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読み切り 王女の帰還
プリンセス・アンナ その4
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海獣神の触手により磔のような姿にされ宙に浮くアンナをじっくりと舐めまわすようにガレノ公爵は見る。
「衣服に縫いつけられているその宝珠が神力の源か、女神フレイヤの加護を宝珠を通して全身に纏わせているのだな」
ガレノ公爵はアンナの衣服を脱がせようとしたが、フレイヤの加護で全身を神力で護られているので出来なかった。しかし逆にそれでビキニアーマーの造りが解ったようだ。
「どんな仕組みなのかは知らないが、神力を使う以上、神々の神霊力を供給されなければ使えまい。あれだけ暴れまわった後だ、暗幕の部屋で閉ざされたこの場所ではその力はもう尽き始めているだろう」
その言葉通りアンナの胸の宝珠が点滅して赤から青に変わろうとしていた。
「さらにだ」
触手のひとつがアンナの口を塞ぐ。
「神力も魔力も祝詞や呪文を唱えなければ発動しない、これで貴女の力が尽きるのを待つ。そのあとは存分に楽しませてもらうとしよう、存分にな。そしてこの有様の責任をとってもらおう、我が国の民を大量殺戮した罪でカーキ=ツバタ王国に多額の賠償金を請求、もちろん払えないほどのをな。突っぱねたらそれを理由にふたたび戦争に持ち込んでやる。そうすれば私は帝王様に覚えめでたくなり、さらに地位を上げられる、フ、フハハハハ」
もがくアンナを見上げながらガレノ公爵は淫猥な顔をさらけ出し嘲笑う。すでに観客である貴族と豪商はすべて息絶えていた。誰彼かまわぬ状況と大量殺戮をしたあとの高揚感、それがゆえに本性を完全にさらけ出していた。
「そうはさせん」
舞台袖に隠れていたカイアが出てくる。
「またお前か。私に敵わないと何度同じ目にあったら解るのだ、これだから獣は始末に負えぬ」
「うるさい、お前なんかにアンナを好きにさせてたまるか、絶対にお前を倒す」
カイア自身、敵わないことは百も承知だった。だがここで逃げるわけにはいかない、絶対にアンナを救い出す意志だけは曲げなかった。その時、カイアの頭にまた声が聴こえてきた。
(カイア……蹴りを……私の口を塞いでる触手に……)
アンナの声だった。顔を上げるとアンナが目で訴えているのも伝わった。
「う、うおおおぉぉぉ」
自分を鼓舞する為、吠えるとカイアはガレノ公爵に向かって走り出す。
「ふん、一つ覚えめ。 海獣神の触手」
アンナを捉える触手とは別に、また何本もの触手がガレノ公爵の背後から出てきて襲いかかるが、それらを躱しながら向かう。
「本体狙いか、だがそれは分かりきったことだ」
触手をカイアとの間に集中する、だがそれが狙いだった。触手前でしゃがみ込み、視界から消えた後、飛び上がりアンナの口を塞ぐ触手に狙いを定める。
(唱えて……)
「アンナァァァ スラァァァァッシュゥゥゥゥ」
カイアの脚に巻かれたペンダントが輝き、赤い光に包まれた脚によって触手を斬り裂いた。
「な、なにぃ」
口を塞いだ触手が霧散して消えると、アンナも唱える。
「ダブル=アンナスラッシュ」
両腕のグローブが輝き、捉えていた触手を霧散させる、そして間髪入れずガレノ公爵に向かい構える。
「アンナリウム=コウセン」
両腕とティアラから神力がガレノ公爵に放たれる、それは超高温の熱光線だった。
「うぎゃああああぁぁぁぁぁ」
断末魔を叫びながら、ガレノ公爵が触手ごと蒸発していく。照射が終わる頃には跡形もなく消え去っていた。
触手の支えも無くなり、自分の神力も尽きたアンナは下に落ちるが、それをカイアが受けとめる。
「やったわねカイア」
全力で死闘をして疲れ切っているのに、屈託なく笑いかけるアンナに撃ち抜かれた。
「敵わないなこの方には」
「衣服に縫いつけられているその宝珠が神力の源か、女神フレイヤの加護を宝珠を通して全身に纏わせているのだな」
ガレノ公爵はアンナの衣服を脱がせようとしたが、フレイヤの加護で全身を神力で護られているので出来なかった。しかし逆にそれでビキニアーマーの造りが解ったようだ。
「どんな仕組みなのかは知らないが、神力を使う以上、神々の神霊力を供給されなければ使えまい。あれだけ暴れまわった後だ、暗幕の部屋で閉ざされたこの場所ではその力はもう尽き始めているだろう」
その言葉通りアンナの胸の宝珠が点滅して赤から青に変わろうとしていた。
「さらにだ」
触手のひとつがアンナの口を塞ぐ。
「神力も魔力も祝詞や呪文を唱えなければ発動しない、これで貴女の力が尽きるのを待つ。そのあとは存分に楽しませてもらうとしよう、存分にな。そしてこの有様の責任をとってもらおう、我が国の民を大量殺戮した罪でカーキ=ツバタ王国に多額の賠償金を請求、もちろん払えないほどのをな。突っぱねたらそれを理由にふたたび戦争に持ち込んでやる。そうすれば私は帝王様に覚えめでたくなり、さらに地位を上げられる、フ、フハハハハ」
もがくアンナを見上げながらガレノ公爵は淫猥な顔をさらけ出し嘲笑う。すでに観客である貴族と豪商はすべて息絶えていた。誰彼かまわぬ状況と大量殺戮をしたあとの高揚感、それがゆえに本性を完全にさらけ出していた。
「そうはさせん」
舞台袖に隠れていたカイアが出てくる。
「またお前か。私に敵わないと何度同じ目にあったら解るのだ、これだから獣は始末に負えぬ」
「うるさい、お前なんかにアンナを好きにさせてたまるか、絶対にお前を倒す」
カイア自身、敵わないことは百も承知だった。だがここで逃げるわけにはいかない、絶対にアンナを救い出す意志だけは曲げなかった。その時、カイアの頭にまた声が聴こえてきた。
(カイア……蹴りを……私の口を塞いでる触手に……)
アンナの声だった。顔を上げるとアンナが目で訴えているのも伝わった。
「う、うおおおぉぉぉ」
自分を鼓舞する為、吠えるとカイアはガレノ公爵に向かって走り出す。
「ふん、一つ覚えめ。 海獣神の触手」
アンナを捉える触手とは別に、また何本もの触手がガレノ公爵の背後から出てきて襲いかかるが、それらを躱しながら向かう。
「本体狙いか、だがそれは分かりきったことだ」
触手をカイアとの間に集中する、だがそれが狙いだった。触手前でしゃがみ込み、視界から消えた後、飛び上がりアンナの口を塞ぐ触手に狙いを定める。
(唱えて……)
「アンナァァァ スラァァァァッシュゥゥゥゥ」
カイアの脚に巻かれたペンダントが輝き、赤い光に包まれた脚によって触手を斬り裂いた。
「な、なにぃ」
口を塞いだ触手が霧散して消えると、アンナも唱える。
「ダブル=アンナスラッシュ」
両腕のグローブが輝き、捉えていた触手を霧散させる、そして間髪入れずガレノ公爵に向かい構える。
「アンナリウム=コウセン」
両腕とティアラから神力がガレノ公爵に放たれる、それは超高温の熱光線だった。
「うぎゃああああぁぁぁぁぁ」
断末魔を叫びながら、ガレノ公爵が触手ごと蒸発していく。照射が終わる頃には跡形もなく消え去っていた。
触手の支えも無くなり、自分の神力も尽きたアンナは下に落ちるが、それをカイアが受けとめる。
「やったわねカイア」
全力で死闘をして疲れ切っているのに、屈託なく笑いかけるアンナに撃ち抜かれた。
「敵わないなこの方には」
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