158 / 177
開戦そして籠城戦
決闘(VSライナー・ヨッパ―)
しおりを挟む
大物戦斧使いのライナーというだけあって、肩に大きな双刀の戦斧を担いでいる。
ボサボサの黒長髪、顔は……洗ってるのか? 無精髭に赤ら顔、裸の上半身は自慢するだけはある筋骨隆々という感じで、下はズボンにブーツと。
──あの赤ら顔は地肌なのかな──
オレの疑問にイツハが答える。
──どうも酔ってるみたいです。あ、ほら、ああやってさっきからふらふらと足元がおぼつかないんですの──
なるほどイツハの言うとおり、踏ん張って両足で立っているが、ときおりふらつき、それがバレないようにまた踏ん張って仁王立ちになる。そんな感じだった。
「どおーしたー、世界樹の精霊とやらぁ、我の強さに恐れをなしたかぁー。しょせん木だものなぁ、枯れ木だものなぁ、我の大物戦斧を見たら伐り倒されるかと恐れるのも無理はないわなぁ、があぁっはっはっはっ」
──あぁんの酔っぱらいめぇ、ぶっ殺してばらばらにして養分にしてやるぅ。離せ、離せ、ヨツハ・イツハ・ムツハーー──
挑発されたアディが、精霊から妖怪になりかねんほど怒り狂ってる。このままだと帝国軍を全滅しかねない勢いだ。
──わかったわかったアディ、アイツはオレがボコボコにしてやるから落ちつけ──
──ヤダヤダ、アタシがこの手でボコボコにしてやるんだからぁ──
よほど腹に据えかねてるのか、いつも以上に言うことを聞かない。やれやれだ。
──アレを倒すということはアディがイヤがっている[ヒト族の争い]に関わることになるんだぞ。さっきしたくないって言ったじゃないか──
──うー、でもでもぉーーーーー──
──あー、じゃあこうしよう。オレがボコボコにする、その後をまかせる、それでどうだ──
そのあと細かい打ち合わせをして、しぶしぶとだが納得させた。さて、アレの出番だな。
ライナー・ヨッパーの側にスピーカーツタを生やし話しかける。
「あー、あー、聞こえるかライナー・ヨッパーとやら」
足元から話しかけられてライナーは驚いてふらつく。が、なんとか倒れずにいた。
「な、なんだ、どこから話してる」
「こちらは[ユグラシドル樹立国]の者だ。決闘を所望しているのは本当か」
「お、おう」
「やっても良いが、なんで挑んできた」
「オレが最強なのを証明するためだ、さっさと出てこい」
「オレ、じゃない、私に勝つと最強なのか」
「おう、[最強兵決定戦]なんてまどろっこしい。お前を倒せば最強なんだ、楽だろ」
[最強兵決定戦]? そんなことやってるのか。
「わかった。ウチの最強兵を出そう。そちらに向かわせる」
「本当に最強兵なんだろうな」
「保証する」
なんせオレしかいないんだから最強兵だよな。
※ ※ ※ ※ ※
ライナー・ヨッパーを中心に半径5メートル程の円形の広場を作り、帝国軍側の草原を低めにして見やすいようにする。
世界樹の森側は2メートルくらいの高さにして壁にする。そして簡易闘技場となった処へ、男性型世界樹製製躯体四号に憑依し、試作BAをまとったオレが来る。
「待たせたな。ユグラシドル樹立国のクチキ・ユグラシドル・シゲオだ」
「大物戦斧使いのライナー・ヨッパーだ。そっちの武器はなんだ」
「この鎧だ」
「ふん、拳闘士か。それでこの大物戦斧に勝てると思ってるのか、降参するなら今のうちだぞ、見よ、オレの必殺技を。ハリケーンミキサーーー」
大物戦斧を持ち直し、両腕で振りかぶると、自分と一緒にコマのように回りだした。その勢いは凄まじく、竜巻が起きそうな威力だった。
回転が止まると、大物戦斧を支えに、乗物酔いをこらえるような顔のライナーが、話そうとしているのか吐こうとしているのか分からない表情でゼイゼイしている。
コイツ……ヤラン・レーヤクに続くお笑い枠のヤツか。
「ど、どうだ……拳闘士のお、お前、に、か、勝てると、思うかぁ」
「……ひとつ条件がある」
「な、なんだ」
「私が勝ったら技の名前を変えてもらう」
「な、なんでだ。格好いいだろうが。ハリケーンミキサーのどこが悪い、ハリケーンミキサーだぞ、格好いいだろうが」
「こっちにも色々とあるんだよ。あまり連呼するな。決まりはどうするんだ、相手が負けを認めるか戦闘不能でいいのか」
ライナーがそれでいいというので、体調が戻るのを待って(ライナーが待ってほしいと言ったので)戦うことになった。
「いくぞ」
「来いやぁ、みじん切りにしてやる、ハリケーンミキサーーーーーー」
ライナーが大物戦斧を勢いよく回し、全速になった頃を見計らって素早く足元まで滑り込み、精霊力剣を右腕から具現化して柄の部分を切る。
「おわあぁぁぁぁ」
大物戦斧の刃の部分は遠くへすっ飛び、ライナーは叫びながらバランスを崩して転がり簡易闘技場の外へ消えていく。
うむ、精霊力剣の斬れ味はバツグンのようだな。
「お、おのれ、オレの大物戦斧をよくもぉ」
草をかき分け出てきたライナーが無手で襲いかかってきたが、ボディに精霊力を込めたパンチを入れてダウンさせる。戦闘不能となったのでオレの勝ちと。
──アディ、送り返してやってくれ──
──待ってました、せーの──
触手ツタを使いライナー・ヨッパ―を持ち上げると、思いっ切り帝国軍へと放り投げる。人間ロケットみたいだな。やれやれ終わったか。
戻ろう背を向けた時、背後から声をかけられる。
「待てぇい、次はそれがしだ」
振り返ったら、剣士らしい男が簡易闘技場に立っていた。
ボサボサの黒長髪、顔は……洗ってるのか? 無精髭に赤ら顔、裸の上半身は自慢するだけはある筋骨隆々という感じで、下はズボンにブーツと。
──あの赤ら顔は地肌なのかな──
オレの疑問にイツハが答える。
──どうも酔ってるみたいです。あ、ほら、ああやってさっきからふらふらと足元がおぼつかないんですの──
なるほどイツハの言うとおり、踏ん張って両足で立っているが、ときおりふらつき、それがバレないようにまた踏ん張って仁王立ちになる。そんな感じだった。
「どおーしたー、世界樹の精霊とやらぁ、我の強さに恐れをなしたかぁー。しょせん木だものなぁ、枯れ木だものなぁ、我の大物戦斧を見たら伐り倒されるかと恐れるのも無理はないわなぁ、があぁっはっはっはっ」
──あぁんの酔っぱらいめぇ、ぶっ殺してばらばらにして養分にしてやるぅ。離せ、離せ、ヨツハ・イツハ・ムツハーー──
挑発されたアディが、精霊から妖怪になりかねんほど怒り狂ってる。このままだと帝国軍を全滅しかねない勢いだ。
──わかったわかったアディ、アイツはオレがボコボコにしてやるから落ちつけ──
──ヤダヤダ、アタシがこの手でボコボコにしてやるんだからぁ──
よほど腹に据えかねてるのか、いつも以上に言うことを聞かない。やれやれだ。
──アレを倒すということはアディがイヤがっている[ヒト族の争い]に関わることになるんだぞ。さっきしたくないって言ったじゃないか──
──うー、でもでもぉーーーーー──
──あー、じゃあこうしよう。オレがボコボコにする、その後をまかせる、それでどうだ──
そのあと細かい打ち合わせをして、しぶしぶとだが納得させた。さて、アレの出番だな。
ライナー・ヨッパーの側にスピーカーツタを生やし話しかける。
「あー、あー、聞こえるかライナー・ヨッパーとやら」
足元から話しかけられてライナーは驚いてふらつく。が、なんとか倒れずにいた。
「な、なんだ、どこから話してる」
「こちらは[ユグラシドル樹立国]の者だ。決闘を所望しているのは本当か」
「お、おう」
「やっても良いが、なんで挑んできた」
「オレが最強なのを証明するためだ、さっさと出てこい」
「オレ、じゃない、私に勝つと最強なのか」
「おう、[最強兵決定戦]なんてまどろっこしい。お前を倒せば最強なんだ、楽だろ」
[最強兵決定戦]? そんなことやってるのか。
「わかった。ウチの最強兵を出そう。そちらに向かわせる」
「本当に最強兵なんだろうな」
「保証する」
なんせオレしかいないんだから最強兵だよな。
※ ※ ※ ※ ※
ライナー・ヨッパーを中心に半径5メートル程の円形の広場を作り、帝国軍側の草原を低めにして見やすいようにする。
世界樹の森側は2メートルくらいの高さにして壁にする。そして簡易闘技場となった処へ、男性型世界樹製製躯体四号に憑依し、試作BAをまとったオレが来る。
「待たせたな。ユグラシドル樹立国のクチキ・ユグラシドル・シゲオだ」
「大物戦斧使いのライナー・ヨッパーだ。そっちの武器はなんだ」
「この鎧だ」
「ふん、拳闘士か。それでこの大物戦斧に勝てると思ってるのか、降参するなら今のうちだぞ、見よ、オレの必殺技を。ハリケーンミキサーーー」
大物戦斧を持ち直し、両腕で振りかぶると、自分と一緒にコマのように回りだした。その勢いは凄まじく、竜巻が起きそうな威力だった。
回転が止まると、大物戦斧を支えに、乗物酔いをこらえるような顔のライナーが、話そうとしているのか吐こうとしているのか分からない表情でゼイゼイしている。
コイツ……ヤラン・レーヤクに続くお笑い枠のヤツか。
「ど、どうだ……拳闘士のお、お前、に、か、勝てると、思うかぁ」
「……ひとつ条件がある」
「な、なんだ」
「私が勝ったら技の名前を変えてもらう」
「な、なんでだ。格好いいだろうが。ハリケーンミキサーのどこが悪い、ハリケーンミキサーだぞ、格好いいだろうが」
「こっちにも色々とあるんだよ。あまり連呼するな。決まりはどうするんだ、相手が負けを認めるか戦闘不能でいいのか」
ライナーがそれでいいというので、体調が戻るのを待って(ライナーが待ってほしいと言ったので)戦うことになった。
「いくぞ」
「来いやぁ、みじん切りにしてやる、ハリケーンミキサーーーーーー」
ライナーが大物戦斧を勢いよく回し、全速になった頃を見計らって素早く足元まで滑り込み、精霊力剣を右腕から具現化して柄の部分を切る。
「おわあぁぁぁぁ」
大物戦斧の刃の部分は遠くへすっ飛び、ライナーは叫びながらバランスを崩して転がり簡易闘技場の外へ消えていく。
うむ、精霊力剣の斬れ味はバツグンのようだな。
「お、おのれ、オレの大物戦斧をよくもぉ」
草をかき分け出てきたライナーが無手で襲いかかってきたが、ボディに精霊力を込めたパンチを入れてダウンさせる。戦闘不能となったのでオレの勝ちと。
──アディ、送り返してやってくれ──
──待ってました、せーの──
触手ツタを使いライナー・ヨッパ―を持ち上げると、思いっ切り帝国軍へと放り投げる。人間ロケットみたいだな。やれやれ終わったか。
戻ろう背を向けた時、背後から声をかけられる。
「待てぇい、次はそれがしだ」
振り返ったら、剣士らしい男が簡易闘技場に立っていた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
31
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる