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カーキ=ツバタ王国編

その5

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 城壁外側にとりついていたカイマ達の動きがとまった。

北側、西側、南側のカイマ達は、城壁を登るのを止めてオレが創った垣根にとりつきはじめる、その数はどんどん増えていく。

垣根に直接とりついた者の上に、さらにとりつき、そのまた上にとりつき、そのまた上にとりつき、そのまた上にとりつき……

世界樹の垣根がカイマの垣根のようになってきた。

生き残った衛兵達が異変に気づき、城壁の上から様子をうかがいはじめた。
どうやら城内も余裕ができはじめたらしい、中の方はバルキリー達に任せれば、もう大丈夫だろう。

(クッキー、みんな連れてきたよ。そっちは大丈夫だった)

精霊体となったアディが、世界樹の根を通して戻ってきた。

よぉし、予定どおりだ。アディはドライアドの中でも高位の存在だ。これでも。
ゆえに上位、下位のドライアドの長でもある。

ドライアドは樹木の精霊であるが、人間の男を誘惑するという一面もある。
その誘惑の能力とオレの出す樹木のフェロモン的なもので、カイマ達の興味を此方に向けさせる。

そしてアディ配下のドライアドを、オレの身体を通して配置し、カイマ達の精気を吸いとらせ、その養分と精気を取込み、垣根を成長させる。

あとはこれの繰り返しだ。

養分が漲ってきた。これで囲いきれなかった部分にも、根を伸ばし木を生やし蔓草を生やすことができる。

囲いきった後、数が多くて吸いとりきれなくなったら、麻酔成分で眠らせて蔓で絡めとれば良い。
これでカーキ=ツバタ王国への驚異は、防ぎきれるだろう。

気が抜けたのか、猛烈に眠くなってきた。

いかん、休眠状態スリープモードに入ってしまう、状況をエルザ女王かバルキリー達に伝えなくては。

あ、でも躯体はもう無いんだった。伝える手段がない。精霊アディなら女神バルキリーに伝えるられるかもしれない。

ドライアド達を指揮しているアディに、その事を伝えようとしたが、その前に強制的にスリープモードに入ってしまい、オレは意識を失ってしまった……
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