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カーキ=ツバタ王国編

その5

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 アディに現状を知りたいからと、また偵察に行ってもらう。

バルキリー達の活躍のせいか、大広場あたりは静かになった。今のうちに状況を整理しよう。

カイマ達は日光に弱い、だから夜明けまで粘ればヤツ等は地下に戻る。
そうすればこちらから出て、地下道ごと埋めて勝ち戦になると思ってた。
しかし、カイマの数が多すぎて夜明けまでもちそうもない。
カイマ全滅目的で召喚したバルキリー達が、いくら強くても13対数百では勝てない、もし倒せたとしても時間がかかる。親衛隊達の身体が持たないかもしれない。

今思いついた事をエルザ女王に話すと、苦しそうな声で答える。

「それゆえ丈夫なことと、信仰心が強い者が選ばれるのです。たとえその身が壊れようとも良いことを望まれますゆえ」

冗談じゃない!!
献身的な事が美しいことじゃないぞ!!

恩も義理も無いが、オレの心がそれをイヤだと言っている。何とかしなければ。

(もどったよ~)

戻ったアディの映像をユーリと共に視る。

 まっすぐ真上に昇ったアディが下を観る、長方形の城壁の周りはカイマで埋め尽くされていた。ついに西側まで来ていたか。まるで角砂糖に群がるアリみたいだな。
そのアリ達は数にものを言わせ、城壁衛兵達をものともせずどんどん城内に入りはじめていた。
城内の衛兵と一般の男達が命懸けで女達を守っているが、守りきれず殺されて、女を拐おうとするカイマを他の男達やバルキリー達が殺して奪い返す。

そんな場面があちこちで起きていた。

「このままではダメだ……」

思わず声に出てしまった。

「だがどうする、夜明けまでの時間稼ぎ以外に他のやり方はあるのか」

ユーリの問いに、オレは答えられなかった。

(もう逃げ出さない? アイツ等はヤバイよアブな過ぎるよ、アタシ襲われた時、本当に恐かったんだから。カイマの子を種付けされるかと思ったわよ)

木製人形マリオネットが子を宿すものか」

(分かんないわよ、アイツ等はどんな相手でも種付けするし、木製人形マリオネットは世界樹が材料だもの)

「アディ、そういえば躯体はどうした」

(コウモリカイマに拐われて空に連れられたんで、離脱抜け出してきたの。その後は知らない)

オレはあらためて躯体の索敵をしてみた。

あった

城の外の東側にある。躯体の損傷までは分からないが、もうひとつ見つけた。

「[世界樹の実]も一緒にある」

その時、オレは現状打破してこの不利な状況を逆転できる方法が閃いた。

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