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読み切り 王女の帰還
亜人狩りその2
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商品あらためなんて言ってるが、雄が雌にやることは決まっている。だから裸のまんまなんだろとカイアはせせら笑う。
責任者らしい使用人はカイアに近づいてきた、ほほう良い趣味してるじゃないかとカイアは少し良い気になったが、カイアの横を通り過ぎて後ろの怯えきっているコアラ族の方に向かう。
「へへへ、オレ好みのもふもふ丸形体型がいるじゃないか」
嬉しそうに言う使用人に、趣味の悪いヤツめと心の中で罵る。そういやわたしを指差したと思ってたけど、少しずれていたなと思い返す。
他の使用人達も銘々に自分の好みの獣人のところにいく、カイアのところには誰も来なかった。
ちょちょちょ、待ってよ、なんで誰も来ないのさ、いや、来てほしくないけどさ、来てほしくないよ、おっぱいとかアソコとかを触られたくないしまさぐられたくないよ、けどさ、こんなに、こんなに、こんなにいいオンナほっとくってどういうことさ。
理不尽な怒りでカイアは頭にくるが、ライをはじめとする他の獣人達は縛めのおかげで抵抗できず、いいようにされているのを見ると複雑な気持ちになっていた。
ちらとメザワを見ると、気の毒そうな顔をしている。
「あ、あの、みなさん、あまり調べすぎると商品価値が落ちてしまうので、どうぞその辺でご勘弁を」
我を忘れてもてあそぼうとしていた使用人達が、思いとどまる。
「そういや、自分で調教したいから無傷なのがいいってのが来るっていってたな。おおい、そのへんでやめとけよ」
責任者の使用人がそう言うと、名残惜しそうに他のふたりももてあそぶのをやめる。結局カイアのところには誰も来なかった。
わたしって魅力ないのかな……
ウサギ族特有の長い耳、赤い目、体毛は夏毛の白だが埃ですこし茶色い。顔をはじめとする肌の部分は日に焼けて浅黒い。ここまでなら可愛らしいウサギ獣人と思いそうだが、背がけっこう高いのと、戦士を思わせる筋肉質の身体が、なんとなく敬遠されてしまったのだろう。
無駄に落ち込んでいるカイア以外は、何をされるか想像がついてしまい、これから受ける自分たちの運命を考え、皆震えていた。
「連れて行け」
獣人5人とも鎖で数珠つなぎにされ、引っ張られていく。誰かひとりでもゴネれば全員がムチで叩かれるので、渋々みんな重い足取りで歩いていく。
カイアは連れられながら、目立たないように辺りを調べる。
連れてこられた道以外は、森で囲まれているところだ。向かっている建物は屋敷というよりは城、というか砦のようだ。
こんな不便な所に砦なんて造って、どうするんだろうとカイアは首をひねる。
荷馬車はほぼひと晩走り続けていた。ということは、ここはもう帝国領ではあるけど、それほど中の方でもないだろう、ということは……
カイアはようやく気がついた。ここはまた戦争がはじまった時に使うところ、おそらく補給地か前線地に使うつもりなんだと。
責任者らしい使用人はカイアに近づいてきた、ほほう良い趣味してるじゃないかとカイアは少し良い気になったが、カイアの横を通り過ぎて後ろの怯えきっているコアラ族の方に向かう。
「へへへ、オレ好みのもふもふ丸形体型がいるじゃないか」
嬉しそうに言う使用人に、趣味の悪いヤツめと心の中で罵る。そういやわたしを指差したと思ってたけど、少しずれていたなと思い返す。
他の使用人達も銘々に自分の好みの獣人のところにいく、カイアのところには誰も来なかった。
ちょちょちょ、待ってよ、なんで誰も来ないのさ、いや、来てほしくないけどさ、来てほしくないよ、おっぱいとかアソコとかを触られたくないしまさぐられたくないよ、けどさ、こんなに、こんなに、こんなにいいオンナほっとくってどういうことさ。
理不尽な怒りでカイアは頭にくるが、ライをはじめとする他の獣人達は縛めのおかげで抵抗できず、いいようにされているのを見ると複雑な気持ちになっていた。
ちらとメザワを見ると、気の毒そうな顔をしている。
「あ、あの、みなさん、あまり調べすぎると商品価値が落ちてしまうので、どうぞその辺でご勘弁を」
我を忘れてもてあそぼうとしていた使用人達が、思いとどまる。
「そういや、自分で調教したいから無傷なのがいいってのが来るっていってたな。おおい、そのへんでやめとけよ」
責任者の使用人がそう言うと、名残惜しそうに他のふたりももてあそぶのをやめる。結局カイアのところには誰も来なかった。
わたしって魅力ないのかな……
ウサギ族特有の長い耳、赤い目、体毛は夏毛の白だが埃ですこし茶色い。顔をはじめとする肌の部分は日に焼けて浅黒い。ここまでなら可愛らしいウサギ獣人と思いそうだが、背がけっこう高いのと、戦士を思わせる筋肉質の身体が、なんとなく敬遠されてしまったのだろう。
無駄に落ち込んでいるカイア以外は、何をされるか想像がついてしまい、これから受ける自分たちの運命を考え、皆震えていた。
「連れて行け」
獣人5人とも鎖で数珠つなぎにされ、引っ張られていく。誰かひとりでもゴネれば全員がムチで叩かれるので、渋々みんな重い足取りで歩いていく。
カイアは連れられながら、目立たないように辺りを調べる。
連れてこられた道以外は、森で囲まれているところだ。向かっている建物は屋敷というよりは城、というか砦のようだ。
こんな不便な所に砦なんて造って、どうするんだろうとカイアは首をひねる。
荷馬車はほぼひと晩走り続けていた。ということは、ここはもう帝国領ではあるけど、それほど中の方でもないだろう、ということは……
カイアはようやく気がついた。ここはまた戦争がはじまった時に使うところ、おそらく補給地か前線地に使うつもりなんだと。
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