59 / 177
カーキ=ツバタ王国編
その3
しおりを挟む
「クッキーの記憶によると、ただの人族である美聖女戦士とかいうのが、トテップ族を蹴散らしたのだろう? いくら女神に憑依されて強くなったといっても、器である美聖女戦士が脆ければその強さを発揮出来ない。だから身体強化する仕掛けが何かあるんじゃないかと思ってな」
ブーツとガントレット、そしてティアラもカバーを外すと、やはりなとペッターはひとり納得する。
「ほら、全部に文様が刻まれている。胸と腰だけでなくティアラ、ガントレット、ブーツで一揃えなんだ。それぞれに宝珠《オーブ》が組み込まれている。おそらくだが、女神が憑依する、身体から神霊力が放たれる、宝珠に反応する、全身を何て言ったっけ、クッキーの世界の…… そう、バリアってやつに包まれるんだ、だから人族離れした事が出来るんだよ」
ペッターの説明をオレも2人も聴いていたが、理解できたのはオレだけだったようだ。どう見ても解ったふりして、しきりに感心していた。
これを解析して精霊でも使えるようにする。素材はどうする? 世界樹《オレの身体》がある。躯体を切り出した端切れというには大きすぎて、アーマーにするにはちょうどいいサイズのがある。
アディの躯体に、[外付け]でアーマーを着ければ問題点は解決するか。
オレはさらに考えて、ペッターに訊く。
「これって、精霊以外でも使えないかな」
「う~ん、どうだろう。前提として霊力が必要だからな、そいつが神族や精霊に匹敵する霊力をだせるのが条件だぞ」
「[世界樹の実]ならどうだ? あれなら有るだろう」
「ふむ、それなら…… 参号機の応用で出来るかもしれん。だがそれは必要か?」
オレの真意を問うように、ペッターがじろりと見る。
「参号機で[実]を3回使ったんだが、使うほどに身が軽くなってきた、たぶん躯体の質量を何割か持ってかれていたからだと思う。その証拠として最後は人型カイマの剣でめった刺しされて壊れたからな」
「……なるほど、実が発芽するには苗床が要るということか。それなら取り替えができるアーマーの方がいいかもな」
そういうことにしといてやる、という表情で納得してくれた。
「つまりクッキーもビキニアーマーを着けるということなのね。わーい、お揃いだぁ」
「ペッター、意匠《デザイン》は変えてくれよ」
アディが言わなければ、オレ用のビキニアーマーが出来るところだった。
「とにかくまずは文様の解析をしないと始まらない。精霊、これからはクッキーに催促するんだな」
そう言うとペッターはオレ達に背を向け、ビキニアーマーの設計をはじめた。もうオレ達に興味が無くなったようだ。
「それならしばらく本体に引きこもるだろうから、先に色々と片付けてくるよ。ユーリ、モーリのところに行くからついてきてくれ。アディは自分の躯体のデザインをペッターと煮詰めておきなよ」
アディの催促を、こちらに押しつけようとしたペッターは、げっという顔をこちらに向けた。
悪い、少しだけ時間が欲しいからもう少し相手してやってくれ。
オレはユーリを連れて、そそくさと地下工房から出ていった。
ブーツとガントレット、そしてティアラもカバーを外すと、やはりなとペッターはひとり納得する。
「ほら、全部に文様が刻まれている。胸と腰だけでなくティアラ、ガントレット、ブーツで一揃えなんだ。それぞれに宝珠《オーブ》が組み込まれている。おそらくだが、女神が憑依する、身体から神霊力が放たれる、宝珠に反応する、全身を何て言ったっけ、クッキーの世界の…… そう、バリアってやつに包まれるんだ、だから人族離れした事が出来るんだよ」
ペッターの説明をオレも2人も聴いていたが、理解できたのはオレだけだったようだ。どう見ても解ったふりして、しきりに感心していた。
これを解析して精霊でも使えるようにする。素材はどうする? 世界樹《オレの身体》がある。躯体を切り出した端切れというには大きすぎて、アーマーにするにはちょうどいいサイズのがある。
アディの躯体に、[外付け]でアーマーを着ければ問題点は解決するか。
オレはさらに考えて、ペッターに訊く。
「これって、精霊以外でも使えないかな」
「う~ん、どうだろう。前提として霊力が必要だからな、そいつが神族や精霊に匹敵する霊力をだせるのが条件だぞ」
「[世界樹の実]ならどうだ? あれなら有るだろう」
「ふむ、それなら…… 参号機の応用で出来るかもしれん。だがそれは必要か?」
オレの真意を問うように、ペッターがじろりと見る。
「参号機で[実]を3回使ったんだが、使うほどに身が軽くなってきた、たぶん躯体の質量を何割か持ってかれていたからだと思う。その証拠として最後は人型カイマの剣でめった刺しされて壊れたからな」
「……なるほど、実が発芽するには苗床が要るということか。それなら取り替えができるアーマーの方がいいかもな」
そういうことにしといてやる、という表情で納得してくれた。
「つまりクッキーもビキニアーマーを着けるということなのね。わーい、お揃いだぁ」
「ペッター、意匠《デザイン》は変えてくれよ」
アディが言わなければ、オレ用のビキニアーマーが出来るところだった。
「とにかくまずは文様の解析をしないと始まらない。精霊、これからはクッキーに催促するんだな」
そう言うとペッターはオレ達に背を向け、ビキニアーマーの設計をはじめた。もうオレ達に興味が無くなったようだ。
「それならしばらく本体に引きこもるだろうから、先に色々と片付けてくるよ。ユーリ、モーリのところに行くからついてきてくれ。アディは自分の躯体のデザインをペッターと煮詰めておきなよ」
アディの催促を、こちらに押しつけようとしたペッターは、げっという顔をこちらに向けた。
悪い、少しだけ時間が欲しいからもう少し相手してやってくれ。
オレはユーリを連れて、そそくさと地下工房から出ていった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
31
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる