの秘密ね?お兄ちゃんにも言ってないの!サマーにも言ってない。」


秘密か。


明るく笑うベルはもういない。


どこかで歯車が狂ったのだ。


(スプリング、、、。愛している。)


心の中では言えるのに。




ウィンターはサターンの命により今日あたしを抱く。


その瞬間が刻一刻と近づいていた。





「ウィンター!!」


向こうから無邪気に笑って走ってくるのはスプリングだ。


そんな姿も可愛いと思う。


息を切らせてスプリングは聞く。


「サターン様に何か言われた?」


一瞬戸惑って、ウィンターは息を飲む。


「別に。ただの雑用だよ。ちょっと頼まれ事をされたんだ。」


嘘は言っていない。


「ふーん。そう。」


スプリングは無邪気に笑う。


言うべきだろうか?


アースに気持ちなんて微塵もない。


後から知ってしまうよりいいかもしれない。


「実は、、、」


すると。


ウーウーウー。


『敵襲!!総員直ちに持ち場へ!!』


サイレンが鳴り出した。


「大変!!太陽系銀河のやつらね?サターン様が怒るわ。あたし行ってくる!!」



「待て!俺も行く!」


ウィンターはスプリングの力では押さえられないことを分かっていた。





「何?!」


あたしは鳴り響くサイレンの音にびっくりした。


(まさか!?プルートたち?)








「やっぱりスプリングの結界は弱いわね?」


サターンは不気味に笑う。


「オータム。スプリングとウィンターはもう向かっているようね?多分プルートね。サマーを連れて応戦しなさい?スプリングとウィンターはもう向かっているみたいだから。」


「はっ!!」


秋時が答えると、サターンはイライラしながら秋時を見る。


「敬語で話さない約束よ?アースに見せつけるんだから。」


「分かったよ。」


秋時のトーンは低い。


「何か文句がありそうね?」


「そんなことねーよ。」


「なら早く行きなさい!!」


「分かったよ。」







「何が起きてるのかしら。多分プルートたちが来たんだわ。」


しかしあたしの部屋は窓もない。


何が起きてるのかわからない。


あたしはプルートたちが心配でならなかった。





「アースを返してもらいにきたわ。」


激しい爆風の中から、プルート、ウラヌス、ネプチューンが現れた。


「さすが太陽系銀河3戦士ね?あたしの結界をいともカンタンに吹き飛ばすなんて。」


スプリングは冷静を装うが、動揺していた。


「ジュピター、マーズ、マーキュリー、ビーナスに眠り粉を吸わせたのは、サマー?あなた?」


プルートの問いにサマーは一歩後ずさる。


「あなたたちじゃ、わたくしたちには勝てないのは分かっているようね?アースはどこ?」


サマー、スプリング、ウィンターは答えない。


いや、プルートの威圧感に身動きが取れないのだ。


「わたくしたちはアースさえ返してくれれば帰るわ。無意味な戦いは避けたいでしょう?」


サマー、スプリング、ウィンターだってそうしたいと思っている。


でも。


「サターン様の命には逆らえない!!」


サマーが袋から何かを出そうとした。





「ウォーターサイクロン!!」


サマーが袋から出した粉はジュピター、マーキュリー、マーズ、ビーナスを眠らせた眠り粉だった。


ネプチューンの水の魔法で弾き飛ばされ泥となって下に落ちた。


「そうそう同じ手には引っかからないわよ?」


ネプチューンは言った。


「ジュピターたちを起こすための薬ももらわないとな?」


ウラヌスも言う。


「ウィンター!!スプリングを連れて逃げろ!ここは俺が、、、」


サマーはそういうが、スプリングはうなだれながら言った。


「あたしたちに逃げ場なんてない。サターン様に殺されるだけだわ。」


「スプリング、、、。」


ウィンターはつぶやく。


「さあ!アースの居場所を教えなさい?サターンはわたくしたちがどうにかしますから。悪いようにはしません。」


プルートがそう言った時、閃光が走った。


「遅くなった。」


秋時だった。






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