100 / 177
爆誕精霊仕様ビキニアーマー編
その6
しおりを挟む
──そして数年前、運命の出会いがおきる──
砂海と呼んでいたのが[ピザトラ大砂漠]というのが通り名と知り、その外周に街道もどきがあるのを知った。
なぜなら、その街道もどき(整備するものがいないから、獣道が広い程度)を往き来する商人が世界樹の森で休憩するようになり、マリオネットを手に入れたオレは、商人達と会話をするようになって、この世界の知的生命の事を教えてもらえるようになったからだ。
ピザトラ大砂漠の北側は山脈があり、ほぼ年中雪が降り積もっている。
西側はジャングル地帯で、猛獣と獣人が主に住んでいる。
獣人達はそれぞれ部族ごとに小さな集落があり、小競り合いが絶え間なく続いているらしい。
南側は小国が乱立して最も栄えている。しかもここ百年戦乱状態だったのが、統一されて帝国になったばかりだという。
そして東側は広大な草原地帯で中程に大きな河が流れている。草原の東向こうは山脈、その向こうは海となっている。
この時、東の小国であるカーキ=ツバタ王国を教えてもらえなかったのは、あまり重要視されていなかったからだろう。
その存在を知るのは数年後となり、オレの運命の歯車はその時から大きく回りはじめることとなる。
聖域庭園でアディとマリオネットでいるときだった。
「痛っ」
なんとオレに痛みの感覚があったのだ。
転生してから精霊状態のオレに五感はほぼ無かった。視覚と聴覚くらいで、マリオネット状態でもそうだった。なのに、痛みだと。
すぐさま感じたところ、世界樹本体の感じたところに行くと、そこにはエルフの女性とネコの獣人がいた。痛みの正体はネコ獣人が爪を研いでいたからだった。
「誰だお前たちは。とりあえず爪を研ぐのはやめろ」
「こいつぁ驚いた、人形が喋ってるぞ、姐さん」
──これがネコ獣人で吟遊詩人のジュンゴロウとの最初の会話だった。
それを聞いてエルフがくすくすと笑う、その笑顔に、たぶんその瞬間に、恋に落ちたのだろう。それがユーリとの出会いだった。
結界の張ってある聖域庭園にどうやって入って来たのか訊ねたら、自然と結界の一部が開いて入れたという。
これは未だに謎だ。
ユーリがエルフで精霊信仰だからなのか、それともオレが無意識に恋に落ちて受け入れたのだろうか、それならジュンゴロウが何故入ってこれたのかという謎が残る。
デバッグ作業が好きでヘンタイ扱いされたが、こればかりは変わってない。癖、というヤツなんだろうなきっと。
ユーリとジュンゴロウはともに旅をしていて、もともと別行動だったが、最近は一緒に旅をしているという。
「オイラは吟遊詩人、彼方此方をまわっては見聞きしたことを面白おかしく話す旅をしているのさ」
ジュンゴロウはそう言うと、二の腕くらいサイズのネコに変身し、ユーリの肩に乗る。
「こうすると楽に旅ができるしな」
ユーリはユーリで、色々と助かるところがあるので道連れにしていたという。
「わたしは──まあ特にアテもなく旅をしている。エルフは長寿なのでひと所にいると、いろいろと面倒なのでな。ここは良い森だな、どうやら貴方がここの主のようだが、しばらく居てもいいかな」
二つ返事でオーケーをだした。ついでにジュンゴロウも。
何年か、オレ、アディ、ペッター、ユーリ、ジュンゴロウで暮らしたあと、ジュンゴロウは一人で旅に出て、ユーリはそのまま居る。
そして今から二年ほど前に、カーキ=ツバタ王国に行き、カイマの襲来に遭遇。
なりゆきで助けることとなり、女王のエルザと知り合いとなり、ユーリの真の目的である生き別れの妹ケーナの居場所を知った。
そして現在、オレの目的は三つ。
ひとつは、世界樹として支配地域を増やしていく
ひとつは、知的生物との交流をもって共存共栄する
そして最後に、ユーリのために精霊型ビキニアーマーを作り出す
やれやれ、大雑把だがようやく転生してから二百年分の記憶整理ができたよ。
世界樹の森の北端で、さらにピザトラ大砂漠のところから、時計回りに外周を歩いて、南端まで来る。
かなり広くなったな、際限なく草原を拡げて、ところどころにブッシュ、つまり藪地を配置。
さらに樹木を基本とした小さな森も点在させ、生態系をつくりやすくしておいた。
さっき話した街道もどきは、世界樹の森からさらに東にある。
なので、本来なら気がつかないはずだったが、全高百メートル程度超えてるオレ自身が目立ってしまったので森の所在が知られてしまい、オアシスがある休憩所としても便利だし本来のコースより短縮できるので、新しい街道ができてしまった。
帝国の使節団が王国に向かうなら、旧街道を使うのが当たり前だが、こちらのオアシスに寄る新街道を使うという。
休憩のため、というのが普通の考えだが、エルザ女王がユグドラシル樹立国なんて言っちゃったから、やっぱりここの視察も兼ねているよな。
さて、どう対応すべきか……。
砂海と呼んでいたのが[ピザトラ大砂漠]というのが通り名と知り、その外周に街道もどきがあるのを知った。
なぜなら、その街道もどき(整備するものがいないから、獣道が広い程度)を往き来する商人が世界樹の森で休憩するようになり、マリオネットを手に入れたオレは、商人達と会話をするようになって、この世界の知的生命の事を教えてもらえるようになったからだ。
ピザトラ大砂漠の北側は山脈があり、ほぼ年中雪が降り積もっている。
西側はジャングル地帯で、猛獣と獣人が主に住んでいる。
獣人達はそれぞれ部族ごとに小さな集落があり、小競り合いが絶え間なく続いているらしい。
南側は小国が乱立して最も栄えている。しかもここ百年戦乱状態だったのが、統一されて帝国になったばかりだという。
そして東側は広大な草原地帯で中程に大きな河が流れている。草原の東向こうは山脈、その向こうは海となっている。
この時、東の小国であるカーキ=ツバタ王国を教えてもらえなかったのは、あまり重要視されていなかったからだろう。
その存在を知るのは数年後となり、オレの運命の歯車はその時から大きく回りはじめることとなる。
聖域庭園でアディとマリオネットでいるときだった。
「痛っ」
なんとオレに痛みの感覚があったのだ。
転生してから精霊状態のオレに五感はほぼ無かった。視覚と聴覚くらいで、マリオネット状態でもそうだった。なのに、痛みだと。
すぐさま感じたところ、世界樹本体の感じたところに行くと、そこにはエルフの女性とネコの獣人がいた。痛みの正体はネコ獣人が爪を研いでいたからだった。
「誰だお前たちは。とりあえず爪を研ぐのはやめろ」
「こいつぁ驚いた、人形が喋ってるぞ、姐さん」
──これがネコ獣人で吟遊詩人のジュンゴロウとの最初の会話だった。
それを聞いてエルフがくすくすと笑う、その笑顔に、たぶんその瞬間に、恋に落ちたのだろう。それがユーリとの出会いだった。
結界の張ってある聖域庭園にどうやって入って来たのか訊ねたら、自然と結界の一部が開いて入れたという。
これは未だに謎だ。
ユーリがエルフで精霊信仰だからなのか、それともオレが無意識に恋に落ちて受け入れたのだろうか、それならジュンゴロウが何故入ってこれたのかという謎が残る。
デバッグ作業が好きでヘンタイ扱いされたが、こればかりは変わってない。癖、というヤツなんだろうなきっと。
ユーリとジュンゴロウはともに旅をしていて、もともと別行動だったが、最近は一緒に旅をしているという。
「オイラは吟遊詩人、彼方此方をまわっては見聞きしたことを面白おかしく話す旅をしているのさ」
ジュンゴロウはそう言うと、二の腕くらいサイズのネコに変身し、ユーリの肩に乗る。
「こうすると楽に旅ができるしな」
ユーリはユーリで、色々と助かるところがあるので道連れにしていたという。
「わたしは──まあ特にアテもなく旅をしている。エルフは長寿なのでひと所にいると、いろいろと面倒なのでな。ここは良い森だな、どうやら貴方がここの主のようだが、しばらく居てもいいかな」
二つ返事でオーケーをだした。ついでにジュンゴロウも。
何年か、オレ、アディ、ペッター、ユーリ、ジュンゴロウで暮らしたあと、ジュンゴロウは一人で旅に出て、ユーリはそのまま居る。
そして今から二年ほど前に、カーキ=ツバタ王国に行き、カイマの襲来に遭遇。
なりゆきで助けることとなり、女王のエルザと知り合いとなり、ユーリの真の目的である生き別れの妹ケーナの居場所を知った。
そして現在、オレの目的は三つ。
ひとつは、世界樹として支配地域を増やしていく
ひとつは、知的生物との交流をもって共存共栄する
そして最後に、ユーリのために精霊型ビキニアーマーを作り出す
やれやれ、大雑把だがようやく転生してから二百年分の記憶整理ができたよ。
世界樹の森の北端で、さらにピザトラ大砂漠のところから、時計回りに外周を歩いて、南端まで来る。
かなり広くなったな、際限なく草原を拡げて、ところどころにブッシュ、つまり藪地を配置。
さらに樹木を基本とした小さな森も点在させ、生態系をつくりやすくしておいた。
さっき話した街道もどきは、世界樹の森からさらに東にある。
なので、本来なら気がつかないはずだったが、全高百メートル程度超えてるオレ自身が目立ってしまったので森の所在が知られてしまい、オアシスがある休憩所としても便利だし本来のコースより短縮できるので、新しい街道ができてしまった。
帝国の使節団が王国に向かうなら、旧街道を使うのが当たり前だが、こちらのオアシスに寄る新街道を使うという。
休憩のため、というのが普通の考えだが、エルザ女王がユグドラシル樹立国なんて言っちゃったから、やっぱりここの視察も兼ねているよな。
さて、どう対応すべきか……。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
31
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる