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カーキ=ツバタ王国編

その2

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「さあな」

ぷいと横を向くカイマの肩を掴み、ユーリはさらに問い詰める。

「とぼけるな! この仕込みムチのつくりは間違いなく私の村で作られた者だ。まさか村の者がいるのか。お前達のところにいるのか」

「落ち着けユーリ、落ち着くんだ」

「これが落ち着いていられるか、やっとだぞ、400年ちかくかけてやっと見つけた手がかりなんだ、ケーナの事がわかるかも知れないんだぞ」

「ケーナ? おばあ様の名前をなんで……」

カイマの言葉に、オレ達はかたまった。

「ケーナの孫? だと……」

「うっそ、だったらこのカイマとユーリは血族なの」

あまりの衝撃の事実、いや、事実かどうかは分からないが、その事でオレ達は混乱した。

そんな中で、すぐに立ち直ったのはエルザ女王だった。

「どうやらこみ入った状況のようですね。世界樹様、そちらのカイマをこちらに引き渡していただければ、落ち着いて話す機会を提供致します。如何ですか」

この提案にオレは迷った。その間隙をついてカイマは小声でユーリに話しかけていたのだが、その時のオレはまったく気がつかなかった。

そして、その隙きをついてカイマは行動に移した。

「噴ッ!」

オレが巻き付けた蔓を力任せに引きちぎったのだ。

「なにぃっ!」

カイマより体格のいいコウモリ型を捕まえた蔓だぞ、それを引きちぎるなんて。しかも勢いあまったのか、マントの胸元が破れて、地肌が見える。

そこにはユーリそっくりの豊満な双丘が、見事な谷間をつくっていた。

「女だと!?」

完全に混乱したオレを尻目に、カイマはユーリに当て身を食らわせ、担ぎ上げる。

「コイツは代わりの人質としてもらっておく、それじゃあな」

「行かせないわよ、絶対この扉を開けさせないんだから」

アディが扉の前に立ち塞がるが、カイマはそれを無視して背後の壁を力任せに拳で破壊し、通り道をつくった。王宮がさすがに揺れる。

「じゃあな」

呆気にとられていたが、さすがに気を取り直した。

「待て、ユーリを返せ、アディ、追いかけるぞ」

カイマの空けた壁穴を通り抜け、オレ達は追いかける。

「伝令を! 賊だ、ただちに捕まえろと衛兵達に伝えろ!」

ゾフィ隊長の指示が飛ぶ。そこまでは流石だなと思ったが、後がいただけなかった。

「賊は殺してもかまわんぞ」

うわぁ、いらんことを言いやがって。
衛兵達より先に捕まえないと、ユーリが危ない。

オレは全速力でかけ出した。
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