77 / 182
読み切り 王女の帰還
カイアの失態 その5
しおりを挟む
「く、来るな、コイツがどうなってもいいのか」
カイアに恐怖したメザワが、モーリを盾にして喉元にナイフを突きつける。だが、カイアは歩みを止めず近づいてくる。
「こ、この」
縅すつもりでモーリの腕を刺そうとしたが、いつの間にかナイフが手元から消えていた。
「な、なんで」
「兎脚活蹴術がひとつ、裂空脚」
カイアがそう言い放つと、メザワの胸にへこみができるがそして一瞬の間をおいて後ろに吹っ飛んでいく。
「ふぐぅあっ」
たまたまあった木にぶつかり、メザワは気を失いその場に倒れる。するとモーリに巻きついてたムチが同じようにほどける。
「大丈夫かモーリ」
「大丈夫です。どうやら気を失うと能力は使えなくなるようですな」
それを聞いてカイアは振り返り黒い玉を見るが、それはそのままだった。
「あれは」
「先程の話が本当なら、メザワの魔力が切れるか離れないと解呪出来ないんじゃないでしょうか」
「それなら」
メザワにとどめをさそうとするカイアを、ふたたびモーリが押し止める。
「待った待った、カイアさん、コイツを殺してしまうとアンナ王女様が助けられないかもしれないんです、玉の色が違うんですよ、何かあるかも知れない」
言われてようやく我を取り戻したカイアは、自分がどんな失態をしたかようやく理解した。
「ど、どうしよう、護衛すべきアンナを、わたしは、わたしは、」
「落ち着いてカイアさん。まずはメザワの言っている事が正しいか試してみましょう」
数分後、黒い玉から開放されたティア達とともにカイアが戻ってきた。
「うまくいきましたか」
「ああ、モーリの言う通り玉を持ってメザワから離れたらティア姉達は解呪されたよ」
「申し訳ない、あのようなワナに引っ掛かるとは……」
耳を垂らし落ち込むティアとダイナ、そしてカイア。
「モーリ、アンナだけは、赤い玉だけはどんなに離れても解呪されなかった」
「そうですか、とりあえず生かしておいて良かったですな」
同じ失敗をしないように今度は後ろ手に縛って、それをさらに木に縛り付けてある。
モーリはメザワに近寄ると、頬を張り叩き起す。
「う、う~ん」
「起きろよメザワ、お仕置きの時間だぞ」
モーリはふたりとも隠れてと囁くと、ティアとダイナは姿を隠した。
「メザワ、お前また嘘をついたな。お前からどれだけ離れても閉鎖空間は解呪されなかったぞ、おかげでカイアは怒り心頭だ。私もお前に殺されかけたからな、今度はもう止めない、カイアになぶり殺されな」
モーリの言葉にメザワは意識を取り戻す、目の前には先程の怒りに満ちたカイアが立っていた。
「ひぃぃぃ、う、嘘じゃねえよ、あれは俺から離れれば解呪されるんだ本当だ、試したことあるんだ、何もないところで目の届くぎりぎりのところくらいで解呪されたんだ、本当だ」
「だがこの通り、ここに赤い玉のままあるじゃないか」
「そ、それはとっておきなんだ、俺の魔力であって魔力じゃないんだよ」
「どういう意味だ」
「赤いヘイサクウカンは雇い主のモノなんだよ、レントとか言ってたな、その能力で俺にも使える陽になっているんだ」
「つまりどういう事だ」
「だからそれを解呪できるのは雇い主だけで、俺には出来ないんだよ」
カイアに恐怖したメザワが、モーリを盾にして喉元にナイフを突きつける。だが、カイアは歩みを止めず近づいてくる。
「こ、この」
縅すつもりでモーリの腕を刺そうとしたが、いつの間にかナイフが手元から消えていた。
「な、なんで」
「兎脚活蹴術がひとつ、裂空脚」
カイアがそう言い放つと、メザワの胸にへこみができるがそして一瞬の間をおいて後ろに吹っ飛んでいく。
「ふぐぅあっ」
たまたまあった木にぶつかり、メザワは気を失いその場に倒れる。するとモーリに巻きついてたムチが同じようにほどける。
「大丈夫かモーリ」
「大丈夫です。どうやら気を失うと能力は使えなくなるようですな」
それを聞いてカイアは振り返り黒い玉を見るが、それはそのままだった。
「あれは」
「先程の話が本当なら、メザワの魔力が切れるか離れないと解呪出来ないんじゃないでしょうか」
「それなら」
メザワにとどめをさそうとするカイアを、ふたたびモーリが押し止める。
「待った待った、カイアさん、コイツを殺してしまうとアンナ王女様が助けられないかもしれないんです、玉の色が違うんですよ、何かあるかも知れない」
言われてようやく我を取り戻したカイアは、自分がどんな失態をしたかようやく理解した。
「ど、どうしよう、護衛すべきアンナを、わたしは、わたしは、」
「落ち着いてカイアさん。まずはメザワの言っている事が正しいか試してみましょう」
数分後、黒い玉から開放されたティア達とともにカイアが戻ってきた。
「うまくいきましたか」
「ああ、モーリの言う通り玉を持ってメザワから離れたらティア姉達は解呪されたよ」
「申し訳ない、あのようなワナに引っ掛かるとは……」
耳を垂らし落ち込むティアとダイナ、そしてカイア。
「モーリ、アンナだけは、赤い玉だけはどんなに離れても解呪されなかった」
「そうですか、とりあえず生かしておいて良かったですな」
同じ失敗をしないように今度は後ろ手に縛って、それをさらに木に縛り付けてある。
モーリはメザワに近寄ると、頬を張り叩き起す。
「う、う~ん」
「起きろよメザワ、お仕置きの時間だぞ」
モーリはふたりとも隠れてと囁くと、ティアとダイナは姿を隠した。
「メザワ、お前また嘘をついたな。お前からどれだけ離れても閉鎖空間は解呪されなかったぞ、おかげでカイアは怒り心頭だ。私もお前に殺されかけたからな、今度はもう止めない、カイアになぶり殺されな」
モーリの言葉にメザワは意識を取り戻す、目の前には先程の怒りに満ちたカイアが立っていた。
「ひぃぃぃ、う、嘘じゃねえよ、あれは俺から離れれば解呪されるんだ本当だ、試したことあるんだ、何もないところで目の届くぎりぎりのところくらいで解呪されたんだ、本当だ」
「だがこの通り、ここに赤い玉のままあるじゃないか」
「そ、それはとっておきなんだ、俺の魔力であって魔力じゃないんだよ」
「どういう意味だ」
「赤いヘイサクウカンは雇い主のモノなんだよ、レントとか言ってたな、その能力で俺にも使える陽になっているんだ」
「つまりどういう事だ」
「だからそれを解呪できるのは雇い主だけで、俺には出来ないんだよ」
0
お気に入りに追加
31
あなたにおすすめの小説
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
晴れて国外追放にされたので魅了を解除してあげてから出て行きました [完]
ラララキヲ
ファンタジー
卒業式にて婚約者の王子に婚約破棄され義妹を殺そうとしたとして国外追放にされた公爵令嬢のリネットは一人残された国境にて微笑む。
「さようなら、私が産まれた国。
私を自由にしてくれたお礼に『魅了』が今後この国には効かないようにしてあげるね」
リネットが居なくなった国でリネットを追い出した者たちは国王の前に頭を垂れる──
◇婚約破棄の“後”の話です。
◇転生チート。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げてます。
◇人によっては最後「胸糞」らしいです。ごめんね;^^
◇なので感想欄閉じます(笑)
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
7個のチート能力は貰いますが、6個は別に必要ありません
ひむよ
ファンタジー
「お詫びとしてどんな力でも与えてやろう」
目が覚めると目の前のおっさんにいきなりそんな言葉をかけられた藤城 皐月。
この言葉の意味を説明され、結果皐月は7個の能力を手に入れた。
だが、皐月にとってはこの内6個はおまけに過ぎない。皐月にとって最も必要なのは自分で考えたスキルだけだ。
だが、皐月は貰えるものはもらうという精神一応7個貰った。
そんな皐月が異世界を安全に楽しむ物語。
人気ランキング2位に載っていました。
hotランキング1位に載っていました。
ありがとうございます。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる