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カーキ=ツバタ王国編

その5

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「これは……、その……、服が汚れてしまったので…、その……、エルザ女王が……、」

もじもじしながら話すユーリが、さらに可愛い。

 普段、独りで狩りに行くから、狩人姿で緊張感のある孤高の凛々しさばかり目にいってたが、こうしてドレスアップされた姿は、ユーリの美しさを際立たせるな。

オレとユーリが、放課後の誰もいない教室でたまたま2人きりになったような高校生みたいな空気を出しているときだった。

「あーー、なによクッキー、着いてたんなら教えてよ、てか、なによこれ、1号機アフロダイじゃないの、新型は、新型はどうしたのよ! それにこれ裸じゃないの! 服は? 服はどうしたのよ! てか、ユーリ。ナニよその格好、なに自分だけキレイになってんのよ!!」

袋から顔を出していた躯体にアディがいつの間にか憑依ついていた。

「ふふん、エルザ女王をカイマから護ったということでな、汚れた服を洗っている間の着替えを着ているのだ。どうだアディ、なかなかなものだろう」

もじもじとしていた態度から、いつもの不遜な態度でアディを挑発する、先程までの照れくささが全くなく、いつものユーリに戻っていた。

「いいなー、アタシも着たいー」

「これをくれた侍従長に訊いてみるから待ってろ。クッキーもな」

部屋から出ていこうとしたが、ふと足を止めて振り返るユーリがアディに向かって言葉を付け足す。

「そうそう、アディ、ゾフィに会ったらひと言謝っておけよ、かなり怒っていたぞ」

「なんでさ」

「いいから。ちゃんと伝えたからな」

そう言うとユーリは足早にどこかに、たぶん侍従長のところに向かったのだろう。オレがいない間の話を訊き損ねたな。

「クッキー、どうしたのよ、ユーリとなんかあったの? 」

「なにもないよ。オレが居ない間の話を訊き損ねたなと思っただけだ」

躯体を動かすのは意外と意識をとられるので、憑依中は本体の出来事が途切れ途切れで伝わる。
今はだいたい伝わるが、意識を失った時とこっちに戻る間の事を知りたかったのが本音だ。

「アディはどうしていたんだ」

「御挨拶ねぇ、クッキーに頼まれた通りドライアドウチの子達を管理してカイマ達を誘惑してたわよ」

「初日と昨夜の2回あっただろう、昨夜はどうなったんだ」

「初日程じゃなかったけど、それなりの数が来たわ。だけどみんなウチの子達の誘惑にやられて全部美味しくいただきました」

アディが舌をぺろりと出し、ひと舐めづりした。

本来ドライアドは美形の男の人を誘惑するものだが、どうやら不満は無かったようだ。

コンコンとノックの音がしたと、扉に目を向けるとユーリが侍従長と数人の侍女とともに入ってきた。
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