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時をつかさどる神
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「ちょっと先まで行ってみよう。」
あたしがやっと泣き止んだところで秋時は言った。
10分くらいか20分くらいか歩いたところで秋時が立ち止まる。
「なんだ?あれ?」
え。
「何?あれ?」
あたしも一目見て同じことを言う。
「ここは工場跡地だったはずだろ?なんだ?あの棟。」
目の前には大きな棟がある。
日本式の建物ではない。
あたしも口をあんぐり開けてその棟を見上げる。
「もしかしたら、時の棟かもしれない。行くぞ!」
秋時は瞳を輝かせる。
あたしは、、、、、。
「ん?奈津?どうした?行くぞ!」
「怖い。」
あたしは足が動かない。
「大丈夫!俺がいるだろ?」
「でも!!これ以上変なことが起きたらどうするのよ?」
あたしはまた涙目。
「虎穴に入らずんば虎子を得ずだ。このままじゃ何も変わらないんだぜ?嫌だろ?」
「でも!」
そんなやり取りを棟の前でやっていると。
棟の扉ギギィと開いた。
そこから出てきたのは、まばゆい光を放つなんともギリシャ神話とかに出てきそうな服を着た女の人だった。
「あなた方ですか。迷い込んできたものたちは、、、?」
「お前誰だよ?」
(いやどう見ても神様だ。)
あたしは心の中で秋時に突っ込みを入れた。
「わたくしはプルート。時をつかさどる神です。」
(やっぱり神様だった!)
「ここは時間の狭間。あなたたちは未来の自分を探さなければなりませんね。」
(え?どういうこと?)
*
「未来の自分?」
あたしが言うと。
「5年ごとの未来の自分に会うことです。あなたはもう2人の自分に会ってますね。ただ、、、」
マズイ。
あたしは咄嗟にに思った。
「分かりましたぁ!!では。秋時行くよ!」
「は?まだ話よく聞いてねーだろが。」
「だいたい分かるよ!未来の自分に会えば元の世界に戻れるってことですよね?」
あたしはプルートに言う。
「そうです。計8人。でもあなたは、、、?」
「ハイハイ分かりましたぁ!行くよ!秋時。」
「お、おう。」
マズイよ。
あのおばあちゃんが未来のあたし。
そして今の姿が多分5年後のあたし。
それが秋時にバレたらマズイ!
「とにかく8人に会えば元の世界に戻れるんだから。善は急げよ!」
「でも、何か話したそうだったぞ?」
「いいのよ、そんなこと!」
一方でプルートの方はと言うと。
「あの子、、、。大丈夫かしら?時間の歪みのせいで成長してしまったみたいだけど、、、。それを隠しているよう。元の姿に戻らないとこの世界からは出られないと言うのに、、、。」
「なぁ?お前プルートの話だともう2人の自分に会って、、、」
「1人も2人も同じようなものよ。気にしないで?ね?気にしないで?」
「お、おう、、、?」
あたしは半ば強引に秋時を納得させた。
「そういや、絵のこと聞いた方が、、、」
「別に必要ないわよ。ね?多分5年ごとの未来の自分が書いたのよ?ね?きっとそうよ?」
「お、おう、、、?」
プルートに会ったらバレてしまう。
そしたら秋時は、、、。
小学生のあたしなんか相手にしないだろう。
(絶対やだ!!)
あたしは心の中で思うのだった。
*
「いないわねー。」
あたしたちは街に戻って未来の自分たち探し。
「なぁ?時の神様にヒントとか教えてもらおうぜ?このままじゃいつまでたっても元の世界には戻れないよ。」
それを聞いてあたしは慌てる。
「そ、それはダメよ!」
(正体がもしばれたら、、、!?秋時はあたしを子供としてしか見ないもん!!)
「なんで?」
ゔ、ゔ。
「きっとヒントなんてくれないわ。自分たちで探せって言われるのが関の山よ。」
我ながら苦しい言い訳だ。
「奈津さー?俺に隠していることねーか?」
秋時はあたしの瞳をじーっと見て言った。
あたしは、、、。
「そんなことないわよ?」
目を逸らして言った。
「怪しい、、、。プルートが言ってたよなぁ?奈津はもう2人の自分と会ってるって?何故隠す?」
ゔ、ゔ。
どうしよう。
(どう言い訳すればいいの?)
すると。
「あー!!」
いきなり秋時が大声で叫んだ。
「何よ?いきなり、、、。」
「いた!くそっ!!急ぐぞ!!」
「ええ??何?」
秋時はいきなり全力疾走。
前には人影が見えた。
「まてぇ!!」
秋時顔がマジだ。
そして、、、。
「捕まえた!!」
80過ぎのおじいちゃんだった。
そのおじいちゃんは、、、。
「ばあさんがいないんだ。わし1人を残してどっかいってしまったんじゃ。」
やはりあたしが会ったおばあちゃんと同じく目はおどおどし、落ち着きがない。
あたしを見て、、、。
「ばあさんか?」
そう言い残して消えてしまった。
*
「確か計8人って言ってたな。1人クリアだ。でも、、、」
秋時は笑いを堪えている。
「なによ?」
「ばあさんって、、、あはは!ウケる。」
「あのねぇ。きっとあたしが会ったおばあちゃんよ。あたしを見て昔を思い出しただけでしょ?」
あたしはムキになって言った。
(秋時ってたまに子供なのよね。)
あたしはそんなことを考える。
「そういや歳聞いてなかったな。奈津っていくつなんだ?」
あたしは考える。
本当の歳は10歳。
今のあたしは5年後のあたしなんだから、、、。
「15よ。」
「なんだ。歳下か。美鈴と一緒だったのかー。」
(よかった。プルートに会った後で。)
「高校はどこなんだ?」
ゔ、ゔ。
「秘密。」
「奈津は秘密主義だよなぁ。」
「そんなことより早く、、、」
未来の自分探しやろうよと言おうとしたが、、、。
ふと考えた。
元の世界に戻るっていうことは小学生に戻るということだ。
秋時にとってはあたしは恋愛対象外になる。
それに。
あたしはなんで成長した姿になったんだろう。
時間の歪みのせいだとは思うけど。
あの絵も気になるし。
本当はあたしだってプルートに聞きたいことはたくさんあるのだ。
「なんかいい匂いしないか?」
秋時がいきなり変なことを言った。
「へ?」
「あそこにラーメン屋がある。あそこのラーメン美味いんだよなぁ。」
「時が止まってるのにラーメンなんてあるわけ、、、。」
「行ってみようぜ?未来の俺たちがいるかもしれない。」
あーそうか。
あたしはうなづいた。
あたしがやっと泣き止んだところで秋時は言った。
10分くらいか20分くらいか歩いたところで秋時が立ち止まる。
「なんだ?あれ?」
え。
「何?あれ?」
あたしも一目見て同じことを言う。
「ここは工場跡地だったはずだろ?なんだ?あの棟。」
目の前には大きな棟がある。
日本式の建物ではない。
あたしも口をあんぐり開けてその棟を見上げる。
「もしかしたら、時の棟かもしれない。行くぞ!」
秋時は瞳を輝かせる。
あたしは、、、、、。
「ん?奈津?どうした?行くぞ!」
「怖い。」
あたしは足が動かない。
「大丈夫!俺がいるだろ?」
「でも!!これ以上変なことが起きたらどうするのよ?」
あたしはまた涙目。
「虎穴に入らずんば虎子を得ずだ。このままじゃ何も変わらないんだぜ?嫌だろ?」
「でも!」
そんなやり取りを棟の前でやっていると。
棟の扉ギギィと開いた。
そこから出てきたのは、まばゆい光を放つなんともギリシャ神話とかに出てきそうな服を着た女の人だった。
「あなた方ですか。迷い込んできたものたちは、、、?」
「お前誰だよ?」
(いやどう見ても神様だ。)
あたしは心の中で秋時に突っ込みを入れた。
「わたくしはプルート。時をつかさどる神です。」
(やっぱり神様だった!)
「ここは時間の狭間。あなたたちは未来の自分を探さなければなりませんね。」
(え?どういうこと?)
*
「未来の自分?」
あたしが言うと。
「5年ごとの未来の自分に会うことです。あなたはもう2人の自分に会ってますね。ただ、、、」
マズイ。
あたしは咄嗟にに思った。
「分かりましたぁ!!では。秋時行くよ!」
「は?まだ話よく聞いてねーだろが。」
「だいたい分かるよ!未来の自分に会えば元の世界に戻れるってことですよね?」
あたしはプルートに言う。
「そうです。計8人。でもあなたは、、、?」
「ハイハイ分かりましたぁ!行くよ!秋時。」
「お、おう。」
マズイよ。
あのおばあちゃんが未来のあたし。
そして今の姿が多分5年後のあたし。
それが秋時にバレたらマズイ!
「とにかく8人に会えば元の世界に戻れるんだから。善は急げよ!」
「でも、何か話したそうだったぞ?」
「いいのよ、そんなこと!」
一方でプルートの方はと言うと。
「あの子、、、。大丈夫かしら?時間の歪みのせいで成長してしまったみたいだけど、、、。それを隠しているよう。元の姿に戻らないとこの世界からは出られないと言うのに、、、。」
「なぁ?お前プルートの話だともう2人の自分に会って、、、」
「1人も2人も同じようなものよ。気にしないで?ね?気にしないで?」
「お、おう、、、?」
あたしは半ば強引に秋時を納得させた。
「そういや、絵のこと聞いた方が、、、」
「別に必要ないわよ。ね?多分5年ごとの未来の自分が書いたのよ?ね?きっとそうよ?」
「お、おう、、、?」
プルートに会ったらバレてしまう。
そしたら秋時は、、、。
小学生のあたしなんか相手にしないだろう。
(絶対やだ!!)
あたしは心の中で思うのだった。
*
「いないわねー。」
あたしたちは街に戻って未来の自分たち探し。
「なぁ?時の神様にヒントとか教えてもらおうぜ?このままじゃいつまでたっても元の世界には戻れないよ。」
それを聞いてあたしは慌てる。
「そ、それはダメよ!」
(正体がもしばれたら、、、!?秋時はあたしを子供としてしか見ないもん!!)
「なんで?」
ゔ、ゔ。
「きっとヒントなんてくれないわ。自分たちで探せって言われるのが関の山よ。」
我ながら苦しい言い訳だ。
「奈津さー?俺に隠していることねーか?」
秋時はあたしの瞳をじーっと見て言った。
あたしは、、、。
「そんなことないわよ?」
目を逸らして言った。
「怪しい、、、。プルートが言ってたよなぁ?奈津はもう2人の自分と会ってるって?何故隠す?」
ゔ、ゔ。
どうしよう。
(どう言い訳すればいいの?)
すると。
「あー!!」
いきなり秋時が大声で叫んだ。
「何よ?いきなり、、、。」
「いた!くそっ!!急ぐぞ!!」
「ええ??何?」
秋時はいきなり全力疾走。
前には人影が見えた。
「まてぇ!!」
秋時顔がマジだ。
そして、、、。
「捕まえた!!」
80過ぎのおじいちゃんだった。
そのおじいちゃんは、、、。
「ばあさんがいないんだ。わし1人を残してどっかいってしまったんじゃ。」
やはりあたしが会ったおばあちゃんと同じく目はおどおどし、落ち着きがない。
あたしを見て、、、。
「ばあさんか?」
そう言い残して消えてしまった。
*
「確か計8人って言ってたな。1人クリアだ。でも、、、」
秋時は笑いを堪えている。
「なによ?」
「ばあさんって、、、あはは!ウケる。」
「あのねぇ。きっとあたしが会ったおばあちゃんよ。あたしを見て昔を思い出しただけでしょ?」
あたしはムキになって言った。
(秋時ってたまに子供なのよね。)
あたしはそんなことを考える。
「そういや歳聞いてなかったな。奈津っていくつなんだ?」
あたしは考える。
本当の歳は10歳。
今のあたしは5年後のあたしなんだから、、、。
「15よ。」
「なんだ。歳下か。美鈴と一緒だったのかー。」
(よかった。プルートに会った後で。)
「高校はどこなんだ?」
ゔ、ゔ。
「秘密。」
「奈津は秘密主義だよなぁ。」
「そんなことより早く、、、」
未来の自分探しやろうよと言おうとしたが、、、。
ふと考えた。
元の世界に戻るっていうことは小学生に戻るということだ。
秋時にとってはあたしは恋愛対象外になる。
それに。
あたしはなんで成長した姿になったんだろう。
時間の歪みのせいだとは思うけど。
あの絵も気になるし。
本当はあたしだってプルートに聞きたいことはたくさんあるのだ。
「なんかいい匂いしないか?」
秋時がいきなり変なことを言った。
「へ?」
「あそこにラーメン屋がある。あそこのラーメン美味いんだよなぁ。」
「時が止まってるのにラーメンなんてあるわけ、、、。」
「行ってみようぜ?未来の俺たちがいるかもしれない。」
あーそうか。
あたしはうなづいた。
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