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読み切り 王女の帰還
プリンセス・アンナ その3
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「ふぐぅぅぅあああ」
カイアの苦しむ声が聞こえ、アンナがそちらを見る。ガレノ公爵が笑顔のままだが頬かひくついているのが見えた。
「なかなかの演説ですが、少々癇に触りますな、アンナ王女」
「核心を突かれるとそうなるらしいですよ、ガレノ公爵」
「ほざけ」
ガレノ公爵の背後から別の黒霧触手が飛びかかる、それを躱しかいくぐり、カイアに向かうと手刀を構える。
「アンナスラッシュ」
ふたたび手刀が赤い光につつまれ触手を切り裂く。カイアに巻きついていた触手は霧散して消えていきカイアは落ちていく。身体が自由になったカイアは受身をとって転がっていく。
「しばらく休んでなさいカイア、ティア達も。今から大掃除をするから大人しくしているのよ」
カイアは言われた通りティア達と舞台袖に引っ込むと、用心しながらアンナ達を見る。
落ち着いてあらためて見ると、アンナの身体は薄赤い光に包まれていて、それらは身体の各部にある宝珠から放たれているようだった。
「それがカーキ=ツバタ王国のビキニアーマーという物ですか」
「あらご存知でしたの」
「前の戦争で、カーキ=ツバタ王国に不思議な力を使う女戦士がいると情報がありました。ビキニアーマーという鎧を纏い、神力を使うと」
「ええその通りですわ、これは簡易版の布地仕様の物ですけどね」
「これはいい、私はついている。イキのいい獣人、カーキ=ツバタの王女、そしてビキニアーマーまで手に入れられるのだから」
「そういうのは手に入れてからでないと、後で恥ずかしい思いをしますわよ」
「そうさせてもらう、よっ」
ガレノ公爵が気を込めると背後の黒霧が広がり無数の触手となりアンナに襲いかかった。アンナはそれを避けると、観客席へと飛び出した。
「うわぁ」「わあわあ」「きゃあ」「ひぃ」「ヒイィィィ」「来るな来るな」
逃げ惑う貴族たちにより阿鼻叫喚地獄と化した観客席の奥から、アンナは額の宝珠から熱光弾を放つ。
「アンナリウムショット」
アトランダムに動く障害こと貴族たちをかい潜って攻撃しなくてはならないガレノ公爵と違い、アンナはお構いなしに連射する。
半分錯乱した貴族がたまに剣で斬りつけてくるが、アンナスラッシュで受け止めてから斬り倒す。
一方的に攻撃されるガレノ公爵がだんだんと冷静を欠いてくる。
「ええい、貴様らそれでも貴族か、落ち着け、落ち着け、邪魔をするなぁ」
まったく耳を貸さない貴族達にガレノ公爵は我慢の限界に達し、巻き添えにしてでもアンナを倒そうとしはじめた。
「海獣神の触手」
ガレノ公爵の背後から放たれた黒霧の触手は、逃げ惑う貴族たちを貫きながらアンナに襲いかかる。
さすがに余裕が無くなったアンナは、攻撃をやめ逃げ躱しはじめた。
「逃げるな小娘が、捕まえたあかつきには徹底的に嬲ってやるからな、私の拷問道具のコレクションをすべて味あわせてやる」
すでに貴族の仮面を外し、下卑た本性をさらけ出したガレノ公爵によって、貴族たちがどんどん命を落としていく。それはつまりアンナへの障害が無くなっていくということでもある。
「あっ」
ガレノ公爵に殺されたばかりの貴族に躓き、アンナは転んでしまった。そこにすかさず黒霧触手が巻きつく。
「しまった」
五体を掴まれたアンナは、そのまま舞台上のガレノ公爵のところまで引きつけられる。
「これまでだな、小娘」
ガレノ公爵の卑猥な笑いが会場中に響いた。
カイアの苦しむ声が聞こえ、アンナがそちらを見る。ガレノ公爵が笑顔のままだが頬かひくついているのが見えた。
「なかなかの演説ですが、少々癇に触りますな、アンナ王女」
「核心を突かれるとそうなるらしいですよ、ガレノ公爵」
「ほざけ」
ガレノ公爵の背後から別の黒霧触手が飛びかかる、それを躱しかいくぐり、カイアに向かうと手刀を構える。
「アンナスラッシュ」
ふたたび手刀が赤い光につつまれ触手を切り裂く。カイアに巻きついていた触手は霧散して消えていきカイアは落ちていく。身体が自由になったカイアは受身をとって転がっていく。
「しばらく休んでなさいカイア、ティア達も。今から大掃除をするから大人しくしているのよ」
カイアは言われた通りティア達と舞台袖に引っ込むと、用心しながらアンナ達を見る。
落ち着いてあらためて見ると、アンナの身体は薄赤い光に包まれていて、それらは身体の各部にある宝珠から放たれているようだった。
「それがカーキ=ツバタ王国のビキニアーマーという物ですか」
「あらご存知でしたの」
「前の戦争で、カーキ=ツバタ王国に不思議な力を使う女戦士がいると情報がありました。ビキニアーマーという鎧を纏い、神力を使うと」
「ええその通りですわ、これは簡易版の布地仕様の物ですけどね」
「これはいい、私はついている。イキのいい獣人、カーキ=ツバタの王女、そしてビキニアーマーまで手に入れられるのだから」
「そういうのは手に入れてからでないと、後で恥ずかしい思いをしますわよ」
「そうさせてもらう、よっ」
ガレノ公爵が気を込めると背後の黒霧が広がり無数の触手となりアンナに襲いかかった。アンナはそれを避けると、観客席へと飛び出した。
「うわぁ」「わあわあ」「きゃあ」「ひぃ」「ヒイィィィ」「来るな来るな」
逃げ惑う貴族たちにより阿鼻叫喚地獄と化した観客席の奥から、アンナは額の宝珠から熱光弾を放つ。
「アンナリウムショット」
アトランダムに動く障害こと貴族たちをかい潜って攻撃しなくてはならないガレノ公爵と違い、アンナはお構いなしに連射する。
半分錯乱した貴族がたまに剣で斬りつけてくるが、アンナスラッシュで受け止めてから斬り倒す。
一方的に攻撃されるガレノ公爵がだんだんと冷静を欠いてくる。
「ええい、貴様らそれでも貴族か、落ち着け、落ち着け、邪魔をするなぁ」
まったく耳を貸さない貴族達にガレノ公爵は我慢の限界に達し、巻き添えにしてでもアンナを倒そうとしはじめた。
「海獣神の触手」
ガレノ公爵の背後から放たれた黒霧の触手は、逃げ惑う貴族たちを貫きながらアンナに襲いかかる。
さすがに余裕が無くなったアンナは、攻撃をやめ逃げ躱しはじめた。
「逃げるな小娘が、捕まえたあかつきには徹底的に嬲ってやるからな、私の拷問道具のコレクションをすべて味あわせてやる」
すでに貴族の仮面を外し、下卑た本性をさらけ出したガレノ公爵によって、貴族たちがどんどん命を落としていく。それはつまりアンナへの障害が無くなっていくということでもある。
「あっ」
ガレノ公爵に殺されたばかりの貴族に躓き、アンナは転んでしまった。そこにすかさず黒霧触手が巻きつく。
「しまった」
五体を掴まれたアンナは、そのまま舞台上のガレノ公爵のところまで引きつけられる。
「これまでだな、小娘」
ガレノ公爵の卑猥な笑いが会場中に響いた。
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